歯列矯正でマウスピースを選ぶには?種類の違いと自分に合う選び方

「歯列矯正をマウスピースでしたいけれど、種類が多くてどれを選べばいいの?」「安いものと高いものは何が違うの?」と迷っている方も多いのではないでしょうか。

マウスピースを用いた歯列矯正は、対応できる歯並びの範囲によって大きく分かれ、それが費用の差にもつながっています。

前歯だけを動かすものであれば10万円台から始められる一方、奥歯を含めて動かすものでは60万円を超えることが一般的です。

この記事では、マウスピースによる歯列矯正の仕組みから、種類ごとの違い、費用の差が生まれる理由、選ぶ前に確かめておきたいことまで詳しくお伝えしますので、種類選びに迷っている方はぜひ参考にしてください。

マウスピースによる歯列矯正とは

歯列矯正を考え始めると、まず目に入るのが透明な装置を使う方法でしょう。

目立たずに歯並びを整えられると聞いて、興味を持った方も多いはずです。

ただし、ひとくちにマウスピース矯正といっても中身は一様ではありません。

どんな治療なのかを押さえたうえで、種類の違いを見ていくと理解が進みます。

まずは、治療の基本から整理していきましょう。

透明な装置を交換しながら歯を動かす

マウスピースによる歯列矯正は、形の異なる装置を順番に交換しながら歯を移動させる治療です。

歯は一定方向に力が加わると、支えている周囲の骨が少しずつ作り替えられる性質を持っています。

矯正治療は、この性質を利用して歯を計画した位置へ動かす治療にあたります[1]。

1枚の装置で動かす量は0.25mm前後とごくわずかで、1〜2週間ごとに次の装置へ進んでいきます。

装置の枚数は症例によって10枚程度から90枚程度まで幅があり、その数がそのまま治療期間に反映されます。

少しずつ動かす設計だからこそ、歯への負担を抑えながら整えられる方法だといえるでしょう。

ワイヤー矯正との違い

マウスピース矯正とワイヤー矯正の最も大きな違いは、装置を自分で取り外せるかどうかです。

ワイヤー矯正は歯の表面にブラケットという部品を接着し、治療が終わるまで装置が外れないためです。

力をかけ続けられる構造になっています。

マウスピース矯正は着脱式であり、食事や歯みがきのときには外して過ごせます。

その代わり、外している時間が長くなると計画どおりに歯が動かず、治療が延びる可能性があります。

取り外せる自由と装着時間を守る責任はセットになっていると理解しておくと、始めてからのギャップを感じにくくなります。

装着時間という前提条件

マウスピース矯正には、1日の装着時間という条件があります。

装置が歯にかけ続けている時間の合計で、歯の動き方が決まるためです。

治療計画も、その時間を前提に組み立てられます。

必要な装着時間は1日20〜22時間が目安で、食事と歯みがきの時間を差し引くと、外していられるのは2〜4時間ほどという計算になります。

間食の回数が多い方や外食の機会が多い方は、時間を確保する工夫が必要になります。

自分の生活で守れそうかどうかは、種類を選ぶ前に考えておきたい条件です。

治療の流れ

治療は、カウンセリングと精密検査を経て、診断と治療計画の説明を受けてから始まります。

矯正診療は検査、診断、治療という順に進み、検査によって不正咬合の成り立ちが明らかになってから方針が決まるためです[1]。

装置は、その診断に基づいて製作されます。

歯型の採取やエックス線撮影を行い、装置が手元に届くまで1〜2か月かかるのが一般的です。

治療が始まると通院は1〜3か月に1回程度となり、装置を外したあとには保定期間が続きます。

どの種類を選んでも大きな流れは変わりませんから、まずはこの道筋を押さえておきましょう。

マウスピース矯正の種類は対応範囲で分かれる

装置を比べ始めると、価格の幅の広さに戸惑うものです。

同じように見える治療で、なぜ10万円台と100万円近いものがあるのか疑問に感じるでしょう。

この差を生んでいるのは、動かせる歯の範囲です。

対応範囲が分かれば、価格の違いにも説明がつきます。

ここでは、範囲による4つの分類を整理します。

前歯を中心とした部分矯正に対応するもの

対応範囲を前歯に絞ったものは、費用も期間も抑えやすい種類です。

動かす歯の本数が少なく、必要な装置の枚数が10〜20枚程度に収まるためです。

製作にかかるコストも通院の回数も少なくて済みます。

上下の前歯6本ずつを対象とする設計が多く、費用は10万〜40万円程度、歯を動かす期間は3か月〜1年程度が目安になります。

前歯のわずかなでこぼこやすき間であれば、この範囲で対応できる可能性があります。

金額の低さだけで判断せず、自分の歯並びが対象に収まるかを先に確かめておくことが大切です。

奥歯を含めた全体矯正に対応するもの

奥歯まで動かせる種類は、対応できる歯並びの幅が広くなります。

歯列全体を動かし、かみ合わせまで整えることを目的としているためです。

必要な装置の枚数も30〜90枚程度に増えていきます。

費用は60万〜100万円程度、歯を動かす期間は1〜3年程度が目安になります。

前歯の見た目だけでなく、奥歯の噛み合う位置まで含めて整えられる点が、部分矯正との決定的な違いです。

負担は大きくなりますが、対応できる症例の幅を考えれば妥当な設定だと受け止められるでしょう。

抜歯をともなう症例に対応できるかどうか

同じ全体矯正でも、抜歯をともなう計画に対応できるかどうかで種類は分かれます。

抜歯でできた隙間へ歯を根ごと動かす工程は、着脱式の装置が苦手とする動きだからです。

高い設計技術が求められます。

歯を並べるスペースが大きく不足している症例では、小臼歯を抜いて余地を作る計画が組まれます。

この工程に対応していない種類では、そもそも治療計画を立てられません。

抜歯が必要と言われた場合は、対応できる種類かどうかを最初に確かめておく必要があります。

対応範囲の違いが費用に表れる

価格の差は、装置の品質より対応範囲の違いから生まれています。

動かす歯の本数と移動距離によって、必要な装置の枚数が決まるためです。

枚数がそのまま製作コストに反映されます。

10枚で済む計画と90枚必要な計画では、同じ工程を経ていても原価に数倍の開きが出ます。

治療計画を立てる工数や、通院で確認する回数も変わってきます。

安いものが劣っているわけではなく、対応する範囲が違うと理解しておけば、比較の軸がぶれずに済みます。

通院のしかたによる違い

対応範囲のほかに、通院の形でも種類は分かれます。

対面での検査を前提とするものと、通院の回数を抑えた設計のものがあるためです。

生活のリズムによって、向き不向きが変わってきます。

それぞれに利点と気をつけたい点があります。

ここでは、3つの視点から整理します。

対面での検査と通院を前提とするもの

医療機関で検査を受け、定期的に通院しながら進める形が基本になります。

歯の動き方を実際に確認しながら、必要に応じて調整するためです。

計画からのずれにも早く気づけます。

エックス線撮影や口の中の診察を受けたうえで治療計画が立てられ、1〜3か月に1回の通院で経過を確認していきます。

装置が浮いている、アタッチメントが取れたといったトラブルにも、その場で対応してもらえます。

通院の手間はかかりますが、確実に進めたい方には安心できる形だといえるでしょう。

通院の回数を抑えたもの

自宅で歯型を採り、通院の回数を大幅に減らした形のサービスもあります。

装置の交換は自宅で行うという特性を活かした設計だからです。

忙しい方や、近くに医療機関がない方にとっては選びやすくなります。

初回の診断以降は原則として来院が不要という形を取るものもあり、写真の送信などで経過を確認する仕組みが用意されています。

通院にかかる時間と交通費を抑えられる点が利点にあたります。

生活の負担を減らせる方法ですから、条件が合う方には現実的な選択肢になります。

それぞれで気をつけたいこと

どちらの形を選ぶ場合も、確かめておきたい点があります。

歯の動き方には個人差があり、計画どおりに進まない場面が生じるためです。

その際にどう対応するかが、治療の結果を左右します。

通院の少ない形では、装置が浮いていることに気づきにくい、トラブル時にすぐ診てもらえないという面があります。

対面での通院を前提とする形では、予定を合わせられずに間隔が空いてしまうことがあります。

自分がどちらの負担を受け入れやすいかを考えたうえで、選んでみてください。

費用の差はどこから生まれるのか

金額を並べて比べても、なぜその差があるのかは見えてきません。

安いものを選んで後悔したくないという気持ちもあるでしょう。

費用の差は、いくつかの要素が積み重なって生まれています。

内訳を知っておけば、見積書を受け取ったときに中身を確かめられます。

ここでは、費用を構成する4つの要素を整理します。

装置の枚数

費用を最も大きく左右するのは、必要な装置の枚数です。

装置は一人ひとりの歯型をもとに製作され、1枚ずつ形が異なるためです。

枚数がそのまま製作コストに反映されます。

前歯だけを動かす計画で10枚、歯列全体を動かす計画で50枚必要だとすれば、原価に5倍の開きが生まれる計算になります。

治療が進むなかで装置を作り直す場合、その分の枚数が追加されることもあります。

提示された金額に何枚分が含まれているかを聞いておけば、比較の前提がそろいます。

通院回数と調整料

通院のたびに費用がかかるかどうかも、総額を左右します。

歯の動き方を確認し、必要に応じて調整するための費用が設定されている場合があるためです。

装置代に含める医療機関と、別途請求する医療機関があります。

調整料は1回3,000〜5,000円程度が目安で、2年の治療で20回通院すれば6万〜10万円ほどが上乗せされます。

通院の少ない形を選べば、この部分の負担は抑えられます。

装置代が安く見えても通院ごとの負担が積み上がれば逆転しますから、回数まで含めて確かめておきましょう。

検査料とリテーナー代の扱い

治療の前後にかかる費用も、含まれるかどうかで金額が変わります。

矯正は検査、診断、治療、保定という段階を踏んで進み、それぞれに費用が設定されているためです[1]。

装置代だけを提示している場合、前後の費用は別に必要になります。

精密検査と診断料が3万〜6万円程度、治療後のリテーナー代が1万〜6万円程度という設定が一般的です。

上下ともにリテーナーを作れば、その分の負担も大きくなります。

治療は装置を外した日で終わりではありませんから、保定まで含めた金額で比べる視点が欠かせません。

総額で比べる視点

種類を比較するときは、装置代ではなく総額で並べてください。

含まれる範囲が医療機関ごとに違い、同じ金額でも意味が異なるためです。

前提をそろえなければ、比較そのものが成り立ちません。

検査・診断料、装置代、調整料、リテーナー代という4項目がそれぞれ含まれるかを確かめ、合計して比べるという方法が確実です。

装置を作り直す場合の費用が別途かかるかどうかも、聞いておきたい項目にあたります。

見積書を書面で受け取っておけば、複数の医療機関を落ち着いて比べられます。

自分に合う種類を選ぶための手順

種類の違いが分かっても、どれを選ぶべきかは別の問題です。

情報を集めるほど迷ってしまうという方も少なくありません。

選ぶ手順には順序があり、そこを踏み外すと判断できなくなります。

比べる前にやるべきことを押さえておけば、迷いは減ります。

ここでは、3つの手順に分けて整理します。

まず検査を受けて症例を把握する

種類を比べる前に、自分の歯並びの状態を知ることが出発点になります。

対応範囲に収まらない種類を検討しても、選択肢にならないためです。

不正咬合の成り立ちは、精密な検査によって明らかになります[2]。

側面から撮影するエックス線検査によって、あごの骨と歯の位置関係が数値で示されます。

歯型の採取や口の中の写真撮影とあわせ、動かすべき範囲が見えてきます。

相談だけなら無料という医療機関も多くありますから、まずは診断を受けてみるところから始めてみてください。

対応範囲に収まるかを確かめる

自分の症例が分かったら、その範囲に対応できる種類を絞り込みます。

部分矯正専用の種類では、奥歯を動かす必要がある症例に対応できないためです。

範囲を超えた計画は立てられません。

前歯のわずかなでこぼこであれば選択肢は広く、抜歯をともなう症例であれば対応できる種類は限られます。

複数の種類を扱っている医療機関であれば、その場で比較しながら提案してもらえます。

対応できる範囲を確かめてから比べれば、無駄な検討を省けます。

生活スタイルと照らし合わせる

最後に、自分の生活で続けられるかどうかを考えます。

数年にわたる治療では、日々の負担の大きさが結果を左右するためです。

条件が合わなければ、途中で行き詰まります。

1日20〜22時間の装着を守れるか、通院の頻度が生活に合うか、支払いの方法が無理のない形かという3点が判断の軸になります。

外食や会食が多い時期がある方は、その事情も含めて相談しておくと計画に反映してもらえます。

歯並びの条件と生活の条件が重なるところに、自分に合う種類が見えてくるでしょう。

選ぶ前に確認しておきたいこと

種類の目星がついたら、契約の前に確かめておきたい項目があります。

数年にわたる治療では、始めてから状況が変わることも珍しくありません。

先の展開まで含めて聞いておけば、途中で慌てずに済みます。

聞きにくいと感じる内容かもしれませんが、どれも正当な質問です。

ここでは、押さえておきたい4つの視点をお伝えします。

途中で計画が変わる可能性

治療の途中で、計画が見直される場面があります。

歯の動き方には個人差があり、シミュレーションどおりに進まないことがあるためです。

その時点の歯型を採り直し、新しい装置を作る対応が取られます。

装置が届くまで数週間は治療が足踏みし、追加される枚数によっては数か月単位で期間が延びることもあります。

この作り直しが費用に含まれているか、回数に上限があるかは医療機関ごとに異なります。

装置の作り直しは失敗ではなく軌道修正ですから、その扱いだけ先に確かめておきましょう。

保定期間までの費用と計画

装置を外したあとに続く保定期間についても、聞いておきたい項目です。

整えた歯並びを安定させるため、リテーナーを装着する期間が1〜3年続くためです。

治療は装置を外した日で終わりではありません。

リテーナー代が総額に含まれるか、保定期間中の通院費が別途かかるか、紛失や破損で作り直す場合の費用はどうなるかという3点を確かめておくと安心です。

保定を軽く見て自己判断でやめると、時間と費用をかけた歯並びが元に戻る可能性もあります。

最後まで含めた計画を共有しておけば、迷わずに走り切れます。

契約と返金の条件

契約書の内容は、署名する前に丁寧に読んでおいてください。

矯正は自由診療にあたり、料金体系も解約時の扱いも各医療機関が独自に定めているためです。

一般的な決まりがあるわけではありません。

転居や転職で通えなくなった場合の返金規定、転院する際にデータを引き継げるか、治療を中断したときの精算方法といった項目が対象になります。

歯科医院を含む医療サービスの契約に関するトラブルは、消費生活相談の対象として実際に取り扱われています[3]。

疑問を残したまま署名しないという一点を守るだけで、避けられる問題はぐっと減ります。

対応できないと言われた場合の選択肢

検査の結果、マウスピースでは難しいと判断されることもあります。

あごの骨格に原因がある症例や、歯を大きく動かす必要がある症例では、着脱式の装置では力を伝えにくいためです。

その場合でも、治療の道が閉ざされるわけではありません。

歯の表面に装置を接着するワイヤー矯正へ切り替える、難しい工程だけワイヤー矯正で進めて後半をマウスピースに引き継ぐという方法があります。

骨格が原因の症例では、あごの骨に働きかける処置が検討されることもあります。

断られた理由を聞いておけば、次にどの方法を検討すべきかも見えてきます。

マウスピースによる歯列矯正に関するよくある質問

Q:マウスピース矯正の種類は何が違うのですか?

A:最も大きな違いは、動かせる歯の範囲です。

前歯を中心とした部分矯正に対応するものと、奥歯を含めた全体矯正に対応するものがあり、抜歯をともなう症例に対応できるかどうかでも分かれます。

対応範囲の違いがそのまま費用の差につながっていますので、まずは自分の症例が収まる範囲を確かめてください。

Q:安いマウスピース矯正を選んでも大丈夫ですか?

A:安さそのものが問題なのではなく、自分の症例が対応範囲に収まっているかどうかが判断の分かれ目になります。

前歯だけを動かす設計のものでは、奥歯の位置から動かす必要がある症例に対応できません。

契約してから対応範囲外だと分かる事態を避けるため、検査を受けてから種類を選んでください。

Q:通院が少ないサービスでも問題ありませんか?

A:通院にかかる時間と交通費を抑えられる一方、装置が浮いていることに気づきにくいという面があります。

トラブルが起きたときにすぐ診てもらえるかも、確かめておきたい点です。

自分がどちらの負担を受け入れやすいかで選ぶと、無理なく続けられます。

Q:どうやって選べばいいか分かりません。

A:種類を比べる前に、まず検査を受けて自分の症例を把握することが出発点になります。

対応範囲に収まる種類を絞り込んだうえで、装着時間を守れるか、通院の頻度が生活に合うかという条件と照らし合わせます。

相談だけなら無料という医療機関も多くありますので、診断を受けてから考えてみてください。

治療中に守りたい習慣

種類を選んで治療が始まったあとは、日々の過ごし方が結果を左右します。

どの種類を選んでも、装置を装着していなければ歯は動かないためです。

守るべきことは多くなく、習慣として身につけば意識せずにこなせます。

始める前に知っておけば、生活に組み込む準備もできます。

ここでは、押さえておきたい4つの習慣を整理します。

装着時間を記録して管理する

装着時間を記録に残すと、計画どおりに進めているかを客観的に把握できます。

自分の感覚だけでは、外していた時間を実際より短く見積もりがちだからです。

数字にすると、どの場面で時間を失っているかが見えてきます。

スマートフォンのメモに外した時刻と戻した時刻を書く、装置の交換日をカレンダーに印を付けるといった方法で十分に機能します。

記録を持って通院すれば、歯の動きと照らし合わせた助言を受けやすくなります。

完璧を求めるより、続けられる形で残すほうが結果につながりやすいといえるでしょう。

装着したまま口にしてよいのは水だけ

装置をつけたまま飲んでよいのは、常温か冷たい水だけです。

装置と歯の間には隙間があり、飲んだものがそこに入り込んで留まるためです。

唾液による自浄作用も届きません。

糖分を含む飲み物であれば、その糖が歯の表面に密着したまま何時間も残ることになります。

色の濃い飲み物では装置に着色が生じ、透明だった装置が目立つようになります。

水であればつけたまま飲めますから、こまめな水分補給を習慣にすると外す回数も減らせます。

食後は歯を磨いてから装置を戻す

食事を終えたら、歯を磨いてから装置を戻す流れが基本になります。

汚れが残ったまま装着すると、外すまで歯に触れ続けるためです。

むし歯は、細菌が糖質をもとに作り出す酸によって進行します[4]。

外出先で磨けないときは、水でしっかり口をゆすいでから戻すという対応でも構いません。

装置側も水かぬるま湯ですすぎ、やわらかい歯ブラシで軽くこすってから装着します。

装置を長時間つける治療だからこそ、この一手間が歯そのものを守ってくれます。

外した装置は必ずケースに入れる

外した装置は、その場で専用ケースにしまう習慣をつけてください。

ティッシュに包むと他のごみと見分けがつかず、紛失につながるためです。

透明な装置は、置き場所を見失いやすくなります。

外食先でナプキンに包んでテーブルに置き、そのまま片づけられてしまったという事例は実際によく起こります。

再作製には費用と時間がかかり、装置が届くまで治療が止まってしまいます。

ケースを持ち歩くという一手間が、装置と治療期間の両方を守ります。

マウスピース矯正が向いている人・向いていない人

ここまで読んで、自分に合いそうかどうかを考え始めた方もいるでしょう。

向き不向きは歯並びだけで決まるものではなく、生活の条件も関わってきます。

どちらに近いかを知っておけば、カウンセリングでの質問も具体的になります。

ここでは、3つの視点から整理します。

マウスピース矯正が向いている人

決められたことを習慣として続けられる方は、この治療に向いています。

装着時間の管理が、そのまま治療の進み具合を決めるためです。

自己管理ができるかどうかが最大の条件になります。

装置が目立つことに抵抗がある方、金属アレルギーが気になる方、通院の回数を抑えたい方にとっても選びやすい方法です。

軽度から中等度の歯並びであれば、対応できる範囲も広く取れます。

自分の性格と生活を思い浮かべて、無理なく続けられそうかを考えてみてください。

ワイヤー矯正を勧められることがある人

歯並びの状態によっては、別の方法が提案されます。

あごの骨格に原因がある症例や、歯を大きく動かす必要がある症例では、着脱式の装置では力を伝えにくいためです。

これは装置の性能ではなく、構造上の特性によるものです。

抜歯をともなう治療や、歯の根まで含めて動かす必要がある症例では、ワイヤー矯正のほうが計画を立てやすくなります。

装着時間の管理が難しいと感じる方にも、外れない装置が勧められることがあります。

提案された理由を聞いておけば、納得して選び直せます。

迷ったときの考え方

どちらか決めきれないときは、優先したい条件を並べてみてください。

見た目、費用、期間、通院の負担、管理の手間という要素のうち、何を最も重視するかで答えは変わるためです。

すべてを満たす方法はありません。

見た目を優先するならマウスピース矯正、管理の確実さを優先するならワイヤー矯正という整理ができます。

両方を組み合わせる方法を提案してもらえる場合もあります。

一つの医療機関の説明だけで決めきれないときは、別の歯科医師の見解を聞いてみるという選択肢もあります。

まとめ

マウスピースによる歯列矯正は、形の異なる装置を交換しながら歯を少しずつ動かしていく治療です。

種類は動かせる歯の範囲で分かれ、前歯を中心とした部分矯正に対応するものと、奥歯を含めた全体矯正に対応するものがあります。

対応範囲の違いがそのまま費用の差につながっており、部分矯正で10万〜40万円程度、全体矯正で60万〜100万円程度が目安になります。

通院のしかたでも種類が分かれ、対面での検査と通院を前提とするものと、通院の回数を抑えたものがあります。

比較するときは装置代だけでなく、検査料・調整料・リテーナー代まで含めた総額でそろえて並べてください。

種類を選ぶ前に検査を受けて自分の症例を把握し、対応範囲に収まるかを確かめることが出発点になります。

相談だけなら無料という医療機関も多くありますので、まずは診断を受けて選択肢を絞り込むところから始めてみましょう。

参考文献

[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「不正咬合の治療法の概要」

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-06-002.html

[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「不正咬合」

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/teeth/yh-019.html

[3] 独立行政法人国民生活センター「医療・美容医療(消費者トラブル解説集)」

https://www.kokusen.go.jp/t_box/t_box-faq/g-1.html

[4] 厚生労働省 e-ヘルスネット「う蝕」

https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/keywords/caries.html

免責事項

※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、医療アドバイスではありません。

※治療の適否や方法については必ず歯科医師にご相談ください。

※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。

※歯科医師の判断により治療をお受けいただけない場合があります。