すきっ歯は歯列矯正で治る?原因別に見る治療方法と費用・期間

「すきっ歯は歯列矯正で治せるの?」「前歯だけなら安く済むのだろうか」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
すきっ歯は歯と歯の間に隙間がある状態で、前歯の真ん中に隙間がある正中離開と、歯列全体に隙間がある空隙歯列に分けられます。
隙間を閉じる動きは歯を寄せるだけで済むため矯正が得意とする症例にあたる一方、原因によっては矯正以外の処置が必要になる場合もあります。
この記事では、すきっ歯の種類と原因から、原因別の治療方法、費用と期間の目安、後戻りを防ぐ方法まで詳しくお伝えしますので、治療を検討している方はぜひ参考にしてください。
すきっ歯とはどんな状態か
前歯の隙間を長く気にしてきた方にとって、それが治療の対象になるのかどうかは切実な問いでしょう。
笑うときに口元を手で隠してしまう、写真で歯を見せられないという方も少なくありません。
すきっ歯は歯並びの乱れの一つとして分類されており、隙間の位置や広がり方によって呼び名も変わってきます。
自分の状態がどれにあたるのかを知っておけば、この先の説明も理解しやすくなります。
まずは、すきっ歯という状態そのものから整理していきましょう。
歯と歯の間に隙間がある状態
すきっ歯とは、本来なら接しているはずの歯と歯の間に隙間が空いている状態を指します。
歯並びやかみ合わせに問題がある状態は不正咬合として分類されており、すきっ歯もそのなかの一つに位置づけられています[1]。
歯が重なり合う叢生とは反対に、歯を並べる幅に対して歯が小さい、あるいは歯の本数が足りないといった条件から生まれる状態です。
隙間がどこにあるか、どの程度の広がりを持つかによって、医学的な呼び名も治療の範囲も変わってきます。
見た目の印象だけで軽い症状だと判断してしまう方もいますが、背景にある原因は一つとは限りません。
自分の隙間がどのタイプにあたるのかを知ることが、治療を考える出発点になります。
前歯の真ん中に隙間がある正中離開
上の前歯2本の間に隙間がある状態は、正中離開と呼ばれます。
顔の中心にあたる位置に隙間ができるため、少しの幅でも見た目に表れやすいという特徴を持っています。
隙間の幅は2mm程度から始まることが多く、正面から見たときの印象を大きく左右します。
この位置に隙間が生まれる背景には、前歯の間に何らかの組織や歯が入り込んで押し広げている場合と、歯そのものの大きさが足りない場合の両方が考えられます。
前者であれば原因を取り除く処置が先に必要になり、後者であれば隙間を閉じたあとに形を整える処置が加わることもあります。
同じ正中離開でも必要な工程が変わりますから、原因を確かめるところから始めてみてください。
歯列全体に隙間がある空隙歯列
前歯だけでなく、歯列のあちこちに隙間が散らばっている状態は空隙歯列と呼ばれます。
あごの大きさに対して歯が小さい場合や、歯の本数そのものが足りない場合に生じやすくなります。
前歯の1か所だけを閉じても、他の隙間が残ってしまうという点が正中離開との違いです。
隙間が複数に分かれていると、閉じるべき距離の合計が大きくなり、動かす範囲も奥歯まで広がっていきます。
食べ物が挟まりやすい、発音がしにくいといった悩みが複数の箇所で生じることもあります。
隙間の合計が何mmあるのかを検査で確かめておけば、必要な治療の規模も見えてきます。
見た目以外に生じる影響
すきっ歯は見た目の悩みとして語られることが多いものの、実際には日常のなかで別の不便を生むこともあります。
隙間に食べ物が挟まりやすくなり、そのまま残ればむし歯や歯周病のリスクを高める要因になるためです。
隙間から息が漏れることでサ行やタ行の発音がしにくくなり、話しづらさを感じる方もいます。
前歯で噛み切る動作がうまくいかず、奥歯に負担が偏っていくという流れも考えられます。
歯周病が背景にある場合は、放置することで隙間がさらに広がっていく可能性もあります。
見た目をきっかけに治療を考える方が多いものの、口の中の健康を守る面でも意味がある治療だと考えてみてください。
すきっ歯になる原因
なぜ自分にすきっ歯が生じたのかを知りたいと感じている方は多いはずです。
原因が分かれば治療の方針を理解しやすくなるだけでなく、必要な処置がなぜ提案されているのかも見えてきます。
すきっ歯の背景には、生まれ持った条件が関わっている場合が少なくありません。
原因によって必要な工程が変わるため、まずは何が隙間を作っているのかを確かめることが出発点になります。
ここでは、生まれつきの要素による5つの原因を整理します。
上唇小帯が前歯の間に入り込んでいる
上唇と歯ぐきをつなぐ筋のことを上唇小帯と呼び、これが前歯の間に入り込むことで隙間が生じる場合があります。
乳幼児期にはこの筋が太く目立ちますが、あごの成長にともなって位置が上へ移動し、細くなっていくのが通常の経過とされています。
ところが永久歯に生え変わったあとも前歯の間に入り込んだままの状態が残ると、筋が前歯同士を押し離す形になり、隙間が閉じにくくなります。
この状態は上唇小帯の付着異常と呼ばれ、正中離開の代表的な原因の一つに挙げられています。
上唇をめくったときに、歯と歯の間まで筋が伸びているかどうかが一つの手がかりになります。
ただし判断は歯科医師が行うものですから、心当たりがある場合は診察時に伝えてみるとよいでしょう。
過剰歯が隙間を作っている
生まれつき歯の数が通常より多い状態を過剰歯と呼び、これが隙間の原因になることがあります。
余分な歯が歯ぐきのなかに埋まっていると、周囲の歯がそれを避ける形で離れてしまうためです。
過剰歯は上のあごの中心付近に生じやすいことが知られており、正中離開と結びつきやすい原因にあたります。
歯ぐきのなかに埋まっている場合は外から見ても分からず、レントゲン撮影ではじめて存在が明らかになります。
隙間を閉じようとしても過剰歯が邪魔をするため、先にその歯を取り除く処置が必要になることもあります。
原因が体の内側にある場合は自分では気づけませんから、検査を受けて確かめてみてください。
生まれつき歯の数が足りない
過剰歯とは反対に、生まれつき永久歯の数が足りない状態を先天欠如歯と呼びます。
本来あるはずの歯がないぶん、歯列に余分な空間が生まれ、周囲の歯が動くことで隙間が現れるためです。
前歯の隣にある側切歯と呼ばれる歯の周辺で起こりやすいとされており、その位置に欠如があると前歯の間に隙間が生じやすくなります。
歯が足りない状態では、隙間を単純に閉じるだけでは上下のかみ合わせが合わなくなる可能性があります。
隙間を閉じるのか、それとも空間を残して人工の歯を入れるのかという方針の判断が必要になります。
治療の選択肢が複数に分かれる原因ですから、それぞれの利点を聞いたうえで決めてみましょう。
歯が小さい
生まれつき歯そのものが小さいことで、隙間が生じている場合もあります。
平均的な大きさより明らかに小さい歯は矮小歯と呼ばれ、細長い形をしているものやサイズだけが小さいものなど、形はさまざまです。
歯を並べる幅に対して歯の量が足りないため、すべての歯を寄せても隙間が残ってしまうという構造になります。
このタイプでは矯正だけで完結しないことがあり、歯の位置を整えたあとに被せ物や詰め物で形を大きくする処置が組み合わされます。
矯正治療で歯の位置とかみ合わせを決めてから、その後に形を整えるという順序で進むのが一般的です。
工程が2段階になるぶん費用も期間も加わりますから、全体像を先に確かめておくと安心につながります。
あごの大きさと歯のバランス
歯の大きさが標準的でも、あごが大きめであれば隙間が生まれます。
歯を並べる土台の幅に対して、歯の総量が相対的に足りなくなるためです。
叢生と呼ばれる歯が重なった状態とは、ちょうど逆の関係にあたります。
このタイプでは歯を寄せる動きだけで隙間を閉じられるため、矯正が得意とする範囲に収まりやすくなります。
ただし閉じたあとに前歯が内側へ入りすぎないよう、動かす量の調整が必要になります。
比較的シンプルな計画で進められる可能性が高いですから、まずは検査で確かめてみてください。
後天的な原因で広がることもある
すきっ歯は生まれつきの条件だけで決まるものではありません。
生活のなかで生じた変化によって、あとから隙間が現れたり広がったりすることもあります。
以前は気にならなかったのに最近目立ってきたという場合は、こうした要因が背景にある可能性があります。
原因が続いている限り、治療しても再び開く可能性が残ります。
ここでは、後天的な4つの原因を整理します。
舌で前歯を押す癖
普段の舌の動きは、歯の位置に思いのほか大きな影響を与えます。
歯は内側から舌に、外側から唇や頬に押される力を受けており、その均衡の上に並んでいるためです。
飲み込むときに舌先で前歯を押す癖があると、内側から押す力が加わり続け、前歯が少しずつ前方へ広がっていきます。
舌が大きめの方や、安静時に舌が下がっている方でも同じように力がかかり、下の歯列に隙間が生じることがあります。
こうした癖は無意識に繰り返されるため、自分では気づきにくいという特徴があります。
矯正で隙間を閉じても癖が残れば再び開きますから、原因として指摘された場合は改善に取り組んでみてください。
歯周病による歯の移動
歯周病が進行すると、歯が動きやすくなって隙間が広がることがあります。
歯を支えている骨が減ることで、歯が本来の位置を保てなくなるためです[2]。
支えが弱まった歯は噛む力に押され、前方へ倒れるように動いていきます。
前歯が扇状に開いていく変化は、歯周病が背景にある場合に見られやすいとされています。
歯ぐきからの出血や腫れが続いている状態で矯正を始めても、土台が不安定なまま歯を動かすことになります。
隙間が気になり始めた時期に歯ぐきの状態も気になっているのであれば、まずそちらを診てもらうところから始めましょう。
奥歯を失ったことによる影響
奥歯を失ったまま放置すると、歯列全体の均衡が崩れていきます。
歯は隣り合う歯と支え合って位置を保っているため、1本失うと周囲の歯が倒れ込んだり移動したりするためです。
その結果、離れた場所にある前歯の位置まで変わってくることがあります。
噛む力のかかり方も変わり、残った歯への負担が偏ることで前歯が押し出される場合もあります。
失った部分を補う治療を受けていない場合、この変化は時間とともに進んでいきます。
前歯の隙間だけでなく、奥歯の状態もあわせて診てもらうと原因が見えてくるかもしれません。
大人になってから目立ってきた場合
子どもの頃は気にならなかった隙間が、大人になってから目立ってきたという方もいます。
歯周病の進行、噛みしめる癖、奥歯の欠損といった後天的な要因が積み重なった結果と考えられるためです。
加齢にともなって歯並びが少しずつ変化していくことも知られています。
以前に矯正を受けた方であれば、後戻りによって隙間が再び開いている可能性も考えられます。
いつ頃から気になり始めたのかは、原因を絞り込むうえで有力な手がかりになります。
診察の際にその経緯を伝えれば、原因の特定も治療方針の決定もスムーズに進みます。
原因別に見る治療方法
すきっ歯の治療で押さえておきたいのは、矯正だけで完結するとは限らないという点です。
隙間を作っている原因が体の内側にある場合、それを取り除かなければ歯を寄せても再び開いてしまうためです。
原因によって必要な処置が加わり、そのぶん費用も期間も変わってきます。
自分の原因がどれにあたるかによって、治療の全体像がまったく違うものになります。
ここでは、原因ごとに必要な工程を整理します。
矯正治療だけで対応できる場合
あごの大きさと歯のバランスによる隙間や、舌の癖によって広がった隙間であれば、矯正装置だけで対応できます。
歯を寄せる動きだけで隙間を閉じられ、取り除くべき障害が存在しないためです。
矯正治療は検査と診断を経て方針が決まり、その結果に沿って装置が選ばれていきます[3]。
隙間の幅が2mm程度で前歯に限られているのであれば、前歯を中心とした部分矯正で対応できる可能性もあります。
歯列全体に隙間が散らばっている場合は、奥歯まで含めた全体矯正での対応となります。
追加の処置が不要なぶん見通しも立てやすいですから、自分がこの範囲に収まるかを検査で確かめてみてください。
上唇小帯の処置を組み合わせる場合
上唇小帯が前歯の間に入り込んでいる場合は、その処置を組み合わせた治療になります。
筋が前歯同士を押し離す力として働いている限り、矯正で寄せても再び開く可能性があるためです。
上唇小帯を切除する処置によって、その力を取り除くという考え方になります。
処置を受けたあとに矯正で歯を寄せるという順序で進み、子どもの場合は生え変わりの経過を見ながら判断されることもあります。
処置そのものは短時間で終わりますが、矯正とは別に費用が発生します。
原因を取り除いてから歯を動かす流れになりますから、全体でどのくらいかかるのかを最初に聞いておきましょう。
過剰歯の抜歯を先に行う場合
歯ぐきのなかに過剰歯が埋まっている場合は、その歯を取り除く処置が先に必要になります。
余分な歯が周囲の歯を押し離しているため、残したまま矯正を進めても隙間を閉じきれないためです。
埋まっている位置や深さによって、処置の難易度も変わってきます。
抜歯のあとは傷が治るのを待ってから矯正に入るため、治療開始までに時間がかかることもあります。
過剰歯は外から見えないことが多く、レントゲン撮影ではじめて存在が分かるという特徴があります。
自分では気づけない原因ですから、検査の結果をしっかり聞いておくことが大切になります。
矯正後に被せ物で形を整える場合
生まれつき歯が小さいことが原因の場合、矯正だけでは隙間を完全には閉じられません。
歯を並べる幅に対して歯の量そのものが足りないため、すべてを寄せても余りが出てしまうためです。
矯正で歯の位置とかみ合わせを整えたあと、被せ物や詰め物で歯の形を大きくするという流れになります。
先に矯正で位置を決めてから形を整えることで、上下のかみ合わせを保ったまま見た目を仕上げられます。
矯正費用に加えて被せ物の費用がかかり、工程が2段階に分かれるぶん期間も延びます。
見た目の仕上がりを重視するのであれば有効な方法ですから、費用の全体像とあわせて相談してみてください。
装置の選択肢と費用・期間
治療の方向性が見えてくると、次に気になるのは費用と期間でしょう。
すきっ歯は矯正が得意とする症例にあたるため、他の歯並びと比べて負担を抑えられる可能性があります。
ただし隙間の広がり方と原因によって、必要な範囲も装置も変わってきます。
自分がどの範囲に収まるかで、見通しは大きく違ってきます。
ここでは、範囲と装置ごとに4つの視点を整理します。
部分矯正で対応できるケース
隙間が前歯に限られており、奥歯のかみ合わせに問題がなければ、部分矯正で対応できる可能性があります。
動かす歯の本数が少なく、移動させる距離も短いため、治療の規模が小さく収まるためです。
上の前歯2本の間に2mm程度の隙間がある正中離開は、この範囲に入りやすい症例にあたります。
費用は10万〜60万円程度、歯を動かす期間は3か月〜1年程度が目安となり、負担を大きく抑えられます。
ただし部分矯正が対象とするのは前歯の並びまでで、かみ合わせ全体の改善は範囲に含まれません。
短期間で見た目を整えられる可能性がありますから、自分が対象に収まるかを検査で確かめてみましょう。
全体矯正が必要になるケース
隙間が歯列全体に散らばっている場合や、奥歯のかみ合わせにずれがある場合は、全体矯正での対応となります。
前歯だけを寄せても他の隙間が残り、かみ合わせも整わないためです。
歯を支える土台の状態から整える必要があります。
費用は60万〜170万円程度、期間は1〜3年程度が目安となり、選ぶ装置によってさらに幅が出ます。
歯の本数が足りない先天欠如歯がある場合も、かみ合わせを考慮して全体を動かす計画になることがあります。
負担は大きくなりますが、見た目と機能の両方を整えられる治療だと受け止めてみてください。
装置別の費用相場
すきっ歯の治療では、ワイヤー矯正とマウスピース矯正のどちらも選択肢に入ります。
隙間を閉じる動きは歯を寄せるだけで済み、装置の特性による制約を受けにくいためです。
歯列全体を動かす場合、歯の表側に装置を付ける方法で60万〜100万円程度、裏側に付ける方法で100万〜170万円程度が目安になります。
マウスピース矯正は60万〜100万円程度で、装置が目立ちにくく通院の回数も少なく済むという利点があります。
これらに精密検査と診断料が3万〜6万円程度、治療後のリテーナー代が1万〜6万円程度加わります。
装置代だけでなく総額で比べれば、判断を誤らずに済みます。
治療期間の目安
すきっ歯は、矯正のなかでも期間が短く収まりやすい症例にあたります。
隙間がすでに存在しているため、抜歯や歯を削る処置でスペースを作る工程が不要になるためです。
準備の工程が省けるぶん、そのまま期間の短さにつながります。
前歯の隙間を閉じる部分矯正であれば3か月〜1年程度、歯列全体を動かす全体矯正では1〜3年程度が目安になります。
上唇小帯の処置や過剰歯の抜歯が加わる場合は、その分の期間が前段に上乗せされます。
装置を外したあとにも保定期間が続きますから、全体の見通しは長めに考えておくと安心です。
自力で治そうとするリスク
すきっ歯を調べていると、自分で治す方法を紹介する情報を目にすることがあります。
費用も通院の手間もかからないと聞けば、試してみたくなる気持ちも自然なことでしょう。
しかし歯を動かすという行為は、本来なら検査と計画に基づいて慎重に進められるものです。
自己流の力のかけ方は、歯並びを整えるどころか取り返しのつかない結果を招く可能性があります。
ここでは、自力での対処が勧められない理由を3つの視点から整理します。
舌や指で押しても閉じない
舌や指で歯を押し続ければ隙間が閉じるのではないか、と考える方がいます。
歯が力によって動くという性質そのものは事実であり、その発想には一定の理屈があるように思えるためです。
ところが矯正治療で歯を動かすには、弱い力を一定の方向へ長時間かけ続けるという条件が必要になります。
思いついたときに押すという断続的な力では、歯が動く条件を満たさないまま負担だけがかかることになります。
そもそも隙間を作っている原因が体の内側にある場合、力をかけても閉じようがありません。
効果が期待できないうえに負担だけが残りますから、別の方法を検討したほうが確実です。
歯や歯ぐきを傷めるおそれ
自己流で力をかけ続けることは、歯そのものを傷める危険をともないます。
歯には適切な力の大きさと方向があり、それを超えた力は歯や周囲の組織に無理を強いるためです。
強い力が繰り返しかかれば、歯の根が短くなる、歯ぐきが下がるといった変化につながる可能性があります。
歯が予期しない方向へ傾き、かみ合わせが崩れてしまうことも考えられます。
一度生じた変化は自然には戻らず、あとから矯正で対応しようとしても難易度が上がります。
隙間を閉じたいという思いが、かえって治療を難しくしてしまう結果は避けたいところです。
市販の器具を使う危険性
歯を動かすための器具が個人向けに販売されている場合もありますが、使用は勧められません。
歯科医師による検査と診断を経ずに歯へ力をかけることになり、何が起こるかを予測できないためです。
自分の隙間の原因が何かも分からないまま、力だけをかける状態になります。
歯の根や歯ぐきに与える影響が確認されないまま進めば、深刻な状態を招く可能性も否定できません。
問題が生じたあとに医療機関を訪れても、元の状態へ戻すことは難しくなります。
費用を抑えたいのであれば、部分矯正で対応できるかを相談するほうが現実的な道になります。
治療後に隙間が再び開かないために
隙間を閉じたあと、また開いてしまうのではないかと心配される方もいます。
実際にすきっ歯は、治療後の変化が見た目に表れやすい歯並びにあたります。
わずかに開いただけでも正面から気づかれるため、保定への取り組みが結果を左右します。
原因が残っている場合は、その対処も並行して進める必要があります。
ここでは、後戻りを防ぐための3つの視点をお伝えします。
すきっ歯は後戻りが目立ちやすい
治療で閉じた隙間は、わずかな変化でも見た目に表れます。
歯と歯が接している状態から離れれば、その差がそのまま隙間として認識されるためです。
でこぼこが少し戻る場合と比べても、変化に気づきやすい歯並びだといえます。
歯を動かしたばかりの時期は周囲の骨や歯ぐきがなじんでおらず、元の位置へ戻ろうとする力が働き続けます。
装置を外してからの3〜6か月がとくに変化しやすい時期にあたります。
見た目に直結する部位だからこそ、この期間の管理が仕上がりを守ってくれます。
リテーナーの装着を続ける
後戻りを防ぐ最も確実な方法は、リテーナーを指示どおりに装着することです。
戻ろうとする力を抑える役割を、この装置が担っているためです。
装着する時間が足りなければ、抑えきれなかった分だけ歯が動きます。
装置を外した直後の3〜6か月は1日20時間程度、その後は歯並びの安定を確認しながら就寝時のみへと段階的に短くしていきます。
保定期間そのものは歯を動かした期間と同程度、おおむね1〜3年が目安とされています。
面倒に感じる時期もあるかもしれませんが、寝る前に入れるという一手間がこれまでかけた時間を守ってくれます。
原因となった癖を見直す
舌で前歯を押す癖が原因だった場合は、その改善を並行して進めます。
装置の力と癖の力がぶつかっていては、整えても再び開いてしまうためです。
原因そのものを取り除く必要があります。
安静時に舌の先が上あごに触れているかを意識してみる、飲み込むときに前歯を押していないか確かめてみるという方法から始められます。
改善のためのトレーニングを案内している医療機関もあります。
歯を動かす治療と生活の見直しはセットだと考えて、両方に取り組んでみてください。
すきっ歯の矯正治療に関するよくある質問
Q:すきっ歯は歯列矯正で治りますか?
A:隙間を閉じる動きは歯を寄せるだけで済むため、矯正が得意とする症例にあたります。
ただし上唇小帯が入り込んでいる場合や過剰歯が埋まっている場合は、原因を取り除く処置を先に行う必要があります。
生まれつき歯が小さいことが原因であれば、矯正のあとに被せ物で形を整える工程が加わることもあります。
Q:前歯だけの矯正で治せますか?
A:隙間が前歯に限られ、奥歯のかみ合わせに問題がなければ部分矯正で対応できる可能性があります。
費用は10万〜60万円程度、歯を動かす期間は3か月〜1年程度が目安となり、負担を抑えられます。
隙間が歯列全体に散らばっている場合は全体矯正となりますので、まずは検査で範囲を確かめてみてください。
Q:自力で治す方法はありますか?
A:舌や指で押す方法では隙間は閉じず、歯や歯ぐきを傷めるおそれがあります。
矯正で歯を動かすには弱い力を一定方向へ長時間かけ続ける条件が必要で、思いついたときに押す力ではその条件を満たしません。
費用を抑えたいのであれば、部分矯正で対応できるかを相談するほうが現実的です。
Q:治療後にまた隙間が開くことはありますか?
A:閉じた隙間はわずかに開くだけで見た目に表れるため、後戻りが目立ちやすい歯並びにあたります。
装置を外してからの3〜6か月がとくに変化しやすい時期ですので、リテーナーの装着を指示どおり続けてください。
舌で前歯を押す癖が原因だった場合は、その改善を並行して進めることで再発を防ぎやすくなります。
まとめ
すきっ歯は歯と歯の間に隙間がある状態で、前歯の真ん中に隙間がある正中離開と、歯列全体に隙間がある空隙歯列に分けられます。
原因には上唇小帯の付着異常、過剰歯、先天欠如歯、歯が小さいこと、あごと歯の大きさのバランスといった生まれつきの要素があります。
舌で前歯を押す癖や歯周病、奥歯の欠損によって、大人になってから隙間が広がることもあります。
矯正だけで対応できる場合もあれば、上唇小帯の処置や過剰歯の抜歯を先に行う必要がある場合もあります。
隙間がすでに存在するためスペースを作る工程が不要で、部分矯正なら3か月〜1年程度、費用も10万〜60万円程度に収まる可能性があります。
自力で歯を押しても隙間は閉じず、歯や歯ぐきを傷めるおそれがありますので避けてください。
自分の隙間が何によって生じているかは検査を受けてはじめて分かりますので、まずはカウンセリングで診断を受けてみましょう。
参考文献
[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「不正咬合」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/teeth/yh-019.html
[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯周病とは」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth/h-03-001.html
[3] 厚生労働省 e-ヘルスネット「不正咬合の治療法の概要」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-06-002.html
免責事項
※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、医療アドバイスではありません。
※治療の適否や方法については必ず歯科医師にご相談ください。
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。
※歯科医師の判断により治療をお受けいただけない場合があります。