子供の歯列矯正はいつから?1期治療の必要性と費用の目安

子供の歯並びが気になるけれど、いつから矯正を始めればいいのか分からず迷っていませんか?

子どもの矯正は顎の成長を利用して土台を整える1期治療と、永久歯を並べる2期治療に分かれ、1期治療は6歳から10歳頃の乳歯と永久歯が混在する時期が対象とされています。

1期治療で土台を整えておくことで、2期治療で歯を抜かずに済む可能性を高めたり、2期治療自体を不要にできたりすることを目標とする考え方が主流になっています。

この記事では始める時期の目安、1期治療と2期治療の違い、費用と期間、判断のポイントまで整理しますので、お子さんの矯正を検討している保護者の方はぜひ参考にしてください。

子供の歯列矯正はいつから始める?

お子さんの前歯が重なって生えてきたのを見て、このままで大丈夫だろうかと不安になった保護者の方は少なくありません。

学校の歯科検診で指摘されたものの、何をどう調べればいいのか分からないまま時間が過ぎているという方もいるのではないでしょうか。

子どもの矯正には、大人の矯正にはない「始める時期」という論点が存在します。

顎の成長を利用できる期間が限られており、その時期を過ぎると選べる方法が変わってくるためです。

とはいえ早ければ早いほどよいというものでもなく、症状によって適した開始時期は変わってきます。

年齢の目安を知ったうえで、まずは相談してみるところから始めるのが現実的な進め方になります。

ここでは時期に関する4つの視点を、順に整理していきます。

相談は歯の生え変わりが始まる頃から

治療を始めるかどうかは別として、相談自体は早い段階から可能です。

お子さんの歯並びが正常な発育の軌道に乗っているかどうかは、専門的に診てもらわなければ判断できないためです。

乳歯が抜けて永久歯に生え変わり始める6歳前後が、一つの目安として挙げられます。

この段階で診てもらえば、治療が必要かどうか、必要であればいつ始めるのが適切かを見通せます。

相談した結果、今は経過観察でよいと判断されることも少なくありません。

治療を勧められるのではないかと身構えず、状況を知るための機会として活用してみてください。

1期治療の対象は6歳から10歳頃

顎の成長を利用する治療には、対象となる時期があります。

1期治療は乳歯と永久歯が混在する混合歯列期に行われ、顎の成長を利用しながら歯並びや噛み合わせの土台を整えることを目的とするためです。

一般的には6歳から10歳頃が対象とされ、3歳から12歳頃という幅で示されることもあります。

医療機関によっては、年長から小学2年生ごろに開始することが多いという案内も見られます。

早い場合は幼稚園の年少にあたる3歳から4歳で始めるケースもあり、症状によって幅があります。

お子さんの年齢が該当しそうであれば、一度相談してみる価値があります。

2期治療は永久歯が生え揃ってから

歯を一本ずつ並べる治療は、生え変わりが終わってから始まります。

すべての永久歯が生え揃った段階でなければ、最終的な歯並びを整えることができないためです。

2期治療は11歳以降、あるいは12歳から13歳以降から成人までが対象とされています。

内容は大人の矯正とほぼ同じで、歯を一本ずつ動かして歯列全体のバランスを整えていきます。

永久歯が生え揃う時期には個人差があるため、年齢だけで判断されるわけではありません。

生え変わりの経過を見ながら、適切な時期に移行していく流れになります。

症状によって適した時期が変わる

いつ始めるべきかは、お子さんの症状によって変わってきます。

顎の成長に関わる問題であれば早い時期の介入が有効な一方、歯の並びだけの問題であれば生え変わりを待てる場合があるためです。

下の歯が前に出ている状態や、顎の左右のずれは、成長への影響を考えて早めに相談したい症状にあたります。

口呼吸や指しゃぶりといった癖が関わっている場合も、早い段階での対応が検討されます。

一方で軽度の歯の重なりであれば、永久歯が生え揃ってから対応するという判断もあり得ます。

年齢だけで決めず、まず診てもらったうえで判断していきましょう。

1期治療と2期治療の違い

子どもの矯正について調べると、必ず出てくるのがこの2つの区分です。

言葉は目にしていても、それぞれ何をするのかまでは分かりにくいと感じている方も多いのではないでしょうか。

2つに分かれている最大の理由は、成長のゴールを段階的に管理するためだとされています。

顎の成長を整える段階と、歯を精密に並べる段階では、目的も使う装置もまったく異なるためです。

違いを理解しておけば、提案された治療の意味も判断しやすくなります。

ここでは2つの段階について、4つの視点から整理していきます。

1期治療は顎の成長を利用した土台作り

最初の段階は、歯を並べる前の準備にあたります。

子どもの歯並びが乱れる原因の多くは、歯の大きさと顎のサイズのバランスが取れていないことにあるためです。

1期治療では顎の成長を利用してスペースを確保し、将来の歯列や噛み合わせを正常な軌道へ導くことを目的とします。

2期治療のような本格的な歯の移動は行わず、あくまで土台を整えるという位置づけです。

歯を一本ずつきれいに並べる治療ではないため、この段階で見た目が完全に整うわけではありません。

将来の矯正の必要性を減らしたり、期間を短縮したりする効果が期待される段階といえます。

2期治療は歯を並べる仕上げ

永久歯が生え揃ってからの段階は、大人の矯正と同じ内容になります。

歯を一本ずつ動かして、歯列全体のバランスと噛み合わせを完成させることを目的とするためです。

1期治療で顎の成長をコントロールしたうえで、理想的な歯並びへ仕上げていくという流れになります。

治療期間は歯並びの状態や使用する装置によって異なり、1年から3年程度が目安とされています。

大人の矯正と同様の内容のため、装置の選択肢も同じように用意されています。

1期治療を経ているかどうかで、この段階の負担が変わってくるという関係にあります。

1期治療で使われる装置

土台を整える段階では、成長に働きかける装置が用いられます。

歯を動かすというより、顎の幅を広げたり成長の方向を導いたりすることが目的だからです。

顎の幅を広げる拡大装置や、取り外しのできる床装置が代表的なものにあたります。

小児向けのマウスピース型装置には、顎の拡大と歯の移動を同時に行えるという特徴を持つものもあります。

取り外せる装置は衛生面で扱いやすい一方、装着時間の管理がお子さん本人に委ねられます。

どの装置が適しているかは症状によって変わるため、説明を受けたうえで選んでいきましょう。

2期治療で使われる装置

仕上げの段階では、大人と同じ装置が選択肢になります。

歯を一本ずつ精密に動かす必要があり、そのための装置が用いられるためです。

歯の表面にブラケットを装着してワイヤーでつなぐ方法は、耐久性が高く費用も抑えられる傾向があります。

装置が目立つという点が気になる場合は、裏側に装着する方法やマウスピース型を選べる場合もあります。

装置によって見た目、費用、治療期間に差が出てくるという点は知っておきたいところです。

思春期にあたる時期のため、見た目への希望も含めて本人と相談しておくと納得して進められます。

1期治療をする意味と、しない場合の違い

保護者にとって最も判断に迷うのが、1期治療をするかどうかという選択ではないでしょうか。

永久歯が生え揃ってからでも治療はできると聞けば、今すぐ始める必要があるのか分からなくなってしまいます。

1期治療の目的は、その時期にしかできない顎の成長への働きかけにあります。

成長が終わってからでは、骨の大きさそのものを変えることが難しくなるためです。

近年は1期治療で土台を作ることによって、2期治療で歯を抜かずに済む可能性を高めたり、2期治療自体を不要にしたりすることを目標とする考え方が主流とされています。

一方で1期治療を行っても2期治療が必要になるケースがあり、そこは正確に理解しておきたい部分です。

ここでは1期治療の意味を4つの視点から整理していきます。

抜歯を避けられる可能性が高まる

1期治療の最も大きな意義は、この点にあります。

歯並びが乱れる原因の多くは歯の大きさと顎のサイズのアンバランスにあり、顎に十分なスペースがあれば歯は並びやすくなるためです。

成長期に顎の幅を広げておけば、永久歯が並ぶためのスペースを確保できる可能性が高まります。

スペースが不足したまま永久歯が生え揃うと、並べるために歯を抜くという選択が検討されることになります。

抜いた歯は元に戻せないため、避けられる可能性を高めておく意味は小さくありません。

ただし必ず抜歯を回避できると保証されるものではなく、成長の程度によって結果は変わってきます。

2期治療が不要になる場合もある

土台が整えば、仕上げの治療が必要なくなることもあります。

1期治療によって顎のバランスが改善し、永久歯が自然に良い位置へ並んでいくケースがあるためです。

永久歯が生え揃った段階で歯並びと噛み合わせに問題がなければ、2期治療へ進まずに終了することも考えられます。

その場合は治療全体の負担も費用も、当初の想定より小さくて済みます。

もっとも、これはあくまで可能性であり、確約されているわけではありません。

1期治療の段階で2期治療の必要性を断言することはできないという前提を持っておいてください。

2期治療の期間を短縮できることがある

2期治療が必要になった場合でも、負担が変わってくる可能性があります。

土台が整った状態から始められれば、動かす距離も調整の手間も小さくて済むためです。

歯と顎の骨の状態、永久歯の生え変わりの経過を観察しながら適切な時期に治療を始めることで、2期治療の期間を短縮できる場合があるとされています。

一方で2期治療から始める場合は、歯並びや顎の症状によって期間が長くなり、負担が大きくなることがあるという指摘も見られます。

2期治療の期間が短くなれば、思春期の見た目への負担も軽くなります。

長い目で見たときの総負担という視点で考えると、判断しやすくなるかもしれません。

1期治療を行っても2期治療が必要な場合がある

期待だけを持たないためにも、この点は知っておきたいところです。

1期治療はあくまで土台を整える段階であり、歯を一本ずつ並べる工程は含まれていないためです。

成長の程度や症状によっては、1期治療を経ても2期治療が必要になるケースは珍しくありません。

その場合は費用がそれぞれに発生し、家庭の負担も大きくなります。

ただし1期治療を経てから2期治療へ移行する場合、料金が調整されて総額が抑えられるケースもあるとされています。

2期治療へ移行する際の費用の扱いは、1期治療を始める段階で確認しておきたい項目です。

子供の矯正が検討されやすい歯並び

自分の子どもの歯並びが、治療が必要な状態なのか判断できないという方も多いのではないでしょうか。

見た目が気になるだけなのか、機能に影響が出ているのかは、専門的に診てもらわなければ分かりません。

とはいえ、相談を検討したほうがよい状態にはいくつかの傾向があります。

矯正が検討されやすい歯並びを知っておけば、様子を見るか相談するかの判断もつけやすくなります。

以下に当てはまるからといって、必ず治療が必要というわけではありません。

気になる点があれば、まず診てもらったうえで判断していきましょう。

ここでは検討されやすい5つの状態を、順に見ていきます。

歯が重なって生えている

前歯が重なっている状態は、最も相談の多いケースです。

歯が並ぶスペースに対して歯が大きい、あるいは顎が小さいというアンバランスが背景にあるためです。

八重歯もこの状態に含まれ、生えるスペースがなくて外側へはみ出した形になります。

重なった部分は歯みがきが行き届きにくく、むし歯や歯を支える組織のトラブルにつながる可能性があります[1]。

見た目の問題としてだけでなく、清掃のしやすさという観点からも検討される状態です。

成長期であれば、顎の幅を広げることでスペースを確保できる可能性があります。

前歯が前に出ている

上の前歯が前方に出ている状態も、よく見られる相談内容です。

歯の傾きが原因の場合と、上下の顎の位置関係に原因がある場合の2種類に分かれるためです。

口を閉じにくい、転んだときに前歯をぶつけやすいといった実際的な影響も生じます。

指しゃぶりや口呼吸といった癖が関わっている場合もあり、その改善が治療の一部になることもあります。

顎の骨格に原因がある場合は、成長期の介入が有効になる可能性があります。

原因によって適した時期と方法が変わるため、早めに診てもらうと選択肢が広がります。

下の歯が前に出ている

下の前歯が上より前に出ている状態は、早めの相談が勧められることが多い症状です。

下顎の成長が続くことで、放置すると差が大きくなっていく可能性があるためです。

前歯で食べ物を噛み切りにくい、発音に影響が出るといった機能面の問題も生じます。

成長が終わってから治療する場合、外科的な処置を伴う方法が検討されることもあります。

成長期であれば、顎の成長を導くことで改善を目指せる場合があります。

気づいた段階で一度相談してみることをおすすめします。

前歯が噛み合わない

奥歯を噛み合わせても前歯が開いたままになる状態もあります。

指しゃぶりや舌を前に出す癖が長く続くと、前歯が押されて噛み合わなくなることがあるためです。

前歯で食べ物を噛み切れず、奥歯に負担が集中するという影響が生じます。

発音がしにくくなる、口が閉じにくくなるといった変化を伴うこともあります。

癖が原因の場合は、その改善から取り組むという方法がとられます。

年齢が上がるほど癖の改善が難しくなるため、早い段階での対応が有効になります。

口呼吸や指しゃぶりなどの癖がある

歯並びそのものではなく、癖が相談のきっかけになることもあります。

日常的にかかる力が歯や顎の成長に影響し、歯並びの乱れにつながる場合があるためです。

口を開けたまま過ごす習慣があると、唇からの力が弱まってバランスが崩れることがあります。

指しゃぶりや舌で前歯を押す癖も、継続的な力として歯の位置に影響します。

こうした癖への対応は、装置を使わずに始められる場合もあります。

歯並びが乱れる前に取り組めれば、治療そのものを避けられる可能性もあります。

子供の歯列矯正にかかる費用

治療の内容が見えてくると、次に気になるのは費用ですよね。

子どもの矯正は2段階に分かれるという構造があるため、金額の見通しも複雑に感じられます。

費用を考えるうえで最も重要なのは、1期治療と2期治療がそれぞれ別の治療として費用を持つという点です。

1期治療の見積もりだけを見て判断すると、後から2期治療の金額を知って驚くことになりかねません。

以下に示す数値はいずれも一般的な目安であり、公的な統計として定められたものではありません。

医療機関によって料金体系も異なるため、参考として捉えてください。

ここでは費用に関する4つの視点を、順に整理していきます。

1期治療の費用の目安

土台を整える段階の費用は、2期治療より抑えめの水準になります。

歯を一本ずつ動かす工程が含まれず、使用する装置も比較的簡素なものが中心となるためです。

使われる装置の種類によって費用は大きく変わり、拡大装置や床装置と小児向けのマウスピース型装置では水準が異なります。

顎の拡大と歯の移動を同時に行えるタイプの装置は、機能が多いぶん費用も上がる傾向があります。

治療期間中の通院ごとに調整料が発生する医療機関もあり、その分も積み上がっていきます。

どの装置を使う計画なのかを確認したうえで、金額を比べていきましょう。

2期治療の費用の目安

仕上げの段階は、大人の矯正と同様の水準になります。

歯を一本ずつ精密に動かす治療であり、使用する装置も大人と同じものが用いられるためです。

歯の表側にブラケットを装着する方法は、他の方法と比べて費用を抑えられる傾向があります。

裏側に装着する方法やマウスピース型を選ぶ場合は、費用が上がることが一般的です。

装置によって見た目、費用、治療期間に差が出るため、優先したい条件を整理しておきたいところです。

思春期にあたる時期のため、本人の希望も含めて相談しながら選んでいきましょう。

1期から2期へ移行する場合の扱い

家庭の負担を左右するのが、この部分の取り決めです。

1期治療と2期治療は別の治療にあたるため、原則としてそれぞれに費用が発生するためです。

ただし1期治療を経てから2期治療へ移行する場合、料金が調整されて総額が抑えられるケースもあるとされています。

差額のみを支払う仕組みを設けている医療機関もあり、体系は一様ではありません。

1期治療の見積もりを受け取る段階で、2期治療へ進んだ場合の費用を必ず確認しておいてください。

2段階を通した総額を把握してから判断すれば、途中で予定が狂う事態を避けられます。

費用の内訳と確認したいこと

提示された金額の中身を確かめることも欠かせません。

矯正治療は一部の例外を除いて公的医療保険の対象外である自由診療にあたり、料金体系が医療機関ごとに異なるためです[2]。

精密検査料、診断料、通院ごとの調整料、保定装置の費用が確認の対象になります。

装置を紛失したり破損したりした場合の再製作費用も、聞いておきたい項目です。

必要な費用をすべて含めて提示する体系もあれば、通院のたびに費用が加算される体系もあります。

書面で受け取って持ち帰り、家庭で落ち着いて比較したうえで判断して構いません。

保険は使えるのか

費用の負担が大きいと分かると、保険が使えないかを確かめたくなりますよね。

医療の一部なのだから対象になるのではないか、と考えるのは自然な感覚です。

結論からお伝えすると、お子さんの矯正は原則として自由診療にあたり、健康保険は適用されません。

国が定めた限られた条件に該当する場合に限って、保険での治療が認められています。

保険が使えない場合でも、医療費控除によって負担を軽くできる可能性は残されています。

制度の全体像を知っておけば、家計の見通しも立てやすくなります。

ここでは保険と費用に関する3つの論点を整理していきます。

原則として自由診療になる

まず前提として、歯並びを整える治療は保険の対象外です。

公的医療保険が対象とするのは病気やけがの治療であり、歯並びの改善は見た目に関わるものと判断されているためです。

自由診療では医療機関が料金を独自に設定できるため、同じ内容でも金額に差が生まれます。

保険診療のように全国一律の点数が定められているわけではありません。

さらに保険診療では使用できる装置の種類も定められており、マウスピース型の装置は含まれていません[2]。

お子さんの矯正を検討する際は、自由診療が原則という前提で計画を立てておいてください。

保険が適用される限られた条件

例外として、保険で治療を受けられるケースもあります。

噛む機能や発音に著しい影響が及ぶと国が判断した症例については、医学的な治療として認められているためです。

対象となるのは、国が定めた特定の疾患に起因する咬合異常、永久歯3歯以上の萌出不全に起因する咬合異常、外科手術を必要とする顎変形症の3つです。

これらの治療は、施設基準を満たして地方厚生局に届け出た医療機関でのみ受けられます[3]。

該当する場合でも使用する装置は定められた範囲に限られ、マウスピース型は対象になりません。

お子さんが該当するかどうかは検査を受けて判断されるため、気になる場合は確認してみてください。

医療費控除で負担を軽くできる場合がある

保険が使えない場合でも、税制上の仕組みは活用できます。

医療費控除は1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に、確定申告によって所得税の一部が戻る仕組みだからです[4]。

歯列矯正については、受ける人の年齢や矯正の目的からみて必要と認められる場合の費用が対象になると示されています[5]。

そのうえで、発育段階にある子どもの成長を妨げないために行う不正咬合の歯列矯正は、対象となる例として明示されています[5]。

お子さんの矯正は、大人の矯正より控除が認められやすい位置づけにあるといえます。

通院にかかった交通費や、付き添いの保護者の交通費も対象に含められる場合があります[4]。

保護者が気になる4つの疑問

治療の内容や費用が見えてきても、最後に残るのは実際の生活に関わる不安ではないでしょうか。

痛がったらどうしよう、受験と重なったら、本人が嫌がったら、といった疑問は数字だけでは解消できません。

こうした不安は矯正を見送る理由の上位に入る一方、事前に知っておけば対処できるものがほとんどです。

医療機関側も、こうした場面への対応をあらかじめ想定して計画を立てています。

判断を保留している理由が漠然とした不安であれば、その中身を具体的にしておく価値があります。

ここでは保護者からよく寄せられる4つの疑問を、順に見ていきます。

子どもが痛がらないか

痛みへの心配は、多くの保護者が抱く不安です。

歯を動かす治療である以上、まったく痛みがないとは言えないためです。

一方で子どもは大人に比べて骨がやわらかいため、痛みは少ない傾向にあるとされています。

装置を調整した直後に数日ほど違和感がある程度で収まるケースが多いようです。

食事のときに噛みにくさを感じる時期は、やわらかいものを用意するといった工夫で乗り切れます。

痛みが強く続く場合は我慢させず、通院日を待たずに相談してみてください。

受験や習い事と両立できるか

生活の予定との兼ね合いも、判断を左右する要素です。

矯正は数年にわたる治療のため、その間に受験や部活動といったライフイベントが重なるためです。

受験期には装置を簡略化したり、経過観察のみに切り替えたりと、スケジュールを柔軟に調整できる場合があります。

事前にライフイベントを共有しておけば、無理のない計画を立ててもらえます。

管楽器の演奏や接触の多いスポーツをしている場合も、その内容を伝えておくと対応を検討してもらえます。

予定があることを理由にあきらめる前に、相談してみる価値があります。

本人が嫌がったらどうするか

お子さん本人の気持ちも、続けられるかどうかを大きく左右します。

保護者が決めた治療という受け止め方では、日々の管理を続ける動機が生まれにくいためです。

なぜ矯正をするのか、続けるとどうなるのかを、本人が理解できる言葉で伝えてみてください。

カウンセリングにお子さんも同席し、歯科医師から直接説明を受ける機会を作ると納得しやすくなります。

見た目を気にする年頃であれば、目立ちにくい装置を選べるかどうかも相談材料になります。

本人が嫌がる背景に痛みや違和感がある場合もあるため、理由を聞いてみることも大切です。

装置を管理できるか

取り外せる装置を使う場合、管理の負担が生じます。

装着時間が自己管理に委ねられ、守れなければ計画どおりに進まないためです。

学校の給食のあとに装着し直す、外したら必ずケースに入れるといった行動を、本人が続けられるかが問われます。

紛失や破損があれば再製作の費用と期間が必要になり、家庭の負担も大きくなります。

管理が難しいと判断される場合は、取り外せない固定式の装置という選択肢もあります。

お子さんの性格や生活の様子を正直に伝えたうえで、装置を選んでいきましょう。

治療中に家庭で気をつけたいこと

治療が始まってからは、家庭での過ごし方が結果に関わってきます。

装置を装着している期間は口の中の環境が変わり、これまでと同じケアでは行き届かない部分が出てくるためです。

特に大切なのが、むし歯を作らないことと、通院を続けることの2点です。

治療の途中でむし歯が見つかれば、そちらを優先して矯正を中断することになります[1]。

保護者が関われる範囲で支えておけば、計画どおりに進めやすくなります。

無理のない形で習慣にできれば、お子さんの負担も小さくて済みます。

ここでは家庭で気をつけたい4つの点を、順に見ていきます。

歯みがきの仕方を見直す

矯正中は、これまで以上に丁寧な清掃が求められます。

装置が付いていると歯ブラシが届きにくい部分が生まれ、汚れが残りやすくなるためです[1]。

装置の周囲や歯と歯茎の境目は、意識して当てなければ磨き残しになります。

小さめの歯ブラシや歯間ブラシを組み合わせると、届きにくい部分にも対応できます。

低学年のお子さんであれば、保護者が仕上げみがきを続けることが効果的です。

みがき方は通院時に指導してもらえるため、一度教わっておくと家庭でも実践しやすくなります。

食べ物への配慮

食事の内容にも、一定の注意が必要になります。

固定式の装置を使っている場合、硬いものや粘着性の高いものが装置の破損につながるためです。

キャラメルやガム、氷や硬いせんべいは、装置に負担がかかりやすい食べ物にあたります。

装置が外れれば、その期間は計画どおりの力が加わらなくなってしまいます。

糖分を多く含む間食が続けば、むし歯のリスクも高まっていきます[1]。

食べてはいけないものを厳しく制限するより、頻度を減らすという考え方で取り組むと続けやすくなります。

通院のスケジュールを管理する

定期的な通院を守ることも、家庭で支えられる部分です。

歯の動きを確認して次の段階へ進む判断は、実際に診てもらわなければできないためです。

通院が途切れれば、その期間は適切な力が加わらない状態が続きます。

学校や習い事の予定と調整する必要があるため、保護者が把握しておくと抜け漏れを防げます。

次回の予約はその場で押さえておくと、予約が取りにくい時期にも対応できます。

通院を続けることが、遅れの早期発見にもつながっていきます。

気になる変化はすぐ相談する

日々の様子を見ておくことも、保護者にできる役割です。

装置が合わない、痛みがある、外れているといった変化に、お子さん自身が気づいて伝えられるとは限らないためです。

食事の様子が変わった、装置を触ってばかりいるといった行動が手がかりになることもあります。

装置が外れたまま数週間過ごせば、その期間分の移動が失われてしまいます。

口の中を時々見せてもらう習慣を作っておくと、変化に気づきやすくなります。

気になる点があれば通院日を待たずに連絡してよい場合もあるため、確認しておくと安心です。

矯正を始める前に確認したいこと

情報がそろってきたら、最後は実際に相談へ行く段階です。

限られたカウンセリングの時間で必要なことを聞けるよう、質問を準備しておきたいところです。

確認したいのは、今治療を始める必要があるのか、何を目標とするのか、費用は総額でいくらか、そして通院を続けられるかという4点です。

いずれも遠慮すべき質問ではなく、納得して進めるために必要な情報にあたります。

矯正治療は一部の例外を除いて公的医療保険の対象外である自由診療にあたり、方針も料金も医療機関ごとに異なります[2]。

複数の医療機関で話を聞き、比べたうえで決めるという進め方も現実的な選択です。

まず確認したいのは、今始める必要があるのかという点です。

検査の結果として何が問題で、なぜこの時期に治療を始めるべきなのかを説明してもらってください。

今は経過観察でよいという判断もあり得るため、選択肢として提示されるかどうかも見ておきたいところです。

早く始めないと手遅れになるという説明だけで急がされる場合は、他の医療機関の意見も聞いてみる価値があります。

次に、1期治療で何をどこまで目指すのかを聞いておきましょう。

顎の成長を促すことが目的なのか、歯並びを整えることが目的なのかで、評価の基準も変わってくるためです。

1期治療が終わった時点でどんな状態になっているのかを、具体的に説明してもらってください。

2期治療が必要になる可能性がどの程度あるかも、この段階で確認しておきたい項目です。

費用については、2段階を通した総額を必ず確かめておいてください。

1期治療の金額だけで判断すると、後から2期治療の費用を知って計画が狂ってしまいます。

2期治療へ移行する際に料金が調整されるのか、別途全額が発生するのかも聞いておきたい部分です。

精密検査料、通院ごとの調整料、保定装置の費用が含まれるかも確認の対象になります。

最後に、通院を続けられるかという現実的な条件も見ておきましょう。

数年にわたる治療のため、通いやすさがそのまま継続できるかどうかに直結するためです。

平日の日中しか予約が取れない場合、学校を早退させる必要が出てくることもあります。

説明を受けても迷う場合は、その場で決めず持ち帰って家庭で相談して構いません。

契約内容に不安が残る場合は、独立行政法人国民生活センターや自治体の消費生活センターに相談するという方法もあります[6]。

子供の歯列矯正に関するよくある質問

Q1. 何歳から始めるべきですか?

顎の成長を利用する1期治療は、6歳から10歳頃が対象とされています。

ただし症状によって適した時期は変わり、下の歯が前に出ている場合などは早めの相談が勧められます。

歯の生え変わりが始まる頃に一度診てもらうと、見通しを立てられます。

Q2. 1期治療は必要ですか?

症状によって判断が変わるため、一律には決められません。

顎に十分なスペースを作れれば、将来の抜歯を避けられる可能性が高まるという利点があります。

今は経過観察でよいと判断されることもあるため、まず検査を受けて確認してください。

Q3. 費用はいくらかかりますか?

1期治療と2期治療は別の治療にあたり、それぞれに費用が発生します。

使用する装置の種類によっても金額は大きく変わります。

1期治療の金額だけで判断せず、2段階を通した総額を確認しておきましょう。

Q4. 保険は使えますか?

お子さんの矯正は原則として自由診療にあたり、健康保険は適用されません。

国が定めた限られた条件に該当する場合のみ、届出のある医療機関で保険での治療が受けられます[2][3]。

医療費控除の対象になる可能性はあります[5]。

Q5. 子どもが痛がりませんか?

子どもは大人に比べて骨がやわらかいため、痛みは少ない傾向にあるとされています。

装置を調整した直後に数日ほど違和感がある程度で収まることが多いようです。

痛みが強く続く場合は、通院日を待たずに相談してください。

Q6. 受験や習い事と両立できますか?

受験期には装置を簡略化したり、経過観察のみに切り替えたりできる場合があります。

部活動や習い事の内容も、事前に伝えておけば対応を検討してもらえます。

ライフイベントを共有しておくことで、無理のない計画を立てられます。

まとめ

子どもの矯正は、顎の成長を利用して土台を整える1期治療と、永久歯を並べる2期治療の2段階に分かれます。

1期治療は乳歯と永久歯が混在する6歳から10歳頃が対象とされ、2期治療は永久歯が生え揃った11歳以降から始まります。

1期治療で土台を整えることで、抜歯を避けられる可能性が高まったり、2期治療の期間を短縮できたりする効果が期待されています。

一方で1期治療を行っても2期治療が必要になる場合があり、費用はそれぞれに発生するため総額の確認が欠かせません。

お子さんの矯正は原則として自由診療ですが、発育段階の不正咬合の矯正は医療費控除の対象例として示されています[5]。

治療中は歯みがきの見直しと通院の継続が重要で、むし歯が見つかれば矯正を中断することにもなります[1]。

始める時期は症状によって変わるため、歯の生え変わりが始まる頃に一度相談し、見通しを立てるところから始めてみましょう。

参考文献

[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「むし歯の特徴・原因・進行」

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-02-002.html

[2] 厚生労働省「保険診療の理解のために【歯科】」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/index.html

[3] 厚生労働省「地方厚生(支)局 施設基準届出受理医療機関名簿」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/shitei/index.html

[4] 国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm

[5] 国税庁「No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1128.htm

[6] 独立行政法人国民生活センター「医療・美容医療」

https://www.kokusen.go.jp/t_box/t_box-faq/g-1.html

免責事項

※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、医療アドバイスではありません。

※治療の必要性や進め方については必ず歯科医師にご相談ください。

※効果の現れ方や治療期間には個人差がございます。

※医療費控除の適用可否は個別の事情により異なるため、詳細は税務署にご確認ください。