奥歯の銀歯を保険で白くする方法|CAD/CAM冠の費用・条件・注意点を解説

「奥歯の銀歯を白くしたいけど、保険が使えるか気になる」「保険適用で奥歯を白くする方法があると聞いたが、どんな条件がある?」と疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
2023年12月の診療報酬改定により、PEEK(ピーク)素材を使ったCAD/CAM冠が新たに保険適用となり、親知らずを含む全大臼歯(奥歯すべて)を保険診療で白い被せ物にできるようになりました。
3割負担の場合、奥歯1本あたり5,000〜10,000円程度が目安で、自由診療のセラミック(8〜15万円程度)と比べると費用を大幅に抑えながら奥歯の銀歯を白くできる選択肢が整ってきています。
ただし、CAD/CAM冠には保険適用の条件があり、すべての方が無条件に利用できるわけではありません。また、強度・審美性・耐久性はセラミックより劣る面があるため、事前にメリットとデメリットを正しく理解した上で選ぶことが大切です。
この記事では、奥歯の銀歯を保険で白くする方法・CAD/CAM冠とPEEK冠の違い・費用の目安・保険適用の条件・注意点・セラミックとの比較まで、一般の方にわかりやすくまとめています。
銀歯が気になる方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
奥歯の銀歯を保険で白くできるようになった背景
従来の保険診療では、奥歯(大臼歯)の被せ物は銀歯(金銀パラジウム合金)のみが認められており、「保険の範囲内で奥歯を白くする」という選択肢は事実上存在していませんでした[1]。
前歯については審美性を考慮して保険適用の白い被せ物が以前から認められていましたが、噛む力が強くかかる奥歯については強度面の理由から金属素材のみが保険診療の対象とされていたのです。
この状況が大きく変わり始めたのは、歯科用CAD/CAMシステムの普及です。
CAD/CAM(キャドキャム)とは、コンピュータを使って歯の形状をデジタル設計(CAD)し、その設計データをもとに機械が自動的に素材を削り出して被せ物を製作(CAM)する技術のことです[2]。
このデジタル技術の進歩により、精度の高い白い被せ物を効率よく製作できるようになったことで、保険診療への導入が段階的に進んでいきました。
2017年12月には一部の奥歯(小臼歯・第一大臼歯)にCAD/CAM冠が保険適用となり、2020年にはさらに適用範囲が拡大されました[1]。
そして2023年12月の診療報酬改定では、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)という高機能素材を使ったCAD/CAM冠用材料(V)が新たに保険導入され、親知らずを含む全大臼歯への保険適用が実現しました[2]。
さらに2024年6月の診療報酬改定では、神経を抜いた奥歯向けの「エンドクラウン」も保険診療の対象に加わるなど、保険適用の範囲は年々広がっています[1]。
この一連の改定により、2024年現在では「保険の範囲内でほぼすべての歯を白い被せ物にする」ことが可能な環境が整いました。
「保険では銀歯しか選べない」という認識はすでに過去のものになっており、費用を抑えながら奥歯の見た目を改善したいと考えている方にとって、選択肢が大きく広がっています[2]。
保険適用で奥歯を白くする2つの方法
奥歯の銀歯を保険で白くする方法として、現在2種類の素材が保険診療の範囲内で使用できます。
それぞれ素材の特性・見た目・適用できる部位・費用が異なるため、自分の状況に合った素材を選ぶことが大切です。
ここでは、2種類の素材の特徴を詳しく解説します。
CAD/CAM冠(ハイブリッドレジン素材)
CAD/CAM冠は、セラミック(陶器)とプラスチック(レジン)を混合した「ハイブリッドレジン」と呼ばれる素材のブロックを、コンピュータ制御の機械で削り出して製作する白い被せ物です[1]。
ハイブリッドレジンはセラミックの硬さとプラスチックの粘り強さを組み合わせた素材であり、純粋なセラミックと比べると割れにくいという特性があります。
見た目については、半透明感のある白さで天然歯に比較的自然に馴染む仕上がりが得られるため、審美性の面ではPEEK冠より優れているとされています[2]。
保険適用の対象部位は小臼歯(前から4・5番目の歯)を中心とし、大臼歯(第一大臼歯・第二大臼歯)についても一定の条件を満たした場合に保険適用が認められています[1]。
3割負担での費用目安は1本あたり5,000〜10,000円程度であり、自由診療のセラミックと比べて大幅に費用を抑えられる点が最大のメリットです。
ただし、銀歯やセラミックと比べると強度がやや劣るため、噛み合わせが強い方や歯ぎしり・食いしばりの習慣がある方には向かない場合があります[2]。
また、素材の性質上、長期使用で徐々に変色・着色が起きることがあるため、セラミックほど白さが長持ちしない点も理解しておく必要があります[1]。
PEEK冠(ポリエーテルエーテルケトン素材)
PEEK冠は、「ポリエーテルエーテルケトン(Poly Ether Ether Ketone)」という高機能プラスチックを素材とした白い被せ物で、2023年12月の診療報酬改定から新たに保険適用となった素材です[2]。
PEEKは医療分野でも人工関節などのインプラントに使用されているほど安全性と強度が高く、耐熱性・耐薬品性・低吸水性に優れた特性を持っています[1]。
この高い強度により、従来のCAD/CAM冠(ハイブリッドレジン)では保険適用が難しかった全大臼歯(第一大臼歯・第二大臼歯・第三大臼歯=親知らず)への無条件での保険適用が実現しました[2]。
強度が高いためCAD/CAM冠より被せ物を薄く製作できるという特性もあり、歯を削る量を抑えられる可能性があるという利点もあります[1]。
一方で、PEEK冠の最大のデメリットは審美性の面にあります。
PEEK素材は現時点でアイボリー(象牙色)の単色のみとなっており、透明感がないため周囲の天然歯の色調と馴染みにくく、不自然に見える場合があります[2]。
「保険の範囲内でとにかく奥歯を白くしたい」という方や、歯ぎしりが強い・噛み合わせの力が強い方、多くの歯を失っている(多数歯欠損)方にはCAD/CAM冠よりPEEK冠が向いているケースがあります[1]。
どちらの素材が自分に適しているかは、治療する歯の位置・噛み合わせの状態・審美性へのこだわりを踏まえて歯科医師と相談して決めることが重要です。
CAD/CAM冠・PEEK冠の保険適用条件
「保険で奥歯を白くできる」と聞いて興味を持った方の中には、「自分の歯にも保険が使えるのか」と気になっている方も多いでしょう。
CAD/CAM冠とPEEK冠はそれぞれ保険適用の条件が異なるため、事前に確認しておくことが大切です。
また、保険診療は全国の歯科医院で同じ費用で受けられる一方、CAD/CAM冠の取り扱いには歯科医院側の届け出が必要なため、すべての歯科医院で受けられるわけではない点も把握しておきましょう[1]。
CAD/CAM冠(ハイブリッドレジン)の保険適用条件
CAD/CAM冠の保険適用条件は、治療する歯の位置(部位)によって異なります[2]。
小臼歯(前から4・5番目の歯)については、比較的幅広い条件で保険適用が認められています。
第一大臼歯(前から6番目の歯)への保険適用は、以下のいずれかの条件を満たす場合に認められています[1]。
ひとつ目の条件は「上下顎両側の第二大臼歯が全て残存しており、左右の噛み合わせが保たれている患者に対して、過度な噛み合わせの力が加わらない場合」です。
ふたつ目の条件は「歯科用金属を原因とする金属アレルギーを有する患者で、医科の医療機関または医科歯科併設の医療機関の医師との連携のもと、診療情報提供に基づく場合」です[2]。
第二大臼歯(前から7番目の歯)については、2024年6月の診療報酬改定によって条件付きで保険適用が拡大されました。
具体的には、「上下顎両側の第二大臼歯が全て残存している場合ではなく、欠損がある場合など一定の条件下」で第二大臼歯にもCAD/CAM冠(ハイブリッドレジン)の保険適用が認められるようになっています[1]。
また、CAD/CAM冠は被せ物(クラウン)への適用が中心であり、詰め物(インレー)については保険適用の条件・範囲が異なる点にも注意が必要です[2]。
PEEK冠の保険適用条件
2023年12月から保険適用となったPEEK冠(CAD/CAM冠用材料V)は、CAD/CAM冠(ハイブリッドレジン)と比べて保険適用の条件が大幅に緩和されています[1]。
PEEK冠は全大臼歯(第一大臼歯・第二大臼歯・第三大臼歯=親知らず)に対して、上記のような噛み合わせ条件や金属アレルギーの証明なしに保険適用で使用できます。
ただしPEEK冠は大臼歯専用の材料のため、小臼歯(4・5番目の歯)への保険適用はありません[2]。
また、PEEK冠も被せ物(クラウン)への適用に限られており、詰め物(インレー)には使用できない点は共通しています[1]。
エンドクラウンの保険適用条件
2024年6月の診療報酬改定で新たに保険診療の対象となったエンドクラウンは、神経を抜いた後の歯(失活歯)の修復に使われる特別な被せ物です[2]。
通常の被せ物は歯の上に土台(コア)を立ててから装着しますが、エンドクラウンは土台部分と被せ物が一体化した設計のため、歯の高さが少ない場合でも対応しやすいという特性があります[1]。
保険適用の対象は神経を抜いた大臼歯で、CAD/CAM素材を使って製作されます。
自分の歯に保険が適用されるかどうかは、歯の位置・噛み合わせの状態・隣接する歯の状態・金属アレルギーの有無などを総合的に判断する必要があるため、必ず歯科医師に確認してもらうことが重要です[2]。
奥歯の銀歯を保険で白くする費用の目安
「保険で白くできるとはいっても、実際どのくらいの費用がかかるのか」が気になる方も多いでしょう。
保険診療の費用は全国の歯科医院で共通の「診療報酬点数」に基づいて計算されるため、同じ治療内容であれば歯科医院によって大きく異なることはありません[1]。
ただし、「CAD/CAM冠の被せ物本体の費用」に加えて、「虫歯治療の費用」「根管治療が必要な場合の費用」「土台(コア)の製作費用」「初診料・検査料」が別途加算されるため、治療全体の総額は状況によって変わります[2]。
CAD/CAM冠・PEEK冠の費用目安(3割負担)
| 素材・部位 | 被せ物本体の費用目安(3割負担) | 備考 |
| CAD/CAM冠・小臼歯(4・5番) | 5,000〜8,000円程度 | ハイブリッドレジン |
| CAD/CAM冠・第一大臼歯(6番) | 6,000〜10,000円程度 | 条件あり |
| CAD/CAM冠・第二大臼歯(7番) | 6,000〜10,000円程度 | 条件あり(2024年6月改定) |
| PEEK冠・大臼歯全般(6・7・8番) | 6,000〜10,000円程度 | 全大臼歯に無条件適用 |
上記はあくまでも被せ物本体の費用目安であり、初診料・検査料・治療処置料は別途かかります[1]。
治療全体の総額目安(3割負担)
虫歯の進行度によって、被せ物の装着前に必要な治療の内容が変わり、総額が大きく変わります。
虫歯が比較的小さく、銀歯の詰め直しのみで済む場合は、総額で10,000〜15,000円程度が目安です[2]。
根管治療(神経の処置)が必要な場合は根管治療費・土台の製作費が加算され、総額で20,000〜30,000円程度になるケースが多いとされています[1]。
保険適用外の素材との費用比較
保険診療のCAD/CAM冠・PEEK冠と、自由診療のセラミック系素材の費用を比較した表は以下の通りです。
| 素材 | 保険適用 | 費用目安(1本・3割または全額) |
| CAD/CAM冠(ハイブリッドレジン) | あり | 5,000〜10,000円(3割) |
| PEEK冠 | あり | 6,000〜10,000円(3割) |
| オールセラミック | なし | 8〜15万円(全額) |
| ジルコニアセラミック | なし | 8〜15万円(全額) |
| ジルコニアクラウン | なし | 6〜12万円(全額) |
保険適用のCAD/CAM冠・PEEK冠は、自由診療のセラミックと比べて初期費用を大幅に抑えられることがわかります[2]。
ただし、前述の通りCAD/CAM冠は経年で変色・着色が起きる可能性があり、寿命・再治療のリスクを含めた長期的なコストも踏まえて素材を選ぶことが大切です[1]。
費用に関する注意点
CAD/CAM冠の治療には、歯科医院が厚生労働省の届け出を行っていることが必要なため、希望する歯科医院がCAD/CAM冠に対応しているかを事前に確認することをおすすめします[2]。
また、銀歯をCAD/CAM冠に交換する際に、銀歯を外した後で内部に二次カリエス(虫歯の再発)が見つかるケースもあるため、その場合は追加の虫歯治療費が発生することを事前に理解しておくことが大切です[1]。
治療費の全体像を把握するために、受診前または受診時のカウンセリングで「CAD/CAM冠の治療にかかる総額の目安」を歯科医師に確認しておくことをおすすめします。
CAD/CAM冠・PEEK冠のメリットとデメリット
保険適用で奥歯を白くできるCAD/CAM冠・PEEK冠には、費用面での大きなメリットがある一方で、セラミックと比べると強度・審美性・耐久性において劣る面があります。
「保険で白くできるなら迷わず選ぶ」という方も多いですが、デメリットを事前に理解せずに治療を受けると、「思っていたより白くない」「割れてしまった」という後悔につながることがあります。
ここでは、CAD/CAM冠とPEEK冠それぞれのメリットとデメリットを整理します。
メリット
費用を大幅に抑えられる
CAD/CAM冠・PEEK冠の最大のメリットは、保険が適用されるため自由診療のセラミックと比べて費用を大幅に抑えられる点です[1]。
3割負担で1本あたり5,000〜10,000円程度の費用で奥歯の被せ物を白くできることは、「費用は抑えたいが見た目も改善したい」という方にとって大きな利点です。
自由診療のセラミック(8〜15万円程度)と比べると、複数本の治療が必要な場合は特に費用差が大きく、保険適用の選択肢があることで治療へのハードルが大幅に下がります[2]。
金属アレルギーのリスクがない
CAD/CAM冠もPEEK冠もいずれも金属を使用しない「メタルフリー」の素材のため、金属アレルギーのリスクがありません[1]。
銀歯は金銀パラジウム合金に含まれる金属イオンが唾液によって溶け出すことで、金属アレルギーを引き起こすリスクがあります。
CAD/CAM冠・PEEK冠に変えることで、金属イオンの溶け出しを防ぎ、金属アレルギーのリスクを回避できます[2]。
すでに金属アレルギーの症状(口内炎・皮膚炎・湿疹など)が慢性的に続いている方には、保険適用のCAD/CAM冠・PEEK冠は特に有益な選択肢になります[1]。
見た目が銀歯より自然になる
CAD/CAM冠はハイブリッドレジン素材の半透明感のある白さで、銀歯と比べて口を開けたときに目立ちにくい見た目が得られます[2]。
奥歯は前歯と比べて普段の生活では見えにくいですが、大きく口を開けたときや笑ったときに銀歯が見えることが気になっている方には、白い被せ物にすることで口元の印象が改善します[1]。
PEEK冠はアイボリー色の単色のため透明感に欠けますが、それでも銀色の金属と比べると自然な印象になります。
プラークが付着しにくく口腔衛生を保ちやすい
CAD/CAM冠はなめらかな表面仕上げが施されており、銀歯と比べてプラーク(歯垢)が付着しにくい特性があります[2]。
プラークの付着が少ないことで、歯周病や二次カリエスのリスクを抑える効果が期待できます。
ただし、定期的な歯科検診とセルフケアを継続することが、CAD/CAM冠を良好な状態で長持ちさせる上で最も重要な条件です[1]。
デメリット・注意点
強度が銀歯・セラミックより劣り割れるリスクがある
CAD/CAM冠の最も大きなデメリットが、銀歯や自由診療のセラミック(特にジルコニア)と比べて強度が低く、割れ・欠けが起きやすいという点です[2]。
奥歯は食事のたびに強い噛む力がかかる部位のため、CAD/CAM冠は摩耗・破折のリスクが銀歯より高くなります。
特に歯ぎしりや食いしばりの習慣がある方・硬いものを頻繁に噛む方は、CAD/CAM冠が割れるリスクが高まるため注意が必要です[1]。
PEEK冠はCAD/CAM冠(ハイブリッドレジン)より強度が高いため、大臼歯への使用に向いていますが、やはり銀歯やジルコニアと比べると強度面で劣る場合があります[2]。
奥歯にCAD/CAM冠を入れる場合は、就寝時のナイトガード(マウスピース)の使用を歯科医師から勧められることがあるため、治療前に自分の噛み合わせの状態を歯科医師に確認してもらうことが大切です[1]。
経年で変色・着色することがある
CAD/CAM冠はプラスチック(レジン)成分を含む素材のため、使い続けると徐々に変色・着色が起きてきます[2]。
コーヒー・紅茶・赤ワインなどの色素の強い飲み物や食べ物、タバコのヤニなどによる着色が蓄積されやすく、装着当初の白さが長期間維持しにくい面があります[1]。
セラミックは素材自体が変色しにくいため、長期間の白さの維持という観点ではCAD/CAM冠はセラミックに劣ります。
「できるだけ長く白さを保ちたい」「審美性を最優先したい」という方にとっては、この変色しやすさが大きなデメリットになります[2]。
PEEK冠は審美性が低い(アイボリー単色)
PEEK冠の最大のデメリットは、現在のところアイボリー色の単色しか選べず透明感がないため、周囲の天然歯と色調が馴染まず不自然に見えるケースがある点です[1]。
CAD/CAM冠(ハイブリッドレジン)はある程度の透明感と自然な白さがある一方、PEEK冠は単純にアイボリーの不透明な色味となるため、審美性ではCAD/CAM冠より劣ります[2]。
「白くはなるが、よく見ると不自然に見えることがある」という点を事前に理解した上で選ぶことが大切です。
奥歯の奥の方(第二・第三大臼歯)は日常生活では目立ちにくい部位のため、審美性よりも強度・費用を優先してPEEK冠を選ぶケースも多くあります[1]。
すべての歯科医院で受けられるわけではない
CAD/CAM冠による保険診療は、歯科医院が厚生労働省への届け出を行っていることが必要なため、すべての歯科医院で対応しているわけではありません[2]。
受診前に「CAD/CAM冠の保険診療に対応していますか?」と電話や問い合わせで確認しておくことをおすすめします。
また、CAD/CAM冠の製作には専用の機器・設備が必要なため、設備を持たない歯科医院では対応できない場合があります[1]。
保険適用の条件を満たさないケースがある
前述の通り、CAD/CAM冠(ハイブリッドレジン)には保険適用の条件があるため、すべての奥歯に無条件で使用できるわけではありません[2]。
特に第一大臼歯・第二大臼歯へのCAD/CAM冠(ハイブリッドレジン)の適用には噛み合わせの条件があり、条件を満たさない場合は保険適用外となります[1]。
全大臼歯に無条件で保険適用できるPEEK冠でも、小臼歯(4・5番)は適用外であるなど、部位によって使用できる素材が異なる点を理解しておくことが必要です[2]。
自分の歯に保険が適用されるかどうかは、歯科医師による診察と確認が必要なため、まずは受診してカウンセリングを受けることが大切です[1]。
下の表でCAD/CAM冠とPEEK冠の特性を比較します。
| 比較項目 | CAD/CAM冠(ハイブリッドレジン) | PEEK冠 |
| 素材 | セラミック+プラスチック混合 | 高機能プラスチック |
| 審美性 | ○ 半透明感あり・自然な白さ | △ アイボリー単色・不透明 |
| 強度 | △ 銀歯より低い | ○ CAD/CAM冠より高い |
| 変色しにくさ | △ 経年で着色・変色あり | ○ 変色しにくい |
| 保険適用部位 | 小臼歯・大臼歯(条件あり) | 全大臼歯(無条件) |
| 費用(3割) | 5,000〜10,000円程度 | 6,000〜10,000円程度 |
| 向いているケース | 審美性重視・小臼歯治療 | 強度重視・奥歯全般 |
どちらの素材が自分に向いているかは、治療する歯の位置・噛み合わせの強さ・審美性へのこだわり・費用のバランスを考慮して歯科医師と相談して決めることが重要です。
保険のCAD/CAM冠とセラミックの違いを比較
「保険のCAD/CAM冠で十分なのか、費用をかけてでもセラミックにすべきか」という判断は、多くの方が迷うポイントです。
費用だけで比較すると保険のCAD/CAM冠が圧倒的に有利ですが、審美性・耐久性・変色しにくさ・二次カリエスのリスクという観点で比較すると、セラミックには保険のCAD/CAM冠にはない強みがあります。
ここでは、保険のCAD/CAM冠(ハイブリッドレジン)と代表的なセラミック素材(オールセラミック・ジルコニア)の違いを整理します。
審美性の違い
見た目の自然さという観点では、自由診療のセラミックの方がCAD/CAM冠より優れています[1]。
オールセラミックは天然歯に最も近い透明感・光の透過性・色調を再現できる素材であり、周囲の歯と非常に自然に馴染む仕上がりになります。
CAD/CAM冠はセラミックとプラスチックを混合した素材のため、純粋なセラミックと比べると透明感・白さの深みがやや劣ります[2]。
特に前歯に近い小臼歯など目立ちやすい部位の治療では、セラミックの方が仕上がりの自然さで大きな差が出やすいとされています[1]。
PEEK冠は単色のアイボリーで透明感がないため、審美性という観点ではセラミックと大きな差があります。
「口元の見た目にこだわりたい」「自然な仕上がりにしたい」という方には、費用面での負担は増えますが自由診療のセラミックの方が満足度が高くなる可能性があります[2]。
耐久性・寿命の違い
一般的に、自由診療のセラミック(特にジルコニア系)の方がCAD/CAM冠より耐久性が高く、寿命が長い傾向があります[1]。
CAD/CAM冠の寿命は素材・使用状況・噛み合わせの強さによって異なりますが、5〜7年程度が目安とされています。
一方、ジルコニアセラミックやオールジルコニアクラウンは適切なケアを継続した場合10年以上使用できるケースが多く、再治療のサイクルが長い傾向があります[2]。
CAD/CAM冠は割れ・欠けのリスクが銀歯やジルコニアより高いため、再治療が必要になるタイミングが早くなる可能性があることを念頭に置いておく必要があります[1]。
変色・着色の違い
セラミックは素材自体が変色しにくく、コーヒー・赤ワインなどの着色汚れも付着しにくい特性があります[2]。
適切なケアを継続することで、装着当初の自然な白さを長期間維持しやすい点がセラミックの大きなメリットのひとつです。
一方、CAD/CAM冠はプラスチック成分を含むため、使い続けると着色・変色が蓄積されやすく、数年で色味が変わってくる可能性があります[1]。
「白い被せ物にしたのに数年後に黄ばんできた」という状況を避けたい方には、変色しにくいセラミックの方が長期的な満足度が高くなりやすいです[2]。
二次カリエスリスクの違い
歯との適合精度という観点でも、自由診療のセラミックはCAD/CAM冠より優れているとされています[1]。
セラミックは変形・収縮が起きにくい素材のため、長期間使用しても歯との間に隙間が生じにくく、二次カリエスのリスクを低く抑えやすいです。
CAD/CAM冠はプラスチック成分を含むため、経年で素材が劣化して歯との適合精度が低下する可能性があります[2]。
接着剤の劣化によって隙間が生じると二次カリエスのリスクが高まるため、CAD/CAM冠装着後も定期検診で適合状態を定期的に確認してもらうことが重要です[1]。
費用の違い
| 比較項目 | CAD/CAM冠(保険) | PEEK冠(保険) | セラミック(自由診療) |
| 費用目安(1本) | 5,000〜10,000円(3割) | 6,000〜10,000円(3割) | 8〜15万円(全額) |
| 審美性 | ○ 中程度 | △ 低め | ◎ 高い |
| 耐久性 | △ やや低い | ○ 中程度 | ◎ 高い |
| 変色しにくさ | △ 着色あり | ○ 変色しにくい | ◎ ほぼ変色なし |
| 二次カリエスリスク | △ 中程度 | ○ 低め | ◎ 低い |
| 金属アレルギーリスク | ○ なし | ○ なし | ○ なし(メタルボンド除く) |
| 保険適用 | あり | あり | なし |
どちらを選ぶべきか
「費用を最優先したい」「まず保険の範囲内で銀歯の見た目を改善したい」「奥歯の奥の方で見えにくい位置の治療」という場合には、保険適用のCAD/CAM冠・PEEK冠が現実的な選択肢となります[2]。
一方で「長期間白さを維持したい」「審美性を最優先したい」「再治療のリスクを最小限にしたい」という場合には、費用は高くなりますが自由診療のセラミックの方が満足度が高くなる可能性があります[1]。
治療する歯の位置・自分が何を優先するかを明確にした上で、歯科医師に「保険のCAD/CAM冠とセラミックの違いを教えてほしい」と相談しながら判断することが、後悔しない素材選びの最も重要なポイントです[2]。
よくある質問
Q:奥歯の銀歯を保険で白くすることはできますか?
2023年12月の診療報酬改定以降、親知らずを含む全大臼歯にPEEK冠が保険適用となり、2024年現在では奥歯のほぼすべてを保険診療で白い被せ物にすることが可能になっています[1]。
ただし、使用できる素材(CAD/CAM冠またはPEEK冠)や保険適用の条件は歯の位置・噛み合わせの状態によって異なるため、すべての方が無条件で保険適用を受けられるわけではありません[2]。
自分の歯に保険が適用されるかどうかは歯科医師による診察で確認が必要なため、まずは受診してカウンセリングを受けることをおすすめします。
Q:CAD/CAM冠とPEEK冠はどちらを選べばよいですか?
審美性を重視する場合はCAD/CAM冠(ハイブリッドレジン)、強度・耐久性を重視する場合はPEEK冠が向いているケースが多いとされています[1]。
CAD/CAM冠は半透明感のある自然な白さが得られる一方で強度がやや低く、PEEK冠はアイボリー単色で透明感に欠けるものの強度が高く全大臼歯に無条件で保険適用できる点が特徴です[2]。
治療する歯の位置・噛み合わせの強さ・審美性へのこだわり・費用のバランスを踏まえて、歯科医師と相談した上で選ぶことが最も確実な方法です。
Q:保険のCAD/CAM冠はどのくらい持ちますか?
CAD/CAM冠の寿命は使用状況・噛み合わせの強さ・日々のケアの状態によって異なりますが、一般的に5〜7年程度が目安とされています[1]。
プラスチック成分を含む素材のため、経年で変色・着色が起きたり、素材が劣化して割れ・欠けが生じるリスクがあります[2]。
長持ちさせるためには、定期的な歯科検診でCAD/CAM冠の状態を確認してもらうこと・歯ぎしりがある場合はナイトガードを使用すること・硬いものを強く噛むことを避けることが大切です[1]。
Q:今の銀歯をCAD/CAM冠に交換できますか?
現在入っている銀歯をCAD/CAM冠に交換することは可能ですが、保険適用の条件を満たしている必要があります[2]。
交換の際には銀歯を外した後で内部の状態を確認し、二次カリエス(虫歯の再発)が見つかった場合は虫歯治療を行ってから新しい被せ物を製作します[1]。
二次カリエスが進行していた場合は根管治療が必要になることもあるため、総額が当初の想定より増えることがあります。
交換を検討している方は、まずCAD/CAM冠に対応している歯科医院を受診して、自分の歯の状態と保険適用の可否を確認してもらうことをおすすめします[2]。
まとめ
2023年12月の診療報酬改定でPEEK冠が新たに保険適用となり、2024年現在では親知らずを含む全大臼歯(奥歯すべて)を保険診療で白い被せ物にすることが可能になりました。
保険適用で奥歯を白くする主な方法は、セラミックとプラスチックを混合したハイブリッドレジン素材の「CAD/CAM冠」と、高機能プラスチック素材の「PEEK冠」の2種類があり、3割負担で1本あたり5,000〜10,000円程度が費用の目安です。
CAD/CAM冠(ハイブリッドレジン)は半透明感のある自然な白さが得られ審美性が高い一方で強度がやや低く経年で変色するリスクがあり、PEEK冠はアイボリー単色で審美性に劣るものの強度が高く全大臼歯に無条件で保険適用できる点が特徴です。
CAD/CAM冠には保険適用の条件があり、第一大臼歯・第二大臼歯へのCAD/CAM冠(ハイブリッドレジン)の適用には「上下顎両側の第二大臼歯が全て残存している」などの噛み合わせの条件があるため、すべての方が無条件で利用できるわけではありません。
保険のCAD/CAM冠とセラミックを比較すると、費用面では保険のCAD/CAM冠が圧倒的に有利な一方、審美性・耐久性・変色しにくさ・二次カリエスリスクの低さという観点ではセラミックが優れており、何を優先するかによって最適な選択が変わります。
奥歯の銀歯を白くしたいと考えている方は、まずCAD/CAM冠の保険診療に対応している歯科医院を受診して、自分の歯の状態・保険適用の可否・素材の選択肢について歯科医師に相談することをおすすめします。
参考文献
[1] 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正について(令和5年度)」(最終閲覧日:2026年4月29日)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00045.html
[2] 公益社団法人 日本歯科医師会「歯とお口のことなら何でもわかる テーマパーク8020」(最終閲覧日:2026年4月29日)
[3] 厚生労働省「歯科口腔保健の推進について」(最終閲覧日:2026年4月29日)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/shika/index.html
[4] 公益財団法人 8020推進財団「お口の健康と全身の健康」(最終閲覧日:2026年4月29日)
※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、医療アドバイスではありません。
お薬の服用に関しては必ず医師にご相談ください。
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。
※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。