歯が痛いのにすぐ歯医者に行けない時の応急処置5選|NG行動と受診の目安

「夜中に突然歯がズキズキと痛み出して眠れない…」「旅行先で急に歯が痛くなったけれど、近くに歯科医院が見つからない…」と、困り果てた経験はありませんか?

歯が痛いのにすぐに歯科医院へ行けない時は、市販の痛み止めの服用や患部を外側から冷やす、ぬるま湯でうがいをするなどの応急処置で、一時的に痛みを和らげられる可能性があります。

ただし、応急処置はあくまで受診までの時間を乗り切るためのものであり、痛みの根本的な原因を治すものではないため、誤った対処を取ると症状が悪化する恐れもあります。

この記事では、家でできる歯痛の応急処置5つ、市販薬の選び方、避けたいNG行動、薬が効かない時の対処、歯科医院を受診すべき症状のサインなどを詳しく解説しますので、急な歯の痛みに備えておきたい方はぜひ参考にしてください。

歯が痛いのにすぐ歯医者に行けない時に知っておきたいこと

歯が痛み出した時、まず知っておきたいのは応急処置の位置づけと心構えです。

家でできる対処はあくまで歯科医院を受診するまでの時間を乗り切るためのものであり、痛みの根本的な原因を治すものではありません。

また、歯の痛みには虫歯や歯周病、親知らずなど複数の原因があり、状態によって効果的な対処法が変わります。

ここでは、歯科医院を受診するまでの時間を無理なく過ごすために知っておきたい基本の考え方を整理していきます。

応急処置は痛みを一時的に和らげるためのもの

応急処置は、あくまで歯科医院を受診するまでの時間を乗り切るための一時的な対応です。

歯の痛みは多くの場合、虫歯や歯周病、親知らずの炎症などが進行した結果として現れます。

家庭でできる対処で痛みがやわらいでも、原因となっているトラブル自体はそのまま残っています。

痛みが一時的に消えたとしても、虫歯の進行や歯ぐきの炎症といった要因はそのままで、放置する期間が長くなるほど悪化しやすい傾向にあります。

痛み止めを服用して症状が落ち着いたからと治療を先延ばしにすると、お薬が切れた後に痛みが再発することがあります。

「お薬が効いているうちに様子を見よう」と判断してしまう方もいるかもしれません。

応急処置で楽になったとしても、なるべく早めに歯科医院を受診しておくと安心できるでしょう。

歯の痛みの原因によって対処法は変わる

歯の痛みへの対処法は、原因によって効果的な方法が異なります

歯の痛みの背景には、虫歯による神経の炎症、歯周病による歯ぐきの腫れ、親知らずの周囲の感染、知覚過敏など複数の可能性があります。

原因が違えば、痛みの性質も冷やすのが有効かどうかも変わってきます。

虫歯の初期段階では冷たいものがしみる程度の軽い違和感で済むことも珍しくなく、進行すると何もしていなくてもズキズキと痛むようになります。

虫歯による激しい拍動痛には、頬の外側から冷やす方法が痛みを和らげる助けになるといわれています。

一方、知覚過敏や抜歯後の痛みは、冷たい刺激でかえって症状が悪化するケースも見られます。

自分の痛みの原因をある程度把握したうえで対処法を選ぶと、症状を悪化させずに済むでしょう。

受診までの時間を無理なく過ごすために

歯が痛い時は、刺激を避けて安静に過ごすことが受診までの時間を楽にするコツです。

痛みの原因には炎症が関わっている場合が多く、血流が増えると神経が圧迫されて痛みが強まる傾向にあります。

体を温めたり激しく動いたりすると、かえって痛みを悪化させてしまうことも考えられます。

お風呂は湯船に浸からずシャワーで済ませる、運動は控える、食事は痛む歯で噛まないようにするといった工夫が役立ちます。

ズキズキとした痛みで眠れない時は、枕を少し高くして頭への血流を抑える工夫も一つの方法です。

服薬の時間を意識しておくと、お薬が切れるタイミングでも落ち着いて対応できます。

受診までの時間は無理をせず、痛みを刺激しない過ごし方を心がけてみてください。

家でできる歯痛の応急処置5つの方法

歯が痛い時に家でできる応急処置には、いくつかの選択肢があります。

代表的な方法は、市販の痛み止めの服用、患部を外側から冷やす、うがい、ツボの刺激、頭を高くして安静にすることの5つです。

痛みの強さや状況によって効果の出方には個人差があり、複数の方法を組み合わせて試すのも一つの手です。

ただし、応急処置はあくまで時間稼ぎであり、痛みの原因を治すものではないという点は、あらかじめ押さえておきましょう。

ここからは、それぞれの応急処置の具体的な手順と注意点を順番に見ていきます。

市販の痛み止めを服用する

歯痛をすぐに和らげたい時の代表的な方法は、市販の痛み止めを用法・用量を守って服用することです。

市販の鎮痛薬には、ロキソプロフェン、イブプロフェン、アセトアミノフェンといった成分が含まれているものがあります[1]。

これらは炎症による痛みを和らげる働きが期待でき、歯科医院でも処方されることの多い成分です。

市販のロキソニンSやイブ、バファリンなどは、ドラッグストアや一部のコンビニで入手できます。

空腹時の服用は胃への負担が大きくなりやすいため、軽く何か食べてから服用するのが望ましいでしょう。

また、次に服用する時は最低4時間以上間隔を空けるようにしてください。

用法・用量を守って服用することで、歯科医院を受診するまでの間、痛みをやわらげることが期待できます。

痛む側の頬を外側から冷やす

ズキズキとした強い痛みがある時は、痛む側の頬を外側から冷やす方法が有効な場合があります。

歯の神経周辺に炎症があると血流が増え、歯ぐきの内圧が上がって神経を圧迫することで痛みが強く出ます。

冷やすと血管が収縮し、神経への圧迫や炎症による刺激が和らぐ効果が期待できます。

冷却シートや氷のう、保冷剤をタオルで包んだものを痛む側の頬に当てて、10分ほど冷やしてみましょう。

ただし、氷を直接口に含むなど極端に冷やしすぎると、逆に痛みが悪化するケースも報告されています。

知覚過敏や抜歯後の痛みでは冷却が合わないこともあるため、痛みが増すようなら無理に続けないほうが安心です。

冷やし方を間違えなければ、歯科医院を受診するまでの時間を少し楽に過ごせるかもしれません。

うがいで口の中を清潔に保つ

食べかすや汚れが痛みを悪化させている時は、ぬるま湯や塩水でうがいをして口の中を清潔に保つ方法が役立ちます。

歯と歯の間や歯と歯ぐきのすき間に食べかすが詰まっていると、刺激や細菌の増殖が痛みを強める一因になります。

塩水には口の中の細菌を減らす働きがあるといわれ、軽い炎症がある時にも用いられてきた方法です。

コップ1杯のぬるま湯に小さじ半分ほどの塩を溶かし、口全体をゆっくりゆすぐのが基本の手順になります。

水の温度は冷たすぎず熱すぎない程度が望ましく、勢いよくガラガラとうがいをすると患部を刺激する恐れがあります。

イソジンなどのうがい薬を使う方法もありますが、ヨードアレルギーがある方は使用を避けましょう。

うがいで口の中をきれいに保つだけでも痛みが軽減するケースがあるので、一度試してみてください。

歯痛をやわらげるとされるツボを刺激する

歯の痛みをやわらげたい時は、合谷(ごうこく)と歯痛点という2つのツボを刺激する方法が試せます。

ツボ押しは東洋医学の考え方に基づく方法で、歯痛に対しては昔から応急処置の一つとして用いられてきました。

お薬を服用できない状況や、薬効が出るまでの時間をしのぎたい時の補助的な選択肢として知られています。

合谷は手の甲側にあるツボで、親指と人差し指の骨が交わるくぼみの少しくぼんだ部分に位置します。

反対側の親指で痛みを感じる程度に、約1分間押し続けるのが基本の刺激方法です。

歯痛点は手のひら側の中指と薬指の付け根の間にあるツボで、人差し指と親指で挟むようにつまんで強めに刺激します。

左右交互に何度か繰り返してみると、痛みがやわらぐ方もいるでしょう。

ツボの刺激だけで痛みが完全に消えることは少ないものの、ほかの応急処置と組み合わせる手段として覚えておくと役立ちます。

頭を高くして安静に過ごす

夜に歯が痛む時は、枕を少し高くして安静に過ごすと痛みが和らぎやすくなります。

横になると頭部への血流が増えやすく、歯の神経周辺の内圧が高まって痛みが強く感じられる傾向にあるためです。

日中よりも夜に痛みが増すように感じるのは、この血流の変化が関係しているといわれています。

枕やクッションを重ねて頭を心臓より少し高い位置に保つことで、歯の周囲に集まる血流をゆるやかに抑えることが期待できます。

痛む側を上にして横向きで休むほうが楽に感じる方もいます。

安静にしている間は、できるだけ歯のことを意識しすぎず、深呼吸をしながらゆっくり過ごすのも一つの方法です。

テレビや読書など、意識を別のことに向けられる工夫も痛みの感じ方をやわらげる助けになるでしょう。

無理をせず休む姿勢を整えることで、歯科医院を受診するまでの夜を少し楽に越えられるはずです。

歯の痛みに使える市販薬の選び方と注意点

歯の痛みに使える市販薬には、体の内側から働きかける飲み薬タイプと、歯や歯ぐきに直接塗って使うタイプの2種類があります。

痛みの出方や症状の場所によって適した選び方が変わるため、自分の状況に合うタイプを選ぶことが大切です。

鎮痛薬は誰にでも使えるわけではなく、年齢や持病、妊娠の有無などによっては服用を控えたほうが良い場合もあります。

用法・用量の表記をよく確認し、迷う時は薬剤師に相談すると安心でしょう。

ここでは、市販薬の代表的なタイプと服用時に気をつけたいポイントを順番に整理していきます。

飲み薬タイプの選び方

歯全体にズキズキと響くような痛みには、鎮痛成分を含む飲み薬タイプの市販薬が選択肢になります。

飲み薬に含まれるロキソプロフェン、イブプロフェン、アセトアミノフェンといった成分は、炎症に伴う痛みをやわらげる作用があり、歯科医院でも処方されることが多いお薬です[1][2]。

痛みの原因物質の産生を抑える働きが期待できるため、虫歯や親知らずによる拍動痛にも用いられています。

市販薬ではロキソニンSやイブA錠、バファリンAなどが代表的で、いずれもドラッグストアで入手可能です。

胃が弱い方には、胃を守る成分を配合した製品が選ばれる傾向にあります。

子ども向けには刺激が少ないアセトアミノフェンを含むお薬が用いられることが多く、年齢に合った製品を選ぶことが重要です。

成分ごとに特徴や副作用の出方が異なるため、薬剤師と相談しながら自分の体質に合うお薬を見つけておくと安心できます。

歯や歯ぐきに直接使う塗り薬タイプ

歯の一部や歯ぐきの限られた場所に痛みが出ている時は、直接塗って使う市販薬が選択肢になります。

塗り薬には局所麻酔成分が含まれているものがあり、塗布した部分の感覚を一時的に麻痺させることで痛みを感じにくくする働きが期待できます。

飲み薬と違って全身に成分がまわらないため、胃腸への負担が気になる方にも使いやすい点が特徴です。

代表的な市販薬には新今治水やデンタルクリーム、今治水などがあり、ジブカイン塩酸塩やアミノ安息香酸エチルといった成分が配合されています。

虫歯で穴が空いている場合に用いられる正露丸は、主成分の木クレオソートに鎮静作用があるとされ、穴に詰めて応急処置として使う方法が古くから知られています。

使う際は、製品の用法に記載された量を守り、痛い部分以外の歯や歯ぐきには広げないようにしましょう。

塗り薬はあくまで一時的に痛みを抑える手段のため、歯科医院での治療までのつなぎとして活用すると良いでしょう。

市販薬を服用する時の注意点

市販の痛み止めを服用する時は、用法・用量の厳守と体調・持病の確認が欠かせません

過剰な摂取は胃腸障害やアレルギー反応といった副作用のリスクを高め、人によっては成分が体に合わない場合もあるためです。

体質や年齢、妊娠の有無によっては服用を控えるべきケースがあり、自己判断で量を増やすのは避けたほうが安心でしょう。

ロキソプロフェンやイブプロフェンを含むお薬は空腹時を避けて服用し、次に服用するまで最低4時間以上は間隔を空けます[1]。

15歳未満の子どもや、ぜんそく・胃腸障害の既往がある方、妊娠後期の方などは服用を控えるべきケースが報告されています。

アルコールとの併用は副作用を強める恐れがあるため、お酒を飲んだ日は服用を避けたほうが良いでしょう。

複数のお薬を飲んでいる方は、飲み合わせによって効き方が変わることもあります。

判断に迷う時は自己判断せず、薬剤師や医師に相談することをおすすめします。

歯が痛い時に避けたいNG行動

歯が痛い時は応急処置と同じくらい、やってはいけない行動を知っておくことが大切です。

良かれと思って取った行動が、かえって痛みを悪化させてしまうケースは少なくありません。

避けるべき行動の多くは、血流を上げる行為と患部への刺激に集約されます。

これらを頭に入れておくだけで、歯科医院を受診するまでの時間を余計な悪化なく過ごせる可能性が高まります。

ここからは、歯が痛い時に特に控えたい行動を具体的に見ていきましょう。

血流を上げる行動を控える

歯が痛い時は、血流を上げる行動を控えるように心がけましょう

血流が増えると歯の神経周辺の内圧が高まり、神経が圧迫されて痛みが強く出る傾向にあります。

痛みの多くは炎症を伴っており、炎症は血流の増加によって拡大しやすい性質を持っています。

湯船に長く浸かる入浴、ジョギングや筋トレなどの激しい運動、飲酒といった行動は、血行を促進する代表的な行為です。

入浴はシャワーだけで済ませ、軽い動作でも痛みが強まる場合は無理をせず横になって休むほうが無難でしょう。

タバコに含まれるニコチンも血管の状態に影響し、炎症を長引かせる要因になるといわれています。

「少し汗を流せば気がまぎれるかな」と考えて運動や長風呂を選んでしまう方もいますが、症状が悪化する場合もあります。

受診までの時間は体を温めすぎず、穏やかに過ごすことを心がけてみてください。

患部に直接触れる・強く磨く

痛む歯や歯ぐきを指や舌で触ったり、強くブラッシングしたりする行為は避けるのが賢明です。

患部に直接触れると、手や口の中の細菌が刺激を与え、炎症が広がる恐れがあります。

また、痛みの原因となっている歯の神経や歯ぐきをさらに圧迫してしまうため、結果として痛みが強まる傾向にあります。

食べかすが気になって歯ブラシで強くこすったり、爪楊枝で無理に取り除こうとしたりするのは控えましょう。

どうしても汚れを取りたい時は、やわらかめの歯ブラシを使ってやさしく磨くか、デンタルフロスで慎重に清掃する方法が望ましいでしょう。

気になる痛みを確かめようと舌でつつく動作も、刺激を与える行為なので意識して避けてください。

口の中の清潔さを保ちつつも患部を刺激しない心がけが、痛みの悪化を防ぐポイントになります。

痛い歯で食べ物を噛む

痛みのある歯で食事を取ることは、症状の悪化につながるので控えましょう

噛む動作によって歯に強い圧力がかかり、炎症を起こしている神経や歯根に直接刺激が加わります。

硬いものや熱いもの、冷たいものは特に痛みを引き起こしやすく、虫歯の穴がある場合は食べかすが詰まって痛みが長引くこともあります。

食事の際は、痛む歯と反対側で噛むように意識し、やわらかく温度差のない食べ物を選ぶのが望ましい対応です。

スープやお粥、ゼリー、ヨーグルトなどは、歯への負担が少なく栄養も取りやすい選択肢でしょう。

辛いものや酸味の強いものは刺激となる場合があるため、痛みが落ち着くまで避けたほうが安心できます。

食後はぬるま湯でやさしくうがいをして、口の中を清潔に保つと再発リスクを抑えやすくなります。

無理をせず食事の内容と噛み方を工夫することで、受診までの時間を穏やかに過ごせるでしょう。

市販薬や応急処置で痛みが引かない時の対処

応急処置や市販薬を試しても痛みが引かない時は、歯に強い炎症や感染が進行している可能性があります。

こうした状態では、鎮痛薬が効きにくいだけでなく、放置すると症状がさらに悪化する恐れもあります。

痛みが治まらない時に無理に我慢を続けるのではなく、次の一手として夜間・休日の歯科救急を活用する選択肢を知っておきましょう。

ここでは、市販薬が効きにくい歯の状態と、夜間や休日でも受診できる医療機関の探し方を整理していきます。

鎮痛薬が効きにくい歯の状態

市販の鎮痛薬を服用しても痛みが引かない時は、歯の内部で強い炎症や感染が進んでいる状態が考えられます。

鎮痛薬は痛みの原因物質を抑える働きが期待できる一方、炎症の程度が強すぎる場合や神経に直接感染が広がっている場合には、効きにくくなるケースが報告されています。

原因を取り除かない限り痛みの根本は残るため、お薬で一時的に抑えてもぶり返しやすい傾向にあります。

虫歯が歯の神経(歯髄)にまで達して炎症を起こした歯髄炎では、神経が腫れて血管を圧迫するため、鎮痛薬が効きにくくなることが知られています。

歯の根の先に膿がたまる根尖性歯周炎でも、膿による圧力で激しい痛みが出て、お薬だけでは抑えきれない場合があります。

ほかにも、歯にひびが入っている歯根破折、親知らずの周囲に炎症が起こる智歯周囲炎なども、鎮痛薬が効きにくい代表的なケースです。

虫歯や歯ぐきの痛みではなく、三叉神経や副鼻腔のトラブルが原因で歯痛のような症状が出ていることもあります。

こうしたケースでは自己判断でお薬を追加するのではなく、歯科医師に相談することが望ましいでしょう。

夜間・休日に受診できる歯科救急の探し方

夜間や休日に痛みが我慢できない時は、地域の歯科救急や休日診療窓口を利用する方法があります。

歯科医院の多くは夜間や日曜・祝日に診療を行っていませんが、自治体単位で休日歯科診療所を設けている地域が多くあります。

応急的な処置を受けることで、翌日かかりつけの歯科医院を受診するまでの痛みを抑えられる可能性があります。

お住まいの市区町村のホームページで「休日歯科診療」「夜間歯科診療」と検索すると、当番医や診療時間が確認できます。

各都道府県の歯科医師会が運営する休日診療所もあり、日本歯科医師会の公式サイトから地域別の情報を調べられる仕組みです。

全国どこからでも利用できる相談窓口としては、救急安心センター事業(#7119)や厚生労働省の医療機関情報提供サイトが参考になります。

救急外来での処置はあくまで応急的な対応のため、翌日以降にかかりつけの歯科医院で根本的な治療を受けることが欠かせません。

緊急時にも落ち着いて行動できるよう、あらかじめ地域の休日診療窓口を確認しておくと安心できます。

すぐに歯科医院を受診すべき症状のサイン

歯の痛みには、応急処置で様子を見ても良い場合と、すぐに歯科医院を受診すべきケースがあります。

顔の腫れや強い痛みが続く場合、発熱を伴う場合などは、感染が広がっているサインの可能性があります。

こうした症状を見逃して対処が遅れると、治療に時間がかかったり全身への影響が出たりする恐れもあります。

受診のタイミングを判断するためにも、危険なサインを知っておきましょう。

ここでは、歯科医院をすぐに受診すべき症状と、痛みが治まった後の注意点を整理していきます。

顔が腫れる・激しい痛みが続く

顔や歯ぐきが腫れていたり、鎮痛薬を服用しても治まらない強い痛みが続いたりする時は、早めに歯科医院を受診する必要があります。

顔の腫れは、歯の根の先や歯ぐきに膿がたまっている状態を示すサインの一つです。

鎮痛薬でも抑えきれないほどの痛みは、神経の炎症や感染がかなり進行している可能性が考えられます。

片側の頬がはっきり腫れている、口が開けづらい、目の下まで腫れが広がっているといった症状が出ている場合は、放置せず受診を検討してください。

脈打つようにズキズキと痛みが続き、横になると痛みが強まる状態も、炎症が進行しているサインとされています。

何もしていなくても常に強い痛みがある場合は、お薬だけで対処するのは難しいと考えたほうが良いでしょう。

腫れや激しい痛みがある時は、無理に我慢せず早めに歯科医師に相談してみてください。

発熱や全身症状を伴う

歯の痛みに加えて発熱やだるさ、リンパの腫れなどの全身症状がある時は、すぐに歯科医院を受診することが望ましいでしょう。

歯や歯ぐきの感染が進むと、細菌が血流にのって全身に広がる恐れがあり、発熱はその兆候の一つと考えられます。

特に顔の腫れと発熱が同時にみられる場合は、重症化のリスクが高い状態として注意が必要です。

38度以上の発熱や、体を動かすのもつらいほどのだるさ、飲み込みにくさ、息苦しさを伴う時は、歯科医院に事前連絡をして受診することをおすすめします。

夜間や休日であれば、休日歯科診療所や救急外来を利用する選択肢もあります。

細菌感染による炎症が顎の骨や首周辺にまで広がった場合、入院治療が必要になるケースも報告されています。

発熱を伴う歯の痛みは感染のサインと受け止め、早めの医療機関受診を心がけることが大切です。

痛みが治まっても油断は禁物

痛みがなくなったからといって、歯科医院への受診を先延ばしにするのは避けましょう

歯の痛みが自然に消えた背景には、虫歯が神経まで到達して神経が死んでしまったケースが含まれます。

神経が働かなくなると一時的に痛みを感じなくなりますが、細菌感染はそのまま進行し、後から再び強い痛みや腫れが現れることが多く報告されています。

痛みが治まった状態で放置すると、歯の根の先に膿がたまったり、顎の骨まで炎症が広がったりする恐れがあります。

最悪の場合は抜歯が必要になるケースもあり、治療期間や費用の負担も大きくなりがちです。

「痛みが引いたからもう大丈夫」と自己判断せず、原因を特定するためにも歯科医院を受診することが望ましいでしょう。

早めに歯科医師の診察を受けておくことで、大切な歯を残せる可能性が高まります。

歯が痛くなる主な原因と見分け方

歯の痛みの背景には、虫歯だけでなく歯周病や親知らず、知覚過敏などさまざまな原因があります。

原因によって痛み方や対処の仕方が変わるため、自分の痛みの特徴を把握しておくと歯科医師への説明もしやすくなります。

ここでは、代表的な歯痛の原因と、それぞれの痛みの見分け方を整理していきます。

セルフチェックはあくまで目安であり、正確な診断には歯科医院での検査が欠かせない点も押さえておきましょう。

虫歯による痛み

歯の痛みで最も多い原因は、虫歯の進行によるものです。

虫歯は口の中の細菌が作り出す酸によってエナメル質や象牙質が溶けていく病気で、進行度合いによって痛み方が大きく変わります。

初期の段階では痛みをほとんど感じないものの、進行すると冷たいもので歯がしみる、何もしていなくてもズキズキ痛むといった症状が現れるようになります。

エナメル質だけが浅く溶けている段階では、自覚症状がほとんどないケースも少なくありません。

象牙質まで進行すると冷たいものや甘いものがしみる痛みが出やすくなり、さらに神経近くまで達すると拍動するような強い痛みが続くようになります。

神経まで感染が広がった状態では、鎮痛薬が効きにくくなることもあります。

こうした症状がある場合は、進行した虫歯の可能性が高いため、早めの受診が望ましい対応になります。

虫歯の治療は進行度が浅いほど体への負担が少なく、痛みを感じ始めたタイミングで受診する姿勢が大切です。

歯周病・親知らず・知覚過敏による痛み

歯周病や親知らず、知覚過敏は、虫歯と並んで歯痛の原因として多く見られます

歯周病は歯と歯ぐきの間にたまった歯垢が原因で、歯ぐきに炎症を起こす病気です[3]。

親知らずは生える向きや位置によって歯ぐきに炎症を起こしやすく、知覚過敏は歯の表面が削れて刺激に敏感になった状態を指します。

歯周病では歯ぐきが赤く腫れたり、噛むと鈍い痛みが出たりする傾向にあります。

親知らずの周囲が痛む場合は、奥歯の後ろが腫れて口を開けづらくなったり、顎の付け根まで痛みが広がったりするケースも見られます。

知覚過敏では、冷たい飲み物や冷たい空気を吸い込んだ時など、瞬間的に鋭い痛みが走るのが特徴です。

歯を噛み合わせた時に違和感があるのか、冷たいものだけがしみるのか、常にズキズキしているのかで、想定される原因がある程度絞り込めます。

痛みの出方に応じて歯科医師に伝えられるよう、受診前にメモを取っておくと診断がスムーズに進みやすくなります。

歯以外の場所からくる痛み

歯の痛みのように感じても、実は歯以外の場所に原因があるケースも見られます。

歯の周囲には三叉神経や副鼻腔といった組織があり、これらにトラブルが起きると歯が痛むような症状が出ることがあるためです。

この種の痛みは非歯原性歯痛と呼ばれ、歯科の通常の治療では改善しないのが特徴とされています。

副鼻腔炎(蓄膿症)では、上の奥歯周辺にじんわりとした痛みや圧迫感が出ることが知られています。

三叉神経痛では、顔の片側に電気が走るような鋭い痛みが数秒から数十秒続くパターンが見られます。

まれに、狭心症や心筋梗塞など心臓のトラブルが左下あごの痛みとして現れるケースも報告されています。

鎮痛薬を服用してもまったく痛みが変わらない、歯科医院でも明らかな原因が見つからないといった場合には、ほかの診療科への相談を検討することも一つの方法になるでしょう。

判断に迷う時は、自己判断で放置せず歯科医師に確認することをおすすめします。

歯の痛みに関するよくある質問

歯の痛みや応急処置について、多くの方が気になりやすい疑問を4つピックアップし、歯科医院を受診するまでに役立つ情報としてまとめました。

判断に迷った時の参考にしてみてください。

Q. 歯が痛い時は冷やすのと温めるのどちらがいいですか?

虫歯や炎症による拍動痛には、痛む側の頬を外側から冷やすほうが痛みを和らげる助けになります。

体を温めると血流が増えて神経への圧迫が強まり、痛みが悪化する恐れがあります。

ただし知覚過敏や抜歯後の痛みでは冷却で悪化するケースもあるため、試して痛みが強まったら中止してください。

Q. 夜中に歯が痛くて眠れない時はどうすればいいですか?

市販の鎮痛薬を用法・用量を守って服用し、痛む側の頬を冷却シートなどでやさしく冷やす方法が基本の応急処置になります[1]。

枕を少し高くして頭への血流を抑える姿勢も痛みをやわらげる助けになります。

それでも耐え難い痛みが続く場合は、地域の夜間歯科診療窓口への相談を検討すると安心できるでしょう。

Q. 妊娠中でも飲める痛み止めはありますか?

妊娠中の痛み止めは自己判断で服用せず、かかりつけの産婦人科医や歯科医師、薬剤師に必ず相談することが望ましいでしょう。

妊娠時期によっては使用を控えるべき成分もあり、個人の体調により判断が変わります。

痛みが強い時は我慢せず、妊婦の診療実績がある歯科医院を早めに受診することをおすすめします。

Q. 痛みが治まれば歯医者に行かなくても大丈夫ですか?

痛みが消えても原因となる虫歯や炎症は残っている可能性が高いため、歯科医院を受診することが望ましいでしょう。

神経が死んで痛みを感じなくなっただけのケースもあり、放置すると膿がたまったり抜歯が必要になったりする恐れがあります。

再発を防ぐためにも、早めに歯科医師の診察を受けておくと安心できます。

まとめ

歯が痛いのにすぐ歯医者に行けない時は、応急処置で一時的に痛みを和らげられる可能性があります。

家でできる応急処置の基本は、市販薬の服用、患部を外側から冷やす、うがい、ツボの刺激、頭を高くしての安静の5つです。

市販薬は用法・用量を守ることが欠かせず、妊娠中の方や持病のある方は薬剤師や医師に相談することが望ましい対応になります。

血流を上げる入浴や飲酒、運動、患部への直接的な刺激は、痛みを悪化させる原因となるため避けてください。

鎮痛薬が効かない、顔が腫れている、発熱を伴うといった症状がある時は、夜間・休日の歯科救急も含めて早めに受診することが重要です。

痛みが治まったとしても原因が消えたわけではないため、なるべく早めに歯科医院を受診しておくと安心できます。

急な歯の痛みに備えて、お住まいの地域の休日歯科診療窓口を事前に把握しておくのも一つの方法といえるでしょう。

参考文献

[1] 第一三共ヘルスケア株式会社「ロキソニンS 添付文書」(最終閲覧日:2026年5月22日)

https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/site_loxonin-s/shiyohjo.html

[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「鎮痛薬(解熱鎮痛薬)について」(最終閲覧日:2026年5月22日)

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/

[3] 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯周病」(最終閲覧日:2026年5月22日)

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-01-003.html

※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、医療アドバイスではありません。

お薬の服用に関しては必ず医師にご相談ください。

※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。

※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。