顎関節症の原因とは?歯ぎしり・ストレス・姿勢の癖をやさしく解説

顎が痛んだり音が鳴ったりすると、なぜ自分が顎関節症になったのか気になりませんか?

顎関節症の原因は一つではなく、歯ぎしりや食いしばり、ストレス、噛み合わせ、姿勢の癖などが重なって起こることがほとんどです。

これらは無意識の癖が関わっていることが多く自分では気づきにくいため、原因を知ることが対処や予防の大切な第一歩になります。

この記事では、顎関節症の主な原因、なりやすい人の特徴、女性に多い理由、原因別の対処までをわかりやすく整理しますので、思い当たる原因を見つけたい方はぜひ参考にしてください。

顎関節症はなぜ起こる?原因の基本

顎関節症と言われても、なぜ顎に不調が起こるのか、いまひとつイメージしづらいですよね。

顎関節症は、顎の関節や筋肉に負担がかかり続けることで、痛みや音、開けにくさといった症状があらわれる病気です[1]。

その負担を生み出す要因はさまざまで、ひとつの原因だけで起こることはむしろ少ないとされています。

まずは顎に負担がかかる仕組みと、原因が重なって起こるという考え方を整理しておきましょう。

顎関節症で顎に負担がかかる仕組み

顎関節症の症状は、顎の関節やまわりの筋肉、関節のクッションである関節円板に負担が積み重なることで起こります

下あごは頭の骨に筋肉でぶら下がるようにつながっていて、大きく動く関節のため、過度な力がかかり続けると正しい位置から少しずつずれてしまいます。

関節や筋肉、関節円板のどこに負担が偏るかによって、痛み・音・開けにくさといった症状の出方が変わってきます。

強い食いしばりが続いて筋肉が疲れて痛みが出たり、関節円板がずれて口を開けるたびに音が鳴ったりするのは、こうした負担の表れです。

毎日少しずつ加わる力が積み重なって、気づかないうちに症状につながっていくケースも少なくありません。

仕組みを知っておくと、なぜ癖の見直しが大切なのかが分かりやすくなり、落ち着いて原因と向き合えるはずです。

原因は一つではなく複数が重なる

顎関節症は「これが原因」と一つに決めつけられないことがほとんどで、複数の要因が重なって起こります

歯ぎしりや食いしばり、ストレス、噛み合わせ、姿勢の癖などが、互いに影響し合いながら顎への負担を強めていくためです。

そのため、原因を一つ見つけて終わりにするのではなく、思い当たる要因を幅広く見直していく姿勢が役立ちます。

仕事の緊張でストレスがたまり、それが食いしばりを強め、さらに頬杖の癖も重なって症状が出た、というように複数が絡むケースは珍しくありません。

逆に言えば、関わっている要因を一つずつ減らしていくことで、顎への負担を和らげていける場合も多いものです。

原因は一つではないという前提で、自分に当てはまる要因を整理してみるのが良いでしょう。

原因を知ることが対処や予防につながる

顎関節症は、原因を知ることが、そのまま対処や予防の第一歩になります。

多くの原因は無意識の癖や生活習慣にあるため、自分でも気づかないうちに顎へ負担をかけていることが少なくありません。

どんな癖が負担になっているかが分かれば、意識して減らすだけでも症状の改善や悪化の予防につながります。

日中に歯を食いしばっていたと気づいて意識的に力を抜くようにしたら、顎の張りが楽になったと感じる方もいます。

原因を知ることは不安をあおるためではなく、できることを見つけて前向きに対処するための手がかりになります。

まずは思い当たる原因に気づくところから始めれば、無理なく対処を進めていけるはずです。

顎関節症の主な原因

自分の顎の不調がどこから来ているのか、思い当たらず気になっている方も多いのではないでしょうか。

顎関節症の原因は、無意識の癖から姿勢、ストレスまで幅広く、複数が重なって起こることがほとんどです[1]。

すべてが当てはまるわけではありませんが、思い当たるものを知ることで対処の手がかりが見つかります。

ここからは、顎関節症を招きやすい代表的な6つの原因を一つずつ見ていきます。

歯ぎしり・食いしばり(TCHを含む)

顎関節症のもっとも代表的な原因が、歯ぎしりや食いしばりです[2]。

就寝中の歯ぎしりや日中の食いしばりでは、顎の関節や筋肉に強い力が繰り返しかかり、その負担が積み重なって症状につながります

日中に上下の歯を触れ合わせ続ける「TCH(歯列接触癖)」も、弱い力でも長く続くことで顎に負担をかける見落としやすい癖です[1]。

本来、上下の歯は会話や食事のとき以外はわずかに離れているのが自然で、集中しているときに気づくと歯を噛みしめている方は注意が必要です。

朝起きたときに顎がだるい、家族に歯ぎしりを指摘されたことがあるといった心当たりも、見極めの手がかりになります。

自分では気づきにくい癖のため、思い当たる方は日中に歯を離す意識から始めてみるのが良いでしょう。

ストレス・精神的緊張

ストレスや精神的な緊張も、顎関節症の大きな原因の一つです。

強い緊張やストレスが続くと、無意識のうちに歯を食いしばったり、顎まわりの筋肉がこわばったりしやすくなるためです。

筋肉の緊張が続くことで、顎の痛みや動かしにくさにつながっていきます。

仕事や勉強に集中しているとき、悩みごとを抱えているときに顎の不調が強まったと感じる方は少なくありません。

睡眠不足や疲れがたまっている時期ほど、食いしばりや歯ぎしりが増えやすいともいわれています。

心と顎の状態は深くつながっているため、こまめに力を抜いて休む時間をつくることも、顎をいたわる一歩になると考えられます。

噛み合わせ・歯並び(合わない詰め物・被せ物)

噛み合わせや歯並びのバランスの乱れも、顎関節症に関わることがあります

上下の歯がうまく噛み合っていないと、顎の関節や筋肉に偏った力がかかりやすくなるためです。

合わない詰め物や被せ物、入れ歯、放置した抜けた歯なども、噛み合わせのずれにつながることがあります。

八重歯などで歯が不自然な位置にある方や、片側ばかりで噛む癖がある方は、顎に偏った負担がかかりやすいといえます。

ただし、噛み合わせだけが原因とは限らず、ほかの要因と重なって起こることが多いものです。

噛み合わせは自分では判断しにくいため、気になる場合は歯科で確認してもらうと安心です。

頬杖・片噛み・うつ伏せ寝などの生活習慣

毎日の何気ない癖や習慣も、顎に負担をかけて顎関節症につながることがあります[1]。

同じ方向にばかり力が加わると、顎の関節や筋肉のバランスがくずれやすくなるためです。

頬杖をつく、片側だけで噛む、うつ伏せで寝る、肩でスマートフォンや受話器をはさむといった癖が、その代表です。

いつも同じ側を下にして寝ている、テレビを見るときに決まった側に頬杖をついているといった習慣に、心当たりはありませんか。

固いものを好んでよく噛む、大きな口を頻繁に開けることも、顎の負担になる場合があります。

どれも少し意識すれば見直せる習慣のため、思い当たるものから整えていくのが良いでしょう。

姿勢の癖・スマホ・前傾姿勢

日常の姿勢、とくにスマートフォンやパソコンを使うときの前傾姿勢も、顎関節症に関わることがあります。

下あごは頭の位置とのバランスで安定しているため、前かがみの姿勢が長く続くと顎が本来とは違う位置に収まり、関節への負担が増えやすくなります。

猫背や首が前に出た姿勢も、顎まわりの筋肉に余計な緊張を生みます。

スマートフォンを長時間うつむいて見続ける、デスクワークで同じ前傾姿勢が続くといった生活は、知らないうちに顎へ負担をかけている場合があります。

ときどき姿勢を正す、画面の高さを上げて目線を保つといった工夫が、顎の負担を減らすことにつながります。

姿勢は意識すれば変えられる部分のため、こまめに整える習慣を持っておくと安心です。

外傷・スポーツでの食いしばり

顎をぶつけるなどの外傷や、スポーツでの強い食いしばりが、顎関節症のきっかけになることもあります。

転倒や事故で顎を打つと、関節や周囲の組織が傷ついて不調につながることがあるためです。

激しいスポーツでは瞬間的に強く食いしばる場面が多く、その力が顎に負担をかけることもあります。

コンタクトスポーツや重い物を持ち上げる動作、歯を食いしばって力を入れる競技などをしている方は、顎への負担が大きくなりやすいといえます。

過去に顎を強くぶつけた経験が、あとから症状に関わってくる場合もあります。

思い当たるきっかけがあるときは、その情報を受診時に伝えると原因を見つけやすくなるでしょう。

顎関節症になりやすい人の特徴

ここまで読んで、自分は顎関節症になりやすいタイプなのか気になってきた方もいるのではないでしょうか。

顎関節症は誰にでも起こりうる病気ですが、顎に負担をかける癖や状態が重なっている人ほど起こりやすい傾向があります。

当てはまる項目が多いほど、ふだんから顎をいたわる意識を持っておくと安心です。

ここでは、なりやすい人の特徴を癖と心身の状態の両面から整理します。

癖・生活習慣からみたなりやすい人

顎に負担をかける癖や生活習慣が多い人ほど、顎関節症になりやすい傾向があります。

歯ぎしりや食いしばり、片噛み、頬杖、うつ伏せ寝といった癖は、いずれも顎へ偏った力を加え続けるためです[1]。

一つひとつは小さな負担でも、毎日積み重なることで顎関節への影響が大きくなっていきます。

集中すると無意識に食いしばる、いつも同じ側で噛む、長時間うつむいてスマートフォンを見る、固いものをよく噛むといった習慣がある方は、当てはまりやすいといえます。

噛み合わせが気になる、合わない被せ物をそのままにしているといった点も、なりやすさに関わります。

当てはまる癖が多い場合は、できるところから一つずつ見直していくのが良いでしょう。

体やこころの状態からみたなりやすい人

体やこころの状態も、顎関節症のなりやすさに関わっています

ストレスや緊張が強い人、睡眠が浅い人は、無意識の食いしばりや筋肉のこわばりが起こりやすいためです[2]。

疲れがたまっていたり、姿勢がくずれていたりすると、顎まわりの筋肉にも負担が及びやすくなります。

責任ある仕事で気を張る時期が続く、悩みごとで眠りが浅い、デスクワークで猫背になりがちといった状態の方は、顎にも影響が出やすいといえます。

緊張する場面で歯を食いしばる癖がある方も、注意しておきたいタイプです。

心身の状態は顎にもあらわれるため、無理を重ねていると感じるときは、顎を含めて体をいたわってあげるとよいでしょう。

顎関節症が女性に多いといわれる理由

顎関節症は女性に多いと聞いて、なぜだろうと感じた方もいるのではないでしょうか。

実際に、顎関節症で受診する方は男性より女性に多い傾向があるとされていますが、その理由はまだはっきりとは分かっていない部分もあります。

考えられる背景として、女性は顎の関節や筋肉のつくりが男性と異なり、関節にかかる負担の影響を受けやすい可能性が指摘されています。

また、女性ホルモンが関節や筋肉、痛みの感じ方に影響している可能性や、痛みや不調に気づいて受診につながりやすいことも関係していると考えられています。

20代から30代の女性で顎の不調を感じて相談する方が比較的多い一方、男性や子ども、年配の方でも起こるため、性別を問わず注意したい病気です。

女性に多い傾向があるとはいえ、原因そのものは歯ぎしりやストレス、姿勢の癖など共通しているため、気になる症状があれば性別にかかわらず歯科で相談しておくと安心です。

原因別に見る顎関節症の対処・予防

原因が分かってきたら、次に気になるのは「ではどうすればいいのか」という点ですよね。

顎関節症は、関わっている原因を一つずつ減らしていくことで、症状の改善や悪化の予防につながります[1]。

特別なことをするより、毎日の癖や過ごし方を少し見直すことが、いちばんの近道になります。

ここでは、代表的な原因ごとに自分でできる対処と予防を整理します。

歯ぎしり・食いしばりへの対処

歯ぎしりや食いしばりが気になる方は、顎にかかる力を減らす工夫が対処の中心になります。

強い力が顎に繰り返しかかると負担が積み重なるため、日中の食いしばりに気づいて力を抜くことが大切です[2]。

就寝中の歯ぎしりには、歯科で作るマウスピース(ナイトガード)という選択肢もあります。

パソコン作業中や集中しているときに、上下の歯が触れていないかをときどき確認し、軽く離す習慣をつけると負担が和らぎます。

「歯を離す」と書いた付箋を目に入る場所に貼って、意識づけをする方もいます。

無意識の癖はすぐには変わりませんが、気づいて離すことを続けるだけでも負担を減らせるため、できる範囲で取り入れていくのが良いでしょう。

ストレスとの付き合い方

ストレスが食いしばりや筋肉の緊張につながっている場合は、ストレスをためすぎない工夫が役立ちます

緊張が続くと無意識の食いしばりや顎まわりのこわばりが起こりやすくなるため、心身をゆるめる時間をつくることが顎の負担軽減につながります。

ストレスを完全になくすのは難しくても、上手に発散する方法を持っておくことが助けになります。

軽い運動やストレッチ、ゆっくり湯船につかる、趣味の時間を持つ、深呼吸をするといった方法で、緊張をほぐす習慣を取り入れる方もいます。

睡眠をしっかりとって疲れをためないことも、食いしばりを減らすことにつながります。

心がほぐれると顎の力も抜けやすくなるため、自分に合ったリラックス法を見つけておくと安心です。

姿勢・生活習慣の見直し

頬杖や片噛み、姿勢の癖を見直すことも、顎関節症の対処と予防に役立ちます

同じ方向にばかり負担がかかると顎のバランスがくずれやすくなるため、左右均等に使う意識が大切です。

前傾姿勢や猫背を整えることも、顎まわりの筋肉の緊張をやわらげます。

食事のときは左右の歯でバランスよく噛む、頬杖をやめる、就寝時は仰向けで低めの枕を使う、スマートフォンは目線を上げて見るといった工夫が取り入れやすい方法です。

長時間同じ姿勢を続けないよう、ときどき体を動かして力を抜くことも大切です。

どれも今日から始められる小さな見直しのため、無理なく続けられるものから取り入れていくと安心です。

こんな症状は早めに歯科へ

原因を見直しても症状が続くと、受診したほうがよいのか迷ってしまいますよね。

顎関節症は軽ければ生活の見直しで和らぐこともありますが、症状によっては早めに歯科で相談したほうがよいサインもあります。

痛みが強い、長く続く、口が開きにくいといった場合は、自己流のケアだけで様子を見すぎないことが大切です。

特に、口が指1本ほどしか開かなくなった、急に開かなくなった、痛みで食事がつらいといった状態は、早めの受診を考えたいサインになります。

また、顎の不調の裏に、まれに別の病気が隠れていることもあるため、原因の見分けという意味でも歯科で診てもらう価値があります。

原因を知って自分でできる対処を続けつつ、つらい症状はためらわず歯科に相談することが、こじらせないためのいちばんの近道になります。

顎関節症の原因に関するよくある質問

Q1:顎関節症はなぜ起こるのですか?

顎関節症は、顎の関節や筋肉、関節円板に負担が積み重なることで、痛みや音、開けにくさといった症状が起こります

その負担の背景には、歯ぎしりや食いしばり、ストレス、噛み合わせ、姿勢の癖などがあります。

原因は一つではなく複数が重なっていることが多いため、思い当たる要因を幅広く見直すことが大切です。

Q2:顎関節症はストレスだけが原因ですか?

ストレスは顎関節症の大きな要因ですが、それだけが原因とは限りません

ストレスは食いしばりや筋肉の緊張を強める形で関わりますが、噛み合わせや姿勢の癖、歯ぎしりなども重なって起こることがほとんどです。

ストレスへの対処に加えて、ほかの癖や習慣も合わせて見直すと、より負担を減らしやすくなります。

Q3:顎関節症はなぜ女性に多いのですか?

顎関節症は女性に多い傾向があるとされていますが、理由ははっきり分かっていない部分もあります。

顎の関節や筋肉のつくり、女性ホルモンの影響、痛みに気づいて受診しやすいことなどが関係している可能性が指摘されています。

ただし男性や子どもにも起こるため、性別を問わず気になる症状があれば相談しておくと安心です。

Q4:自分の顎関節症の原因はどう見分ければいいですか?

まずは、歯ぎしりや食いしばり、頬杖、片噛み、うつ伏せ寝、姿勢の癖など、思い当たる習慣がないかを振り返ってみましょう

ただし、原因を自分だけで正確に見分けるのは難しく、噛み合わせなどは専門的な確認が必要です。

歯科で相談すると原因を整理してもらえるため、気になるときは受診して確かめるのがおすすめです。

まとめ

顎関節症は、顎の関節や筋肉に負担が積み重なって起こり、その原因は一つではなく複数が重なることがほとんどです。

代表的な原因には、歯ぎしりや食いしばり、ストレス、噛み合わせや歯並び、頬杖や片噛みなどの生活習慣、姿勢の癖、外傷などがあります。

無意識の癖が関わっていることが多いため、自分では気づきにくいのが顎関節症の特徴です。

女性に多い傾向はありますが、原因そのものは性別を問わず共通しており、誰にでも起こりうる病気です。

原因を知ることは不安をあおるためではなく、思い当たる要因を一つずつ減らして対処や予防につなげるための手がかりになります。

痛みが強い・長く続く・口が開きにくいといった場合は、放置せず早めに歯科で相談することが大切です。

まずは思い当たる癖や習慣を見直すところから始め、気になる症状があれば歯科に相談してみてください。

参考文献

[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「顎関節症」(最終閲覧日:2026年4月29日)

https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth/h-05-001.html

[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯ぎしり」(最終閲覧日:2026年4月29日)

https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/teeth/yh-028.html

※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、医療アドバイスではありません。

気になる症状がある場合は必ず歯科医師・医師にご相談ください。

※症状や効果の現れ方には個人差がございます。

※医師・歯科医師の判断により、適した対処や治療法が異なる場合があります。