シリコン入れ歯とは?メリット・デメリットと費用の目安を解説

今の入れ歯が当たって痛く、やわらかいシリコン入れ歯が気になっていませんか?
シリコン入れ歯は、歯ぐきに触れる部分に軟らかい素材を使った入れ歯で、当たりの痛みをやわらげることが期待できる選択肢の一つです。
ただし、費用が自費になりやすいことや定期的なメンテナンスが必要といった面もあるため、両方を知って選ぶことが大切です。
この記事では、シリコン入れ歯とは何か、メリット・デメリット、費用の目安や普通の入れ歯との違いまでをやさしく整理しますので、検討している方はぜひ参考にしてください。
シリコン入れ歯とは?普通の入れ歯との違い
シリコン入れ歯とは、歯ぐきに触れる部分に、軟らかいシリコン系の素材を用いた入れ歯です。
「普通の入れ歯と、どこが違うのだろう」と気になる方も多いのではないでしょうか。
一般的な入れ歯は硬いプラスチック(レジン)でできているのに対し、シリコン入れ歯は歯ぐきに当たる部分が軟らかく作られているためです。
まずは違いを知っておくと、自分に合うかどうかを考える手がかりになります。
一般的な保険の入れ歯は、歯ぐきに触れる床の部分が硬いレジンでできており、その硬さが歯ぐきに当たって痛みを感じることがあります。
これに対してシリコン入れ歯は、歯ぐきに触れる床の内面に軟らかい素材を用いることで、当たりをやわらげることを目指した入れ歯です。
この軟らかい素材はクッションのような役割を果たし、噛んだときの歯ぐきへの当たりをやわらげることが期待できます。
なお、シリコン入れ歯は、軟性義歯や軟らかい入れ歯などと呼ばれることもあります。
まずは、歯ぐきに当たる部分が軟らかいのがシリコン入れ歯だと知っておくとよいでしょう。
シリコン入れ歯のメリット
シリコン入れ歯には、軟らかい素材ならではのいくつかのメリットがあります。
「シリコン入れ歯にすると、どんな良い点があるのだろう」と気になる方も多いのではないでしょうか。
歯ぐきに触れる部分が軟らかいことで、装着感や噛み心地の面で利点が期待できるためです。
メリットを知っておくと、自分の悩みに合うかどうかを判断しやすくなります。
ここでは、シリコン入れ歯の主なメリットを整理します。
歯ぐきへの当たりがやわらかく痛みを抑えやすい
シリコン入れ歯の大きなメリットは、歯ぐきへの当たりがやわらかく、痛みを抑えやすいことです。
歯ぐきに触れる部分が軟らかい素材でできているため、硬い入れ歯に比べて、噛んだときの歯ぐきへの当たりがやわらぐためです。
今使っている硬い入れ歯が当たって痛い、歯ぐきがやせていて痛みを感じやすいといった方にとって、当たりのやわらかさは大きな利点になります。
ただし、痛みの感じ方には個人差があり、必ず痛みがなくなるわけではないため、過度に期待せず歯科で相談することが大切です。
当たりをやわらげることが期待できる点が、シリコン入れ歯の代表的なメリットです。
痛みが気になる方の選択肢の一つとして知っておくとよいでしょう。
歯ぐきに吸着しやすく外れにくい
シリコン入れ歯は、歯ぐきに吸着しやすく、外れにくいことも期待できます。
軟らかい素材が歯ぐきの形にフィットしやすく、密着することで、入れ歯が安定しやすくなるためです。
入れ歯が動いたり外れたりしやすいと、食事や会話のときに気になりますが、フィットしやすいことでその不安をやわらげられることがあります。
しっかりフィットすることで、安定して使いやすくなることが期待できます。
ただし、吸着や安定の感じ方にも個人差があるため、実際の適合は歯科で確認してもらうことが大切です。
外れにくさが期待できる点も、シリコン入れ歯のメリットの一つです。
しっかり噛みやすくなることが期待できる
入れ歯が安定し、当たりの痛みがやわらぐことで、しっかり噛みやすくなることも期待できます。
痛みや外れる不安があると噛むのをためらいがちですが、それらがやわらぐことで、安心して噛みやすくなるためです。
しっかり噛めるようになると、食べられるものの幅が広がり、食事を楽しみやすくなることも期待できます。
入れ歯によって噛む機能を補えることは知られており、よく噛めている人は健康状態が高いという調査結果も報告されています[1]。
ただし、噛みやすさの感じ方には個人差があり、すべての方に同じ効果があるわけではありません。
しっかり噛みやすくなることが期待できる点も、メリットとして知っておくとよいでしょう。
シリコン入れ歯のデメリット・注意点
シリコン入れ歯にはメリットがある一方で、知っておきたいデメリットや注意点もあります。
「良いところばかりではないのでは」と気になる方も多いのではないでしょうか。
シリコン入れ歯は軟らかい素材を使う特性上、費用やメンテナンスの面で、一般的な入れ歯とは異なる注意点があるためです。
デメリットも知っておくことで、納得して選ぶことができます。
ここでは、シリコン入れ歯の主なデメリット・注意点を整理します。
自費になりやすく費用が高め
シリコン入れ歯のデメリットの一つは、自費診療になりやすく、費用が高めになることです。
シリコン系の軟らかい素材を使った入れ歯は、多くの場合、公的医療保険の適用外となる自由診療にあたるためです。
そのため、保険が使える一般的な入れ歯に比べて、費用の自己負担が大きくなります。
費用を重視する方にとっては、この点が選ぶ際のハードルになることがあります。
一方で、当たりのやわらかさや装着感を重視する方にとっては、費用をかける価値があると考えられることもあります。
費用が高めになりやすい点を理解したうえで、検討することが大切です。
素材が劣化しやすく定期的なメンテナンスが必要
シリコン入れ歯は、素材の性質上、劣化しやすく、定期的なメンテナンスが必要になることもデメリットです。
軟らかいシリコン系の素材は、時間の経過とともに硬くなったり、はがれたりすることがあり、定期的な貼り替えや調整が必要になるためです。
一般的な硬い入れ歯に比べて、軟らかい部分の張り替えなどのメンテナンスの頻度が高くなることがあります。
そのため、作って終わりではなく、定期的に歯科でメンテナンスを受けることが前提となります。
メンテナンスを怠ると、当たりのやわらかさなどの利点が損なわれることもあります。
定期的なメンテナンスが必要になる点を、あらかじめ知っておくことが大切です。
汚れ・変色や修理対応の面での注意
シリコン入れ歯は、汚れや変色、修理対応の面でも注意が必要です。
軟らかい素材は、硬い素材に比べて汚れや着色がつきやすかったり、細菌が繁殖しやすかったりすることがあるためです。
そのため、毎日の手入れをていねいに行い、清潔に保つことがより大切になります。
また、素材の特性上、破損したときの修理が一般的な入れ歯とは異なり、対応できる範囲が限られる場合もあります。
こうした点も、シリコン入れ歯を選ぶ前に、歯科で確認しておくと安心です。
汚れ・変色や修理対応の注意点も知ったうえで、検討するとよいでしょう。
シリコン入れ歯の費用の目安・保険は使える?
シリコン入れ歯は自費になることが多く、費用の幅も大きいため、目安を知っておくことが大切です。
「いくらくらいかかるのか」「保険は使えるのか」は、選ぶうえで大きなポイントになります。
ここで紹介する金額は、あくまで一般的な目安であり、実際の費用は素材や範囲、医院によって異なります。
正確な費用は、必ず歯科医院で見積もりを確認することが大切です。
シリコン入れ歯は、多くの場合、公的医療保険の適用外となる自費診療にあたります。
費用は、部分入れ歯か総入れ歯か、範囲や素材によって幅があり、数万円から数十万円程度と幅広い目安になります。
保険が使えるかどうかは、状態や適用の条件によって限られるため、自分の場合にどうなるかは歯科で確認するのが確実です。
また、定期的なメンテナンスや貼り替えにも費用がかかることがあるため、その点も含めて確認しておくと安心です。
費用や保険の扱いは状態によって変わるため、詳しくは歯科で見積もりと説明を受けることが大切です。
なお、費用の高さだけでなく、当たりのやわらかさやメンテナンスの必要性など、総合的に考えて判断するとよいでしょう。
シリコン入れ歯は部分入れ歯・総入れ歯どちらもできる?
シリコン系の軟らかい素材は、部分入れ歯にも総入れ歯にも用いられることがあります。
シリコン入れ歯は、部分入れ歯と総入れ歯のどちらでも作れるのか、気になる方も多いのではないでしょうか。
歯ぐきに触れる部分に軟らかい素材を使う考え方は、残っている歯の有無にかかわらず取り入れられるためです。
どちらにも対応できることを知っておくと、自分の場合に検討しやすくなります。
歯が部分的に残っている方の部分入れ歯では、歯ぐきに当たる部分にシリコン系の素材を使い、当たりをやわらげることが行われることがあります。
また、すべての歯を失った方の総入れ歯でも、歯ぐきに触れる床の内面に軟らかい素材を用いることで、当たりの痛みをやわらげることが目指されます。
ただし、どちらの場合も、口内の状態や歯ぐきの状態によって、適しているかどうかは異なります。
残っている歯や歯ぐきの状態、噛み合わせなどによって、シリコン入れ歯が向くかどうかは変わってきます。
そのため、部分入れ歯・総入れ歯のいずれで検討する場合も、歯科で自分の状態に合うかを相談することが大切です。
部分でも総でも対応できることがあると知りつつ、適応は歯科で確認するとよいでしょう。
シリコン入れ歯が向いているのはどんな人?
シリコン入れ歯は、すべての人に最適というわけではなく、向いている場合とそうでない場合があります。
「自分はシリコン入れ歯に向いているのだろうか」と気になる方も多いのではないでしょうか。
当たりのやわらかさという特性が活きるかどうかは、その人の悩みや口内の状態によって変わるためです。
向いている人の傾向を知っておくと、検討の参考になります。
まず、今使っている硬い入れ歯が当たって痛い、噛むと歯ぐきが痛むといった方には、当たりをやわらげられる可能性があり、選択肢の一つになります。
また、歯ぐきがやせている、あごの骨が少なくなっているなどで、硬い入れ歯だと痛みを感じやすい方にも向くことがあります。
入れ歯が動きやすく、外れやすいと感じている方にとっても、フィットしやすさが役立つことがあります。
一方で、費用を抑えたい方や、こまめなメンテナンスが難しい方には、負担に感じられることもあります。
また、口内の状態によっては、シリコン入れ歯が適さない場合もあるため、一概に誰にでも向くとはいえません。
自分に向いているかどうかは、悩みや口内の状態をもとに、歯科で相談して判断することが大切です。
痛みや外れやすさに悩む方の選択肢になりうると知りつつ、適応は歯科で確認するとよいでしょう。
通販・自作のシリコン入れ歯は大丈夫?(歯科で作る大切さ)
通販や自作のシリコン製の“付け歯”は、歯科で作る入れ歯とは別のものであり、自己判断で使うのは避けるべきです。
インターネットの通販などで見かける、自分で作るタイプのシリコン製の“付け歯”が気になる方もいるのではないでしょうか。
自分の口に合っていないものを使うと、歯ぐきを傷めたり、思わぬトラブルにつながったりするおそれがあるためです。
安全のために、なぜ歯科で作ることが大切かを知っておきましょう。
通販などで販売されている、お湯でやわらかくして自分で成形するタイプの製品は、手軽で安価に見えるかもしれません。
しかし、これらは歯科医師が口内の状態を診て作るものではないため、噛み合わせや歯ぐきに合わず、かえって痛みや炎症を引き起こすことがあります。
合わないものを無理に使い続けると、歯ぐきやあごに負担がかかったり、残っている歯に悪影響が出たりすることもあります。
さらに、フィットしていないものが外れて、誤って飲み込んでしまうなどの危険も考えられます。
入れ歯は、その人の口内の状態に合わせて、歯科で作り、調整してこそ安全に使えるものです。
見た目や費用だけで自作・通販のものを選ばず、必ず歯科で相談して作ることが、安全につながります。
シリコン入れ歯を検討する場合も、歯科で自分に合ったものを作ってもらうことが大切だと知っておきましょう。
シリコン入れ歯の手入れ・寿命の目安
シリコン入れ歯を長く快適に使うためには、日々の手入れと、寿命の目安を知っておくことが大切です。
「シリコン入れ歯はどうやってお手入れすればいいのか」「どのくらい使えるのか」が気になる方も多いのではないでしょうか。
シリコン系の軟らかい素材は、一般的な入れ歯とは手入れや耐久性の面で異なる点があるためです。
手入れと寿命の目安を知っておくと、長く使う助けになります。
まず手入れについては、毎日取り外して、汚れを洗い流し、清潔に保つことが基本です。
ただし、軟らかい素材は傷つきやすいことがあるため、硬いブラシで強くこすったり、研磨剤入りの歯磨き粉を使ったりするのは避けたほうがよい場合があります。
洗浄剤を使う場合も、素材に合ったものを選ぶ必要があるため、手入れの方法は歯科で確認しておくと安心です。
寿命については、軟らかい素材が時間とともに劣化しやすいため、一般的な入れ歯より早めに貼り替えや調整が必要になることがあります。
寿命の目安には幅があり、使い方や手入れ、口内の状態によっても変わるため、定期的に歯科でチェックしてもらうことが大切です。
手入れの方法や寿命の目安を歯科で確認しながら、定期的なメンテナンスで長く快適に使っていきましょう。
入れ歯が痛い・歯茎が痛いときの考え方
入れ歯が当たって痛い、歯茎が痛いといった痛みがあるときは、自分で対処しようとせず、まず歯科で相談することが大切です。
入れ歯の痛みは、入れ歯が合っていない、当たっている、あるいは口内に別の原因があるなど、さまざまな理由で起こるためです。
対処の考え方を知っておくと、痛みに悩んだときに落ち着いて動けます。
入れ歯が当たって痛いときは、歯科で調整してもらうことで改善することが多くあります。
痛いのを我慢して使い続けたり、自分で入れ歯を削ったりすると、かえって状態を悪くすることがあるため避けましょう。
また、入れ歯安定剤やクッション材で痛みをごまかして使い続けると、合っていない状態が続き、歯ぐきに負担がかかることもあります。
痛みの原因が入れ歯の不適合であれば、調整や作り替えが検討され、その選択肢の一つとしてシリコン入れ歯が挙がることもあります。
一方で、痛みの背景に口内炎や歯ぐきの炎症など別の原因があることもあるため、まずは歯科で原因を確認してもらうことが大切です。
入れ歯や歯茎の痛みは自己判断で対処せず、歯科で相談することが、快適に使い続けることにつながります。
シリコン入れ歯に関するよくある質問
Q:シリコン入れ歯は本当に痛くないですか?
A:歯ぐきに触れる部分が軟らかいため、当たりの痛みをやわらげることが期待できます。
ただし痛みの感じ方には個人差があり、必ず痛みがなくなるわけではありません。
痛みが気になるときは、歯科で調整や相談をしてもらうことが大切です。
Q:シリコン入れ歯のデメリットは何ですか?
A:自費になりやすく費用が高めなこと、素材が劣化しやすく定期的なメンテナンスが必要なことが挙げられます。
また、汚れや変色がつきやすい、修理対応が限られる場合があるといった点もあります。
メリットとあわせて、デメリットも理解して選ぶことが大切です。
Q:シリコン入れ歯に保険は使えますか?
A:多くの場合、自費診療となり、保険の適用は状態や条件によって限られます。
自分の場合に保険が使えるかどうかは、歯科で確認するのが確実です。
費用の目安とあわせて、あらかじめ相談しておくと安心です。
Q:通販や自作のシリコン入れ歯でも大丈夫ですか?
A:通販や自作のものは、歯科で作る入れ歯とは別のもので、自己判断で使うのは避けましょう。
合わないものを使うと、歯ぐきを傷めたり、外れて誤飲したりする危険があります。
シリコン入れ歯を検討する場合も、歯科で自分に合ったものを作ってもらうことが大切です。
まとめ
シリコン入れ歯は、歯ぐきに触れる部分に軟らかいシリコン系の素材を使った入れ歯です。
当たりがやわらかく痛みを抑えやすい、フィットしやすく外れにくいといったメリットが期待できます。
一方で、自費になりやすく費用が高め、素材が劣化しやすく定期的なメンテナンスが必要といったデメリットもあります。
費用や保険の扱いは状態によって変わるため、目安を知りつつ歯科で見積もりと説明を受けることが大切です。
シリコン入れ歯は部分入れ歯・総入れ歯のどちらにも用いられることがありますが、適しているかは口内の状態によって異なります。
通販や自作のものは歯科で作る入れ歯とは別物のため避け、必ず歯科で自分に合ったものを作ってもらいましょう。
入れ歯や歯茎の痛みに悩むときは自己判断せず、歯科で相談して、自分に合った入れ歯で快適に過ごしていきましょう。
参考文献
[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「8020運動とは」(義歯による咀嚼の回復について)
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth/h-01-003.html
[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「口腔機能の健康への影響」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth/h-08-001.html
[3] 公益財団法人 長寿科学振興財団「健康長寿ネット|高齢期の栄養と口腔機能の関わり」
https://www.tyojyu.or.jp/net/topics/tokushu/koreisha-eiyokanri/eiyou-koukuukinou-kakawari.html
※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、医療アドバイスではありません。効果や使い心地の感じ方には個人差がございます。記載した費用・寿命はあくまで一般的な目安であり、実際は素材・範囲・医院・口内の状態によって異なります。
※入れ歯が合わない・痛い・歯茎が痛いなどの不具合があるときは、自己判断で対処せず、歯科医院を受診してください。