抜歯と同日にインプラントは可能?抜歯即時埋入のメリット・デメリット

歯を抜くのと同じ日に、インプラントも入れられたら通院が減って楽なのに、と考えたことはありませんか。

実は、抜歯と同日にインプラントを埋め込む「抜歯即時埋入」という方法があり、条件が合えば抜歯と手術を一度にまとめられます

治療期間や手術回数を減らせるうえ、抜いたあとの骨が痩せるのを抑えやすいといったメリットが期待できる治療法です

一方で、感染のリスクや適応の条件、対応できる歯科医院が限られるといった注意点もあり、誰にでも選べるわけではありません。

この記事では、抜歯即時埋入とは何か、そのメリットとデメリット、受けられる人と受けられない人、治療の流れまでを、一般の方にも分かりやすい形で順に整理していきます。

抜歯とインプラントを控えている方が、自分に合う方法かどうかを見極めるための材料として、ぜひ参考にしてください。

抜歯と同日にインプラントを入れる「抜歯即時埋入」とは

これは「抜歯即時埋入(ばっしそくじまいにゅう)」と呼ばれる治療法で、条件が合えば実際に行われている確立された方法のひとつです

「抜歯とインプラントを同じ日にできる」と聞くと、本当にそんなことが可能なのかと驚く方も多いのではないでしょうか。

ただし、すべてのケースで選べるわけではなく、通常のインプラントとの違いや、埋入するタイミングの種類を理解しておくことが、自分に合うかを判断する第一歩になります

ここでは、抜歯即時埋入がどのような治療で、一般的なインプラントと何が違うのかを、順を追って整理していきます。

抜歯即時埋入の意味(抜歯と同日に埋入する)

抜歯即時埋入とは、その名のとおり、歯を抜いたその日に、抜いた穴へインプラント体を埋め込む治療法のことです

通常であれば別々に行う「抜歯」と「インプラントの埋入」を、一度の手術のなかで続けて行ってしまうのが、この方法の大きな特徴になります

歯を失った部分にすぐ人工歯根の土台を入れるため、治療全体をコンパクトにまとめられる可能性があります。

抜歯によってできた穴の形やまわりの骨の状態を見ながら、その場でインプラントを適切な位置に埋め込んでいきます。

まずは「抜歯と埋入を同じ日にまとめて行う方法」だと押さえておくと、このあとの話が理解しやすくなるでしょう。

通常のインプラント(待時埋入)との違い

一般的なインプラント治療では、抜歯した部分の傷が治って落ち着いてから、あらためてインプラントを埋め込む流れをとります

これは「待時埋入(たいじまいにゅう)」と呼ばれ、抜歯後に数か月ほど時間をおいて骨や歯ぐきの回復を待ってから手術に進む方法です

一方の抜歯即時埋入は、その回復を待たずに抜歯と同日で埋入するため、治療の進め方やスケジュールが大きく変わってきます。

待時埋入は安全に進めやすい反面、抜歯から埋入までの期間が長くなり、抜歯後に骨が痩せてしまうこともあります。

どちらが適しているかは口の中の状態によって変わるため、抜歯即時埋入は「通常より早く進められる選択肢のひとつ」ととらえておくとよいでしょう。

埋入するタイミングの3つの種類(即時・早期・待時)

インプラントを埋め込むタイミングは、抜歯からの期間によって大きく三つの種類に分けられます

一つ目が、抜歯と同日に行う「抜歯即時埋入」で、もっとも早いタイミングで進める方法です

二つ目が、抜歯からおよそ数週間から2か月ほどおいて、歯ぐきがある程度治ってから埋入する「早期埋入」です。

三つ目が、抜歯から数か月おいて骨がしっかり回復してから埋入する「待時埋入」で、もっとも一般的な方法にあたります。

自分の骨や歯ぐきの状態がどのタイミングに向いているのかは、検査を受けて担当医に判断してもらうことが大切だといえるでしょう。

抜歯即時埋入と「即時荷重」の違い(混同しやすい用語)

抜歯即時埋入があくまで「いつインプラントを埋めるか」の話であるのに対し、即時荷重は「いつ噛める歯を入れるか」の話だと考えると、違いがはっきりします

抜歯即時埋入について調べていると、「即時荷重」というよく似た言葉に出会い、同じ意味だと思ってしまう方が少なくありません。

しかし、この二つはまったく別の内容を指す言葉で、混同したまま検査に臨むと、期待していたことと実際の治療がずれてしまうことがあります

抜歯即時埋入は、これまで見てきたように、抜歯と同じ日にインプラント体を骨へ埋め込むことを指す言葉です。

これに対して即時荷重とは、インプラントを埋めたその日のうちに、人工歯の土台や仮歯まで装着して、見た目や噛む機能を早く回復させる方法を指します。

つまり、抜歯即時埋入をしたからといって、その日のうちに必ず仮歯が入って噛めるようになるわけではなく、埋入だけを行って歯は後日という進め方も多くあります。

即時荷重を行うには、インプラントが骨にしっかり固定される初期固定などの条件が必要になるため、埋入と同日に歯が入るかどうかは口の状態によって変わります。

「同日に埋める」ことと「同日に噛める歯が入る」ことは別だと理解しておくと、治療内容の説明を受けたときに誤解せずに済むでしょう。

抜歯即時埋入のメリット

抜歯即時埋入が選ばれるのには、通常のインプラントにはない、いくつかのはっきりとした利点があるからです

とくに「治療をできるだけ早く終えたい」「通院の負担を減らしたい」と考えている方にとっては、魅力的に感じられる特徴がそろっています

ただし、メリットだけを見て決めてしまうのではなく、あとで触れるデメリットと合わせて理解しておくことが、後悔しない選択につながります。

ここでは、抜歯即時埋入の代表的なメリットを、その理由とあわせて順に整理していきます。

治療期間・手術回数を減らせる

抜歯即時埋入のもっとも大きなメリットは、治療期間と手術の回数をまとめて減らせることです

通常は抜歯の傷が治るのを数か月待ってから埋入するため、その待ち時間のぶんだけ治療全体が長くなってしまいます

抜歯即時埋入では、抜歯とインプラントの埋入を一度の手術で続けて行うため、この待ち時間を省いて治療期間を短くできます。

手術が一回にまとまることで通院の回数も減り、仕事や家庭で忙しい方にとっては時間や労力の節約にもつながります。

治療をコンパクトに進めたい方にとって、期間と回数を抑えられるこの点は、大きな安心材料になるといえるでしょう。

抜いたあとの骨が痩せるのを抑えやすい

抜歯即時埋入には、歯を抜いたあとに骨が痩せてしまうのを抑えやすい、という利点もあります

歯を支えていた骨は、抜歯によって役目を終えると、数か月かけて少しずつ吸収されて痩せていく性質があるためです

抜歯後すぐにインプラントを埋め込むことで、骨に適度な刺激が加わり、骨が痩せる変化をおさえられる場合があると考えられています。

骨のボリュームが保たれやすいと、その後の見た目や噛み合わせの仕上がりにもよい影響が期待できます。

抜歯後の骨の変化をできるだけ抑えたいという点でも、同日に埋入する方法には意味があるといえるでしょう。

体への負担が少なく見た目の回復が早い

手術が一度にまとまることは、体への負担の面でもメリットになります

手術を二回に分けると、そのたびに麻酔や切開、術後の回復が必要になりますが、一度で済めばその負担を一回分に抑えられるためです

抜歯とインプラントを同時に行うことで、術後の腫れや痛みが比較的少なくおさまる傾向があるともいわれています。

さらに、前歯など目立つ部分では、歯を失った状態が長く続かず、早い段階で見た目を回復しやすい点も心の支えになります。

体への負担と見た目の両面で早く落ち着けることは、治療を受ける方にとって大きな安心につながるでしょう。

抜歯即時埋入のデメリット・リスク

多くのメリットがある一方で、抜歯即時埋入には見過ごせないデメリットやリスクもあり、ここを理解しておくことがとても大切です

「早く終わるならぜひ」と急いで決めてしまうと、あとから思わぬ負担やトラブルに直面することもあります

だからこそ、利点と同じくらい注意点にも目を向け、自分のケースで本当に向いているのかを冷静に考える必要があります。

ここでは、抜歯即時埋入の代表的なデメリット・リスクを、理由とあわせて順に整理していきます。

感染のリスクが通常より高い

抜歯即時埋入で気をつけたいのが、通常のインプラントに比べて感染のリスクがやや高くなりやすい点です

抜歯した直後の穴は、傷が治りきっていない状態であり、そこへインプラントを埋め込むため、細菌が入り込む余地が残りやすいためです

とくに、抜いた歯の周りに歯周病や膿といった感染源が残っていると、その細菌がインプラントの周りに炎症を起こすきっかけになることがあります。

インプラントの周りに炎症が起こる「インプラント周囲炎」は、進行すると土台の骨が痩せ、インプラントを失う原因にもなります[2]。

感染のリスクを抑えるためにも、抜歯部位の状態をよく見極めたうえで進めることが欠かせないといえるでしょう。

適応が限られ、対応できる歯科医院が少ない

抜歯即時埋入は、誰でも受けられるわけではなく、適応できるケースが限られている点もデメリットのひとつです

抜歯後の骨の状態を見極めながら、その場で正確な位置にインプラントを埋め込む必要があり、通常より高度な技術と経験が求められるためです

こうした難易度の高さから、抜歯即時埋入に対応している歯科医院はまだ限られており、どこでも受けられるわけではありません。

そのため、希望する場合は、実績のある歯科医院を探して相談する必要があり、通院先の選択肢がせまくなることもあります。

長く安定して使えるインプラントにするためにも、対応できる歯科医院を慎重に選ぶことが大切になるといえるでしょう[1]。

骨の吸収を見誤ると失敗・やり直しにつながる

抜歯即時埋入では、抜歯後に進む骨の吸収を見越して埋入位置を決めるため、その見極めが難しいというリスクがあります

抜歯後の骨は数か月かけて少しずつ吸収されていくため、歯科医師はその変化を計算に入れてインプラントの深さや位置を決める必要があるためです

もし予想を上回って骨が吸収されると、インプラントの位置が浅くなり、周りの歯と高さが合わなくなってしまうことがあります。

こうしたずれが起きると、治療のやり直しが必要になり、結果的に期間が延びたり費用が増えたりすることにつながります。

だからこそ、精密な検査と、骨の変化を読み解く経験のある歯科医師のもとで受けることが、失敗を避ける鍵になるといえるでしょう。

費用が高くなりやすい

抜歯即時埋入は、通常のインプラントに比べて費用が高くなりやすい傾向がある点にも注意が必要です

高度な技術や精密な検査が必要になるうえ、骨が足りない場合には骨を補う処置が加わることもあり、そのぶん費用がかさむためです

インプラント治療はもともと公的医療保険が使えない自由診療にあたり、費用は全額自己負担で歯科医院ごとに設定されています。

抜歯即時埋入を希望する場合は、検査料や骨造成の費用まで含めた総額を、事前にしっかり確認しておくことが大切です。

費用の見通しを早い段階で把握しておくことで、あとから金額に戸惑うことなく、納得して治療に進めるようになるでしょう。

抜歯即時埋入を受けられる人・受けられない人(適応)

抜歯即時埋入を検討するうえでもっとも大切なのが、自分がそもそもこの方法を受けられる状態にあるのか、という適応の問題です

これまで見てきたように、抜歯即時埋入は難易度が高く、口の中の状態によっては選べないことも少なくありません

無理に同日での埋入を優先すると、かえって失敗やトラブルのリスクが高まるため、条件を満たしているかどうかの見極めが欠かせません。

ここでは、抜歯即時埋入を受けられる条件と、受けられないケース、そして骨が足りない場合の対応について、順に整理していきます。

受けられる条件(骨量・感染がない・初期固定が得られる)

抜歯即時埋入を受けられるのは、抜歯部位のまわりの骨や歯ぐきが清潔で、安定している状態にある場合です

というのも、抜歯と同時にインプラントを埋め込むには、その土台となる骨が十分にあり、埋めた直後にしっかり固定される必要があるためです

埋め込んだインプラントがぐらつかずに安定することを「初期固定」といい、これが得られることが同日埋入の重要な条件になります。

あわせて、抜く歯のまわりに大きな炎症や感染がなく、全身の状態も良好であることが望ましいとされています。

こうした条件がそろっているかどうかは検査で確認できるため、まずは自分の状態を調べてもらうことが第一歩になるでしょう。

受けられないケース(重度の歯周病・膿・骨量不足)

一方で、抜歯部位に感染源が残っている場合や、骨が大きく足りない場合には、抜歯即時埋入を受けられないことがあります

重度の歯周病や、歯の根の先に膿がたまる根尖病巣といった感染がある状態でインプラントを埋め込むと、その細菌がインプラントの周りに炎症を起こすリスクが高まるためです

また、歯を支えていた骨がすでに大きく吸収して痩せている場合は、インプラントを支える骨量が足りず、初期固定が得られにくくなります。

こうしたケースで無理に同日埋入を行うと、失敗ややり直しにつながりやすいため、別の進め方が選ばれることになります。

自分がこうした条件に当てはまるかどうかは自己判断が難しいので、必ず検査を受けて歯科医師に見極めてもらうことが大切です。

骨が足りないときは骨造成(GBR)を先に行う

骨の量が足りない場合や感染がある場合には、すぐに埋入せず、先に環境を整える処置を行うことがあります

インプラントを長く安定させるには、まず感染を取り除き、足りない骨を補って、しっかり支えられる土台を作ることが重要になるためです

骨を増やす処置は「骨造成」や「GBR」と呼ばれ、人工の骨などを使って足りない部分を補い、骨が育つのを待ってから埋入へ進みます。

「すぐに入れる」ことよりも「長く安定して使える」ことを優先するという考え方が、結果的に治療の成功につながります。

同日にできなかったとしても、環境を整えてから進めるほうが安心なケースは多いので、担当医の判断を尊重するとよいでしょう。

抜歯即時埋入の治療の流れ

同日に抜歯と埋入を行うとはいえ、その前後には検査や治癒期間といった大切な段階があり、当日だけで治療が完結するわけではありません

抜歯即時埋入が自分に向いているとわかったら、次に気になるのは、実際にどのような流れで治療が進むのかという点でしょう。

全体の流れをあらかじめ知っておくと、いつ何が行われるのかを見通せて、落ち着いて治療に臨めるようになります

ここでは、検査から人工歯の装着までの流れを、順を追って整理していきます。

検査・診断・治療計画(CT・骨の測定)

治療はまず、口の中の状態や骨の様子を詳しく調べる、検査と診断から始まります

抜歯と同時に正確な位置へインプラントを埋め込むには、骨の量や幅、高さを立体的に把握しておく必要があるためです

問診やレントゲンに加えて歯科用CTで顎の骨を細かく測定し、その結果をもとに一人ひとりに合った治療計画を立てます。

この段階で、治療の内容や期間、費用、メリットとデメリットの説明を受け、必要に応じて仮歯を作るための型どりも行います。

検査と計画をていねいに行うことが、同日埋入を安全に進めるための土台になるといえるでしょう。

抜歯と同時にインプラントを埋入する

治療計画が整ったら、いよいよ抜歯と同日にインプラントを埋入する手術を行います

まず対象の歯をできるだけていねいに抜き、まわりの骨を傷めないように配慮しながら、抜歯によってできた穴の状態を確認します

そのうえで、計画した位置にインプラント体を埋め込み、しっかりと初期固定が得られるように慎重に処置を進めます。

骨が足りない部分があれば、必要に応じて骨を補う処置を同時に行い、最後に歯ぐきを縫い合わせて手術は完了します。

抜歯と埋入を一度にまとめて行うこの工程こそが、抜歯即時埋入の中心となる大切な手術になります。

治癒期間を経て人工歯を装着する

手術が終わったあとは、インプラントが骨としっかり結合するのを待つ治癒期間へと進みます

埋め込んだインプラントが顎の骨と結びつくまでには一定の時間が必要で、この期間を経てはじめて人工歯を支えられる状態になるためです

数か月ほどの治癒期間を経て骨との結合が確認できたら、型どりを行い、一人ひとりに合わせた人工歯を作製します。

完成した人工歯を装着し、噛み合わせや見た目を確認・調整することで、一連の治療がようやく仕上がります。

同日に埋入できても最終的な歯が入るまでには時間がかかるため、全体の見通しを持って治療に臨むと安心でしょう。

抜歯即時埋入の費用の目安

治療期間が短くまとまるぶん安く済むと思われがちですが、実際には高度な技術や追加の処置が必要になることもあり、費用の考え方は少し複雑です

抜歯即時埋入を検討するうえで、多くの方が気にかけるのが、いったいどのくらいの費用がかかるのかという点です。

あらかじめ費用の仕組みと確認しておきたいポイントを知っておくと、見積もりを受け取ったときに落ち着いて判断できるようになります

ここでは、抜歯即時埋入の費用について、その特徴と注意点を整理していきます。

インプラント治療は、一般的な歯並びの改善などと同じく公的医療保険が使えない自由診療にあたり、費用は全額自己負担となります。

そのため金額は歯科医院ごとに設定されており、同じ抜歯即時埋入でも、地域や医療機関によって総額に幅が出てきます。

さらに、骨が足りずに骨を補う処置が加わる場合や、精密な検査や仮歯の作製が必要になる場合には、そのぶん費用が上乗せされます。

見積もりを確認するときは、インプラント本体の費用だけでなく、抜歯・検査・骨造成・仮歯・人工歯までを含めた総額でとらえることが大切です。

あわせて、治療後に不具合が起きたときの保証の有無や、定期的なメンテナンスにかかる費用まで確認しておくと、長い目で見た負担を把握しやすくなるでしょう。

抜歯即時埋入で失敗しないための歯科(医療機関)選び

抜歯即時埋入は難易度が高い治療だからこそ、どの歯科医院で受けるかが仕上がりや安心感を大きく左右します

同じ治療でも、歯科医師の経験や検査の丁寧さ、適応を見極める姿勢によって、結果に差が出ることも少なくありません

「早く終わるから」という理由だけで選んでしまうと、適応の見極めが不十分なまま進み、後悔につながることもあります。

ここでは、抜歯即時埋入で失敗しないために、歯科医院を選ぶときに確認しておきたいポイントを整理していきます。

まず確認したいのが、抜歯即時埋入やインプラントの症例数・実績が豊富かどうかで、経験の多さは難しい判断を支える土台になります。

次に、歯科用CTなどで骨の状態を立体的に調べ、精密な検査にもとづいて適応をていねいに見極めてくれるかも大切なポイントです。

同日埋入にこだわらず、状態によっては骨造成を先に行う、あるいは通常の方法をすすめるなど、無理のない選択肢を示してくれる歯科医師は信頼できます。

インプラントは治療後の定期的なメンテナンスが欠かせず、これを怠るとインプラント周囲炎などで早期に失う原因にもなるため、治療後のメンテナンス体制まで説明してくれるかも確認したいところです[2]。

実際、厚生労働省の調査をもとにした報告では、治療後10年で約1割のインプラントが失われるとされており、術後の管理と医院選びがいかに大切かがうかがえます[1]。

料金や保証の説明が明確かどうかもあわせて見極め、複数の歯科医院で話を聞いて納得してから決めることが、後悔の少ない選択につながるでしょう。

よくある質問

Q:抜歯した当日に仮歯は入りますか?

抜歯即時埋入を受けたからといって、その日のうちに必ず仮歯が入って噛めるようになるわけではありません

抜歯と同日に行うのはあくまでインプラント体を埋め込む処置で、同じ日に仮歯まで入れるかどうかは「即時荷重」という別の条件によって決まるためです。

埋め込んだインプラントがしっかり固定される初期固定が得られるなど、条件が整った場合には、前歯などで同日に仮歯を入れられることもあります。

一方で、条件が整わない場合は、埋入だけを行い、見た目や噛む機能の回復は治癒期間を経てから、という進め方になります。

同日に歯が入るかどうかは口の状態によって変わるため、希望がある場合は事前に担当医へ確認しておくと安心です。

Q:どんな歯でも同日にインプラントできますか?

すべての歯や、すべての方が抜歯即時埋入を選べるわけではなく、口の中の状態によって適応が判断されます

抜く歯のまわりに十分な骨があり、大きな感染や炎症がなく、埋めたインプラントがしっかり固定されることなどが条件になるためです。

重度の歯周病や根の先の膿など感染源が残っている場合や、骨が大きく痩せている場合には、同日の埋入が難しいこともあります。

前歯や小臼歯など条件のそろいやすい部位で選ばれることが多い一方、奥歯では骨や噛む力の関係で慎重な判断が必要になる場合があります。

自分の歯が同日埋入に向いているかどうかは、検査を受けて歯科医師に見極めてもらうことが欠かせません。

Q:抜歯即時埋入は痛い・腫れますか?

抜歯即時埋入は局所麻酔のもとで行うため、手術中に強い痛みを感じることは基本的にありません

麻酔が切れたあとに痛みや腫れが出ることはありますが、抜歯と埋入を一度にまとめるぶん、手術が二回に分かれる場合より負担が少なくおさまる傾向もあるとされています。

術後の痛みは処方された痛み止めでやわらげられ、腫れも数日をピークに少しずつ引いていくことが多いです。

痛みや腫れの程度には個人差があるため、強い痛みが続く場合は我慢せず担当医へ相談することが大切です。

事前に痛みや腫れの見通しを聞いておくと、術後もあわてずに落ち着いて過ごせるでしょう。

Q:通常のインプラントと抜歯即時埋入、どちらがいいですか?

どちらがよいかは一概には決められず、口の中の状態やご自身が何を重視するかによって変わります

抜歯即時埋入は治療期間や手術回数を減らせる一方で適応が限られ、通常の方法(待時埋入)は時間はかかるものの幅広いケースで安全に進めやすいという特徴があります。

骨や歯ぐきの状態がよく、できるだけ早く治療を終えたい方には抜歯即時埋入が向くこともあります。

反対に、感染や骨量に不安がある場合は、環境を整えてから進める通常の方法のほうが安心なケースも少なくありません。

自分にとってどちらが適しているかは、検査の結果をふまえて担当医とよく相談して選ぶことをおすすめします。

まとめ

抜歯即時埋入は、抜歯した傷の回復を待たずに、抜歯と同じ日にインプラントを埋め込む治療法です

治療期間や手術回数を減らせる、抜いたあとの骨が痩せるのを抑えやすい、体への負担が少なく見た目の回復が早いといったメリットが期待できます

一方で、感染のリスクが通常より高く、適応が限られ、対応できる歯科医院が少なく、費用が高くなりやすいといった注意点もあります。

受けられるのは、抜歯部位に十分な骨があり感染がなく、初期固定が得られるなどの条件を満たす場合で、重度の歯周病や骨量不足があるときは骨造成を先に行うこともあります。

また「抜歯と同日に埋める(即時埋入)」ことと「同日に仮歯を入れる(即時荷重)」ことは別で、同日に必ず噛める歯が入るわけではない点も知っておきたいところです。

そして、治療後は定期的なメンテナンスを続けることが、インプラント周囲炎を防ぎ、長く安定して使い続けるための鍵になります[1]。

自分に合う方法かどうかは口の中の状態によって変わるため、急いで決めず、精密な検査と信頼できる歯科医院での相談をふまえて選んでいってください。

※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、医療アドバイスではありません。

治療に関しては必ず歯科医師にご相談ください。

※効果や症状の現れ方、治療の適応や期間には個人差がございます。

※歯科医師の判断により治療を行えない場合があります。

参考文献

[1] 独立行政法人 国民生活センター「あなたの歯科インプラントは大丈夫ですか―なくならない歯科インプラントにかかわる相談―」

https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20190314_1.html

[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯・口腔の健康」

https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth.html