マウスピース矯正の期間はどのくらい?全体矯正・部分矯正の目安と長引く原因

「マウスピース矯正の期間って、実際どのくらいかかるの?」「1年で終わると聞いたけれど本当?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
マウスピース矯正で歯を動かす期間は、全体矯正でおよそ1〜3年、前歯を中心とした部分矯正で3か月〜1年が目安になります。
ただし、治療開始前には1〜2か月ほどの準備期間があり、装置を外したあとにも歯並びを安定させる保定期間が1〜3年続きますため、全体の見通しはもう少し長く考えておく必要があります。
この記事では、段階ごとの期間の目安から歯並びの状態別の見込み、期間が長引く原因と延ばさないための工夫、保定期間の過ごし方まで詳しくお伝えしますので、治療にどのくらいの時間がかかるのか知りたい方はぜひ参考にしてください。
マウスピース矯正の期間はどのくらい?全体の目安
矯正を検討するとき、いつ終わるのか分からないままでは決断しにくいものです。
1年で終わると聞いた方もいれば、3年かかると聞いた方もいて、情報がばらついていると感じるかもしれません。
期間に幅が出るのは、動かす歯の範囲と歯並びの状態が一人ひとり違うためです。
歯を動かす期間だけでなく、その前後にある準備期間と保定期間まで含めて考えると、全体の見通しが立てやすくなります。
ここでは、段階ごとの目安と通院のペースを順に整理していきます。
準備期間・矯正期間・保定期間という3つの段階
マウスピース矯正にかかる期間は、準備期間・矯正期間・保定期間という3つの段階に分けて考えると全体像がつかめます。
矯正診療は検査、診断、治療という順に進み、検査によって不正咬合の成り立ちが明らかになってから治療方針が決まります[1]。
歯を動かし始める前にも、動かし終えたあとにも、必要な工程が組み込まれているわけです。
準備期間はカウンセリングから装置が手元に届くまでのおよそ1〜2か月、矯正期間は歯を動かす3か月〜3年、保定期間は整えた歯並びを安定させる1〜3年が目安になります。
すべてを合わせると、短い症例で1年程度、長い症例では5年を超えることもあります。
装置を外した日がゴールではないと先に知っておくと、途中で気持ちが折れにくくなるでしょう。
全体矯正にかかる期間の目安
奥歯を含めて動かす全体矯正では、歯を動かす期間はおよそ1〜3年が目安です。
全体矯正は歯列全体を動かし、見た目だけでなくかみ合わせまで整えることを目的としています。
動かす歯の本数が多いぶん、必要な装置の枚数も増えていきます。
全体矯正で使う装置は30〜90枚程度になることがあり、1〜2週間ごとに交換していく計算では、それだけで1〜3年ほどの時間がかかります。
歯の重なりが大きい場合や、奥歯の位置関係まで整える必要がある場合には、さらに長くなることもあるでしょう。
年単位の治療と聞くと身構えてしまうかもしれませんが、装置の交換は自宅で進められますから、生活そのものが大きく縛られるわけではありません。
部分矯正にかかる期間の目安
前歯を中心とした部分矯正であれば、3か月〜1年程度で歯を動かす期間が終わるケースが多くなります。
部分矯正は前歯から数本の範囲だけを動かすため、装置の枚数は14〜20枚程度で収まります。
移動させる距離も短く、治療計画がシンプルになりやすい点が期間の短さにつながっています。
前歯のわずかなでこぼこやすきっ歯であれば、半年ほどで見た目の変化を実感できたという方もいます。
ただし、かみ合わせ全体の改善までは対象に含まれないため、期間の短さだけで選ぶと物足りなさが残る可能性もあります。
短期間で終えられるかどうかは検査を受けてはじめて分かりますから、まずは自分の歯並びが部分矯正の範囲に収まるかを確かめておくと安心です。
治療中の通院回数と通院ペース
マウスピース矯正の通院は、1〜3か月に1回程度のペースが一般的です。
装置の交換は自宅で行うため、毎回医療機関で調整を受ける必要がありません。
通院時には、歯が計画どおりに動いているかの確認と、必要に応じた装置の追加や調整が行われます。
治療を始めたばかりの時期は、装着の状態やトラブルの有無を細かく確かめるため、1か月に1回程度の来院を求められることもあります。
全体矯正で2年ほどかかる場合、通院回数はおよそ10〜20回と見込んでおくとよいでしょう。
通院の負担が軽いぶん自己管理の比重は高まりますから、装着時間を記録に残しておくと、診察時のやり取りもスムーズに進みます。
歯並びの状態別に見る治療期間の目安
期間の目安を知っても、自分の歯並びだと何年かかるのかが分からないままでは不安が残るものです。
同じマウスピース矯正でも、動かす距離が短い症例と長い症例では必要な時間が変わります。
歯並びの種類ごとに、おおよその見込みを知っておくと、カウンセリングでの説明も理解しやすくなります。
ここでは、代表的な4つのパターンに分けて期間の傾向を整理します。
なお、ここでお伝えするのはあくまで一般的な目安であり、実際の期間は検査を受けてから決まる点をふまえて読み進めてください。
軽度のでこぼこやすきっ歯の場合
前歯が少し重なっている、わずかなすき間があるといった軽度の状態は、比較的短い期間で整えやすい症例です。
動かす歯の本数が少なく、移動させる距離も短いため、必要な装置の枚数が抑えられます。
部分矯正で対応できるケースが多く、装置の枚数も20枚前後に収まりやすくなります。
前歯2〜3本のわずかな傾きであれば3〜6か月程度、上下の前歯全体を整える場合でも6か月〜1年程度が一つの目安です。
半年ほどで正面から見た印象が変わり、写真を撮るのが楽しみになったという声もあります。
短期間で変化が見込める症例だからこそ、装着時間を守れるかどうかが結果を大きく左右すると考えておくとよいでしょう。
出っ歯や受け口の場合
上の前歯が前に出ている出っ歯や、下の歯が前に出ている受け口では、期間の幅が大きくなります。
不正咬合には歯の位置に原因があるものと、あごの骨格に原因があるものがあり、どちらにあたるかで治療の方針が変わります[2]。
歯の傾きが主な原因であれば、前歯を後ろへ移動させることで改善が見込めます。
軽度から中等度で歯の傾きが主な原因の場合には1〜2年程度、奥歯の位置まで動かす必要がある場合には2〜3年程度かかることもあります。
骨格そのものにずれがある症例では、外科的な処置を組み合わせた治療が検討され、全体の期間はさらに長くなります。
見た目が似ていても中身が違う症例ですから、期間の見込みは検査結果を聞いてから判断するのが確実です。
抜歯をともなう場合
歯を並べるスペースを確保するために抜歯を行う場合、期間は2〜3年程度と長めになります。
抜歯によってできた隙間を閉じるには、歯を大きく移動させる必要があるためです。
歯の頭の部分だけでなく根まで動かす工程が入るため、1本あたりにかかる時間が延びていきます。
抜歯した部位の治癒を待つ時間も加わり、治療開始までに1〜2週間程度の間が空くこともあります。
着脱式の装置は力をかけ続けにくいという構造上の特性があり、症例によってはワイヤー矯正との併用が提案されるケースもみられます。
抜歯と聞くと不安に感じる方もいますが、無理に本数を減らさず時間をかけて動かす方針が、結果として歯の負担を抑えることにつながります。
期間の見通しが立てにくいケース
歯を支える骨や歯ぐきの状態によっては、期間の見通しを立てにくい場合があります。
歯周病が進んで骨が減っている状態では、力をかけるスピードを落とす必要が出てきます。
過去の治療で神経を抜いた歯や、被せ物の入った歯が多い場合も、動き方に個人差が出やすくなります。
矯正を始める前にむし歯や歯周病の治療が必要と判断されると、その分だけ開始時期が後ろにずれます。
大人の矯正では成長を利用できないぶん、若い世代と比べて歯の移動に時間がかかる傾向もみられます。
見通しが立てにくいと言われた場合でも治療ができないわけではありませんから、どの段階で期間を見直すのかを事前に確認しておくと納得して進められます。
マウスピース矯正の期間を左右する要因
同じ歯並びでも、人によって治療にかかる時間は変わってきます。
治療計画どおりに終わる方と、予定より長くかかる方の差はどこから生まれるのでしょうか。
期間を決める要素には、自分で管理できるものと、体質や口の中の状態によって決まるものがあります。
どちらに当てはまるかを知っておくと、対策の立てようも見えてきます。
ここでは、期間を左右する4つの要因を取り上げます。
1日の装着時間をどれだけ守れるか
期間を最も大きく左右するのは、1日の装着時間です。
治療計画は、1日20〜22時間の装着を前提に組み立てられています。
装着時間が短くなると歯の移動が計画に追いつかず、次の装置がうまくはまらなくなります。
食事と歯みがきの時間を差し引くと、自由に外していられるのは2〜4時間程度という計算になり、間食の回数が多い方ほど確保が難しくなります。
1日2時間の不足が続いた場合、単純計算で1割ほど装着時間が減り、その分だけ計画からの遅れが積み重なっていきます。
装着時間は自分でコントロールできる数少ない要素ですから、ここを押さえるだけでも予定どおりに進む可能性は高まります。
動かす歯の本数と移動させる距離
治療にかかる時間は、動かす歯の本数と移動距離に比例して長くなります。
1枚の装置で動かせる量は0.25mm前後とごくわずかに設計されており、距離が長くなるほど必要な枚数が増えていきます。
強い力を一度にかけて早く動かすという方法は、歯や周囲の骨に負担をかけるため取られません。
前歯だけを1mm動かす場合と、奥歯を含めて数mm動かす場合とでは、必要な装置の枚数に何倍もの差が出ます。
上下の歯を同時に動かす計画では、片方だけの場合よりも工程が増えていきます。
期間が長いと言われた場合は、それだけ丁寧に動かす計画が立てられていると受け止めておくと、前向きに取り組めるでしょう。
年齢による歯の動きやすさの違い
歯の動きやすさには年齢による差があり、期間にも影響します。
成長期にある子どもの場合、あごの成長を利用して骨格的なずれの解消を図る方法が取られることがあります[1]。
永久歯が生えそろったあとは、歯そのものを並べ直す治療が中心になります。
10代から20代前半は骨の代謝が活発で歯が動きやすい傾向があり、40代以降は同じ距離を動かすのに時間がかかることもあります。
年齢を重ねてから矯正を始める方は珍しくなく、期間の差はあっても治療そのものは十分に可能です。
年齢だけで期間が決まるわけではありませんから、いまの自分の状態がどうかを診断で確かめるところから始めてみてください。
むし歯や歯周病の有無
口の中の健康状態も、治療期間を左右する要因の一つです。
矯正を始める前にむし歯や歯周病が見つかると、そちらの治療を先に済ませる必要が出てきます。
治療中に新たなむし歯ができた場合も、矯正を一時中断して対応することになります。
被せ物の形が変わると装置が合わなくなり、作り直しが必要になるケースもあります。
歯周病が進んで歯を支える骨が減っている状態では、歯を動かすスピードそのものを落とす判断がなされます。
矯正を始める前に口の中を整えておくことは、遠回りに見えて結果的に期間の短縮につながります。
治療期間が予定より長引く主な原因
治療計画で示された期間を過ぎても終わらない、という状況は決して珍しいものではありません。
予定どおりに進むと思っていたぶん、遅れを告げられたときの落胆は大きいものです。
期間が延びる原因の多くは、日々の過ごし方や装置の扱い方に関わる部分にあります。
原因を先に知っておけば、そもそも遅れを生まないよう手を打てます。
ここでは、実際に起こりやすい4つの原因を取り上げます。
装着時間が足りず計画から遅れる
期間が長引く原因として最も多いのは、装着時間の不足です。
治療計画は1日20〜22時間の装着を前提としており、この時間を下回ると歯の移動が計画に追いつきません。
歯が想定した位置まで動いていない状態で次の装置に進むと、装置が浮いてしまい、力が正しく伝わらなくなります。
飲み会や外食が続いた週、仕事が立て込んで装置を入れ忘れた日が積み重なると、数か月後に大きな差となって現れます。
装着時間が足りていないことを申告しにくく、そのまま通院してしまう方もいますが、隠しても歯の状態から把握されるものです。
守れなかった日があったとしても正直に伝えたほうが、そこからの立て直しが早くなります。
装置を紛失・破損して治療が止まる
装置をなくしたり壊したりすると、その間は治療が完全に止まってしまいます。
取り外して食事をする治療のため、外した装置をどこに置いたか分からなくなる場面が生まれやすくなります。
再作製には費用と時間の両方がかかり、手元に届くまで1〜3週間ほど待つことになります。
外食時にティッシュに包んで置き、そのまま片づけられてしまったという事例は多く聞かれます。
熱いお湯で洗って変形させてしまう、硬いものを噛んで割ってしまうといった破損も起こります。
外したら必ず専用ケースに入れるという習慣を徹底するだけで、この原因による遅れはほとんど防げるでしょう。
装置を作り直すリファインメントが必要になる
歯が計画どおりに動かず、装置を作り直すリファインメントという工程が入ることがあります。
歯の動き方には個人差があり、シミュレーションどおりに進まない場面は一定の割合で発生します。
その場合は、その時点での歯型を採り直し、新しい治療計画に基づいた装置が作られます。
装置が届くまでの数週間は治療が足踏みし、追加の装置の枚数によっては数か月単位で期間が延びることもあります。
治療計画の段階からリファインメントを見込んで費用に含めている医療機関と、追加費用として設定している医療機関があります。
装置の作り直し自体は失敗ではなく、ゴールに近づけるための軌道修正だと理解しておくと、必要以上に不安を抱えずに済みます。
通院が滞り歯の動きを確認できない
通院の間隔が空きすぎると、計画からのずれに気づくのが遅れます。
マウスピース矯正は通院回数が少ない治療のため、次の来院までに数か月空くこともあります。
その間に問題が生じていても、確認する機会がなければ気づけません。
装置が合っていないまま3か月分を進めてしまい、通院時に大きく作り直すことになったというケースもみられます。
忙しさから予約を先延ばしにするうちに、半年以上足が遠のいてしまう方もいます。
通院は歯の動きを確かめる大切な機会ですから、予定が合わないときは早めに日程を組み直しておくと安心です。
治療期間を延ばさないために自分でできること
期間が長引く原因の多くは、日々の心がけで防げるものです。
とはいえ、意志の強さだけで20時間以上の装着を続けるのは簡単ではありません。
仕組みとして続けられる形に整えておくと、無理なく習慣にできます。
ここでは、治療をスムーズに進めるために取り入れやすい4つの工夫をお伝えします。
どれも特別な道具や費用を必要としないものばかりです。
装着時間を記録して習慣にする
装着時間を記録に残す習慣は、計画どおりに進めるうえで大きな助けになります。
自分の感覚だけでは、外していた時間を実際より短く見積もりがちだからです。
数字として見えると、どの場面で時間を失っているかがはっきりします。
スマートフォンのメモに外した時刻と戻した時刻を書く、装置の交換日をカレンダーに印を付けるといった方法で十分に機能します。
記録を持って通院すれば、歯の動きと照らし合わせた具体的なアドバイスを受けやすくなります。
完璧を目指すより、続けられる形で記録を残すほうが結果につながりやすいといえるでしょう。
装置を最後まで密着させる工夫
装置を歯にしっかり密着させることは、装着時間を守るのと同じくらい重要です。
装置が浮いた状態では、設計された力が歯に伝わりません。
見た目には入っているようでも、奥歯の部分にわずかな隙間が残っているケースがあります。
アライナーチューイーと呼ばれる弾力のあるチューブを噛むことで、装置を歯にしっかりなじませる方法が広く用いられています。
装着してから数分間かけて全体を噛みしめるだけでも、密着の度合いは変わってきます。
正しい入れ方が分からないときは通院時に実際に見てもらうと、その場で修正できます。
むし歯と歯周病を防ぐ毎日のケア
口の中を健康な状態に保つことは、治療の中断を避けるための土台になります。
矯正中にむし歯や歯周病が見つかると、そちらの治療が優先され、矯正が一時的に止まります。
装置を入れたまま糖分を含む飲み物を口にすると、糖が歯と装置の間に留まり続けます。
装置を外している間に必ず歯を磨く、水以外を飲むときは装置を外すという2つを守るだけでも、リスクはかなり抑えられます。
装置そのものも毎日水かぬるま湯で洗い、専用の洗浄剤を使うと清潔さを保ちやすくなります。
矯正と口腔ケアは別のことではなく、同じ治療の一部だと考えて取り組んでみてください。
気になることは次の通院を待たずに相談する
不安や違和感を抱えたまま、次の通院を待つ必要はありません。
装置が浮いている、痛みが何日も続く、装置が割れたといった状態は、早く伝えるほど対応の選択肢が広がります。
放置した期間が長いほど、リファインメントが必要になる可能性も高まります。
装置をなくしてしまったとき、自己判断で1つ前の装置に戻して過ごすと、かえって計画が崩れることもあります。
小さなことでも聞いてよいのかと遠慮する方もいますが、判断を委ねるのが歯科医師の役割です。
疑問をためこまずに共有していくことが、結果として最短ルートで治療を終える近道になります。
装置を外したあとの保定期間はどのくらい続く?
矯正装置を外した瞬間が治療のゴールだと考えている方は少なくありません。
歯並びが整った時点で通院も終わると思っていたのに、まだ続くと聞いて戸惑うこともあるでしょう。
装置を外したあとには、整えた歯並びを安定させる保定期間が必ず組み込まれます。
この段階を軽く見てしまうと、時間と費用をかけた治療が振り出しに戻りかねません。
ここでは、保定期間の長さと過ごし方について整理します。
保定期間の目安と装着時間の変化
保定期間は、歯を動かした期間と同程度、おおむね1〜3年が目安になります。
動かしたばかりの歯は、周囲の骨や歯ぐきがまだ安定しておらず、元の位置へ戻ろうとする力が働きます。
この後戻りを抑えるために、リテーナーと呼ばれる保定装置を装着して過ごします。
装置を外した直後の3〜6か月は1日20時間程度の装着が求められ、歯並びの安定を確認しながら就寝時のみへと段階的に短くしていく流れが一般的です。
矯正に2年かかった方であれば、保定にも2年前後を見込んでおくと計画が立てやすくなります。
矯正治療は装置を外した日で終わりではなく、保定まで含めて一つの治療だと捉えておくと、気持ちの切り替えがしやすいはずです。
リテーナーをやめると起こること
自己判断でリテーナーの装着をやめると、歯並びが元に戻ってしまう可能性があります。
歯が元の位置へ戻ろうとする力は、装置を外してから数か月間がとくに強く働きます。
歯ぐきの繊維が新しい位置になじむまでには、それなりの時間が必要になるためです。
装着を数日さぼっただけでリテーナーがきつく感じられるようになり、無理に入れようとして装置を壊してしまったという例もあります。
数年後に前歯が再び重なり、矯正をやり直すことになったケースも報告されています。
面倒に感じる時期もあるかもしれませんが、寝る前に入れるという一手間が、これまでかけた時間を守ってくれます。
保定期間中の通院頻度
保定期間に入ると、通院の間隔は少しずつ広がっていきます。
歯の動きを細かく確認する必要がなくなり、安定の度合いを見る段階へ移るためです。
装置の破損や紛失、後戻りの兆候がないかを定期的に確かめる目的で来院します。
保定を始めた直後は3か月に1回程度、その後は半年に1回、1年に1回と間隔があいていくのが一般的な流れです。
リテーナーが合わなくなってきた場合には、作り直しの費用が別途かかることもあります。
通院の回数が減っても管理が不要になるわけではありませんから、次の予約は必ず取ってから帰るようにしておくと安心です。
ワイヤー矯正と比べて期間は長い?短い?
マウスピース矯正は時間がかかる、という話を耳にしたことがある方もいるでしょう。
ワイヤー矯正のほうが早く終わるなら、そちらを選ぶべきかと迷うかもしれません。
装置の違いが期間にどう影響するのかは、症例によって答えが変わります。
期間だけを比べて決めてしまうと、あとから後悔につながることもあります。
ここでは、両者の期間の関係と、期間以外に見ておきたい条件を整理します。
全体矯正で比較した場合の期間の違い
軽度から中等度の症例であれば、マウスピース矯正とワイヤー矯正の期間に大きな差は生まれにくくなります。
以前はマウスピース矯正のほうが歯の移動量が小さく時間がかかるとされていましたが、治療計画を立てる技術が進んだことで差は縮まりました。
どちらの方法でも、全体矯正であれば1〜3年程度が一つの目安になります。
一方、抜歯をともなう症例や歯を大きく動かす症例では、ワイヤー矯正のほうが期間を読みやすい傾向があります。
歯の根まで力をかけ続けられる構造が、大きな移動に向いているためです。
期間の差は症例次第で変わりますから、同じ歯並びで両方の方法を選んだ場合にどれくらい違うのかを、診断時に聞いてみるとよいでしょう。
期間以外に比べておきたい条件
期間が同じくらいであれば、生活への影響で選ぶという判断も成り立ちます。
矯正は年単位で続く治療のため、続けやすさが結果を左右する場面が多いためです。
装置の見た目、食事の制限、通院の頻度、費用の総額といった条件は、日々の負担に直結します。
マウスピース矯正は装置が目立たず食事の制限も原則ありませんが、装着時間を自分で管理する必要があります。
ワイヤー矯正は装置が外れないぶん管理の手間は少なく、代わりに見た目と食事の制限を受け入れることになります。
どちらが優れているかではなく、自分の生活に無理なく組み込めるのはどちらかという視点で選ぶと、納得して続けられます。
マウスピース矯正の期間に関するよくある質問
Q:マウスピース矯正は最短でどのくらいで終わりますか?
A:前歯のわずかな傾きを整える部分矯正であれば、3か月程度で歯を動かす期間が終わるケースもあります。
ただし、この期間には準備の1〜2か月と、治療後の保定期間が含まれていません。
最短で終えられるかどうかは歯並びの状態と装着時間の守り方で決まりますから、見込みは診断時に確認してください。
Q:装着時間を守らないとどうなりますか?
A:歯の移動が計画に追いつかず、次の装置がうまくはまらなくなります。
その状態で進めると装置が浮いて力が伝わらず、装置を作り直すリファインメントが必要になることもあります。
守れなかった日があった場合は隠さず伝えたほうが、そこからの立て直しが早くなります。
Q:リテーナーはいつまでつける必要がありますか?
A:おおむね1〜3年が目安とされ、歯を動かした期間と同程度を見込んでおくと計画が立てやすくなります。
装置を外した直後の3〜6か月は1日20時間程度、その後は歯並びの安定を確認しながら就寝時のみへと段階的に短くしていきます。
自己判断でやめると後戻りのリスクが高まるため、装着をやめる時期は歯科医師に確認しておくと安心です。
Q:治療が年をまたぐと医療費控除はどうなりますか?
A:医療費控除は、その年に実際に支払った金額をもとに申告する仕組みです。
歯列矯正については、受ける人の年齢や矯正の目的からみて必要と認められる場合の費用が対象になるとされています[3]。
一方で容姿を美しく整えることを目的とした矯正の費用は対象にならないと示されているため[4]、判断に迷うときは税務署に確認してください。
まとめ
マウスピース矯正で歯を動かす期間は、全体矯正でおよそ1〜3年、部分矯正で3か月〜1年が目安になります。
その前後には準備期間が1〜2か月、保定期間が1〜3年組み込まれるため、全体では1年から5年以上の幅を見込んでおくと計画が立てやすくなります。
期間を左右するのは、動かす歯の本数や移動距離といった症例の条件と、1日20〜22時間という装着時間の守り方です。
装着時間の不足、装置の紛失や破損、リファインメント、通院の遅れが、期間が延びる主な原因にあたります。
装着時間の記録、装置をしっかり密着させる工夫、毎日の口腔ケア、早めの相談という4点を意識すると、予定どおりに進めやすくなります。
装置を外したあとのリテーナーを自己判断でやめてしまうと、これまでかけた時間が振り出しに戻る可能性があります。
自分の歯並びで何年かかるかは検査を受けてはじめて分かりますから、まずはカウンセリングで具体的な見込みを聞いてみましょう。
参考文献
[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「不正咬合の治療法の概要」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-06-002.html
[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「不正咬合」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/teeth/yh-019.html
[3] 国税庁「No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1128.htm
[4] 国税庁「歯列を矯正するための費用」
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/05/08.htm
免責事項
※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、医療アドバイスではありません。
治療の適否や方法については必ず歯科医師にご相談ください。
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。
※歯科医師の判断により治療をお受けいただけない場合があります。