子供のマウスピース矯正の値段は?費用相場と総額の内訳を比較

お子さんのマウスピース矯正、実際にいくらかかるのか見当がつかず不安になっていませんか。
子どもの矯正費用は装置代だけで決まるものではなく、検査料や調整料、治療後の保定装置まで含めた総額で考える必要があります。
さらに子どもの矯正は成長段階に応じて2つの時期に分かれるため、どこまで進むかによって最終的な支払額が変わります。
この記事では費用相場と内訳、保険や医療費控除の扱い、見積もりを比べるときの視点までを整理しましたので、ご家庭の予算を組み立てる材料としてお役立てください。
子供のマウスピース矯正の値段の目安
子供のマウスピース矯正にかかる費用は、装置の種類よりも治療の範囲と進める段階によって変わります。
同じ治療名でも医院ごとに金額が異なり、何を基準に比べればよいのか迷ってしまいますよね。
矯正治療の多くは健康保険の対象にならない自由診療にあたり、料金は医療機関がそれぞれ設定しています。
相場はあくまで幅として受け止め、ご家庭に当てはまる金額は見積もりで確認する姿勢が欠かせません。
まずは目安となる金額と、幅が生まれる理由を押さえておきましょう。
子供のマウスピース矯正の費用相場
子供のマウスピース矯正の費用は、30万円から60万円程度が一つの目安になります。
動かす歯の本数と作製する装置の枚数、そして治療にかかる期間が、そのまま金額に反映されるためです。
永久歯が生えそろう前の段階で行う治療と、生えそろってから歯列全体を整える治療とでは、必要な装置の量が変わります。
前歯まわりの並びを整える範囲であれば30万円台に収まることもあり、あごの成長を促す装置を組み合わせる場合は60万円を超えるケースもあります。
治療費とは別に、精密検査料や通院ごとの調整料が加算される料金体系を取る医院も少なくありません。
提示された金額に何が含まれているのかを最初に確かめておけば、家計の見通しを立てやすくなります。
値段に大きな幅が出る理由
同じ「子供のマウスピース矯正」という言葉でも、金額が倍近く違うことがあります。
治療のゴールをどこに置くかによって、必要な装置も期間もまったく変わってくるためです。
前歯の見た目を整えることを目的とした治療と、噛み合わせ全体を作り直す治療は、内容が別ものになります。
あごの幅を広げる装置を併用する場合や、生え変わりを長期にわたって管理する場合は、通院回数が増えて総額も上がります。
装置を壊したりなくしたりしやすいお子さんの場合、作り直しの費用が加わることも想定しておきたい部分です。
金額の差は治療の質の差ではなく治療範囲の差であることが多いと知っておくと、見積もりを冷静に読み比べられるでしょう。
ワイヤー矯正との値段の違い
マウスピース矯正のほうが必ず高い、あるいは必ず安いという関係にはありません。
費用を左右するのは装置の種類ではなく、治療する範囲と期間だからです。
永久歯が生えそろった年齢では、個々の歯を並べ直す目的でマルチブラケット装置が広く使われています[1]。
子どもの段階ではあごの成長を利用する取り外し式の装置が用いられることもあり[1]、選べる装置はマウスピースだけではありません。
同じ医院でワイヤー矯正の見積もりもあわせて出してもらうと、金額の差がどこから生まれているのかを説明とセットで確認できます。
装置の値段を先に比べるのではなく、必要な治療の範囲が決まってから比べるほうが、納得のいく選択につながります。
1期治療と2期治療で分かれる費用の仕組み
子供の矯正費用が分かりにくい最大の理由は、治療が2つの段階に分かれている点にあります。
一度支払えば終わりだと思っていたところに追加の費用があると聞き、戸惑う保護者の方は少なくありません。
子どもの矯正治療は、永久歯列が完成する前に行うⅠ期治療と、永久歯列が完成したあとに行うⅡ期治療に分けられています[1]。
どちらの段階まで進むかで、ご家庭が負担する総額は大きく変わります。
それぞれの目的と費用の考え方を、順に確認していきます。
1期治療にかかる費用と目的
Ⅰ期治療の費用は、20万円から50万円程度が目安になります。
この段階の目的は歯をきれいに並べることではなく、成長の力を借りてあごや歯列の土台を整えることにあるためです。
Ⅰ期治療は、永久歯列が完成する前の成長に余力がある子どもに対して行われる治療と位置づけられています[1]。
用いられる装置はマウスピース型だけに限らず、口に入れるタイプや頭にかぶるタイプの取り外し式装置も含まれます[1]。
治療期間が1年から2年に及ぶことも多く、そのあいだの調整料が別に必要となる医院もあります。
早い段階での治療は将来の負担を減らす目的で行われるため、金額と同時に何を目指す治療なのかを確認しておくと安心です。
2期治療にかかる費用と目的
Ⅱ期治療の費用は、30万円から80万円程度が目安です。
永久歯が生えそろったあとに、歯を一本ずつ動かして噛み合わせまで仕上げていく段階になるためです。
永久歯列では、ほとんどの患者さんでマルチブラケット装置を用いた個々の歯の再配列が行われています[1]。
近年のⅡ期治療では、透明な樹脂でできた取り外し式の矯正装置による治療も行われるようになりました[1]。
Ⅰ期治療を受けた医院でそのまま続ける場合、Ⅱ期治療の費用から一部を差し引く料金体系を設けている医院もあります。
進学や部活動が本格化する時期と重なりやすいため、いつごろどのくらい必要になるのかを早めに把握しておくとよいでしょう。
2段階を通した総額の見積もり方
ご家庭が備えるべき金額は、Ⅰ期とⅡ期を合わせた総額で考えます。
Ⅰ期治療だけで噛み合わせまで完成するとは限らず、Ⅱ期治療へ進む前提で計画が組まれることが多いためです。
相談の場で提示されるのはⅠ期治療の金額だけというケースもあり、Ⅱ期の費用は別途案内される形が一般的です。
両方を受けた場合、総額は60万円から100万円前後になることもあり、Ⅰ期の金額だけで判断すると想定が狂ってしまいます。
Ⅰ期治療を行って生え変わりがスムーズに進んだ場合には、Ⅱ期治療が必要なくなる可能性もあると示されています[1]。
相談の段階でⅡ期に進んだ場合の総額まで聞いておけば、あとから予算を組み直す事態を避けられます。
装置代以外にかかる費用の内訳
見積もりを比べるときに見落としやすいのが、装置代以外の費用です。
治療が始まってから知らされる費用があると、家計の計画が崩れてしまいますよね。
矯正治療では、装置を作る前の段階にも、装置を外したあとにも費用が発生する場面があります。
とくに子どもの矯正は治療期間が長く、少額の費用でも積み重なると無視できない金額になります。
代表的な3つの項目を、それぞれ確認していきましょう。
初診相談料と精密検査・診断料
治療を始める前の段階で、相談料と検査費用がかかります。
装置を決めるには、歯並びの状態とあごの成長段階を調べる必要があるためです。
初診相談料は無料から5,000円程度、精密検査と診断料は3万円から6万円程度が目安になります。
検査ではレントゲン撮影や口腔内のスキャン、写真撮影、歯型の採取などが行われ、その結果をもとに治療計画が組み立てられます。
この費用は治療費に含まれる医院と、別途請求される医院に分かれるため、相談の予約時に確かめておくと予定を立てやすくなります。
検査を受けたうえで「今は様子を見る」という判断もできますので、支払った費用が無駄になるわけではありません。
通院ごとに発生する調整料
多くの医院では、通院のたびに調整料が発生します。
装置が計画どおりに働いているかの確認や、生え変わりの状況チェックを毎回行う必要があるためです。
金額は1回3,000円から10,000円程度が目安で、子どもの矯正では1か月から3か月に1回程度の通院が続きます。
治療が2年に及ぶと、調整料だけで10万円を超える計算になることもあります。
治療費に調整料が含まれている料金体系であれば、通院が長引いても追加の負担は発生しません。
装置代の安さだけで比べると総額を見誤るため、調整料は必ずセットで確認しておきたい項目です。
保定装置と作り直しにかかる費用
治療が終わったあとにも、保定装置の費用が必要になります。
動かし終えた歯は元の位置へ戻ろうとするため、位置を安定させる装置を使う期間が続くためです。
保定装置の費用は1万円から6万円程度が目安で、治療費に含まれる場合と別途請求される場合があります。
子どものうちは装置を紛失したり壊したりすることも珍しくなく、給食のあとにナプキンごと捨ててしまうケースも起こります。
再作製の費用が1回いくらかかるのか、何回まで無償で対応してもらえるのかは、医院ごとに扱いが異なります。
紛失時の対応まで聞いておけば、いざというときに慌てずに済むでしょう。
料金体系の違いで総額が変わる
同じ治療内容でも、料金の支払い方によって最終的な負担額は変わります。
見積書の金額だけを見比べても、比較にならないことがあるためです。
矯正治療の料金体系は大きく2つに分かれ、それぞれに向き不向きがあります。
治療が長引いたときにどちらが有利になるのかを知っておくと、見積もりの読み方が変わります。
料金体系の違いと、契約前に確かめておきたい点を整理します。
総額制と処置ごとの支払いの違い
料金体系には、治療費を最初にまとめて提示する総額制と、処置のたびに支払う方式があります。
総額制では治療にかかる費用があらかじめ確定するため、期間が延びても追加の請求が発生しにくい仕組みです。
処置ごとに支払う方式は初期の負担が軽い一方、通院が増えるほど支払総額は膨らんでいきます。
子どもの矯正は生え変わりの進み方によって期間が読みにくく、当初の見込みより長引くことも起こります。
治療の途中で装置の変更が必要になった場合の扱いも、料金体系によって変わってきます。
期間が読みにくい子どもの治療では、総額が確定する方式のほうが家計を管理しやすいと考えられます。
見積もりで確認しておきたい項目
見積書を受け取ったら、金額よりも先に含まれている範囲を確認します。
同じ50万円でも、検査料や調整料、保定装置まで含む金額と、装置代だけの金額では意味がまったく違うためです。
確認したい項目は、精密検査・診断料、通院ごとの調整料、保定装置の費用、装置の再作製費用、Ⅱ期治療に進んだ場合の費用の5つになります。
Ⅱ期治療へ進む際にⅠ期の支払い分が差し引かれるのか、それとも新たに全額が必要になるのかも、総額を左右する重要な点です。
口頭の説明だけで終わらせず、書面で受け取っておくと、あとから内容を確認できます。
金額の内訳をそろえて比べれば、複数の医院を同じ土俵で検討できるようになります。
途中で治療をやめた場合の扱い
治療を中断する可能性についても、始める前に確認しておきたいところです。
転居や進学、お子さん自身が装置を続けられなくなるなど、想定外の事情は起こりうるためです。
総額制の医院では、進行状況に応じて未実施分が返金される規定を設けている場合があります。
処置ごとに支払う方式では、すでに受けた処置の分を支払う形になり、返金の対象は生じにくくなります。
転居先の医院で治療を引き継ぐ場合は、新たに検査料と治療費が必要になることも想定しておきましょう。
契約書の返金規定に目を通してから署名する習慣を持っておくと、万一のときに選択肢を残せます。
保険が使えるケースと使えないケース
矯正費用を調べていると、健康保険が使えないという記述に驚く方も多いのではないでしょうか。
数十万円の治療に保険が利かないと知ると、家計への影響が一気に現実味を帯びますよね。
ただし、すべての矯正治療が保険の対象外というわけではありません。
限られた条件のもとでは、保険診療として矯正治療を受けられる仕組みが用意されています。
自由診療と保険診療の境界線を、正確に確認しておきましょう。
子どもの矯正の多くは自由診療
歯並びを整える目的で受ける矯正治療は、原則として自由診療にあたります。
健康保険は病気やけがの治療に適用される制度であり、歯並びの見た目を整える治療は対象に含まれないためです。
自由診療では料金を各医療機関が設定するため、同じ治療内容でも医院によって金額が異なります。
初診相談料や検査料の設定にも差があり、公定価格のような共通の基準は存在しません。
お住まいの自治体で子ども医療費の助成を受けている場合でも、助成の対象になるのは保険診療の窓口負担分に限られます。
金額の比較が必要になるのは自由診療だからこそですので、複数の医院で見積もりを取る手間は惜しまないほうがよいでしょう。
健康保険が適用される限られたケース
一部の不正咬合については、健康保険を使った矯正治療が認められています。
歯並びの問題が病気や生まれつきの疾患に起因する場合、治療の必要性が医学的に認められるためです。
あごの骨格のずれが著しく大きく、下あごを切断して動かすといった外科的手法を併用する外科矯正治療が必要な場合、この骨格性不正が大きい病気は顎変形症と呼ばれ、一部の病院で保険診療の対象となります[1]。
顎変形症のほかにも、唇顎口蓋裂やダウン症候群、鎖骨・頭蓋骨異形成など、国の定める42の疾患に起因する不正咬合の矯正歯科治療には一部の病院で保険が適用されます[1]。
保険が適用される医療機関は限られており、日本矯正歯科学会が公開している施設リストで確認できるとされています[1]。
お子さんが該当する可能性を感じた場合は、治療を始める前に対応できる医療機関へ相談しておくことが大切です。
自治体の制度を調べる方法
自治体によっては、矯正治療に関連する制度が用意されていることがあります。
先天的な疾患による不正咬合の治療は、公費で医療費の負担を軽くする制度の対象になる場合があるためです。
保険が適用される矯正治療については、指定を受けた医療機関で自立支援医療の枠組みが使われることがあります[1]。
制度の名称や対象の範囲は自治体ごとに違いがあり、申請の窓口も市区町村の担当課に分かれています。
お住まいの自治体のホームページで、子どもの医療費助成や自立支援医療の案内を確認するところから始めると調べやすくなります。
該当するかどうかの判断は医療機関と自治体の窓口が行いますので、思い当たる点があれば早めに問い合わせておくと安心です。
医療費控除で実質の負担を軽くする
自由診療であっても、支払った費用が戻る可能性は残されています。
高額な治療費を前に、使える制度は使い切りたいと考えるのは自然なことです。
確定申告で医療費控除を申請すると、所得税や住民税の負担が軽くなる場合があります。
子どもの矯正治療は、大人の矯正よりもこの制度の対象として認められやすい治療にあたります。
対象になる条件と、申告に向けた準備を確認していきます。
子どもの矯正が対象になりやすい理由
子どもの矯正治療は、医療費控除の対象として認められやすい治療です。
国税庁は、発育段階にある子どもの成長を阻害しないようにするために行う不正咬合の歯列矯正のように、歯列矯正を受ける人の年齢や矯正の目的などからみて歯列矯正が必要と認められる場合の費用は医療費控除の対象になるとしています[2]。
成長の途中にあるお子さんの歯並びや噛み合わせは、放置すると噛む・話すといった機能そのものに影響が及ぶ可能性があります。
一方で、同じ歯列矯正でも容ぼうを美化するための費用は医療費控除の対象にならないと明記されています[2]。
大人の矯正が見た目を目的とした治療と判断されやすいのに対し、子どもの矯正は治療としての必要性が認められやすい構図です。
対象になるかどうかの最終的な判断は税務署が行いますが、条件を知っておくだけで準備の質は変わります。
対象になる費用とならない費用
医療費控除では、支払ったすべての費用が対象になるわけではありません。
対象となるのは、歯科医師による診療または治療の対価にあたる支出だからです。
矯正の治療費や検査料に加え、通院のために公共交通機関を利用した交通費も対象に含められます。
自家用車で通院した場合のガソリン代や駐車場代は、診療の対価にあたらないため対象外です。
歯科ローンを利用して支払った場合も、契約書の写しなどを添えることで対象にできる仕組みがあります。
判断に迷う支出は、領収書を残したうえで税務署や医療機関に確認しておくと、申告のときに慌てずに済みます。
申告に向けて残しておく書類
医療費控除を受けるには、支払いの記録を年単位で残しておく必要があります。
申告は1年間に支払った医療費を合計して行うため、途中の領収書が欠けると正しい金額を出せないためです。
矯正治療の領収書はもちろん、通院にかかった交通費についても日付と区間、金額を記録しておきます。
矯正治療は複数年にまたがるため、支払った年ごとに分けて保管する習慣をつけておくと整理しやすくなります。
医院によっては治療目的であることを示す診断書を発行してもらえるため、必要かどうかを相談時に確かめておくのも一つの方法です。
領収書をまとめて保管しておくだけで選択肢は残せますので、治療を始める段階から準備を進めておきましょう。
支払い方法と家計への組み込み方
治療費の総額が見えてくると、次に気になるのは支払い方です。
数十万円を一度に用意するのは、多くのご家庭にとって簡単なことではありませんよね。
矯正治療では一括払い以外の方法も用意されており、負担を分散させることができます。
治療期間が数年に及ぶ子どもの矯正では、支払いのペースを生活に合わせて設計する視点が役立ちます。
利用できる方法と、家計への組み込み方を確認していきます。
分割払いとデンタルローン
支払い方法には、一括払いのほかに分割払いとデンタルローンがあります。
治療の開始時にまとまった資金がなくても、月々の負担に置き換えて始められる仕組みがあるためです。
医院が独自に設けている分割払いは、金利がかからない設定になっていることが多く、治療期間に合わせて回数が決められます。
デンタルローンは信販会社を通じて費用を立て替えてもらう方法で、支払回数を長く取れる一方、金利や手数料が上乗せされます。
クレジットカードでの分割払いに対応している医院もありますが、リボ払いは手数料が高くなりやすいため慎重に選びたいところです。
支払総額は方法によって変わりますので、月々の金額だけでなく最終的にいくら払うのかまで確認しておくと納得して選べます。
無理のない進め方を相談する
支払いに不安がある場合は、契約前に医院へ相談しておくことをおすすめします。
治療の進め方や開始時期には調整の余地があり、家計の状況に合わせて選べる場面があるためです。
Ⅰ期治療をいったん受けたうえで経過を見て、Ⅱ期治療の判断を先送りする進め方もあります。
治療を急ぐ必要があるのか、数か月待っても影響がないのかは、お子さんの成長段階によって変わってきます。
治療の開始時期については、あごの成長に余力がある時期を活かす考え方が示されているため[1]、自己判断で先延ばしにするのではなく歯科医師に確認することが大切です。
費用の相談をすると治療を断られるのではと心配になるかもしれませんが、事情を伝えておくほうが現実的な計画を立ててもらえます。
値段と一緒に確認したい治療内容
費用の話と並行して、お子さんの歯並びにマウスピース矯正が適しているかを確かめる必要があります。
金額に納得して契約したあとで、装置が合わないと分かるのは避けたいところです。
マウスピース矯正には対応できる範囲があり、すべてのケースで選べる方法ではありません。
装置を選び直すことになれば、期間も費用も当初の見込みから膨らみます。
適応の考え方と、お子さん自身の協力度について整理していきます。
マウスピース矯正が向いているお子さんの状態
マウスピース矯正は、歯並びの乱れが比較的軽い段階のお子さんに向いています。
装置が歯を包み込んで押す仕組みのため、動かす距離が短いほど計画どおりに進めやすいためです。
前歯の軽い凸凹や、あごの幅を少しずつ広げていく目的の治療では、選択肢に入りやすくなります。
金属の装置に抵抗があるお子さんや、学校で装置を見られたくないと感じているお子さんとも相性が良い方法です。
食事や歯磨きのときに外せるため、装置の周りに汚れがたまりにくく、虫歯のリスクを抑えやすい点も利点になります。
装置を嫌がって治療が続かない事態を避けたい場合、お子さん本人の気持ちを確認しながら選ぶと納得感が高まります。
マウスピース矯正では対応が難しいケース
一方で、マウスピース矯正では対応しきれない歯並びも存在します。
歯を大きく動かす動きや、根元から起こすような複雑な動きが苦手な装置だからです。
厚生労働省の情報サイトでも、透明な樹脂でできた取り外し式の矯正装置についてはマルチブラケット装置の治療効果には劣るものの治療効果があると報告されており、ある種の不正咬合の治療に効果を発揮すると位置づけられています[1]。
あごの骨格そのものにずれがある場合は、歯を動かすだけでは十分な改善につながらず、成長を利用した別の装置が選ばれることもあります[1]。
永久歯が生えそろった段階では、個々の歯を並べ直す目的でマルチブラケット装置が使われるのが一般的です[1]。
装置が使えないと言われても治療の道が閉ざされるわけではありませんので、代わりの方法とその費用まで聞いておくとよいでしょう。
装着時間を守れるかどうかが費用にも影響する
マウスピース矯正では、装着時間を守れるかどうかが治療結果と費用の両方に影響します。
取り外しができる装置は、決められた時間装着して初めて計画どおりの力がかかる仕組みだからです。
1日の装着時間の目安を下回る日が続くと歯が計画どおりに動かず、装置が合わなくなって作り直しが必要になります。
作り直しには追加の費用と期間がかかり、当初の見積もりから膨らむ原因になります。
学校で外したまま失くしてしまう、面倒で夜だけになってしまうといったことは、お子さんの年齢によっては起こりうる出来事です。
保護者が装着状況を一緒に確認できる環境をつくれるかどうかも、装置を選ぶ判断材料として考えておきたい点です。
費用で後悔しないための医院選び
治療の質と費用の納得感は、どの医院を選ぶかで大きく変わります。
矯正治療は数年にわたって通い続けるため、途中で医院を変えるのは簡単ではありません。
金額の安さだけで決めてしまうと、必要な治療が含まれていなかったと後から気づくことがあります。
お子さんの成長に合わせて長く付き合える相手を選ぶ視点が欠かせません。
見積もりの読み方から相談時の質問まで、実践的な確認方法を整理します。
複数の見積もりを比べるときの視点
見積もりは、2軒以上の医院で受け取って比べるのが現実的な方法です。
同じ歯並びでも、扱っている装置や治療の考え方によって提案される内容が変わることがあるためです。
比べるときは金額の総額だけでなく、治療のゴールをどこに置いているかを揃えて確認します。
前歯の並びを整えるところまでの提案と、噛み合わせまで作り直す提案では、金額が違って当然だからです。
複数の医院で共通して指摘された点があれば、それは装置の違いを超えて対応すべき課題だと考えられます。
説明の分かりやすさや質問への答え方も判断材料になりますので、金額表以外の部分にも目を向けてみてください。
安さを前面に出した広告への向き合い方
費用の安さを強調する広告に出会ったときは、いったん立ち止まる姿勢が身を守ります。
提示された金額に含まれる治療範囲が、想定しているものと異なる場合があるためです。
前歯だけを対象とした治療と、あごの成長を管理しながら進める治療では、必要な期間も装置の量もまったく違います。
その場での契約を促されたり、期間限定という理由で判断を急がされたりする場面では、持ち帰って検討すると伝えて構いません。
契約内容や返金の規定は書面で受け取り、家族で確認してから決める流れにしておくと安心です。
判断を急がない姿勢そのものが、お子さんの数年間を預ける相手を見極める時間になります。
相談のときに聞いておきたいこと
初回の相談では、費用に関する質問をまとめて持っていくと効率よく比較できます。
その場で聞き漏らすと、あとから電話で確認する手間が生まれるためです。
総額に何が含まれるか、調整料は別途必要か、Ⅱ期治療へ進む場合の費用はいくらか、装置を紛失した際の再作製費用はどうなるかの4点は必ず確認しておきたい項目になります。
治療の目的とゴール、想定される期間、装置が合わなかった場合の対応についても、あわせて質問しておくと計画が具体的になります。
回答をその場でメモに残しておけば、別の医院の内容と並べて落ち着いて比べられます。
疑問を残したまま契約に進まないことが、費用面での後悔を防ぐ最も確実な方法といえるでしょう。
子供のマウスピース矯正の値段に関するよくある質問
Q:子供のマウスピース矯正はいくらかかりますか?
A:装置代の目安は30万円から60万円程度ですが、これはⅠ期治療またはⅡ期治療の片方にかかる金額です。
両方を受けた場合の総額は60万円から100万円前後になることもあります。
検査料や調整料、保定装置の費用が別途必要な医院もあるため、見積もりで内訳を確認してください。
Q:子供の矯正に健康保険は使えますか?
A:歯並びを整える目的の矯正治療は、原則として自由診療にあたります。
ただし顎変形症や、国の定める42の疾患に起因する不正咬合の矯正歯科治療には、一部の病院で保険が適用されます[1]。
保険が使える医療機関は限られているため、該当しそうな場合は治療前に確認しておきましょう。
Q:子供の矯正は医療費控除の対象になりますか?
A:年齢や矯正の目的からみて必要と認められる場合の費用は、医療費控除の対象になります[2]。
発育段階にある子どもの成長を阻害しないために行う不正咬合の歯列矯正が、その例として挙げられています[2]。
一方で、容ぼうを美化するための費用は対象になりません[2]。
Q:1期治療だけで終わることはありますか?
A:Ⅰ期治療を行って生え変わりがスムーズに進んだ場合、Ⅱ期治療が必要なくなる可能性もあると示されています[1]。
ただし多くのケースでは、永久歯が生えそろってから仕上げの治療に進む前提で計画が組まれます。
Ⅱ期治療まで進んだ場合の費用も含めて、相談の段階で確認しておくと予算を立てやすくなります。
まとめ
子供のマウスピース矯正の費用は、装置代の目安として30万円から60万円程度が一つの基準になります。
子どもの矯正治療はⅠ期治療とⅡ期治療の2段階に分かれており、どこまで進むかによって総額が変わります[1]。
装置代のほかに精密検査料、通院ごとの調整料、保定装置や再作製の費用が加わるため、内訳をそろえて比べる必要があります。
料金体系には総額を先に確定させる方式と処置ごとに支払う方式があり、期間が読みにくい子どもの治療では前者のほうが管理しやすくなります。
歯並びを整える目的の矯正は自由診療にあたりますが、顎変形症や国の定める疾患に起因する不正咬合には保険が適用される場合があります[1]。
年齢や目的からみて必要と認められる矯正であれば医療費控除の対象になるため、領収書と通院の記録は必ず残しておきましょう[2]。
費用の全体像をつかんだうえで複数の医院に相談すれば、ご家庭に合った進め方が見えてきますので、気になった時点で一度検査を受けてみてください。
参考文献
[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「不正咬合の治療法の概要」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-06-002.html
[2] 国税庁「No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1128.htm
※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、医療アドバイスではありません。
治療に関しては必ず歯科医師にご相談ください。
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。
※歯科医師の判断により、ご希望の治療を行えない場合があります。
※税制上の取り扱いについては、最終的に所轄の税務署にご確認ください。