マウスピース矯正で口臭は強くなる?原因と今日からできる対策

マウスピース矯正を始めてから、口のにおいが気になるようになっていませんか。
装着している時間が長くなるほど口の中の環境は変わりやすく、においが出やすい条件がそろいます。
ただし原因は装置だけとは限らず、舌の汚れや歯ぐきの状態が関わっていることも少なくありません。
この記事では口臭が起こる仕組みと原因の見分け方、今日から実践できるケアの手順までを整理しましたので、ひとりで抱え込まずに読み進めてみてください。
マウスピース矯正中に口臭が気になりやすい理由
マウスピース矯正中ににおいが気になるようになるのは、あなただけに起きていることではありません。
人に相談しづらい悩みだけに、ひとりで抱えて不安が大きくなってしまいますよね。
装置を長時間つける生活は、口の中の環境をこれまでと変えます。
原因を知れば、対処できる部分とそうでない部分の区別がつくようになります。
まずは口臭という現象そのものの仕組みから確認していきましょう。
口臭の原因の多くは口の中にある
においの原因は、そのほとんどが口の中にあります。
胃腸の不調が原因ではないかと考える方は多いものの、実際に呼気を経由して現れる全身の病気由来の口臭は限られているためです。
口臭の大部分は口の中で発生する気体に由来し、その主な原因物質は揮発性硫黄化合物と呼ばれる成分です[1]。
この成分は、口の中に生息する嫌気性菌が唾液や剥がれた粘膜の細胞、食べ物の残りかすに含まれる成分を分解することで作られます[1]。
原因となる場所としては、歯ぐきの炎症や舌苔、口の中にたまった唾液などが挙げられ、なかでも歯周病と舌の汚れが大部分を占めています[1]。
原因が口の中にあるということは、日々のケアで対応できる余地が大きいという意味にもなります。
装着中は唾液のはたらきが届きにくい
マウスピースを装着している時間は、唾液が歯の表面に触れにくくなります。
装置が歯を包み込むように密着するため、唾液が歯と装置の間に入り込めなくなるためです。
唾液には口の中を洗い流すはたらきがあり、この作用が及ばない場所では汚れが留まりやすくなります。
1日20時間以上の装着が目安とされる治療では、装置を外している時間は食事とお手入れの時間に限られます。
食べかすが残ったまま装置をかぶせると、その汚れが長時間にわたって歯の表面に閉じ込められる状態になります。
装着前のひと手間が結果を左右すると分かれば、対策の優先順位が見えてきます。
口臭には時間帯による変動がある
においの強さは、1日のなかで一定ではありません。
口臭には日内変動があり、食事やうがいなど口の活動から時間が経過するほど原因物質の濃度が高くなることが報告されています[1]。
食事をする、話す、うがいをするといった動きが口の中の状態を整えていることになります。
マウスピースを装着している時間は飲食ができず、口の動きも普段より少なくなりがちです。
起床時や長時間なにも口にしていないときに、においを強く感じやすくなるのはこのためだと考えられます。
時間帯による波があると知っておくと、気になった瞬間に必要以上に落ち込まずに済むはずです。
装置そのものが原因になっている場合
においの発生源が、マウスピースそのものにあることもあります。
外したときに装置からにおいを感じた経験がある方もいるのではないでしょうか。
装置は毎日長時間口の中に入っているため、手入れが不十分だと細菌の温床になります。
一方で、洗い方を誤ると装置を傷めて状況を悪化させることもあります。
装置側に原因がある3つのパターンを確認していきます。
マウスピースに汚れが残っている
洗浄が足りていない装置は、においの原因になります。
装置の表面には唾液や食べかす由来の成分が付着し、そこで細菌が増えていくためです。
1〜2週間で新しいものに交換するからと洗浄を後回しにすると、汚れが蓄積したまま口の中に入れ続けることになります。
付着した唾液の成分が固まって装置が白く濁り、においが定着してしまう場合もあります。
装置を外したときに指で触ってぬめりを感じる状態は、細菌の膜ができているサインだと考えられます。
外すたびに流水で洗う習慣をつけるだけでも、装置由来のにおいはかなり抑えられます。
装置に細かい傷がついている
マウスピースについた傷も、においを生む原因になります。
樹脂でできた装置の表面に細かい傷ができると、その凹凸に汚れが入り込んで落としにくくなるためです。
傷は硬い歯ブラシで強くこすったり、研磨剤の入った歯磨き粉で磨いたりすることで生じます。
いったんついた傷は元に戻らず、洗っても取り切れない汚れが残り続ける状態になります。
装着したまま硬いものを噛む習慣がある場合も、装置に負担がかかって傷や変形の原因になります。
装置をきれいに保つには、強く磨くことよりも傷をつけない扱い方が近道だといえます。
洗い方が合っていない
よかれと思って行っている手入れが、逆効果になっていることもあります。
装置の材質はプラスチックであり、熱や薬品に弱い性質を持っているためです。
熱いお湯で洗うと変形し、歯に合わなくなって治療そのものに影響が出ます。
漂白剤や食器用洗剤などを使うと、素材を傷めたり成分が残ったりする心配があります。
装置に適した洗い方を知らないまま自己流を続けていると、においが取れないだけでなく作り直しが必要になることもあります。
正しい手順は後半で詳しく整理しますので、まずは間違った方法を避けるところから始めてみてください。
口の中の状態が原因になっている場合
においの原因が装置ではなく、口の中そのものにあることも少なくありません。
装置を毎日きれいに洗っているのに改善しない場合、原因は別の場所にあります。
口臭の発生源として大きいのは、実は歯そのものよりも舌と歯ぐきです。
矯正治療中は口の中の環境が変わるため、これらの影響が表に出やすくなります。
原因になりやすい3つの部位を、順に確認していきます。
舌の汚れ(舌苔)が最も大きな原因
においの原因として最も大きいのは、舌の表面につく汚れです。
舌に付着する白い苔のようなものは舌苔と呼ばれ、ここで口臭の原因物質が最も多く作られるためです[2]。
口臭の原因のほとんどは歯周病と舌苔が占めており、この2つでは舌苔から産生される量のほうが多いとされています[1]。
舌苔のつき方には個人差があり、同じ人でも起床時や長時間なにも食べていないときに量が多くなる傾向があります[2]。
生理的な口臭を防ぐには、歯磨きに加えて舌の清掃を行い、舌を清潔に保つことが最も効果的だと示されています[2]。
装置の洗浄ばかりを頑張っていた方にとっては、対策の優先順位が変わる情報かもしれません。
歯ぐきの炎症や歯周病によるにおい
歯ぐきの状態も、においに直結します。
歯周病がある場合、においの強い原因物質が多く作られるためです[1]。
通常は硫化水素という物質の割合が高いのに対し、歯周病の方ではメチルメルカプタンの割合が高くなることが知られています[1]。
矯正治療中は装置の周りに汚れが残りやすく、歯ぐきに炎症が起きやすい環境になります。
磨いたときに血がにじむ、歯ぐきが赤く腫れているといった変化は、確認しておきたいサインです。
自覚がないのに家族から口臭を指摘されるようになった場合、歯周病が原因の可能性があり、歯科医院での専門的な検査と治療が必要になります[2]。
磨き残しと虫歯
歯の表面に残った汚れも、においの一因になります。
プラークには細菌が含まれ、虫歯や歯周病の原因となるためです[3]。
プラークは粘着力があり水に溶けないため、うがいだけでは取り除けず、歯ブラシで機械的に落とすことが基本とされています[3]。
歯と歯の間に付いたプラークはブラッシングだけでは落としにくく、歯間ブラシやデンタルフロスの併用がすすめられています[3]。
矯正治療中は装置の縁や歯の重なった部分に汚れが残りやすく、いつもどおりの磨き方では届かない場所が生まれます。
道具を1つ増やすだけで届く範囲が変わりますので、まずはフロスから取り入れてみてください。
口の乾燥と口呼吸の影響
口の中の乾燥も、においを左右する大きな要素です。
朝起きたときに口の中が乾いていて、においが気になった経験はありませんか。
唾液の量が減ると、口の中の状態は一気に変わります。
マウスピースを装着している時間は、この乾燥が起こりやすい条件と重なります。
乾燥との関係と、日常でできる工夫を確認していきます。
唾液が減るとにおいは強くなる
唾液の量が減ると、においは強まりやすくなります。
唾液には口の中の汚れを洗い流すはたらきがあり、その量が減ると細菌の分解活動が進みやすくなるためです。
口臭には日内変動があり、食事やうがいといった口の活動から時間が経つほど原因物質の濃度が高くなることが報告されています[1]。
噛む、話す、飲み込むといった動きは唾液の分泌を促し、口の中の環境を整える役割を果たしています。
寝ている間は口の動きが止まるため、起床時ににおいを強く感じやすくなります。
乾燥という条件が分かっていれば、意識的に口を動かす場面を作るという対策につながります。
装着中に口が乾きやすくなる理由
マウスピースを装着していると、口の中が乾いた感覚になることがあります。
装置が歯を覆うことで唾液の流れ方が変わり、歯の表面に唾液が行き渡りにくくなるためです。
装着中は水以外を口にできないため、飲食による口の動きそのものが減ります。
もともと口呼吸の習慣がある方は、装置の有無にかかわらず口の中が乾きやすい状態にあります。
装置に慣れないうちは口を閉じにくく感じ、無意識に口が開いてしまうこともあります。
乾燥は体質の問題だと諦めず、日中の水分の取り方から見直してみると変化が出やすくなります。
水分の取り方で気をつけたいこと
乾燥対策としては、こまめな水分補給が現実的な方法になります。
一度に大量に飲むよりも、少量を回数多く取るほうが口の中の湿り気を保ちやすいためです。
装着したまま口にしてよいのは水に限られ、それ以外の飲み物は装置を外してから飲むのが基本になります。
色の濃い飲み物を装着したまま飲むと、装置が着色して汚れの原因にもなります。
糖分を含む飲み物を装着したまま飲んだ場合、糖が装置の内側に留まって虫歯のリスクを高めます。
外して飲み、うがいをしてから戻すという流れを習慣にできれば、乾燥とにおいの両方に効いてきます。
自分の口臭は気づきにくいもの
自分のにおいがどの程度なのか、正確に把握するのは難しいものです。
人に聞くわけにもいかず、確かめようがないまま不安だけが大きくなりますよね。
実は口臭には、自分では判断しにくいという性質があります。
その性質を知っておくと、必要以上に思い悩まずに済みます。
自己評価と実際のにおいの関係を確認していきます。
自己評価と実際のにおいは一致しない
自分が感じているにおいの強さと、実際のにおいの有無は結びつきません。
口臭の自己評価と実際の口臭の有無とは相関しないことが報告されているためです[1]。
鼻の周囲で常に発生しているにおいは、嗅覚の順応という反応によって自分では感じ取りにくくなります[1]。
この性質があるため、においを気にする人が多い一方で、強いにおいがあっても無自覚な人も多いという状況が生まれています[1]。
厚生労働省の調査では、15歳以上の約10%が口臭が気になると回答していますが、これは主観的な回答であって国民の10%ににおいがあることを示すものではないとされています[1]。
自分の感覚が当てにならないと分かれば、ひとりで判定しようとする苦しさから抜け出せます。
気にしすぎている場合もある
不安のわりに、実際には問題のないケースも存在します。
においを気にして受診した方のなかに、治療の必要な口臭が認められない例が一定数あるためです。
ある大学病院の統計では、口臭の検査や治療を求めて来院した約1,000名のうち、およそ3分の1は治療を必要とする口臭が認められなかったと報告されています[1]。
残りの内訳としては、およそ3分の1が口の中の清掃状態に伴うにおい、3分の1が歯周病に由来するにおいでした[1]。
呼吸器や代謝の病気など、口以外を原因とするにおいは1%程度にとどまっています[1]。
心配で頭がいっぱいになっている方にとって、この数字は少し肩の力を抜く材料になるかもしれません。
家族に指摘されたときの受け止め方
身近な人からにおいを指摘された場合は、受け止め方が変わります。
自分では気づけない性質がある以上、他者からの指摘は数少ない客観的な情報になるためです。
自覚がないのに家族から口臭を指摘されるようになったときは、歯周病が原因の可能性があり、歯科医院での専門的な検査と治療が必要とされています[2]。
指摘は落ち込む出来事ではありますが、原因に手を打つきっかけが得られたと捉えることもできます。
矯正治療で通院している医院があれば、次の予約のときに相談できる環境がすでに整っています。
言い出しにくいと感じるかもしれませんが、歯科医院にとっては日常的に扱っている相談内容です。
今日からできる口臭対策
原因が分かったところで、実際のケアに移ります。
何から手をつければよいのか迷っている方も多いのではないでしょうか。
対策には優先順位があり、効果が出やすい順に取り組むほうが実感を得やすくなります。
装置の洗浄よりも先に手をつけたい部分があります。
3つのケアを、順番に確認していきます。
装着前の歯磨きとフロス
まず徹底したいのが、装置を戻す前の歯磨きです。
食べかすを残したまま装置をかぶせると、汚れが長時間閉じ込められた状態になるためです。
プラークは粘着力があり水に溶けないため、うがいだけでは取り除けず、歯ブラシで機械的に落とすことが基本とされています[3]。
歯と歯の間に付いたプラークはブラッシングだけでは落としにくく、歯間ブラシやデンタルフロスの併用がすすめられています[3]。
外出先で時間が取れないときは、うがいだけでも行ってから装置を戻すと、何もしないより汚れの量を減らせます。
携帯用の歯ブラシとフロスを持ち歩く準備をしておくと、外での食事のあとも同じ流れを保てます。
舌の清掃の手順
次に取り入れたいのが、舌の清掃です。
原因物質は舌の上で最も多く作られるため、舌苔を取り除くことが最も効果的な予防法とされているためです[2]。
清掃には舌専用のブラシやクリーナーを使い、奥から手前へ向かって軽く動かします。
力を入れて何度もこすると舌の表面を傷めるため、やさしく数回なでる程度にとどめます。
回数は1日1回程度で十分とされ、起床後のタイミングが取り入れやすい方が多いようです。
歯磨きに1分足すだけのケアですので、まだ習慣にしていない方は今日から始めてみてください。
マウスピースの正しい洗い方
装置の洗浄は、外すたびに行うのが基本です。
装置の表面に唾液や食べかす由来の成分が付着し、そこで細菌が増えていくためです。
洗い方は流水の下で指の腹を使い、やさしくこすり洗いするのが基本になります。
指で落ちない汚れがある場合は、毛のやわらかい歯ブラシを使い、小刻みに動かして落とします。
洗ったあとは水気を拭き取り、乾かしてから専用のケースに保管すると清潔な状態を保てます。
毎回の洗浄が難しく感じるうちは、朝と夜だけでも丁寧に行うところから始めると続けやすくなります。
やってはいけないお手入れ
よかれと思って行っている手入れが、かえって状況を悪くしていることがあります。
においを何とかしたい気持ちが強いほど、強く洗いたくなってしまいますよね。
マウスピースは薄い樹脂でできており、熱や摩擦、薬品に弱い性質を持っています。
扱い方を誤ると、においが取れないだけでなく装置そのものが使えなくなります。
避けたい3つの方法を確認していきます。
熱いお湯で洗う
装置を熱いお湯で洗うのは避けてください。
樹脂は熱に弱く、高い温度にさらされると変形してしまうためです。
変形した装置は歯にぴたりと合わなくなり、計画どおりの力がかからなくなります。
装置が浮いた状態が続けば歯が動かず、作り直しに費用と期間がかかることもあります。
除菌のつもりで熱湯をかけたり、食器と一緒に洗浄機に入れたりする行為も同じ理由で避ける必要があります。
洗浄は流水で行うものと覚えておけば、うっかりの失敗を防げます。
研磨剤の入った歯磨き粉で磨く
歯磨き粉を使って装置を磨くのもすすめられません。
多くの歯磨き粉には研磨剤が含まれており、装置の表面に細かい傷を作ってしまうためです。
いったんついた傷の凹凸には汚れが入り込み、洗っても落としにくい状態が残ります。
汚れが落ちない部分で細菌が増えれば、においはむしろ強くなります。
硬い歯ブラシで力を入れてこする方法も、同じように傷の原因になります。
きれいにするための行為が逆効果になる場面ですので、やわらかい毛先とやさしい力加減を守ってください。
洗浄剤を使うときの注意点
市販の洗浄剤を使う場合は、用途に合ったものを選びます。
入れ歯用やその他の器具用など、対象となる装置が製品ごとに決まっているためです。
漂白剤や食器用洗剤を代用すると、素材を傷めたり成分が装置に残ったりする心配があります。
使用の頻度や浸ける時間も製品によって異なるため、表示された方法を守ることが前提になります。
洗浄剤を使ったあとは十分にすすぎ、成分が残らないようにしてから装着します。
どの製品を使えばよいか迷う場合は、通院時に歯科医院で確認しておくと確実です。
口臭を放置するリスク
においが気になる状態を、そのままにしておくのは避けたいところです。
恥ずかしさから相談できず、時間だけが過ぎてしまう方もいるかもしれません。
においは口の中で何かが起きているというサインでもあります。
原因を放置すると、矯正治療そのものに影響が及ぶことがあります。
放置した場合に起こりうる3つの流れを整理します。
虫歯や歯周病が進む可能性
においの背景に、虫歯や歯周病が隠れていることがあります。
原因物質を作り出しているのは口の中の細菌であり、その細菌は虫歯や歯周病を進める細菌でもあるためです。
自覚がないのに家族から口臭を指摘されるようになった場合、歯周病が原因の可能性があり、歯科医院での専門的な検査と治療が必要とされています[2]。
自宅でのセルフケアだけでプラークを毎日完全に取り除くことは現実には難しいと考えられており[4]、磨いているつもりでも汚れが残る場所は生まれます。
奥歯の噛み合わせの溝や歯と歯の隙間は歯ブラシが届きにくく、汚れが残りやすい場所とされています[4]。
においを入り口にして口の中の状態を見直せば、大きなトラブルを未然に防げます。
治療が中断したり長引いたりする
虫歯や歯周病が見つかると、矯正治療の進行に影響します。
治療の途中でこれらが見つかった場合、そちらの処置を優先して矯正を一時中断することがあるためです。
中断した期間の分だけ治療は後ろにずれ、当初の見通しから期間が延びます。
歯を削って詰め物をした場合、歯の形が変わってマウスピースが合わなくなることもあります。
装置を作り直すことになれば、追加の費用と期間がそのまま上乗せされます。
きれいな歯並びを目指して始めた治療ですので、口の中の健康を保ちながら進める視点が欠かせません。
装着時間が守れなくなる悪循環
においへの不安が、治療そのものを妨げることもあります。
人と会う場面で装置を外したくなり、決められた装着時間を確保できなくなるためです。
1日20時間以上という目安を下回る日が続くと、歯が計画どおりに動かなくなります。
装置が合わなくなれば作り直しが必要になり、治療期間はさらに延びていきます。
治療が長引けば装置を付けている期間も延び、においを気にする時間も長くなります。
この悪循環を断つには、においの原因に手を打つことが結果的にいちばんの近道になります。
歯科医院に相談する目安
セルフケアを続けても改善しない場合は、専門家の力を借りる段階です。
においの相談は気が引けると感じるかもしれませんが、歯科医院にとっては日常的に扱う内容です。
矯正治療で通院している方であれば、相談できる場がすでに手元にあります。
自分では見えない場所に原因があることも多く、確認してもらう価値は十分にあります。
相談の目安と、通院で得られることを整理していきます。
セルフケアで改善しないとき
数週間ケアを続けても変化がない場合は、相談のタイミングです。
自宅でのセルフケアだけでプラークを毎日完全に取り除くことは現実には難しいと考えられているためです[4]。
歯と歯の間や奥歯の溝は歯ブラシが届きにくく、磨いているつもりでも汚れが残る場所とされています[4]。
自覚がないのに家族から指摘されるようになった場合は、歯周病が原因の可能性があり、専門的な検査と治療が必要とされています[2]。
歯ぐきから血が出る、腫れているといった変化があれば、においの相談とあわせて診てもらうと原因にたどり着きやすくなります。
ひとりで抱えていた時間が長い方ほど、相談したあとの気持ちの軽さを実感できるはずです。
定期通院で相談できること
矯正の通院日は、においを相談する機会として使えます。
装置の確認と一緒に、口の中の状態も見てもらえるためです。
磨き残しが多い場所を指摘してもらい、自分の癖に合った磨き方を教わることができます。
セルフケアだけでは落としきれない汚れについては、歯科医師や歯科衛生士による専門的なケアと組み合わせることが予防のうえで欠かせないとされています[4]。
装置の洗浄方法や、使ってよい洗浄剤についても、その場で確認しておくと迷いがなくなります。
言い出しにくければ、口の中の清掃状態を見てほしいという伝え方でも十分に伝わります。
矯正が終わったあとのにおいはどうなるか
治療が終われば、においの条件は変わります。
装着している時間が減り、唾液が歯の表面に届きやすい状態に戻るためです。
歯並びが整うことで歯ブラシの届きにくい場所が減り、汚れを落としやすくなる面もあります。
一方で、治療後には保定装置を使う期間が続くため、装置の手入れは引き続き必要になります。
口臭の原因のほとんどは歯周病と舌苔であり[1]、この2つへのケアは矯正の有無にかかわらず続く課題です。
矯正中に身についたケアの習慣は、治療が終わったあとも役立ち続けるでしょう。
マウスピース矯正と口臭に関するよくある質問
Q:マウスピース矯正をすると必ず口臭が強くなりますか?
A:必ず強くなるわけではありません。
装着中は唾液が歯の表面に届きにくくなるため条件は変わりますが、装置と口の中を清潔に保てば抑えられます。
口臭には日内変動があり、口の活動から時間が経つほど原因物質の濃度が高くなることも報告されています[1]。
Q:マウスピースが臭うときはどう洗えばよいですか?
A:流水の下で指の腹を使い、やさしくこすり洗いするのが基本です。
熱いお湯は変形の原因になり、研磨剤入りの歯磨き粉は装置に傷をつけて汚れが residual しやすくなります。
洗浄剤を使う場合は用途に合った製品を選び、表示された方法を守ってください。
Q:矯正が終われば口臭はなくなりますか?
A:装着時間が減ることで条件は改善しますが、原因が別にあれば残ります。
口臭の原因のほとんどは歯周病と舌苔で、両者のうち舌苔からの産生量のほうが多いとされています[1]。
治療後も舌の清掃と歯ぐきのケアは続けていく必要があります。
Q:口臭外来を受診したほうがよいですか?
A:まずは通院中の歯科医院に相談してみてください。
においを気にして受診した方のうち、およそ3分の1は治療の必要な口臭が認められなかったという報告もあります[1]。
セルフケアと歯科医院でのケアを続けても改善しない場合に、専門的な検査を検討する流れが現実的です。
まとめ
マウスピース矯正中ににおいが気になりやすいのは、装着中に唾液が歯の表面に届きにくくなるためです。
口臭の大部分は口の中に原因があり、主な原因物質は口の中の細菌が作り出す揮発性硫黄化合物です[1]。
原因のほとんどは歯周病と舌苔で、なかでも舌苔から作られる量のほうが多いとされています[1]。
対策の優先順位は、装着前の歯磨きとフロス、舌の清掃、そして装置の洗浄の順に考えると実感を得やすくなります[2][3]。
装置を熱いお湯で洗ったり研磨剤入りの歯磨き粉で磨いたりすると、変形や傷の原因になるため避けてください。
自分のにおいは自己評価と実際の状態が一致しないため、ひとりで判定しようとせず歯科医院で確認してもらいましょう[1]。
気になり始めた時点で相談すれば治療への影響も小さく済みますので、次の通院日に声をかけてみてください。
参考文献
[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「口臭の原因・実態」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-07-001.html
[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「口臭の治療・予防」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-07-002.html
[3] 厚生労働省 e-ヘルスネット「プラーク/歯垢」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/teeth/yh-031
[4] 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯みがきによるむし歯予防効果(予防法)」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-02-015.html
※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、医療アドバイスではありません。
治療に関しては必ず歯科医師にご相談ください。
※効果・効能・症状の現れ方は個人差がございます。
※装置のお手入れ方法は製品によって異なる場合があります。