マウスピース矯正で口内炎ができる?原因と対処法・予防法

マウスピース矯正を始めてから口内炎ができやすくなった、と感じていませんか?
マウスピース矯正中の口内炎は装置が粘膜に擦れて起こるものと、体調や生活習慣が背景にあるものに分かれ、それぞれ対処法が異なります。
同じ場所に繰り返しできる場合は装置の縁が当たっている可能性が高く、歯科医院で調整してもらうことで改善が見込めます。
この記事では口内炎ができる原因の見分け方、痛いときにマウスピースを外してよいのか、市販薬の使い方、予防のコツまで整理しますので、痛みを抱えたまま矯正を続けている方はぜひ参考にしてください。
マウスピース矯正で口内炎ができるのはなぜ?
口の中に小さな傷ができただけで、食事も会話もつらくなってしまうのが口内炎の厄介なところです。
矯正を始める前はほとんどできなかったのに、装置を使い始めてから頻繁に悩まされるようになったという方も少なくありません。
マウスピース矯正では、装置を1日20時間以上にわたって口の中に入れ続けるという特殊な環境が生まれます。
粘膜が装置に触れ続ける状態と、唾液が行き渡りにくくなる状態が重なることで、口内炎ができやすい条件がそろってしまいます。
もっとも、口内炎のすべてが装置によるものとは限らず、体調や生活習慣が背景にあるケースも含まれています。
原因ごとに対処法が変わるため、まずは何が起きているのかを知ることが解決への近道になります。
ここでは矯正中に口内炎ができる4つの要因を、順に見ていきます。
装置の縁やアタッチメントが粘膜に擦れる
矯正中の口内炎で最も多いのは、装置が粘膜に当たり続けることで起こるものです。
マウスピースは歯茎のきわまで覆う形状をしており、その縁が頬の内側や唇の裏側に接する構造になっているためです。
歯の表面に付けるアタッチメントという突起も、着脱のたびに粘膜へ引っかかり、刺激を与える要因になります。
同じ場所が繰り返し擦れると粘膜が薄くなり、やがて白っぽい傷として現れてきます。
装置を外したときに頬の内側を鏡で見たら、決まった位置に丸い傷ができていたという経験をする方もいます。
このタイプは原因がはっきりしているぶん、当たっている部分を調整すれば改善が見込める点が救いといえます。
装着中は口の中が乾燥しやすくなる
装置に覆われることで生じる乾燥も、見落とせない要因です。
唾液には口の中を潤し、粘膜を保護する働きがありますが、マウスピースが歯を覆っていると唾液が行き渡りにくくなるためです。
粘膜が乾いた状態では表面がもろくなり、わずかな摩擦でも傷がつきやすくなります。
口呼吸の習慣がある方や、緊張しやすい場面が多い方は、もともと口の中が乾きやすい傾向にあります。
装着したまま眠ると、就寝中に口が開いてさらに乾燥が進むという状況も起こり得ます。
こまめな水分補給を心がけるだけでも、粘膜の状態は変わってくると考えられます。
装置に慣れていない時期は特にできやすい
口内炎ができる時期には、はっきりとした偏りがあります。
初めて装着したときや新しいマウスピースへ交換した直後は、粘膜がまだその形に慣れていない段階にあたるためです。
装着によって唇や頬、舌が触れる位置がわずかに変わり、これまで擦れなかった場所に刺激が加わります。
治療を始めて最初の1〜2週間に集中して口内炎ができ、その後は落ち着いたという経過をたどる方も多いようです。
顎間ゴムを使い始めた時期にも、新たな接触が生まれて同じことが起こる場合があります。
慣れとともに減っていくケースが多いため、初期の口内炎だけで治療をあきらめる必要はありません。
体調やストレスが背景にある場合もある
装置とは関係のない要因で口内炎ができることもあります。
一般に口内炎と呼ばれるものの多くはアフタ性口内炎にあたり、疲労やストレス、栄養の偏りなどが関わると考えられているためです[1]。
ビタミンB群をはじめとする栄養素の不足が、粘膜の状態に影響するという指摘もあります[2]。
矯正治療そのものが負担となり、睡眠不足や食欲の低下につながって口内炎を招くという流れも考えられます。
仕事が立て込んだ時期に限って口内炎ができる、という心当たりがある方もいるのではないでしょうか。
装置だけを疑わず、生活の状況もあわせて振り返ってみると原因が見えてくることがあります。
口内炎の原因を見分ける3つのポイント
自分の口内炎がどちらのタイプなのか分からないままでは、対処のしようがありませんよね。
装置が原因なら歯科医院での調整が必要ですし、体調が背景にあるなら生活の見直しが優先されます。
見分けの手がかりになるのは、できる場所、繰り返し方、そして見た目と痛み方の3つです。
いずれも自分で確認できる要素で、専門的な知識がなくても判断の材料にできます。
正確な診断は歯科医師に委ねるとしても、傾向をつかんでおけば相談時に状況を伝えやすくなります。
原因の見当がつけば、次に取るべき行動も自然と定まってくるでしょう。
ここでは見分けの手がかりとなる3つのポイントを整理していきます。
同じ場所に繰り返すなら装置が原因の可能性
最も分かりやすい手がかりは、口内炎ができる位置です。
装置が当たって起こる口内炎は、接触する場所が決まっているため、同じ位置に繰り返し現れるという特徴を持つためです。
治っても数日でまた同じ場所が痛み出す、という周期を繰り返すこともあります。
右の奥歯の外側だけ、下の前歯の裏側だけといった形で、位置を特定できる場合はこのタイプが疑われます。
装置を外した状態で舌を当ててみて、決まった場所に痛みを感じるかどうかも確認の材料になります。
位置がはっきりしていれば調整で解決できる可能性が高いため、その情報を持って相談してみてください。
場所が変わるなら体調や生活習慣の影響
一方で、できる場所が毎回変わる場合は別の可能性を考えます。
アフタ性口内炎は口の中のさまざまな部位に発生し、一度治っても別の場所に繰り返し現れることがあるためです[1]。
舌の裏、唇の内側、頬と、場所を移しながら現れるパターンが該当します。
疲れがたまった時期や睡眠が不足している時期に重なって出てくる、という傾向が見られることもあります。
装置が触れていないはずの場所にできている場合は、擦れ以外の要因を疑う根拠になります。
この場合は装置を調整しても解決しないため、生活の状況を整えるほうが優先されます。
見た目と痛み方の違い
口内炎そのものの様子からも、ある程度の判断ができます。
アフタ性口内炎は直径数ミリの円形または楕円形で、表面が灰白色から黄白色の膜に覆われ、周囲が赤くなるという特徴があるためです[1]。
触れると強い痛みがあり、刺激のある食べ物や熱いものがしみるという点も共通しています。
装置が擦れてできた傷は、当たっている部分の形に沿って細長く広がることがあり、丸い形にならない場合もあります。
いずれのタイプも痛み自体は強いため、痛みの強さだけで見分けるのは難しいといえます。
判断に迷う場合は無理に自己判断せず、通院時に見てもらうのが確実な方法です。
口内炎が痛いときマウスピースは外していい?
痛みを感じている場所に装置が当たり続けると、外してしまいたくなるのは自然な気持ちです。
しかし装着時間を守らなければ治療が遅れるという事情もあり、どちらを優先すべきか判断に迷ってしまいますよね。
この板挟みは矯正中の多くの方が経験するもので、我慢するか外すかの二択で考えると行き詰まってしまいます。
実際には、当たっている部分を保護する、装置を調整してもらうといった第三の選択肢が残されています。
痛みの原因が装置にあるなら、その原因を取り除くほうが我慢を続けるより確実な解決につながります。
判断の基準を持っておけば、痛い日にも落ち着いて対応できるようになるでしょう。
ここでは装着を続けるかどうかの考え方を、3つの視点から整理していきます。
自己判断で長時間外すのは避けたい
痛みを理由に装置を長時間外す対応は、避けたほうがよい選択です。
マウスピース矯正では1日20時間以上の装着を前提に計画が組まれており、外している時間が長くなると歯が元の位置へ戻ろうとするためです。
装着時間が不足した状態が続けば、次のマウスピースが合わなくなり、治療期間が延びる可能性が出てきます。
口内炎が治るまでの数日間ずっと外していた結果、装着し直したときに強い痛みが加わったという事態も起こり得ます。
痛みから逃れるための行動が、別の痛みと遅れを招くという逆の結果につながってしまいます。
外すことで解決を図るより、当たらないようにする方向で対処を考えていきましょう。
装着時間と痛みを両立させる考え方
痛みを抱えながらも装着を続けるには、刺激を減らす工夫が欠かせません。
粘膜と装置が直接触れている状態を変えられれば、装着したままでも痛みを和らげられるためです。
矯正用ワックスで当たる部分を覆う、装置の縁を調整してもらうといった方法が、その具体的な手段にあたります。
食事の際に反対側で噛むようにする、刺激の強い食べ物を避けるといった日常の工夫も痛みの軽減につながります。
痛みが強い日は市販の口内炎用の薬を併用しながら、装着そのものは続けているという方もいます。
装着か中断かではなく、装着しながら刺激を減らすという発想に切り替えると解決策が見つかります。
外すべきかは歯科医師に判断してもらう
どうしても装着が難しい状況であれば、自己判断ではなく相談してください。
傷が深くなっている場合や炎症が広がっている場合は、一時的に装着を控える判断が必要になることもあるためです。
その判断には口の中の状態を直接確認する必要があり、自分だけでは適切に見極められません。
我慢して装着を続けた結果、傷が悪化して治りにくくなってしまったという展開も考えられます。
通院日を待たずに連絡してよい状況にあたるため、痛みが強いときは早めに伝えておくと安心です。
歯科医師の判断を仰ぐことで、治療の遅れを最小限に抑えながら痛みにも対応できます。
マウスピース矯正中の口内炎への対処法
すでにできてしまった口内炎には、痛みを和らげながら治りを待つという方針で対応していきます。
アフタ性口内炎の多くは特別な治療をしなくても2週間以内に自然に治るとされており、過度に心配する必要はありません[1]。
大切なのは、治るまでの間に患部をこれ以上刺激せず、口の中を清潔に保つことです。
装置が当たっている場合は、その接触を減らす対応も並行して行う必要があります。
痛みが強くて食事がとれない状態が続けば、栄養不足からさらに治りが遅れるという悪循環にもつながりかねません。
できることを組み合わせていけば、痛みを抱える期間を短くしていけるでしょう。
ここでは実践しやすい5つの対処法を順に見ていきます。
患部を刺激しないようにする
まず心がけたいのは、口内炎に余計な刺激を与えないという基本的な対応です。
炎症を起こしている粘膜に繰り返し刺激が加わると、痛みが強まるだけでなく治りも遅くなってしまうためです。
歯みがきの際は患部を避けてブラシを当て、周囲は普段どおり丁寧にみがくという使い分けが役立ちます。
食事のときは口内炎のある側を避けて噛む、飲み物を口に含むときに患部へ流れ込まないようにするといった工夫も有効です。
気になって舌で触ってしまう方も多いのですが、その接触自体が治りを妨げる要因になります。
意識して触らないようにするだけでも、治るまでの日数は変わってくると考えられます。
矯正用ワックスで当たる部分を保護する
装置が当たっている場合は、その部分を物理的に覆う方法が効果的です。
矯正用ワックスを装置の縁に少量つけることで、粘膜との間にクッションが生まれ、摩擦を抑えられるためです。
歯科医院で購入できるほか、通院時に相談すれば使い方を教えてもらえます。
外出前や就寝前など、刺激を受けやすい時間帯に合わせて使うという取り入れ方もできます。
ワックスは口の中で少しずつ取れていくため、こまめに付け直す必要がある点は覚えておいてください。
一時的な対処ではあるものの、調整までの期間を乗り切る手段として頼りになります。
装置の縁を歯科医院で調整してもらう
繰り返す口内炎に対しては、根本的な原因を取り除く対応が最も確実です。
装置の縁が尖っていたり、特定の場所だけ強く当たっていたりする場合は、その部分を調整することで刺激がなくなるためです。
調整してもらえば粘膜への負担が消え、口内炎も治りやすい状態へ変わっていきます。
同じ場所に何度も口内炎ができていた方が、調整を受けた後は再発しなくなったというケースもあります。
自分でやすりを使って削る方法を紹介する情報も見かけますが、削りすぎると装置の形が変わり、歯の動き方に影響します。
調整は歯科医院で対応できる内容のため、我慢を続けず相談してみてください。
市販薬を使うときの注意点
痛みが強い場合は、口内炎用の市販薬を検討するという選択肢もあります。
患部を保護する軟膏やパッチを使うことで、刺激から守りながら痛みを和らげられるためです。
軟膏を塗るときは指ではなく清潔な綿棒を使うと、患部への負担を抑えられます。
薬を塗った直後にマウスピースを装着すると、薬が装置に付着して効果が十分に得られない場合があります。
矯正中の使用について不安がある場合や、使っても改善が見られない場合は、歯科医師や薬剤師に相談してください。
市販薬は痛みをやわらげる手段であり、原因が装置にあるなら調整も並行して考えていきましょう。
食事の内容を一時的に見直す
食事のとり方を変えることも、治るまでの期間を過ごしやすくする方法です。
刺激の強い食べ物は口内炎にしみて痛みを増し、炎症を悪化させる要因になり得るためです。
辛いもの、酸味の強いもの、熱いもの、塩気の強いものは、治るまで控えておくと負担が減ります。
スープ、ヨーグルト、豆腐、煮込んだ野菜など、やわらかく刺激の少ないものを選ぶと食べやすくなります。
痛みで食事が十分にとれない状態が続くと、栄養不足がさらに治りを遅らせるという悪循環に陥りかねません。
食べられるものを工夫して確保しておくことが、結果として早い回復につながります。
口内炎を予防する5つの習慣
一度治っても、また同じ痛みを繰り返すのではないかという不安は残ってしまうものです。
数年にわたる治療期間のなかで、そのたびに食事や会話がつらくなるのは避けたいところですよね。
口内炎は起きてから対処するより、できにくい状態を保つほうが負担は小さくて済みます。
予防の方向性は、粘膜への刺激を減らすことと、粘膜そのものが傷つきにくい状態を保つことの2つに整理できます。
清潔さと潤いを保ち、体調を整えるという基本の積み重ねが、そのまま予防につながっていきます。
日々の習慣として組み込めれば、意識せずに続けられる形へ変わっていくでしょう。
ここでは取り入れやすい5つの習慣を、理由とあわせて見ていきます。
口の中を清潔に保つ
予防の土台になるのは、口の中を清潔な状態に保つという基本の習慣です。
汚れが残ったまま装置を装着すると、細菌が繁殖しやすい環境が生まれ、粘膜の炎症につながる可能性があるためです。
歯周組織に炎症が起きれば、口の中全体の状態が悪化し、傷が治りにくくなることも考えられます[3]。
食事のたびに歯をみがき、装置も流水で洗ってから装着し直すという流れを徹底しておきたいところです。
歯ブラシだけでは届かない部分には、デンタルフロスや歯間ブラシを組み合わせると効果が高まります。
清潔さを保つことは口内炎だけでなく、むし歯や歯周組織のトラブルの予防にもつながっていきます。
乾燥を防ぐために水分をこまめに摂る
口の中の潤いを保つことも、予防の重要な柱になります。
粘膜が乾いていると表面がもろくなり、装置とのわずかな摩擦でも傷がつきやすくなってしまうためです。
マウスピースは水を装着したまま飲めるため、日中もこまめに水分を補給できます。
デスクに水のボトルを置いておく、外出時にはペットボトルを持ち歩くといった準備があれば習慣にしやすくなります。
口呼吸の癖がある方は、意識して鼻で呼吸することも乾燥対策のひとつになります。
潤った状態を保つだけで摩擦による傷は大きく減らせるため、まず取り入れたい習慣といえます。
装置の着脱を丁寧に行う
日々の着脱の仕方も、粘膜の状態を左右します。
急いで外そうとすると装置の縁が唇や頬に強く当たり、その一瞬の刺激が傷のきっかけになるためです。
アタッチメントに引っかかったまま無理に引っ張ると、粘膜を巻き込んでしまうこともあります。
奥歯から順に少しずつ浮かせて外す、装着するときは前歯から奥へ順に押し込むという手順を守ると負担が減ります。
爪を使って強引に外していた方が、外し方を変えただけで口内炎が減ったというケースも考えられます。
1日に何度も繰り返す動作だからこそ、丁寧に行う価値があります。
睡眠と栄養バランスを整える
体調面からの予防も、装置への対策と同じくらい大切です。
疲労やストレス、睡眠不足が重なると体の抵抗力が下がり、口内炎ができやすくなると考えられているためです[1]。
ビタミンB群をはじめとする栄養素は粘膜の健康に関わるとされ、不足しないよう意識したい要素にあたります[2]。
忙しい時期に限って口内炎ができるという心当たりがあるなら、生活のリズムを見直す価値があります。
緑黄色野菜や果物を意識して取り入れる、食事を抜かないといった基本的な工夫から始められます。
体調が整っていれば、多少の刺激を受けても傷になりにくい状態を保てるでしょう。
装着時間を守って粘膜を慣らす
意外に思われるかもしれませんが、装着を続けること自体も予防につながります。
粘膜は刺激を受け続けることで少しずつ順応し、同じ接触でも傷つきにくい状態へ変わっていくためです。
痛いからと外す時間が増えると、慣れる過程がその都度リセットされてしまいます。
治療を始めて最初の数週間は口内炎に悩まされたものの、その後はほとんどできなくなったという経過をたどる方も多いようです。
装着時間を守ることは治療を計画どおりに進めるだけでなく、口内炎の予防という面でも意味があります。
つらい時期を乗り越えた先に、装置が気にならなくなる状態が待っています。
歯科医院に相談したほうがよい口内炎の目安
たいていの口内炎は自然に治っていきますが、なかには別の原因が隠れている場合もあります。
いつもと違うと感じたときに様子を見続けてしまうと、対応が遅れてしまう可能性があります。
判断の手がかりになるのは、治るまでにかかっている期間、繰り返し方、そして口内炎以外の症状の有無です。
アフタ性口内炎の多くは2週間以内に自然に治るとされており、この期間が一つの区切りになります[1]。
その範囲を超えるものや、いつもと様子が違うものは、自己判断を避けて相談したほうが安心です。
目安を知っておけば、必要以上に不安になることも、見過ごしてしまうことも避けられます。
ここでは相談の目安となる4つのサインを整理していきます。
2週間以上治らない場合
治るまでの期間が長引いている場合は、受診を検討するタイミングです。
アフタ性口内炎は通常であれば2週間以内に跡を残さず自然に治るとされているためです[1]。
その期間を超えても改善しない場合は、別の原因が関わっている可能性が出てきます。
同じ場所に2週間以上治らない口内炎がある状態は、様子見を続けるべきではないサインといえます。
装置が当たり続けていることが原因であれば、調整によって一気に治りやすくなることもあります。
期間という分かりやすい基準があるため、いつからできたかを記録しておくと判断しやすくなります。
同じ場所に何度も繰り返す場合
治ってはまた同じ場所にできる、という繰り返しにも注意が必要です。
同じ位置で再発を繰り返すのは、その場所に持続的な刺激が加わっていることを示している可能性が高いためです。
装置の縁やアタッチメントが原因であれば、調整しない限り再発は止まりません。
治るまで我慢して、治ったと思ったらまた痛み出すというサイクルを何度も繰り返している方もいます。
繰り返し発症する場合は自己判断を続けず、相談することが勧められています[1]。
原因を取り除けば繰り返しから抜け出せるため、早めに伝えておきたい状況です。
しこりや出血をともなう場合
口内炎以外の症状をともなう場合は、慎重な確認が必要になります。
触れるとしこりを感じる、出血がある、表面の形が不規則といった変化は、通常の口内炎とは異なる特徴だからです。
粘膜そのものの色が赤や白に変わっている場合も、注意しておきたいサインにあたります。
いつもの口内炎と様子が違うと感じたなら、その直感を大切にしてください。
自己判断で市販薬を使い続けるより、一度診てもらったほうが確実な対応につながります。
歯科口腔外科や耳鼻咽喉科など、口の中を専門的に診られる医療機関で相談できます。
複数同時にできて食事がとれない場合
数が多く日常生活に支障が出ている場合も、相談の対象です。
口の中に複数の口内炎が同時にできると食事が困難になり、栄養不足から治りがさらに遅れるという悪循環に陥る可能性があるためです。
多数の口内炎が同時に現れる場合は、自己判断を避けて受診が勧められています[1]。
痛みで水分すら十分にとれない状態が続けば、体調全体に影響が及んでいきます。
矯正の通院日まで待たずに連絡してよい状況にあたるため、遠慮せず伝えてください。
早めに相談することで、痛みを抱える期間を短くできる可能性があります。
マウスピース矯正とワイヤー矯正の口内炎の違い
これから矯正を始める方にとって、どちらの方法が口内炎に悩まされにくいかは気になるところではないでしょうか。
すでにマウスピース矯正を選んだ方も、ワイヤー矯正ならもっと楽だったのではと考えてしまう場面があるかもしれません。
結論からお伝えすると、口内炎という点ではマウスピース矯正のほうがリスクは低いとされています。
理由は装置の構造にあり、マウスピースは薄い樹脂で作られ、表面の凹凸が少ない形状をしているためです。
ワイヤー矯正では金属のブラケットやワイヤーが常に粘膜へ接しており、装置が外れて先端が飛び出せば粘膜を切ってしまうこともあります。
装置を自分で取り外せるという点も、マウスピース矯正ならではの利点にあたります。
口内炎ができてしまった場合でも、食事や歯みがきの時間に装置を外して患部を休ませられるためです。
ワイヤー矯正では装置を外せないため、傷ついた粘膜に刺激が加わり続ける状態を避けにくいという事情があります。
とはいえ、マウスピース矯正に固有の要因も存在します。
1日20時間以上にわたって装置が歯を覆うため、口の中が乾燥しやすく、粘膜が傷つきやすい状態になりやすいという点です。
装置の縁が歯茎のきわに沿って全周に接するという構造も、ワイヤー矯正にはない接触の形といえます。
どちらの方法にも口内炎ができる可能性はあるため、装置の種類だけで判断せず、日々のケアを整えることのほうが結果を左右します。
矯正方法の選択に迷っている場合は、口内炎のできやすさだけでなく、自分の歯並びに適した治療法かどうかを含めて歯科医師に相談してみてください。
口内炎ができやすい時期の過ごし方
口内炎ができる時期には偏りがあり、その傾向を知っておくと備えやすくなります。
いつ起こるか分からない不調より、起こりやすい時期が分かっている不調のほうが対処しやすいものです。
矯正中に口内炎が集中するのは、装置による接触の形が変わるタイミングと、体調が崩れやすい時期です。
前者は治療の進行に伴って予測でき、後者も生活のリズムからある程度見当がつきます。
備えておけば、症状が出たときの負担を軽くできますし、そもそも発症を避けられる場合もあります。
先回りして準備する習慣ができれば、治療期間を通して落ち着いて過ごせるでしょう。
ここでは口内炎が出やすい4つの時期と、その過ごし方を見ていきます。
治療を始めて最初の数週間
矯正期間のなかで最も口内炎ができやすいのは、治療を開始した直後の時期です。
口の中が装置という異物にまったく慣れておらず、これまで刺激を受けたことのない場所に接触が生まれるためです。
装着時間を確保しようとするあまり、痛みを我慢して過ごしてしまう方が多い時期でもあります。
話しにくさや唾液の増加といった変化も重なり、口内炎の痛みが実際以上につらく感じられることもあります。
この時期は矯正用ワックスを手元に置いておき、当たりを感じたらすぐ保護できるようにしておくと安心です。
数週間を過ぎれば粘膜が慣れてくるため、最初の山を越えることを目標に過ごしてみてください。
新しいマウスピースへ交換した直後
交換のたびに、装置と粘膜の接触の仕方はわずかに変わります。
新しいマウスピースは形状が前のものとまったく同じではなく、当たる位置が少しずれることがあるためです。
前のマウスピースでは問題なかった場所が、交換後に急に擦れ始めるという現象も起こり得ます。
交換直後は歯の痛みにも意識が向きがちで、粘膜の傷に気づくのが遅れてしまう場合があります。
交換した日は鏡で頬の内側や唇の裏を確認する習慣をつけておくと、早い段階で対処できます。
赤みの段階で気づいてワックスを使えば、傷になる前に防げる可能性があります。
アタッチメントや顎間ゴムを追加した時期
治療の途中で装置が追加される場面も、注意しておきたいタイミングです。
アタッチメントを歯の表面に付けると、それまでなかった突起が粘膜に触れることになるためです。
顎間ゴムを使い始めた場合も、ゴムをかける位置の周辺に新たな接触が生まれます。
追加した当日は違和感が中心でも、数日後に擦れた部分が口内炎に変わっているという経過をたどることもあります。
装置が増えるタイミングは事前に説明を受けられるため、その日に備えてワックスを用意しておくと対応しやすくなります。
慣れるまでの数日を乗り切れば、それ以降は落ち着いていくケースが多いようです。
疲れやストレスが重なっている時期
体調面から口内炎ができやすくなる時期も、意識しておきたいところです。
睡眠不足や疲労、ストレスが重なると体の抵抗力が下がり、粘膜が傷つきやすい状態になると考えられているためです[1]。
仕事の繁忙期や試験前、環境が変わった直後などが該当しやすい時期にあたります。
矯正の管理そのものが負担に感じられ、装着や洗浄がストレスになっている場合もあります。
こうした時期は食事が偏りやすく、栄養面からも口内炎を招きやすい状況が重なります[2]。
忙しい時期こそ睡眠と食事を優先し、装置の管理は最低限の手順に絞って乗り切るという考え方も有効です。
口内炎ができたときにやってはいけない4つの対処
早く治したいという気持ちから取った行動が、かえって治りを遅らせてしまうことがあります。
痛みが続いている状況では冷静な判断が難しく、自己流の対処に走ってしまいやすいものです。
避けたい行動に共通しているのは、粘膜に余計な刺激を加えることと、装置の形を自分で変えてしまうことの2点です。
口内炎そのものは自然に治っていくものが多いため、治る過程を妨げない環境を整えるほうが確実といえます。
装置に原因がある場合も、正しい手順を踏めば歯科医院で解決できる範囲にとどまります。
やってはいけない対処を知っておけば、痛みに焦ったときにも一線を越えずに済むでしょう。
ここでは特に注意したい4つの行動を確認していきます。
自分でマウスピースを削る
当たって痛い部分を自分で削る行為は、避けたい対処の筆頭にあたります。
マウスピースは歯に力を伝えるために精密な形状で作られており、削ると力の伝わり方が変わってしまうためです。
歯を押さえる部分が失われれば、狙った方向へ動かなくなる可能性が出てきます。
やすりで縁を削った結果、その部分だけ浮いてしまい、次のマウスピースが合わなくなったというケースも考えられます。
削った断面がざらついて、かえって粘膜を傷つけてしまうという逆の結果を招くこともあります。
当たる部分の調整は歯科医院で対応できる内容のため、自分の手を加える前に相談してみてください。
口内炎を潰したりつついたりする
患部を刺激する行為も、治りを妨げる典型的な行動です。
炎症を起こしている粘膜は非常に弱くなっており、触れるだけでも傷が広がってしまう可能性があるためです。
膿のように見える白い部分を潰せば早く治ると考える方もいますが、実際には逆の結果になります。
気になって舌で何度も触ってしまう、爪や爪楊枝でつついてしまうといった行動が治りを遅らせます。
傷口から細菌が入れば炎症が広がり、治るまでの期間がさらに延びてしまうことも考えられます。
触らないという単純な対応が、実は最も効果のある治し方といえます。
刺激の強い洗口剤を使い続ける
清潔にしようとして刺激の強い製品を使うのも、控えたい対処です。
アルコールを含む洗口剤は、傷ついた粘膜にしみて強い痛みを引き起こす場合があるためです。
殺菌力の高さと粘膜へのやさしさは必ずしも一致しないという点を知っておいてください。
痛みを我慢して使い続けた結果、患部が乾燥して治りが遅くなってしまうことも考えられます。
清潔さを保つ目的であれば、水でのうがいや低刺激タイプの製品でも十分に役割を果たせます。
口内炎がある期間だけでも、刺激の少ないものへ切り替えておくと過ごしやすくなります。
痛みを我慢して通院日まで放置する
我慢を続けて相談しないという選択も、避けたい対応です。
装置が原因の口内炎は調整によって改善が見込めるため、我慢する期間がそのまま無駄になってしまうためです。
同じ場所に当たり続ければ傷は深くなり、治るまでの期間も長引いていきます。
「次の通院日まで数週間あるけれど、それまで我慢しよう」と考えて悪化させてしまう例も少なくありません。
口内炎は我慢するものではなく、調整によってすぐに改善が期待できるという前提を持っておいてください。
通院日を待たずに連絡してよい状況にあたるため、痛みが続くときは早めに伝えましょう。
マウスピース矯正中の口内炎に関するよくある質問
Q1. マウスピース矯正で口内炎ができやすいのはなぜですか?
装置の縁やアタッチメントが粘膜に擦れることが主な理由です。
長時間装着することで口の中が乾燥し、粘膜が傷つきやすくなる点も関係しています。
疲労やストレスなど体調面の要因が重なっている場合もあります[1]。
Q2. 口内炎が痛いときはマウスピースを外してもいいですか?
自己判断で長時間外すことは避けてください。
装着時間が不足すると歯が元の位置へ戻り、治療の遅れにつながります。
ワックスで保護する、装置を調整してもらうといった方法で刺激を減らす方向を検討しましょう。
Q3. 市販の口内炎の薬は使えますか?
患部を保護する軟膏やパッチを使うことで、痛みを和らげられる場合があります。
塗る際は指ではなく清潔な綿棒を使うと患部への負担を抑えられます。
使っても改善しない場合は、歯科医師や薬剤師に相談してください。
Q4. 当たって痛い部分を自分で削ってもいいですか?
自分で削るのは避けてください。
装置の形が変わると歯の動き方に影響し、次のマウスピースが合わなくなる可能性があります。
調整は歯科医院で対応できるため、まずは相談してみましょう。
Q5. 口内炎はどのくらいで治りますか?
アフタ性口内炎の多くは、特別な治療をしなくても2週間以内に自然に治るとされています[1]。
装置が当たっている場合は、調整することで治りが早まることもあります。
2週間以上治らない場合は受診をおすすめします[1]。
Q6. 同じ場所に何度も口内炎ができるのはなぜですか?
その場所に装置が繰り返し当たっている可能性が高いと考えられます。
原因を取り除かない限り再発は止まりません。
繰り返す場合は自己判断を避け、歯科医院で確認してもらってください[1]。
まとめ
マウスピース矯正中の口内炎は、装置が粘膜に擦れて起こるものと、体調や生活習慣が背景にあるものに分かれます。
同じ場所に繰り返す場合は装置が原因の可能性が高く、場所が変わる場合は疲労や栄養の影響を疑う手がかりになります。
痛いからと長時間外すと歯が元の位置へ戻ってしまうため、ワックスや装置の調整で刺激を減らす方向で考えてください。
すでにできた口内炎には、患部を刺激しない、食事の内容を見直す、必要に応じて市販薬を使うという対応が有効です。
予防には口の中を清潔に保つこと、乾燥を防ぐこと、着脱を丁寧に行うこと、体調を整えることが役立ちます。
2週間以上治らない、同じ場所に繰り返す、しこりや出血をともなう場合は、様子見を続けず受診してください[1]。
口内炎は我慢するものではないため、痛みが続くときは通院日を待たずに相談することが、治療を順調に進める近道になります。
参考文献
[1] 厚生労働省「一般用医薬品 使用上の注意 説明文書(口内炎(アフタ性)とは)」
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000050607.pdf
[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「ビタミン」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/keywords/vitamin.html
[3] 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯周病とは」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-03-001.html
[4] 全国健康保険協会(協会けんぽ)佐賀支部「歯とお口のトラブル いわゆる『口内炎』について」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/shibu/saga/cat070/20170623/shika210514/
[5] 厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kokokukisei/index.html
免責事項
※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、医療アドバイスではありません。
※症状や装置の取り扱いについては必ず歯科医師にご相談ください。
※症状の現れ方や治るまでの期間には個人差がございます。
※お薬の使用に関しては歯科医師または薬剤師にご確認ください。