受け口のマウスピース矯正の費用は?保険が使える条件も解説

受け口をマウスピース矯正で治したいけれど、費用がいくらかかるのか不安になっていませんか?

受け口の矯正費用は、原因が歯の傾きにあるか下顎の骨格にあるかによって大きく変わり、マウスピース矯正で対応できるのは主に軽度の歯性のケースです。

骨格に原因があり外科手術が必要と診断された場合は顎変形症として健康保険が適用される可能性があり、自由診療のマウスピース矯正より自己負担が小さくなることもあります

この記事では原因による費用の違い、治療法ごとの相場、保険が使える条件、費用の内訳と抑える方法まで整理しますので、費用を理由にためらっている方はぜひ参考にしてください。

受け口のマウスピース矯正の費用はいくら?

下の前歯が上より前に出ていることが長年の悩みになっている、という方は少なくありません。

治したい気持ちはあっても、矯正にかかる金額を調べるほど現実味が薄れていくという経験をされた方もいるのではないでしょうか。

受け口の矯正費用を考えるうえで最初に知っておきたいのは、金額が一つに定まらない理由です。

同じ受け口という状態でも、原因が歯にあるか骨格にあるかによって必要な治療がまったく変わってくるためです。

治療が変われば費用の桁も変わり、場合によっては健康保険が使える可能性まで出てきます。

まず全体の構造を把握してから相場を見ていくほうが、自分に当てはめて考えやすくなります。

ここでは費用を考える前提となる4つのポイントを整理していきます。

費用は原因によって桁が変わる

受け口の矯正費用が幅広く示されているのには、はっきりとした理由があります

前歯の傾きだけが原因の場合と、下顎の骨そのものが前に出ている場合では、必要な治療の規模がまったく異なるためです。

歯の傾きが原因であれば、歯を動かす矯正だけで改善が見込め、費用も自由診療で数十万円台から検討できます。

一方で骨格の不調和が大きい場合は、骨を切る外科手術を伴う治療が必要になり、規模も費用も大きく変わってきます。

インターネットで調べた金額と実際の見積もりが大きく違っていた、という経験をする方がいるのはこのためです。

自分がどちらに当てはまるかを知ることが、費用を把握する出発点になります。

マウスピース矯正の費用の目安

マウスピース矯正を選んだ場合の金額についても、幅があると考えておいてください

矯正治療は一部の例外を除いて公的医療保険の対象外である自由診療にあたり、料金は各医療機関が独自に設定できるためです[1]。

情報源によって示される相場には差があり、30万円台から100万円を超える範囲まで幅広く記載されています。

前歯を中心に動かす部分矯正で対応できる場合は抑えめになり、奥歯まで含めて動かす全体矯正では高くなる傾向があります。

装置の枚数、治療の難易度、上下の両方を治療するかどうかによっても変わってきます。

数値はあくまで目安として捉え、自分のケースは検査後の見積もりで確認するようにしてください。

対応できるのは主に軽度のケース

費用を知る前に確認したいのが、そもそも適応になるかどうかです。

マウスピース矯正は段階的に少しずつ歯を動かす設計のため、対応できる動きの種類に一定の制約があるためです。

前歯の傾きが原因の軽度な受け口であれば、対応できる可能性があります。

一方で下顎の骨格に大きな不調和がある場合は、歯を動かすだけでは根本的な改善につながりません。

見た目が似ていても原因が異なるため、自分では判断できないという難しさがあります。

適応かどうかは検査を受けて初めて分かるため、まず診てもらうところから始めてみてください。

保険適用のほうが安くなる場合もある

意外に感じられるかもしれませんが、費用の逆転が起こることもあります

骨格に原因があり外科手術が必要と診断された場合、顎変形症として健康保険が適用される可能性があるためです[2]。

保険が適用されれば自己負担は原則3割となり、自由診療のマウスピース矯正より総額が小さくなるケースも考えられます。

安く済ませたいと考えてマウスピース矯正を探していた方が、実は保険の対象だったという展開もあり得ます。

ただし保険が使えるのは外科手術を必要とする程度の症例に限られ、誰でも該当するわけではありません。

自由診療の見積もりだけを比べる前に、保険の可能性も含めて確認しておく価値があります。

受け口には歯性と骨格性の2種類がある

自分の受け口がどちらのタイプなのかを知ることが、費用を把握する近道になります

タイプによって治療法も費用も保険の可否も変わるため、ここが分岐点になるためです。

分類は、前歯の傾きが原因の歯性と、下顎の骨格が原因の骨格性の2つです。

両方の要素が混ざっているケースもあり、どちらの影響が大きいかによって治療方針が決まります。

見た目だけでは判断できない部分のため、検査によって特定していくことになります。

分類の考え方を知っておけば、説明を受けたときの理解も深まるでしょう。

ここでは2つのタイプについて、4つの視点から整理していきます。

前歯の傾きが原因の歯性の受け口

歯の生え方によって受け口の見た目になっているケースがあります

顎の骨の位置関係には大きな問題がなく、前歯の傾きだけで上下の関係が逆転している状態だからです。

上の前歯が内側に傾いている、下の前歯が外側に傾いているといった状態が該当します。

歯を動かすことで改善が見込めるため、マウスピース矯正やワイヤー矯正の対象になりやすいタイプです。

前歯まわりの移動で済む場合は、費用も期間も抑えられる可能性があります。

自分の受け口が軽度だと感じている方は、このタイプに当てはまる可能性を検査で確認してみてください。

下顎の骨格が原因の骨格性の受け口

顎の骨そのものの位置関係に原因があるケースもあります

下顎が上顎に対して前方に出ている、あるいは上顎の発育が十分でないといった状態だからです。

歯を動かすだけでは骨の位置関係は変わらないため、根本的な改善には別の対応が必要になります。

程度が大きい場合は、顎の骨を切る外科手術を伴う治療が検討されます。

横顔で下顎のラインが目立つ、口を閉じたときに下唇が前に出ているといった特徴が見られることもあります。

このタイプに該当する場合は、保険適用の可能性も含めて相談することになります。

見た目だけでは見分けられない

自分でタイプを判断するのは難しいという点も、知っておきたいところです。

鏡で見える範囲では歯の位置しか分からず、骨の位置関係までは確認できないためです。

歯性と骨格性の両方の要素が混ざっているケースも多く、単純に二分できるわけではありません。

軽度だと思っていた状態が、検査の結果では骨格の影響が大きいと分かることもあります。

逆に手術が必要だと思い込んでいた方が、矯正だけで対応できると説明されるケースも考えられます。

インターネットの情報で自己判断せず、専門的な検査を受けることが確実な方法です。

検査で原因を特定してから判断する

タイプの特定は、専門的な検査によって行われます

レントゲン撮影によって顎の骨の位置関係や歯の傾きの角度を測定し、数値として評価するためです。

横顔を撮影するセファログラムという検査によって、骨格の状態が詳しく分かります。

歯型の採得や口の中の写真撮影とあわせて、総合的に判断されることになります。

検査の結果をもとに、どの治療法が適しているか、費用がいくらになるかが提示されます。

見積もりを受け取る前に検査が必要となるため、まずは相談の予約から始めてみましょう。

治療法別に見た費用の相場

具体的な金額が見えなければ、検討を進めることもできませんよね。

受け口の治療にはいくつかの方法があり、それぞれ費用の水準が異なります

治療法を選ぶというより、症状によって選べる方法が決まるという性質のものです。

自分がどの範囲に該当しそうかを知るために、全体の相場を把握しておくと役立ちます。

以下に示す数値はいずれも一般的な目安であり、公的な統計として定められたものではありません。

情報源によって示される金額にも幅があるため、参考程度に捉えてください。

ここでは4つの治療法について、費用の水準を見ていきます。

マウスピース矯正の場合

透明な装置を使う方法は、軽度の症例で選択肢になります

前歯の傾きが原因の受け口であれば、歯を動かすことで改善が見込めるためです。

情報源によって示される相場は幅が大きく、30万円台から100万円を超える範囲まで記載されています。

前歯を中心に動かす部分矯正で対応できる場合は、抑えめの水準にとどまることもあります。

奥歯まで含めた全体矯正が必要になれば、上限に近い金額になる傾向があります。

装置が目立ちにくいという利点があるぶん、適応の範囲は限られるという前提で考えておいてください。

ワイヤー矯正の場合

歯の表面に装置を接着する方法は、対応できる範囲が広いという特徴があります

前後、左右、上下と複数の方向へ力を加えられるため、複雑な移動にも対応しやすいためです。

表側に装置を付ける場合は60万円台から150万円程度、裏側に付ける場合は100万円を超える水準が目安とされています。

マウスピース矯正では難しいとされる症例でも、対応できる場合があります。

装置が目立ちやすく、食事や歯みがきに工夫が必要になるという負担も伴います。

見た目の負担と対応範囲の広さのどちらを重視するかで、選択が変わってきます。

外科手術を伴う場合

骨格に大きな不調和がある場合は、手術を伴う治療が検討されます

顎の骨を切って位置を移動させることで、歯を動かすだけでは届かない改善を目指すためです。

自由診療として受ける場合は150万円を超える水準になるという記載も見られます。

一方で顎変形症と診断されて健康保険が適用される場合は、自己負担が大きく抑えられます。

手術の前後に矯正治療を行うため、期間は他の方法より長くなる傾向があります。

金額の幅が最も大きい治療法であり、保険の可否によって負担がまったく変わってきます。

子どもの矯正の場合

成長期に行う治療は、大人とは異なる位置づけになります

顎の成長を利用できるため、骨格のバランスに働きかけられる時期があるためです。

1期治療の相場は20万円台から40万円程度、あるいは20万円台から70万円程度と示されることが多くなっています。

大人の矯正より抑えめの水準ですが、2期治療が必要になればそれぞれに費用が発生します。

成長期を過ぎてからの治療は、大人と同様の費用がかかると考えておく必要があります。

お子さんの受け口が気になる場合は、早い段階で相談してみると選択肢が広がります。

受け口の矯正に健康保険は使えるのか

費用の負担が大きいと分かると、保険が使えないかを確かめたくなりますよね。

受け口については、条件を満たせば健康保険が適用される可能性があります

これは矯正治療のなかでも限られたケースであり、誰でも使える制度ではありません

適用されるのは、外科手術を必要とする程度の症例と国が判断した場合に限られます。

該当するかどうかは検査によって判断され、受けられる医療機関も限られています。

制度の内容を知っておけば、確認すべきことも明確になるでしょう。

ここでは保険に関する4つの論点を整理していきます。

顎変形症と診断された場合に適用される

保険が使えるのは、限られた診断がついた場合です。

健康保険が対象とするのは病気やけがの治療であり、機能に著しい影響が及ぶと認められた症例に限られるためです[2]。

受け口については、顎変形症で顎離断などの外科手術を必要とする場合の手術前後の矯正治療が対象になります。

噛む機能や発音に支障が生じていると診断されることが、適用の前提になります。

見た目を改善したいという理由だけでは、この基準に当てはまりません。

自分が該当するかどうかは、専門的な検査を経て判断されることになります。

届出のある医療機関でのみ受けられる

もう一つ、見落とされやすい条件があります

保険で矯正治療を行うには、医療機関が国の定めた施設基準を満たし、地方厚生局に届け出ている必要があるためです[3]。

顎変形症の治療については、顎口腔機能診断料の届出をした医療機関が対象になります。

矯正を扱っている医療機関であっても、この届出がなければ保険での対応はできません。

届出のある医療機関は、各地方厚生局が公開している名簿で確認できます[3]。

保険適用を検討する場合は、まず届出の有無を確認するところから始めてください。

保険適用でも装置は限定される

保険で治療を受ける場合、使用する装置にも定めがあります

保険診療では治療に用いる材料や装置まで細かくルールが設けられているためです[2]。

歯の表側にブラケットを装着してワイヤーでつなぐ方法などが用いられます。

マウスピース型の装置は保険で使える矯正装置に含まれていません。

保険が適用される症例であっても、その治療をマウスピースで受けることはできないという構造です。

目立ちにくさを優先したい場合は、その部分が自由診療になるという関係を理解しておきましょう。

該当するかは検査で判断される

最終的な判断は、検査を受けて初めて下されます

顎の骨の位置関係や機能への影響の程度を、数値として評価する必要があるためです。

セファログラムによる分析や、噛み合わせの検査が行われることになります。

自分では重度だと思っていても、外科手術を必要とする基準には届かないと判断されることもあります。

逆に軽度だと考えていた方が、検査によって対象になると分かるケースも考えられます。

保険の可能性を確かめたい場合は、届出のある医療機関で相談してみてください。

費用の内訳を確認する

見積もりに書かれた総額だけを見比べても、実際の負担は分かりません

同じ金額が提示されていても、そこに含まれている項目が医療機関によって違うためです。

矯正の費用は、治療前の検査、治療中の装置と通院、治療後の保定という3つの段階で発生します。

どこまでが提示された金額に含まれるかを確認しなければ、後から想定外の支出が生じてしまいます。

内訳を知っておけば、複数の医療機関を同じ土俵で比較できるようになります。

見積もりを受け取ったときに、自分で確認できる状態を作っておきたいところです。

ここでは費用の内訳を4つに分けて確認していきます。

精密検査料と診断料

治療が始まる前の段階にも、費用が発生します

受け口の原因が歯にあるか骨格にあるかを判断するには、専門的な検査が欠かせないためです。

レントゲン撮影、横顔を撮影するセファログラム、歯型の採得、口の中の写真撮影などが行われます。

これらの結果をもとに治療計画が立てられ、費用の見積もりも提示されます。

検査料と診断料が治療費に含まれる医療機関もあれば、別途請求となる医療機関もあります。

初回のカウンセリングを無料としている場合もあるため、どこから費用が発生するかを最初に確認しておきましょう。

装置代と治療費

中心となるのは、歯を動かすための費用です。

装置の製作と、治療全体を管理する技術料が含まれる部分だからです。

マウスピース矯正では、治療計画に基づいて必要な枚数の装置がまとめて製作されます。

治療の途中で計画の修正が必要になり、追加の装置を作る場合の費用も確認しておきたい項目です。

抜歯が必要になる場合は、その処置の費用が別に発生することもあります。

装置代に何が含まれ、何が別料金になるのかを、書面で確認しておくと安心です。

通院ごとの調整料

治療が始まってからの費用も、見落とせません

歯の動きを確認し、必要に応じて装置を調整していく通院が続くためです。

通院のたびに調整料がかかる方式と、総額に含まれていて追加の支払いが生じない方式があります。

1〜2か月に1度の通院を2年続ければ、通院ごとの費用が積み上がって差になっていきます。

総額が安く見えた医療機関で調整料が別途かかり、最終的には変わらなかったという比較結果になることもあります。

通院ごとの費用が含まれるかどうかは、見積もりを受け取る段階で必ず確かめておいてください。

保定装置と保定期間の費用

治療が終わったあとにも、費用が発生します

動かした歯は元の位置へ戻ろうとする性質があり、保定装置を一定期間装着して位置を安定させる必要があるためです。

保定装置の製作費用に加えて、破損や紛失で作り直す場合は追加の費用が生じます。

保定期間中の通院にも費用がかかる医療機関があり、治療が終われば支払いも終わりとは限りません。

受け口は後戻りが起こりやすいとされる症例のため、保定期間の管理は特に重要になります。

見積もりに保定までの費用が含まれているかを確認しておくと、後から慌てずに済みます。

費用を抑える3つの方法

提示された金額をそのまま用意しなければ始められない、というわけではありません

税制上の仕組みや支払い方の工夫によって、実際の負担を軽くできる可能性があるためです。

矯正治療は自由診療にあたるため、費用の設定も支払い方法も医療機関によって異なります[1]。

使える制度を組み合わせて考えれば、一度に用意する金額を小さくできます。

いずれも特別な条件を必要とせず、多くの方が検討できる範囲のものです。

費用を理由にあきらめる前に、選択肢を確認しておきましょう。

ここでは負担を抑える3つの方法を、順に見ていきます。

医療費控除で税金の一部が戻る場合がある

自由診療であっても、税制上の仕組みは活用できます

医療費控除は1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に、確定申告によって所得税の一部が戻る仕組みだからです[4]。

歯列矯正については、受ける人の年齢や矯正の目的からみて必要と認められる場合の費用が対象になると示されています[5]。

受け口は噛む機能に影響が及ぶ状態にあたるため、治療の必要性が認められる可能性があります。

一方で、容ぼうを美化することを目的とした矯正の費用は対象になりません[5]。

該当するかどうかの判断は個別の事情によるため、歯科医師や税務署に確認してみてください。

分割払いやデンタルローンを使う

まとまった資金を一度に用意できない場合は、支払い方を分ける方法があります

分割払いには医療機関が独自に行うものと、信販会社を介するデンタルローンの2種類があるためです。

医療機関独自の分割は手続きが簡単な場合が多く、デンタルローンは長期の返済期間を設定できる傾向があります。

月々の負担を小さくすることで、治療を始めるハードルを下げられます。

ただしデンタルローンでは金利や手数料が加わり、総支払額は現金払いより大きくなります。

契約前に総支払額を確認し、無理のない範囲かどうかを見極めておきましょう。

複数の医療機関で見積もりを比較する

医療機関の選び方も、費用に直結する要素です。

自由診療では料金の設定が医療機関ごとに異なり、同じ内容でも金額に差が生まれるためです[1]。

初回のカウンセリングを無料としている医療機関も多く、契約せずに話だけ聞くことができます。

2〜3か所で相談し、提示された治療計画と金額を比べたうえで決めたという方も少なくありません。

比べる際は総額だけでなく、検査料、調整料、保定装置の費用まで含まれているかを確認してください。

その場で契約を求められた場合は、持ち帰って検討したいと伝えて構いません。

マウスピース矯正で受け口が治らないケース

目立たない装置で治せるなら、それが一番だと考えるのは自然なことです。

しかし希望する方法と、症状に適した方法が一致するとは限りません

マウスピース矯正には対応できる範囲があり、それを超える症例では別の方法が必要になります

無理に進めても目標に届かず、途中で治療法を変えることになれば費用も期間も膨らんでしまいます。

どんな場合に難しくなるのかを知っておけば、説明を受けたときも落ち着いて受け止められます。

適応外と言われても道が閉ざされるわけではないという点も、あわせて押さえておきましょう。

ここでは対応が難しくなる4つのケースを見ていきます。

骨格の不調和が大きい場合

最も多いのは、顎の骨の位置関係に原因があるケースです。

マウスピース矯正は歯を動かす治療であり、骨そのものの位置を変えることはできないためです。

下顎が前方に大きく出ている場合、前歯だけを動かしても上下の関係は根本的には変わりません。

見た目がある程度改善しても、噛み合わせの機能面では十分な結果が得られないことも考えられます。

無理に歯を傾けて見た目を整えようとすれば、歯や周囲の組織に負担がかかる可能性もあります。

骨格の不調和が大きい場合は、外科手術を伴う治療が現実的な選択肢になります。

前歯を動かすスペースが不足している場合

歯を並べる余地がないというケースもあります

受け口を改善するには前歯の位置を後方へ移動させる必要がありますが、そのスペースが必要になるためです。

歯が並ぶスペースが不足している場合、抜歯を含めた計画が検討されることになります。

抜歯を伴う大きな移動は、マウスピース矯正では対応が難しいとされる領域にあたります。

歯の側面をごくわずかに削ってスペースを作る方法もありますが、確保できる幅には限りがあります。

必要なスペースが大きい場合は、対応できる範囲を超えると判断されることも考えられます。

奥歯の噛み合わせにずれがある場合

前歯だけの問題ではないケースも少なくありません

受け口では奥歯の噛み合わせも前後にずれていることが多く、そこを整えなければ全体が安定しないためです。

前歯の見た目だけを整えても、奥歯のずれが残れば噛み合わせの機能は改善しません。

奥歯を大きく移動させる動きは、マウスピース矯正が得意とする範囲を超える場合があります。

治療後に噛みにくさが残る、後戻りが起こりやすくなるといった結果につながる可能性も考えられます。

奥歯まで含めた改善が必要かどうかは、検査によって判断されることになります。

途中で治療法が変わる可能性

始めてから方針が変わることもあり得ます

歯の動きは生体の反応に基づくため、計画どおりに進まない場合があるためです。

マウスピース矯正で始めたものの、想定した移動が得られずワイヤー矯正へ切り替えるという展開も起こり得ます。

切り替えが生じれば、追加の費用と期間が必要になります。

適応の判断が難しい症例では、こうした可能性をあらかじめ説明されることもあります。

切り替えが生じた場合の費用の扱いを、契約前に確認しておくと安心です。

受け口の治療期間の目安

費用と並んで気になるのが、どのくらいの期間がかかるかという点ではないでしょうか。

矯正は年単位で続く治療のため、仕事や生活の予定と重ね合わせて考える必要があります。

受け口の治療期間は、選ぶ方法と症状の程度によって大きく変わってきます

マウスピース矯正やワイヤー矯正で歯を動かす場合、1年から3年程度が目安として示されることが一般的です。

外科手術を伴う治療では、手術の前後に矯正を行うため2年から3年程度かかるとされています。

いずれも公的な統計として定められた数値ではなく、症例によって幅があるという前提で捉えてください。

期間の内訳を知っておくと、見通しも立てやすくなります。

治療は大きく、検査と診断の段階、歯を動かす段階、そして保定の段階に分かれます。

検査から治療計画の説明までには数週間かかることが多く、この期間も見込んでおきたいところです。

マウスピース矯正では装置がまとめて製作されるため、届くまでにさらに時間がかかる場合もあります。

歯を動かす段階が終わったあとには、動かした位置を安定させる保定の期間が続きます。

保定期間は1年から2年が目安とされ、この期間も含めて考えると総期間はさらに長くなります。

受け口は後戻りが起こりやすいとされる症例のため、保定を途中でやめないことが特に重要になります。

外科手術を伴う場合は、術前矯正、手術と入院、術後矯正という流れになります。

手術の前に歯の位置を整える期間が必要で、その後に手術を行い、さらに噛み合わせを仕上げる矯正が続きます。

入院を伴うため、仕事や学校の予定を調整する必要も出てきます。

期間が長く感じられるかもしれませんが、骨格から改善できるという結果につながる治療です。

自分のケースでどのくらいかかるかは、検査を受けたうえで確認してみてください。

治療を始める前に完了時期の目安を共有しておけば、生活の計画も立てやすくなります。

受け口を放置するとどうなるか

費用の大きさを前にすると、このまま様子を見るという選択も頭をよぎりますよね。

見た目が気になるだけで日常生活に支障がないのであれば、急ぐ必要はないと考えるのも自然なことです。

ただし受け口は見た目の問題にとどまらず、噛む機能や口の中の健康にも関わってきます

上下の歯が正しく噛み合わない状態が続くと、特定の歯に力が集中しやすくなります

前歯で食べ物を噛み切りにくいため、奥歯に負担が偏るという状態も生じます。

負担が集中した歯は、時間の経過とともにすり減ったり動揺したりする可能性が考えられます。

顎の関節への影響も、知っておきたい点のひとつです。

噛み合わせのバランスが崩れた状態が続けば、顎を動かす筋肉や関節に無理な力がかかることもあります。

口を開けるときに音が鳴る、顎が疲れやすいといった変化として現れる場合もあります。

発音への影響が生じることもあり、サ行やタ行が発音しにくいという方もいます。

口の中の健康という面でも、注意しておきたい部分があります。

歯並びに重なりやずれがあると清掃が行き届きにくく、汚れが残りやすい状態が生まれるためです。

みがき残しが続けば、むし歯や歯を支える組織の炎症につながる可能性があります[6]。

歯周組織の炎症が進めば、歯を支える骨に影響が及ぶこともあります[6]。

年齢を重ねるほど、こうした積み重ねの影響は大きくなっていきます。

歯を失ってから対応するより、噛み合わせを整えておくほうが結果的に負担は小さくて済みます。

とはいえ、費用の準備が整わないうちに無理をする必要はありません。

まず検査を受けて自分の状態を把握し、いつまでに何をすべきかの見通しを持つという段階から始められます。

治療を始めるかどうかを決めるのは、その情報を得たあとで構いません。

放置するという判断をする場合も、リスクを理解したうえで選ぶほうが納得して過ごせます。

受け口のマウスピース矯正の費用に関するよくある質問

Q1. マウスピース矯正で受け口は治りますか?

前歯の傾きが原因の軽度な受け口であれば、対応できる可能性があります

下顎の骨格に大きな不調和がある場合は、歯を動かすだけでは根本的な改善につながりません。

適応かどうかは検査を受けたうえで判断されます。

Q2. 費用はいくらかかりますか?

マウスピース矯正の相場は情報源によって幅があり、30万円台から100万円を超える範囲まで示されています

自由診療にあたるため、料金は各医療機関が独自に設定しています[1]。

検査料や調整料、保定装置の費用まで含まれるかを確認してください。

Q3. 保険は使えますか?

顎変形症と診断され、外科手術を必要とする場合に適用される可能性があります[2]。

その場合も使用できる装置は限定され、マウスピース型は対象外です。

施設基準の届出をした医療機関でのみ受けられます[3]。

Q4. 治療期間はどのくらいですか?

歯を動かす治療では1年から3年程度、外科手術を伴う場合は2年から3年程度が目安とされています

これに加えて、1年から2年ほどの保定期間が必要になります。

症例によって幅があるため、検査後に確認してください。

Q5. 医療費控除は使えますか?

受ける人の年齢や矯正の目的からみて必要と認められる場合の費用が対象になると示されています[5]。

受け口は噛む機能に影響が及ぶ状態にあたるため、対象になる可能性があります。

判断は個別の事情によるため、税務署に確認してみてください。

Q6. 子どもの受け口は早く治療したほうがいいですか?

成長期には顎の成長を利用できるため、大人になってからでは取れない選択肢があります

1期治療の相場は20万円台からとされ、大人の矯正より抑えめの水準です。

気になる場合は早めに相談してみると選択肢が広がります。

まとめ

受け口の矯正費用は、原因が前歯の傾きにあるか下顎の骨格にあるかによって桁が変わります

マウスピース矯正で対応できるのは主に軽度の歯性のケースで、相場は30万円台から100万円を超える範囲まで幅があります。

骨格性で外科手術が必要と診断された場合は顎変形症として健康保険が適用される可能性があり、自己負担が抑えられます[2]。

保険で治療を受けるには施設基準の届出をした医療機関である必要があり、使用できる装置も限定されます[2][3]。

見積もりは総額だけでなく、検査料、調整料、保定装置の費用まで含まれるかを確認してください。

治療目的の矯正であれば医療費控除の対象になる可能性があり、負担を軽くできる場合があります[5]。

自分がどのタイプに当てはまるかは検査を受けて初めて分かるため、まず相談してみるところから始めてみましょう。

参考文献

[1] 厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kokokukisei/index.html

[2] 厚生労働省「保険診療の理解のために【歯科】」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/index.html

[3] 厚生労働省「地方厚生(支)局 施設基準届出受理医療機関名簿」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/shitei/index.html

[4] 国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm

[5] 国税庁「No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1128.htm

[6] 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯周病とは」

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-03-001.html

免責事項

※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、医療アドバイスではありません。

※治療の可否や費用については必ず歯科医師にご相談ください。

※効果の現れ方や治療期間には個人差がございます。

※記載の費用や期間は一般的な目安であり、医療機関や症例により異なります。