歯列矯正で抜歯は必要?抜く歯の本数と抜かない場合のリスク

「歯列矯正で抜歯を勧められたけれど、健康な歯を抜いて大丈夫なの?」「抜かずに治す方法はないのだろうか」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
矯正で抜歯が必要になるのは、歯を並べるスペースがあごの大きさに対して足りない場合で、前から4番目の第一小臼歯か5番目の第二小臼歯を上下左右で4本抜くケースが一般的です。
抜歯には健康な歯を失うという負担がある一方、抜かない選択にも口元の突出感が残る、歯列が外側に広がるといったリスクがあり、どちらか一方だけを見て決めると後悔につながります。
この記事では、抜歯が必要になる理由と抜く歯の種類から、抜歯のデメリット、抜かない場合に起こること、避けられる可能性がある方法まで詳しくお伝えしますので、判断に迷っている方はぜひ参考にしてください。
歯列矯正で抜歯が必要になる理由
抜歯という言葉を聞いた瞬間、身構えてしまう方は少なくありません。
むし歯でもない歯を抜くと言われれば、疑問を持つのは当然のことです。
矯正で抜歯が提案されるのには、歯を並べる条件を整えるという明確な目的があります。
理由を知っておけば、提案を受け入れるかどうかの判断もしやすくなります。
まずは、なぜ抜くのかというところから整理していきましょう。
歯を並べるスペースが足りない
抜歯が必要になる最も多い理由は、歯を並べる幅が不足していることです。
あごの大きさに対して歯が大きい場合、すべての歯がきれいに並ぶだけの余地がなくなるためです。
不正咬合の成り立ちは、精密な検査によって明らかになります[1]。
歯が重なり合った状態は叢生と呼ばれ、日本人に多くみられる歯並びの一つです。
小臼歯を1本抜くと、その位置に7〜8mm程度の隙間が生まれ、歯を並べる余地を確保できます。
スペースが足りないまま無理に並べる方法と比べれば、抜歯は歯に無理をさせない選択でもあると考えられます。
前歯を後ろへ下げる余地を作る
出っ歯の改善を目的とする場合にも、抜歯が選ばれます。
前歯を後ろへ移動させるには、そのための空間が必要になるためです。
余地がなければ、歯を引っ込めることができません。
上下の小臼歯を抜いて前歯を後退させる計画では、横顔の突出感がやわらぐ変化が見込めます。
口を閉じたときにあごに力が入っていた状態が、自然に閉じられるようになるケースもあります。
見た目の変化を重視している方にとっては、目標に近づくための手段になり得ます。
かみ合わせを整えるため
見た目だけでなく、上下の歯が噛み合う位置を整える目的もあります。
上下のあごの前後関係にずれがある場合、歯を並べるだけでは噛み合わせが合わないためです。
抜いた隙間を使って位置関係を調整します。
上の歯が下の歯より大きく前に出ている状態では、上の歯を後ろへ動かすことで噛み合う位置を近づけられます。
片側だけ噛み合わせがずれている症例では、抜く歯の本数を左右で変える計画が組まれることもあります。
見た目と機能は切り離せない関係にありますから、両方を整える方針として受け止めてみてください。
抜歯が必要かどうかは検査で決まる
抜歯の要否は、鏡を見ただけでは判断できません。
必要なスペースの量や、あごの骨と歯の位置関係は、検査によってはじめて数値で分かるためです。
見た目の印象とは一致しないこともあります。
側面から撮影するエックス線検査で骨格と歯の傾きを測り、歯型の採取によって並べるのに必要な幅を計算します。
軽そうに見えて抜歯が必要な場合もあれば、重そうに見えて抜かずに済む場合もあります。
抜歯を勧められたとしても、その根拠を聞いたうえで判断すれば納得して進められます。
矯正で抜く歯と本数
抜歯が必要と言われたとき、どの歯を何本抜くのかは気がかりな点でしょう。
前歯を抜かれるのではないかと心配される方もいます。
矯正で抜く歯には一定の傾向があり、選ばれる理由もはっきりしています。
本数も症例によって変わるため、自分の場合を確かめておきたいところです。
ここでは、抜く歯と本数について5つの視点から整理します。
抜くのは第一小臼歯か第二小臼歯が中心
矯正で抜かれるのは、前から数えて4番目の第一小臼歯か、5番目の第二小臼歯が中心です。
前歯と奥歯の中間に位置し、歯列の途中に空間を作りやすい場所にあたるためです。
前歯そのものを抜くことは、通常ありません。
前歯から数えると、1番と2番が前歯、3番が犬歯、4番と5番が小臼歯、6番以降が大臼歯という並びになります。
どちらの小臼歯を抜くかは、必要なスペースの位置や歯の状態によって判断されます。
抜く歯の位置を聞いておけば、治療後の見た目もイメージしやすくなります。
なぜ小臼歯が選ばれるのか
小臼歯が選ばれるのには、機能面と位置の両方に理由があります。
前歯のように食べ物を噛み切る役割も、奥歯のようにすりつぶす役割も、大きくは担っていないためです。
失った際の影響が比較的小さい位置にあたります。
歯列の中央付近にあるため、抜いた隙間を前後どちらの方向へも使えるという利点もあります。
前歯を下げたい場合にも、奥歯を前へ寄せたい場合にも対応しやすくなります。
治療上の必要から選ばれている歯だと理解しておけば、提案の意図も見えてきます。
上下左右4本が基本になる理由
抜歯をともなう矯正では、上下左右で1本ずつ、合計4本を抜く計画が基本になります。
上下どちらか一方だけを動かすと、かみ合わせの均衡が崩れてしまうためです。
左右のバランスも保つ必要があります。
上の歯だけを後ろへ下げれば、下の歯との位置関係がずれ、噛み合う面積が減ってしまいます。
片側だけを抜けば、歯列の中心が左右にずれる原因にもなります。
4本という数字に驚くかもしれませんが、全体の均衡を保つための計画だと考えてみてください。
親知らずを抜く場合
小臼歯とは別に、親知らずの抜歯を勧められることもあります。
親知らずが手前の歯を押し、歯並びに影響を与える可能性があるためです。
矯正の妨げになる位置に生えている場合もあります。
奥歯を後ろへ動かす計画では、そのスペースを確保するために親知らずを抜くことが前提になります。
治療後の後戻りを防ぐ目的で、抜歯を提案される場合もあります。
一般に非抜歯と呼ばれる治療でも親知らずは抜くことが多いため、この点は確かめておきましょう。
抜く本数が変わるケース
抜く本数は、4本に固定されているわけではありません。
必要なスペースの量が症例ごとに違い、それに応じて本数も変わるためです。
多い場合も少ない場合もあります。
必要な量が少なければ2本で済むこともあり、上下のずれが大きい場合は上だけ2本という計画が組まれることもあります。
親知らずを含めれば、抜く歯が合計で6本や8本になるケースも考えられます。
本数が多いと言われて不安になったときは、その理由を具体的に聞いてみてください。
抜歯をともなう矯正のデメリット
抜歯には確かに負担がともないます。
知らないまま進めて、あとから後悔したという声も聞かれます。
どこがどこまで負担になるのかを具体的に把握しておけば、判断の材料がそろいます。
ここで挙げるのは、抜歯を選んだ場合に生じる影響です。
5つの観点から整理します。
健康な歯を失うことになる
最も大きな負担は、健康な歯を失うという事実そのものです。
矯正で抜く歯は、むし歯でも歯周病でもない正常な歯であることがほとんどだからです。
一度抜いた歯は元に戻せません。
治療の目的は歯並びを整えることであり、その歯自体に問題があるわけではありません。
抵抗を感じるのは自然な反応で、無理に納得しようとする必要もありません。
なぜその歯なのか、ほかに方法はないのかを聞いたうえで判断すれば、後悔は残りにくくなります。
抜歯後の痛みと腫れ
抜歯のあとには、痛みや腫れが数日続きます。
歯を支える骨から歯を取り出す処置であり、周囲の組織に負担がかかるためです。
回復を待つ期間が必要になります。
処置の当日から2〜3日は痛みや腫れが出やすく、痛み止めを服用しながら過ごすことになります。
複数本を一度に抜く場合は左右に分けて行うこともあり、そのぶん通院の回数も増えます。
痛みは日を追って引いていきますから、抜歯後の過ごし方を事前に確認しておくと不安が和らぎます。
治療期間が長くなる
抜歯をともなう治療では、期間が長くなる傾向があります。
抜いてできた隙間へ歯を大きく移動させる必要があり、その距離が期間に直結するためです。
装置の枚数や調整の回数も増えていきます。
抜歯をともなう全体矯正の期間は、およそ2〜3年が目安になります。
抜歯をしない軽度の症例が数か月から1年程度で終わることを考えると、差は小さくありません。
期間の長さは負担に感じられますが、それだけ大きく歯並びを変えられる治療だと受け止めてみてください。
費用が上乗せされる
抜歯には、矯正の費用とは別に処置代がかかります。
矯正のための抜歯は自由診療にあたり、全額自己負担になるためです。
本数が増えるほど負担も大きくなります。
抜歯代は1本あたり5,000〜15,000円程度が目安で、上下で4本を抜く計画であれば数万円が上乗せされます。
矯正を専門とする医療機関では、抜歯を別の歯科医院へ依頼するため紹介状の費用が加わることもあります。
矯正費用と抜歯代を合算した金額で見積もりを確かめておけば、想定とのずれを防げます。
隙間が閉じるまで見た目に影響が出る
抜歯の直後から数か月間は、隙間が見える状態が続きます。
歯を移動させて隙間を閉じていく治療のため、埋まるまでに時間がかかるためです。
抜いた位置によって、目立ち方は変わります。
前から4番目の歯を抜いた場合、笑ったときに正面からわずかに隙間が見えることがあります。
5番目の歯であればさらに奥に位置するため、正面からはほとんど分かりません。
一時的な状態ですから、大事な予定がある時期を避けて抜歯の日程を組むという工夫もできます。
抜歯しない場合に起こりうること
歯を残せるならそれに越したことはない、と考えるのは自然なことです。
非抜歯で治療できる医療機関を探そうとしている方もいるでしょう。
ただし、スペースが足りないまま並べた場合には別の負担が生じます。
抜歯のデメリットと並べて比べてはじめて、納得のいく判断ができます。
ここでは、抜かない選択にともなう4つのリスクを整理します。
口元の突出感が残る
抜歯をしない場合、前歯を後ろへ下げる余地が限られます。
歯を移動させるスペースがなければ、位置を大きく変えられないためです。
歯並びのでこぼこは整っても、横顔の印象は変わりにくくなります。
歯並びをきれいにしたのに口元が出たままだった、口を閉じにくい状態が続いたという結果につながる可能性があります。
見た目の改善を期待していた方ほど、この差は落胆につながります。
何をゴールにしたいのかを先に伝えておけば、方針のずれを防げます。
歯列が外側に広がる
スペースが足りない状態で歯を並べると、歯列全体が外側へ広がります。
限られた幅に歯を収めるため、外へ押し出す形で余地を作ることになるためです。
結果として、口元がかえって前に出ることもあります。
歯を支える骨には限りがあり、その範囲を超えて広げれば歯ぐきが下がる可能性も生じます。
歯の根が骨から出てしまう状態は、長期的な安定を損ないます。
無理のない範囲かどうかは検査で判断されますから、その説明を受けたうえで選ぶことが大切です。
かみ合わせが安定しにくくなる
抜歯を避けた計画では、かみ合わせの調整に制約が生じることがあります。
上下の歯の位置関係を整えるには、動かす余地が必要になるためです。
前歯だけを並べても、奥歯との関係は変わりません。
上の前歯が前に出たまま並んだ状態では、食べ物を噛み切りにくさが残ることがあります。
特定の歯に力が集中すれば、その歯の負担が大きくなります。
見た目と機能の両方を求めるのであれば、スペースの確保は避けて通れない条件になります。
後戻りが起こりやすくなる
無理に並べた歯並びは、元へ戻ろうとする力を受け続けます。
歯が押し合っている状態では、外側へ広がった歯が内側へ戻ろうとするためです。
保定を丁寧に行っても、変化が生じることがあります。
治療後に下の前歯が再び重なってきた、上の前歯にすき間が開いたという後戻りが起こる可能性があります。
再矯正となれば、費用と期間があらためて必要になります。
抜かない選択にもこうした側面があると知ったうえで、比べて決めていきましょう。
気になる不安への答え
抜歯をためらう理由は、痛みや費用だけではありません。
顔つきが変わるのではないか、噛む力が落ちるのではないかという不安を抱える方も多くいます。
インターネット上には根拠のはっきりしない情報も混ざっており、判断を難しくしています。
何が起こり、何が起こらないのかを分けて知っておけば、余計な心配を減らせます。
ここでは、よく聞かれる4つの不安に順に答えていきます。
顔つきは変わるのか
抜歯によって、口元の印象が変わることはあります。
前歯を後ろへ下げれば、横から見たときの突出感がやわらぐためです。
これは治療の目的として意図された変化にあたります。
上唇の位置がわずかに下がり、口元が引っ込んだ印象になるという変化が代表的です。
一方、頬がこける、老けて見えるといった変化については、抜歯との因果関係がはっきりしていません。
どの程度変わるのかは治療計画によりますから、仕上がりの予想を見せてもらうと安心につながります。
噛む力は落ちるのか
歯の本数が減ることで、噛む力への影響を心配される方は多くいます。
小臼歯は食べ物をすりつぶす働きの一部を担っており、失えば機能が下がるように思えるためです。
不安に感じるのは自然なことです。
矯正で抜歯を行う場合、抜いた隙間は歯を移動させて閉じるため、歯列は途切れずにつながります。
上下の歯が噛み合う関係も、治療のなかで整えられていきます。
治療後の噛みにくさが気になる場合は、遠慮せず歯科医師に伝えてみてください。
将来歯を失ったときに影響はあるか
長い目で見たときの影響を気にされる方もいます。
歯を失った際にブリッジという方法を選ぶ場合、両隣の歯を土台にするためです。
小臼歯が抜かれていれば、土台にできる歯の位置が変わります。
前から5番目の歯を失った場合、4番目が既に抜かれていれば、犬歯と6番目の歯を土台にすることになります。
こうした可能性は、抜歯を判断する際の材料の一つになります。
長期的な視点も含めて相談したい場合は、その旨をカウンセリングで伝えてみましょう。
抜いた隙間はいつ閉じるのか
抜歯でできた隙間が閉じるまでには、半年から1年半ほどかかります。
1回の移動量はごくわずかに設計されており、隙間の幅は7〜8mm程度あるためです。
少しずつ動かしていく計画になります。
前歯を後ろへ下げる計画では、まず前歯を移動させ、その後に奥歯を前へ寄せて隙間を埋めていく流れになります。
隙間が完全に閉じたあとも、かみ合わせを整える工程が続きます。
途中で変化が見えにくい時期もありますが、確実に埋まっていくと考えて進めていきましょう。
抜歯を避けられる可能性がある方法
抜歯以外にスペースを作る方法があるなら、まずそちらを知りたいと考えるのは自然です。
実際に、歯を抜かずに余地を生み出す手段はいくつか存在します。
ただし、それぞれ確保できる量には限りがあり、どんな症例にも使えるわけではありません。
方法と限界の両方を知っておけば、提案を受けたときに理解しやすくなります。
ここでは、4つの視点から整理します。
歯を薄く削ってスペースを作る
歯と歯の間をわずかに削り、並べるための余地を作る方法があります。
歯の側面を覆うエナメル質を薄く削ることで、歯列全体に少しずつ隙間を生み出す考え方です。
抜歯と比べて、失うものは大幅に少なくなります。
削る量は1か所あたり0.2〜0.5mm程度とごくわずかで、麻酔を使わずに数分で終わる処置です。
痛みを感じることはほとんどありませんが、削った部分は元に戻らないため、どこをどれだけ削るのかは事前に確認しておきたいところです。
歯を大きく失わずに済む方法ですから、抜歯に抵抗がある場合は可能性を尋ねてみるとよいでしょう。
奥歯を後ろへ動かす
奥歯を後方へ移動させ、その分だけ前方に余地を作るという方法もあります。
歯列全体を後ろへずらすことで、前歯を下げるスペースが生まれるためです。
歯を失わずに済む点が利点にあたります。
左右の奥歯を動かすことで、5mm前後のスペースを確保できるとされています。
この方法では親知らずを抜くことが前提になる場合が多く、一般に非抜歯と呼ばれる治療でも親知らずは抜くという点は知っておきたいところです。
小臼歯を残せる可能性がある方法ですから、選択肢として説明を受けてみてください。
歯列を横に広げる
歯列のアーチを横方向へ広げ、並べる幅を確保する方法もあります。
歯が並ぶ土台そのものを広げることで、余地を生み出す考え方です。
とくに成長期の子どもでは、あごの成長を利用しやすくなります。
大人の場合はあごの骨の成長が終わっているため、広げられる範囲には限りがあります。
無理に広げれば歯が骨から出てしまい、歯ぐきが下がる可能性も生じます。
どこまで広げられるかは骨の状態によって決まりますから、検査の結果を聞いたうえで判断しましょう。
それぞれの方法には限界がある
これらの方法で確保できるスペースには、上限があります。
歯を削る量にも、奥歯を動かせる距離にも、歯列を広げられる幅にも、体の構造による制約があるためです。
必要な量に届かなければ、抜歯以外の選択肢は残りません。
歯を薄く削る方法で歯列全体に作れる余地は数mm程度にとどまり、奥歯の後方移動も骨のある範囲を超えては動かせません。
必要なスペースが7〜8mmを超えるような症例では、これらを組み合わせても足りない計算になります。
自分の場合に何mm必要なのかを聞いておけば、抜歯の提案にも納得しやすくなります。
抜歯を勧められたときに確認したいこと
抜歯を提案されたその場で、即答する必要はありません。
一度持ち帰って考えたいと伝えることは、何ら失礼にあたらないためです。
確かめておきたい項目を整理しておけば、限られた時間でも要点を押さえられます。
納得したうえで進めた治療は、途中で迷いが生じにくくなります。
ここでは、聞いておきたい4つの視点をお伝えします。
なぜ抜く必要があるのかを聞く
まず確かめたいのは、抜歯が必要と判断された理由です。
必要なスペースの量と、それを他の方法で確保できない理由が説明の中心になるためです。
数値で示してもらえれば、判断の根拠が見えてきます。
何mmのスペースが不足しているのか、どの歯を何本抜く計画なのか、歯を薄く削る方法では足りない理由は何かという3点を聞いておくと理解が進みます。
検査結果を示しながら説明してくれるかどうかも、信頼できる判断材料になります。
疑問をその場で解消しておけば、抜歯当日に迷わずに済みます。
抜かない場合の仕上がりと比較する
抜いた場合と抜かない場合で、仕上がりがどう変わるかを比べてみてください。
同じ歯並びでも、選ぶ方法によって到達できる状態が異なるためです。
比較して初めて、自分が何を優先したいかが見えてきます。
完成予想の画像を両方の計画で見せてもらえれば、横顔の変化まで確認できます。
前歯が何mm下がるのか、口元の印象がどう変わるのかを数値と画像で確かめておくと、期待とのずれを防げます。
見比べたうえで選んだという実感があれば、治療中の迷いも少なくなるでしょう。
抜歯を断ることはできるのか
抜歯を望まないという意思を伝えること自体は、患者として当然の権利です。
治療方針は説明を受けたうえで、自分で選ぶものだからです。
強制されるものではありません。
ただし断った場合、非抜歯での計画に変更されるか、その医療機関では治療できないと判断されるかは症例によります。
無理に非抜歯で進めれば、歯列が外側に広がるなどの結果を招く可能性もあります。
断りたい気持ちは率直に伝えたうえで、代わりにどうなるのかを聞いてから決めてみてください。
判断に迷うときは別の医療機関にも相談する
説明を聞いても決めきれないときは、別の医療機関の意見を聞くという方法があります。
抜歯の要否は歯科医師によって考え方が分かれることがあり、提案される計画も変わってくるためです。
複数の見立てを聞けば、共通点と相違点が見えてきます。
前の医療機関で受け取った診断書やエックス線写真のデータを持参すると、話が早く進みます。
相談だけなら無料という医療機関も多く、費用の負担なく比較できます。
急かされて決める必要はありませんから、納得できるまで話を聞いてから判断してみてください。
歯列矯正の抜歯に関するよくある質問
Q:矯正では必ず抜歯が必要ですか?
A:必ず必要というわけではなく、歯を並べるスペースが足りている症例では抜かずに治療できます。
歯の重なりが小さい場合や、すきっ歯のようにもともと余地がある場合は、非抜歯での計画が組まれます。
必要かどうかは検査によって決まりますので、まずは診断を受けて確かめてみてください。
Q:どの歯を何本抜きますか?
A:前から数えて4番目の第一小臼歯か、5番目の第二小臼歯を抜くケースが中心です。
かみ合わせの均衡を保つため、上下左右で1本ずつ合計4本という計画が基本になります。
必要なスペースの量によって2本で済む場合もあれば、親知らずを含めて6本以上になる場合もあります。
Q:抜歯すると顔つきは変わりますか?
A:前歯を後ろへ下げることで、横から見たときの口元の突出感がやわらぐ変化はあります。
これは治療の目的として意図された変化にあたります。
一方、頬がこける、老けて見えるといった変化については因果関係がはっきりしていませんので、仕上がりの予想を見せてもらうと安心につながります。
Q:抜歯を断ることはできますか?
A:抜歯を望まないという意思を伝えること自体は、患者として当然の権利です。
ただし断った場合、非抜歯の計画に変更されるか、その医療機関では対応できないと判断されるかは症例によります。
無理に非抜歯で進めると歯列が外側に広がる可能性もありますので、代わりにどうなるのかを聞いてから決めてください。
まとめ
歯列矯正で抜歯が必要になるのは、歯を並べるスペースがあごの大きさに対して足りない場合が中心です。
抜くのは前から4番目の第一小臼歯か5番目の第二小臼歯で、かみ合わせの均衡を保つため上下左右4本という計画が基本になります。
抜歯には健康な歯を失う、痛みや腫れが出る、期間が長くなる、費用が上乗せされるという負担がともないます。
一方で抜かない選択にも、口元の突出感が残る、歯列が外側に広がる、後戻りが起こりやすくなるというリスクがあります。
歯を薄く削る方法や奥歯を後方へ動かす方法で避けられる場合もありますが、確保できるスペースには上限があります。
抜歯を勧められたときは、必要なスペースの量と、抜いた場合と抜かない場合の仕上がりの違いを確かめてみてください。
どちらを選ぶかは検査結果に基づいて決まりますので、納得できるまで説明を聞いたうえで判断していきましょう。
参考文献
[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「不正咬合の治療法の概要」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-06-002.html
免責事項
※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、医療アドバイスではありません。
治療の適否や方法については必ず歯科医師にご相談ください。
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。
※歯科医師の判断により治療をお受けいただけない場合があります。