高校生の歯列矯正|費用と期間・部活や受験との両立を解説

高校生から歯列矯正を始めるのは、タイミングとしてどうなのか迷っていませんか?

高校生は永久歯が生え揃っていて治療計画を立てやすく、大人と比べて歯が動きやすい時期とされ、条件の整った年代といえます。

一方で部活動や受験、学校行事といった予定が重なりやすく、それらを踏まえた計画を立てることが欠かせません。

この記事では高校生から始める利点、費用と期間の目安、学校生活との両立、保護者への相談の進め方まで整理しますので、迷っている方はぜひ参考にしてください。

高校生から歯列矯正を始めるのはどうか

歯並びが気になりながらも、今始めるべきなのか判断がつかないまま時間が過ぎているという方は少なくありません。

矯正は子どものうちにやるものだと聞いたことがあり、もう遅いのではないかと感じている方もいるのではないでしょうか。

先にお伝えすると、高校生という時期は矯正を始めるうえで条件の整った年代にあたります。

永久歯が生え揃っていながら、大人ほど骨が硬くなっていないという中間的な状態にあるためです。

治療計画を立てやすく、歯も動きやすいという両方の利点を持ち合わせている時期といえます。

なぜ条件が良いのかを知っておけば、今始める意味も見えてきます。

ここでは高校生から始める利点を、4つの視点から整理していきます。

永久歯が生え揃っていて計画を立てやすい

まず押さえておきたいのが、歯の状態です。

高校生になると乳歯から永久歯への生え変わりがほぼ完了しており、最終的な歯並びの形が定まっているためです。

子どもの矯正では生え変わりの経過を見ながら進める必要があり、途中で計画を修正する場面も生じます。

すべての歯が出そろっていれば、どの歯をどこへ動かすかを最初から設計できます。

顎の成長も落ち着いてくる時期のため、成長による変化を見込む必要も小さくなります。

計画の見通しが立てやすいという点は、治療を進めるうえで大きな利点になります。

大人より歯が動きやすい時期とされる

もう一つの利点が、歯の動きやすさです。

顎の成長がほぼ完了する時期でありながら、大人と比べれば骨や歯が柔軟で動きやすいとされているためです。

成長期が完全に終わって骨が硬化した状態と比べると、歯の移動に有利な条件が残っています。

歯が並ぶスペースを確保しやすく、抜歯をせずに治療できる可能性が高まる場合もあります。

治療期間が大人より短く済むことが期待できるという指摘もあります。

同じ症例でも、始める時期によって条件が変わってくるということです。

自分の意思で続けられる年代

治療を継続するという面でも、この年代には強みがあります。

小学生の矯正では保護者の管理が欠かせませんが、高校生は自分で理解して取り組めるためです。

なぜ矯正をするのか、続けるとどうなるのかを自分の言葉で理解できます。

見た目や自己意識が高まる時期であることも、続ける動機につながります。

マウスピース矯正のように装着時間の管理が求められる方法でも、自己管理がしやすくなります。

自分で決めて始めた治療だからこそ、途中でつらくなっても続けられる場面が増えます。

進学や就職の前に整えられる

将来の予定という観点でも、意味を持つ時期です。

高校在学中に始めれば、大学進学や就職といった節目までに治療を進められる可能性があるためです。

新しい環境で人と出会う時期に、歯並びを気にせず過ごせるという状態を目指せます。

面接や説明会で人前に出る機会が増える時期に間に合えば、その意味は小さくありません。

社会に出てからでは通院の時間を確保しにくくなるという事情もあります。

いつまでに整えたいかを先に決めておくと、始める時期も自然と見えてきます。

高校生の矯正で選べる治療法

矯正といっても方法はいくつかあり、それぞれ特徴が異なります。

見た目への影響や費用、通院の頻度が変わってくるため、違いを知っておきたいところです。

高校生の場合は学校生活への影響という観点も、選ぶうえで重要な要素になります。

ただし装置は症例に適したものが優先されるため、希望だけで決められるわけではありません。

それぞれの性質を理解しておけば、提案を受けたときの判断もしやすくなります。

ここでは代表的な3つの方法と、選び方の考え方を見ていきます。

表側のワイヤー矯正

歯の表面に装置を接着する方法は、最も広く用いられてきた治療法です。

ブラケットという装置を歯に貼り付け、そこにワイヤーを通して歯を動かすという仕組みだからです。

複雑な症例にも対応でき、幅広い歯並びに使えるという点が特徴といえます。

自分で取り外せないため、装着時間の管理という課題が生じない点も利点にあたります。

一方で装置が正面から見えるため、見た目が気になるという方も多くなっています。

半透明のブラケットや白いワイヤーを選ぶことで、目立ちにくくできる場合もあります。

裏側のワイヤー矯正

歯の裏側に装置を装着する方法も、選択肢のひとつです。

装置が歯の裏側にあるため、矯正していることがほとんど分からないという特徴があるためです。

ワイヤー矯正と同じ仕組みのため、複雑な症例にも対応できます。

見た目を重視したい方にとっては、有力な選択肢になります。

一方で装置がオーダーメイドになることが多く、費用が割高になる傾向があります。

舌に装置が触れるため違和感を覚えやすく、清掃も難しくなるという点は知っておきたいところです。

マウスピース矯正

透明な装置を段階的に交換していく方法も、近年選ばれることが増えています。

装置が透明なため、矯正していることが周囲に気づかれにくいという特徴があるためです。

食事や歯みがきの際に取り外せるため、清掃がしやすくむし歯のリスクを抑えやすくなります[1]。

通院の回数が少なく済むことが多く、学校生活への影響も小さくなります。

一方で1日20時間以上の装着が推奨されており、自己管理が結果を左右します。

対応できる症例に制約があるため、適応かどうかは検査によって判断されます。

装置は症例に合うものから選ぶ

最後に、選び方の前提を押さえておきましょう。

装置によって対応できる歯の動きに違いがあり、症例に適した方法が優先されるためです。

目立たない装置を希望していても、その方法では目標に届かないと判断される場合があります。

無理に希望を通せば、期間が延びたり結果が不十分に終わったりする可能性も出てきます。

まず適応する方法を示してもらい、そのなかで希望に近いものを選ぶという順序が確実です。

なぜその装置が提案されたのかを説明してもらえば、納得して選べます。

費用と期間の目安

矯正を検討するうえで、費用と期間は避けて通れない現実的な問題になります。

高校生の場合は費用の負担を保護者が担うことになるため、本人だけで決められる話ではなく家庭全体での判断が必要です。

だからこそ、おおよその金額と期間を先に把握しておけば、相談を切り出すときにも具体的な話ができます。

矯正治療は一部の例外を除いて公的医療保険の対象外である自由診療にあたり、料金は各医療機関が独自に設定しているためです[2]。

以下に示す数値はいずれも一般的な目安であり、公的な統計として定められたものではありません。

自分の場合の見通しは検査を受けたうえで確認するという前提で、参考として読んでみてください。

ここでは費用と期間について、4つの視点から整理していきます。

全体矯正の費用の目安

まず把握しておきたいのが、歯列全体を動かす場合の水準です。

奥歯まで含めて噛み合わせを整えるため、必要な装置の量も治療にかかる期間も大きくなるためです。

情報源によって幅がありますが、おおむね60万円から130万円程度という記載が多く見られます。

同じ全体矯正であっても装置の種類によって差があり、表側のワイヤー矯正では90万円程度という水準が示されることもあります。

裏側のワイヤー矯正になると装置がオーダーメイドになることが多いため、120万円から140万円程度と高くなる傾向があります。

装置の選び方によって数十万円単位で変わってくるため、見積もりでは内訳まで確認しておきたいところです。

部分矯正の費用の目安

前歯を中心に動かす場合であれば、費用の水準は下がります。

動かす歯の本数が限られるぶん、必要な装置の量も通院の回数も少なくて済むためです。

部分矯正の費用については、30万円から60万円程度という記載が見られます。

マウスピースを使った部分矯正では、10万円から60万円程度と幅を持って示されることもあります。

ただし奥歯の噛み合わせにずれがある場合は、前歯だけを動かしても機能面の改善にはつながりません。

自分が部分矯正の対象になるかどうかは検査を受けて判断されるため、費用の安さだけで選ばないよう注意しておきましょう。

治療期間の目安

期間についても、治療する範囲によって大きく変わってきます。

動かす歯の本数と移動させる距離が、そのまま必要な時間を決めるためです。

全体矯正では1年から3年程度が目安とされ、歯並びの状態によって幅が生じます。

部分矯正であれば1年前後で終わることが多く、早ければ3か月ほどで終了する場合もあるとされています。

歯が動く速度は1か月に約0.3から0.5ミリが目安とされており、これを無理に早めることはできません。

学校行事や受験、部活動の予定を歯科医師に伝えたうえで、無理のない計画を一緒に立てていきましょう。

保定期間も必要になる

見落とされやすいのが、装置を外したあとに続く期間です。

動かした歯には元の位置へ戻ろうとする性質があり、保定装置を使って位置を安定させる時間が必要になるためです。

保定期間は1年から3年程度が目安とされ、装置が外れた時点で治療が終わるわけではありません。

高校在学中に装置が外れたとしても、大学生になってから保定が続いていくという流れも十分に考えられます。

保定装置の費用が矯正の総額に含まれているかどうかも、見積もりの段階で確認しておきたい項目です。

装置を外すまでの期間と、保定まで含めた総期間の両方を最初に聞いておけば、進学後の計画も立てやすくなります。

学校生活への影響と両立の工夫

高校生の矯正で最も気がかりなのが、日々の学校生活にどんな影響が出るかという点ではないでしょうか。

部活動や昼食、宿泊を伴う行事といった場面で不便が生じるのではないかという心配は、ごく自然なものです。

実際に影響が出る場面はありますが、どこでどんな不便が生じるかを先に知っておけば対策を立てられます。

装置の選び方や日々の過ごし方を工夫することで、負担を小さく抑えられる部分も少なくありません。

具体的な場面ごとに整理しておけば、始めてから戸惑うことも減っていきます。

自分の生活で特に影響が大きそうな場面から、相談時に伝えてみてください。

ここでは学校生活に関わる4つの場面を、順に見ていきます。

部活動との両立

運動部に所属している方にとって、この点は最初に確認しておきたい事項です。

接触の多い競技では、口をぶつけたときに装置が粘膜を傷つける可能性が考えられるためです。

ワイヤー矯正では金属の装置が常に口の中にあるため、衝撃を受けたときの影響が心配されます。

その点マウスピース矯正であれば自分で取り外せるため、競技中だけ外すという対応も取れます。

管楽器を演奏する吹奏楽部では、装置が唇や舌に当たって演奏しにくくなるという別の課題が生じます。

自分がどんな部活動をしているかを具体的に伝えておけば、それを踏まえた装置を提案してもらえます。

給食や昼食のときの対応

毎日必ず訪れる場面として、昼食の時間も押さえておきたいところです。

装置の種類によって、昼休みにやるべきことがまったく変わってくるためです。

ワイヤー矯正では装置を外せないため、そのままの状態で食事をすることになります。

装置の周囲に食べ物が挟まりやすいため、食後に歯をみがく習慣が欠かせなくなります。

一方でマウスピース矯正では、食事のたびに装置を外し、みがいてから装着し直すという手順が必要です。

限られた昼休みのなかでその流れを踏めるかどうかを、始める前に想像しておきたいところです。

修学旅行や学校行事

宿泊を伴う行事も、準備が必要になる場面のひとつです。

普段と違う環境では、装置の管理や日々のケアがどうしても難しくなるためです。

マウスピース矯正では、装置本体とケースを持ち物リストに入れて忘れないようにする必要があります。

洗面所が混み合う場面では、歯みがきの時間を十分に確保できないことも考えられます。

写真を撮る機会が多い行事では、装置の見た目が気になるという方も少なくありません。

行事の日程が分かっていれば、装置を装着し始める時期を調整できる場合もあります。

見た目が気になる場合

同級生の視線を気にしてしまう方も、決して少なくありません。

見た目や自己意識が高まる時期にあたり、装置が見えることへの抵抗を感じやすいためです。

透明なマウスピース型の装置であれば、装着していても気づかれにくい状態を保てます。

歯の裏側に装置を装着する方法を選べば、正面からはほとんど分かりません。

表側の装置であっても、半透明のブラケットや白いワイヤーを選べる場合があります。

ただし装置は症例に合うものが優先されるため、希望として伝えたうえで相談してみてください。

受験との重なりをどう考えるか

高校生が矯正を検討するうえで、避けて通れないのが受験との兼ね合いです。

大学受験を控えた時期に通院や痛みが重なれば、勉強に集中できなくなるのではないかという心配は当然のものといえます。

矯正は年単位で続く治療のため、高校在学中に始めれば受験期と重なる可能性は高くなります。

だからこそ、いつ始めるかという判断が結果を大きく左右することになります。

受験期をどう乗り切るかを事前に相談しておけば、無理のない計画を立ててもらえる可能性があります。

進学によって引っ越す場合の対応も、あわせて確認しておきたい要素です。

ここでは受験との重なりについて、4つの視点から整理していきます。

受験期の通院をどうするか

まず考えたいのが、受験期の通院をどう扱うかという点です。

矯正は定期的な通院を前提とした治療であり、その時間を勉強と両立させる必要があるためです。

ワイヤー矯正では月に1回程度の調整が必要になることが多く、その分の時間を確保しなければなりません。

マウスピース矯正であれば通院間隔が1か月から3か月に1回程度と長めになり、負担を抑えられる場合があります。

受験の直前期には通院の間隔を調整してもらえるかどうか、事前に相談しておきたいところです。

治療の段階によっては、経過を見るだけの通院に切り替えられることもあります。

装置を装着する時期の選び方

始める時期の選び方でも、負担は変わってきます。

装置を装着した直後は違和感や痛みが強く、慣れるまでに一定の時間がかかるためです。

模試や定期試験が続く時期に装着すれば、集中しづらい状態が重なってしまいます。

長期休暇に入るタイミングで装着すれば、慣れるまでの期間を自宅で過ごせます。

高校1年生や2年生のうちに始めれば、受験期には装置に慣れた状態を迎えられます。

いつまでにどの段階まで進めたいかを伝えれば、それを踏まえた計画を立ててもらえます。

大学進学までに終わるか

治療の完了時期についても、確認しておきたいところです。

高校在学中に始めても、卒業までに終わるとは限らないためです。

全体矯正では1年から3年程度かかるとされ、始める時期によっては進学後まで続きます。

装置が外れたとしても、そのあとに保定期間が続いていきます。

大学入学時に装置が外れている状態を目指すのであれば、逆算して始める時期を決める必要があります。

部分矯正で対応できる症例であれば、より短い期間で終わる可能性もあります。

進学で引っ越す場合の対応

進学に伴って住む場所が変わる可能性も、想定しておきたい要素です。

治療の途中で通えなくなれば、計画そのものが止まってしまうためです。

進学先が決まっていない段階でも、引っ越す可能性があることは伝えておいてください。

複数の拠点を持つ医院であれば、転居先の近くへ移れる場合もあります。

転院する場合の資料の引き継ぎや費用の精算がどうなるかも、確認しておきたい項目です。

先の予定が未定であっても、可能性として共有しておけば計画に反映してもらえます。

保護者に相談するときのポイント

高校生が矯正を始めるには、保護者の理解と協力が欠かせません。

費用の負担も契約も、保護者が関わる形になるためです。

言い出しにくいと感じている方もいるかもしれませんが、伝え方を工夫すれば話は進みやすくなります。

なぜ矯正したいのかを整理し、費用や期間の情報を持って相談すれば、真剣さも伝わります。

保護者の側にとっても、判断するための材料があるほうが検討しやすくなります。

ここでは相談の進め方を、4つの視点から整理していきます。

なぜ矯正したいのかを整理する

まず取り組みたいのが、自分の気持ちを言葉にすることです。

歯並びを直したいという漠然とした希望だけでは、必要性が伝わりにくいためです。

写真を撮るときに口元が気になる、思い切り笑えないといった具体的な場面から伝えてみてください。

食べ物が挟まりやすい、噛みにくいといった機能面の困りごとがあれば、それも重要な材料になります。

見た目の悩みだけでなく、口の中の健康に関わる面もあることを伝えられると説得力が増します。

歯並びの乱れは清掃を難しくし、むし歯や歯周病のリスクを高める要因にもなるためです[1]。

費用と期間の情報を集めておく

相談の前に、基本的な情報を調べておくことも有効です。

保護者が最も気にするのは費用と期間であり、そこに答えられる準備があると話が進みやすいためです。

治療法によって費用の水準が変わることを説明できれば、選択肢がある話として伝えられます。

医療費控除や分割払いといった仕組みがあることも、知っておくと安心材料になります。

自分なりに調べたという姿勢そのものが、真剣さを示すことにもつながります。

ただし正確な金額は検査を受けなければ分からないため、目安として伝えるにとどめてください。

一緒にカウンセリングへ行く

話が進んだら、次の段階は相談です。

初回のカウンセリングを無料としている医院も多く、契約せずに話だけ聞けるためです。

保護者と一緒に行けば、説明を同じ場で聞いて共有できます。

疑問点をその場で質問でき、後から認識の食い違いが生まれることも防げます。

費用や期間についても、専門家から直接説明を受けたほうが納得しやすくなります。

複数の医院で相談し、比べたうえで判断するという進め方も現実的です。

未成年は保護者の同意が必要

制度上の前提についても、知っておきたいところです。

2022年4月から成年年齢は18歳に引き下げられ、18歳と19歳の方は保護者の同意がなくても契約を結べるようになりました[3]。

一方で18歳未満は未成年者にあたり、法定代理人である保護者の同意を得ずに結んだ契約は取り消せる場合があります[3]。

高校1年生や2年生の段階では、自分だけで契約を進めることはできないと考えておいてください。

18歳を過ぎていても、費用を保護者が負担する以上は相談が欠かせません。

制度の話としてではなく、一緒に決めることとして進めるのが自然な形になります。

費用を抑えるために知っておきたいこと

提示された金額を見て、家庭の負担を考えると言い出せなくなってしまう方もいるのではないでしょうか。

矯正は年単位で続く治療であり、決して小さな金額ではないためです。

ただし提示された総額をそのまま用意しなければ始められない、というわけでもありません。

治療する範囲を見直す、税制上の仕組みを使う、支払い方を工夫するといった方法があるためです。

知っているかどうかで実際の負担が変わってくる部分でもあるため、押さえておく価値があります。

保護者に相談する際の材料としても、こうした情報は役立ちます。

ここでは負担を軽くする4つの方法を、順に整理していきます。

部分矯正で対応できるか確認する

まず確かめたいのが、治療する範囲です。

動かす範囲を前歯に限れば、全体を動かす場合より費用も期間も抑えられる可能性があるためです。

部分矯正の費用は30万円から60万円程度とされ、全体矯正の半分以下に収まることもあります。

期間も1年前後で終わることが多く、負担の面では複数の利点が重なります。

ただし奥歯の噛み合わせにずれがある場合は、前歯だけを動かしても改善につながりません。

自分が対象になるかどうかは検査によって判断されるため、まず診てもらってください。

医療費控除という仕組み

税制上の仕組みも、活用できる可能性があります。

医療費控除は1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に、確定申告によって所得税の一部が戻る仕組みだからです[4]。

歯列矯正については、受ける人の年齢や矯正の目的からみて必要と認められる場合の費用が対象になると示されています[5]。

そのうえで、発育段階にある子どもの成長を妨げないために行う不正咬合の歯列矯正は、対象となる例として明示されています[5]。

高校生の矯正は、大人の矯正より控除が認められやすい位置づけにあるといえます。

通院にかかった交通費も対象に含められる場合があるため、記録を残しておいてください[4]。

分割払いという選択肢

支払い方を分けるという方法もあります。

まとまった金額を一度に用意できなくても、月々の負担に分ければ始められる場合があるためです。

医療機関が独自に行う分割払いと、信販会社を介するデンタルローンの2種類があります。

月々の支払額が明確になれば、家計の見通しも立てやすくなります。

ただしデンタルローンでは金利や手数料が加わり、総支払額は現金払いより大きくなります。

契約前に総支払額を確認し、無理のない範囲かどうかを保護者と一緒に見極めてください。

複数の医院で比較する

医院の選び方も、費用に直結します。

自由診療では料金の設定が医療機関ごとに異なり、同じ内容でも金額に差が生まれるためです[2]。

初回のカウンセリングを無料としている医院も多く、契約せずに話だけ聞くことができます。

2か所から3か所で相談すれば、提示された治療計画と金額を並べて比べられます。

比べる際は総額だけでなく、検査料や調整料、保定装置の費用まで含まれているかを確認してください。

その場で契約を求められた場合は、持ち帰って検討したいと伝えて構いません。

矯正中に気をつけたい口の中のケア

治療が始まってからは、日々のケアが結果を左右します。

装置が入ることで口の中の環境が変わり、これまでと同じ歯みがきでは行き届かなくなるためです。

高校生は間食の機会も多く、部活動の後に何か食べるという習慣がある方も少なくありません。

清掃が追いつかなければ、矯正の途中でむし歯が見つかって治療を中断することにもなりかねません[1]。

装置が入る前から意識を切り替えておけば、負担を抑えながら続けられます。

ここでは矯正中のケアについて、4つの視点から整理していきます。

装置の周囲は汚れが残りやすい

まず理解しておきたいのが、環境の変化です。

装置が歯の表面にあることで、歯ブラシの毛先が届きにくい部分が新たに生まれるためです。

ブラケットとワイヤーの周囲は、汚れがたまりやすい典型的な場所にあたります。

みがき残しが続けば歯垢がたまり、むし歯や歯周病の原因になっていきます[6]。

マウスピース矯正でも、装置を長時間装着することで唾液が行き渡りにくくなります。

装置が入る前と同じみがき方では不十分だという前提を、まず持っておいてください。

清掃の道具を使い分ける

対応としては、道具を増やすことが有効です。

歯ブラシだけでは装置の周囲や歯と歯のあいだに届かないためです。

毛束の小さいブラシを使えば、装置の周囲を細かく清掃できます。

歯と歯のあいだには、歯間ブラシやデンタルフロスを組み合わせると精度が上がります[6]。

学校でもみがけるよう、携帯用の歯ブラシを持ち歩くという習慣も役立ちます。

どの道具をどう使うかは通院時に指導してもらえるため、一度教わっておいてください。

間食との付き合い方

高校生ならではの課題として、この点も挙げられます。

部活動の後や勉強の合間に何か食べるという習慣がある方が多いためです。

糖分を含むものを口にする回数が増えるほど、むし歯のリスクは高まります[1]。

マウスピース矯正では、間食のたびに装置を外して装着し直す必要があります。

外している時間が積み重なれば、装着時間が不足して治療が遅れることにもなります。

回数を決める、食事の直後にまとめるといった工夫で、負担を抑えられます。

定期的な検診を受ける

自分でのケアだけでは、限界もあります。

日々の清掃で落としきれない汚れは、専門的な処置で取り除く必要があるためです[6]。

矯正の調整で通院するタイミングで、口の中の状態も確認してもらえます。

むし歯が見つかっても、早い段階であれば矯正への影響を小さく抑えられます。

歯茎から出血する、腫れているといった変化があれば、その場で伝えてください。

通院を欠かさないことが、そのまま治療を予定どおり進めることにつながります。

始める前に確認したいこと

情報がそろってきたら、最後は実際に相談へ行く段階です。

限られたカウンセリングの時間で必要なことを聞けるよう、質問を準備しておきたいところです。

高校生の場合は歯並びの状態だけでなく、学校生活との両立という観点からも確認したい項目があります。

治療そのものより、数年間続けられるかどうかが結果を左右する場面が多いためです。

矯正治療は一部の例外を除いて公的医療保険の対象外である自由診療にあたり、方針も料金も医療機関ごとに異なります[2]。

保護者と一緒に説明を聞き、比べたうえで決めるという進め方が現実的な選択になります。

まず確認したいのは、自分の歯並びの何が問題で、どんな治療が必要なのかという点です。

前歯だけの問題なのか奥歯の噛み合わせまで関わるのかによって、範囲も期間も費用も変わってくるためです。

検査の結果をもとに、どの歯をどの方向へ動かす計画なのかを説明してもらってください。

部分矯正で対応できる可能性があるかどうかも、あわせて聞いておきたい項目になります。

次に、期間については装置を外すまでと保定まで含めた総期間の両方を聞いておきましょう。

装置を外すまでの見通しだけを聞いて計画を立てると、進学後まで続く年月に後から戸惑うことになるためです。

大学進学までに終えたいという希望があれば、その時期を伝えて計画に反映してもらってください。

進学に伴って引っ越す可能性がある場合も、その時点で共有しておくと安心です。

学校生活への影響についても、具体的に伝えて相談することが大切です。

部活動の内容、受験の時期、修学旅行といった予定は、装置の選び方や装着の時期に関わってくるためです。

管楽器を演奏している、接触の多い競技をしているといった情報は、必ず伝えておいてください。

これらを踏まえた提案をしてもらえるかどうかも、医院を選ぶ判断材料になります。

費用については、提示された金額に何が含まれているかを確かめてください。

精密検査料、通院ごとの調整料、保定装置の費用が含まれるかどうかで実際の負担が変わってくるためです。

説明を受けても迷う場合は、その場で決めず書面を持ち帰って家庭で検討して構いません。

18歳未満は保護者の同意がなければ契約を結べないため、必ず一緒に判断を進めてください[3]。

契約内容に不安が残る場合は、独立行政法人国民生活センターや自治体の消費生活センターに相談するという方法もあります[7]。

高校生の歯列矯正に関するよくある質問

Q1. 高校生から矯正を始めるのは遅いですか?

遅くはなく、むしろ条件の整った時期といえます。

永久歯が生え揃っていて治療計画を立てやすく、大人と比べて歯が動きやすい時期とされているためです。

自分の状態でどこまで対応できるかは、検査を受けたうえで確認してください。

Q2. 費用はいくらかかりますか?

全体矯正で60万円から130万円程度、部分矯正で30万円から60万円程度という目安が示されています。

自由診療にあたるため、料金は各医療機関が独自に設定しています[2]。

検査料や調整料、保定装置の費用まで含まれるかを確認しておきましょう。

Q3. 部活に影響しますか?

接触の多い競技では、装置が口の中を傷つける可能性が考えられます。

管楽器を演奏する場合は、装置が唇や舌に当たって演奏しにくくなることもあります。

部活動の内容を伝えれば、それを踏まえた装置を提案してもらえます。

Q4. 受験と重なっても大丈夫ですか?

装置に慣れた状態であれば、受験期でも大きな支障は生じにくくなります。

直前期には通院の間隔を調整してもらえる場合もあります。

模試や試験が続く時期を避けて装着日を決めるという工夫も有効です。

Q5. 親にどう相談すればいいですか?

なぜ矯正したいのかを具体的に言葉にしておくと、必要性が伝わりやすくなります。

費用や期間の目安を調べておけば、真剣さも伝わります。

無料カウンセリングに一緒に行き、専門家の説明を共有するという方法もあります。

Q6. 目立たない方法はありますか?

透明なマウスピース型の装置や、歯の裏側に装着する方法という選択肢があります。

表側の装置でも、半透明のブラケットや白いワイヤーを選べる場合があります。

ただし装置は症例に合うものが優先されるため、希望を伝えたうえで相談してください。

まとめ

高校生は永久歯が生え揃っていて治療計画を立てやすく、大人より歯が動きやすい時期とされる条件の整った年代です。

治療法には表側と裏側のワイヤー矯正、マウスピース矯正があり、見た目や通院頻度に違いがあります。

費用は全体矯正で60万円から130万円程度、部分矯正で30万円から60万円程度が目安とされています。

部活動や昼食、修学旅行といった場面で影響が出るため、自分の生活を具体的に伝えて相談することが大切です。

受験と重なる場合は、装着する時期を調整したり通院間隔を相談したりすることで負担を抑えられます。

18歳未満は保護者の同意がなければ契約できないため、一緒にカウンセリングへ行って判断を進めてください[3]。

装置が入ると清掃が難しくなるため、道具を使い分けて丁寧にケアを続けていきましょう[6]。

参考文献

[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「むし歯の特徴・原因・進行」

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-02-002.html

[2] 厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kokokukisei/index.html

[3] 法務省「民法の一部を改正する法律(成年年齢関係)について」

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00218.html

[4] 国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm

[5] 国税庁「No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1128.htm

[6] 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯周病予防」

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-03-003.html

[7] 独立行政法人国民生活センター「医療・美容医療」

https://www.kokusen.go.jp/t_box/t_box-faq/g-1.html

免責事項

※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、医療アドバイスではありません。

※治療の可否や進め方については必ず歯科医師にご相談ください。

※効果の現れ方や治療期間には個人差がございます。

※記載の費用や期間は一般的な目安であり、医療機関や症例により異なります。