子供の矯正費用はいくら?第一期・第二期の相場と安くする方法を解説

「子供の矯正にいくらかかるのか」「第一期・第二期でそれぞれいくらかかるのか」という費用の全体像がわからずに悩んでいる保護者の方はいませんか?
子供の矯正(小児矯正)は、歯の生え変わり時期に行う第一期治療(20〜50万円程度)と永久歯が生え揃ってから行う第二期治療(25〜65万円程度)という2段階の治療体系があり、どちらを受けるか・両方受けるかによって総費用が大きく異なります。
費用の構造を正確に理解することが費用計画の出発点となります。
「費用が心配で矯正を先延ばしにしている」という保護者の方でも、医療費控除の活用・保険が適用されるケースの確認・クリニックの移行割引制度の利用などを組み合わせることで費用負担を軽減できる可能性があります。
この記事では、子供の矯正費用の相場・第一期と第二期それぞれの費用の目安・費用の内訳・いつ始めるのが適切か・医療費控除と保険適用の仕組み・費用を抑えるための方法まで詳しく解説します。
お子さんの矯正を検討している保護者の方はぜひ参考にしてください。
子供の矯正(小児矯正)とは?大人の矯正との違い
子供の矯正(小児矯正)を正確に理解するためには、大人の矯正とどのように異なるのかという根本的な違いを把握することが最初の重要なステップです。
子供の矯正と大人の矯正の最も根本的な違いは、「顎の成長を利用できるかどうか」という点にあります。
子供の矯正の最大の特徴:顎の成長を活用できる
子供の顎の骨はまだ成長・発育の途中にあり、この成長力を矯正治療に活かすことで、大人では難しい顎のサイズ・形・バランスの調整が可能になります[1]。
顎の成長を利用した治療では、永久歯がきれいに並ぶためのスペースを顎の拡大によって確保したり・上下の顎のバランスを整えたりすることが目的となります。
「歯並びをきれいにする」という大人の矯正の目的とは異なり「永久歯が正しく生える土台を作る」という予防的・根本的なアプローチが子供の矯正の本質です[1]。
この顎の成長を利用した治療は、顎の骨の成長が完了した大人では行うことができません。
子供のうちに矯正を始めることで大人になってから不可能になる治療の選択肢を確保できるという大きなメリットがあります。
第一期治療と第二期治療の2段階体系
子供の矯正は、歯の生え変わりの状態に応じて「第一期治療」と「第二期治療」という2段階の治療体系で構成されています。
第一期治療は乳歯と永久歯が混在する混合歯列期(3〜12歳ごろ)に行われ、顎の骨の成長をコントロールして永久歯が正しく生えるための土台作りを行う治療フェーズです[1]。
第二期治療は永久歯が生え揃った後(12〜13歳以降)に行われ、ブラケットとワイヤーまたはマウスピースを使って永久歯を正しい位置に並べて歯並びと噛み合わせを整える治療フェーズです。
内容的には大人の矯正とほぼ同様となります。
「第一期治療だけで治療が完了する場合」と「第一期治療で土台を整えた後に第二期治療が必要になる場合」の両方のケースがあります。
最終的な費用の総額は担当医師のカウンセリングと精密検査で確認することが正確な費用把握の唯一の方法です。
子供の矯正を早期に始めるメリット
子供の矯正を適切な時期に始めることのメリットとして、抜歯リスクの低減・骨格的問題の予防・第二期治療の短縮という3点が代表的です[1]。
ただし、「早ければ早いほどよい」というわけではなく、症例によって最適な治療開始時期が異なります。
「お子さんの歯並びの状態が気になり始めた段階で一度専門医のカウンセリングを受ける」というアプローチが、適切な開始時期と費用計画を把握するための最善の方法です。
第一期治療の費用相場
第一期治療は顎の成長をコントロールして永久歯が正しく生えるための土台作りを行うフェーズであり、使用する装置の種類・治療期間・症例の複雑さによって費用が異なります。
第一期治療の費用相場は全体として20〜50万円程度が一般的とされています。
使用する装置の種類によって費用に大きな差が生じるため、費用を装置ごとに正確に把握しておくことが重要です。
第一期治療で使われる主な装置と費用の目安
第一期治療で使用される主な矯正装置と、それぞれの費用の目安を以下に整理します。
拡大床(かくだいしょう):20〜40万円程度
拡大床は、プラスチックのプレートにワイヤーがついた取り外し可能な矯正装置であり、顎の横幅を少しずつ拡大することで永久歯が並ぶスペースを確保することを目的とした装置です。
費用の目安は20〜40万円程度が一般的とされており、第一期治療で最もよく使われる装置のひとつです。
取り外しが可能なため食事・歯磨きがしやすいというメリットがある一方、お子さんが装着をサボりやすいという自己管理面でのリスクがあります。
保護者がお子さんの装着時間を確認するサポートが治療の効果を最大化する上で重要です。
ムーシールド(機能的矯正装置):10〜30万円程度
ムーシールドは主に受け口(反対咬合)の改善に用いられる取り外し可能な機能的矯正装置であり、就寝中に装着することで舌の位置と口周りの筋肉バランスを整えて上下の顎の成長方向を誘導します。
費用の目安は10〜30万円程度が一般的とされており、3〜5歳程度の早期から適応できる場合があります。
固定式拡大装置(急速拡大装置など):20〜40万円程度
固定式拡大装置は歯に直接固定する取り外し不可の拡大装置であり、取り外し式の拡大床より強い力で顎の横幅を拡大できるという特性があります。
費用の目安は20〜40万円程度が一般的とされており、取り外しができない分装着時間の管理が不要というメリットがあります。
一方、装置の周辺の清掃が難しくなる点に注意が必要です[3]。
セクショナルアーチ(部分ブラケット):10〜30万円程度
セクショナルアーチは第一期治療の段階で前歯など一部の永久歯のみにブラケットとワイヤーを装着して部分的な歯の位置を整える装置であり、費用の目安は10〜30万円程度とされています。
第一期治療の費用の内訳として、装置代以外に精密検査料(10,000〜30,000円程度)・定期観察料(1回あたり3,000〜5,000円程度)・処置料などが別途かかることがあります。
契約前にトータルフィーに何が含まれているかを確認することが費用トラブルを防ぐための重要な準備です。
第一期治療を受けるタイミングと費用への影響
第一期治療をいつ始めるかは、治療効果だけでなく費用総額にも影響するため、適切なタイミングの目安を正確に把握しておくことが重要です。
第一期治療の一般的な開始時期の目安は5〜12歳ごろとされていますが、症例によって最適な開始時期は大きく異なり、「症例に応じた最適なタイミングがある」という点を正確に理解しておくことが費用と治療効果の両方を考える上での重要な前提です[1]。
受け口(反対咬合)は早期対応が特に重要
受け口(反対咬合)は、できるだけ早い時期(3〜5歳ごろ)からムーシールドなどの機能的矯正装置で対応することで、下顎の過成長を抑制して上下の顎バランスを整えやすいとされています[1]。
この時期を逃すと大人になって外科的矯正治療が必要になる可能性が高まるという観点から、早期治療の重要性が特に高い症例です[1]。
受け口を早期に発見して第一期治療で対応した場合、将来的な顎の外科手術(数十〜百万円以上のコスト)を回避できる可能性があります。
この費用面でのメリットも、早期開始を検討する重要な理由のひとつです。
ガタガタ・叢生は混合歯列期中期ごろが目安
前歯のガタガタ(叢生)は、乳歯と永久歯が混在する混合歯列期中期(7〜9歳ごろ)に顎の状態を精密検査で評価した上で、拡大床による顎の拡大が必要かどうかを専門医が判断するタイミングとされています[1]。
この時期に拡大装置を使って顎のスペースを確保することで、抜歯なしで永久歯が並ぶためのスペースを作れる可能性が高まります。
大人になってから抜歯矯正をするケースと比べて抜歯費用(1本あたり数千〜15,000円程度)と治療の侵襲性を低減できるという費用・健康面での双方のメリットがあります。
開始時期が遅れた場合の費用への影響
適切な第一期治療の時期を逃した場合、顎の成長を利用した治療が行えなくなるため、第二期治療で抜歯が必要になるケースが増える傾向があります。
抜歯を伴う矯正では、スペース確保のための抜歯費用・抜歯後のスペースを閉じるための治療期間の延長・治療の複雑化に伴う費用増加が生じることがあります。
「第一期治療の開始時期を迷って先延ばしにした結果、第二期治療の費用が増えた」というケースを防ぐためにも、早めのカウンセリング受診が重要です。
「今すぐ治療を始める必要があるかどうかわからない」という場合でも、まず専門医の無料カウンセリングを受けることで「現在の歯並びの状態」「第一期治療が必要かどうか」「最適な開始時期はいつか」という3点を専門家の目で評価してもらうことができます。
費用計画を立てる上での重要な情報を無料で入手できるため、迷っている段階でもカウンセリングへの参加をおすすめします。
第二期治療の費用相場
第二期治療は永久歯が生え揃った後(12〜13歳以降)に行われる本格的な矯正治療であり、内容的には大人の成人矯正とほぼ同様の治療が行われます。
第二期治療の費用相場は使用する装置の種類・治療範囲・クリニックの設定によって異なりますが、25〜65万円程度が一般的な目安とされています。
第一期治療を受けたクリニックで第二期治療に移行する場合は「移行割引」が適用されるケースがあるため、実際の費用は移行割引後の金額で把握することが正確な費用計画のポイントです。
第二期治療で使われる主な装置と費用の目安
第二期治療で使用される主な矯正装置と、それぞれの費用の目安を以下に整理します。
表側ワイヤー矯正(マルチブラケット):30〜70万円程度
表側ワイヤー矯正は第二期治療で最も一般的に使用される装置であり、歯の表面にブラケットを装着してワイヤーで歯を動かす方法です。
費用の目安は金属ブラケットで30〜50万円程度・セラミックブラケットで40〜70万円程度が一般的とされており、第二期治療の装置の中では比較的費用を抑えやすい選択肢のひとつです。
対応できる症例の幅が広く・軽度から重度の歯並びの問題に対応できるという特性から、第二期治療で最初に検討される標準的な装置として位置づけられています[1]。
「装置が目立つ」という審美面のデメリットがあるため、「中学生・高校生の間は人前で装置を見せたくない」というお子さんのニーズと費用のバランスを考慮した上で装置を選ぶことが保護者として重要な判断ポイントとなります。
マウスピース矯正(インビザライン等):40〜80万円程度
マウスピース矯正は透明なマウスピースを段階的に交換して歯を動かす矯正方法であり、装置が目立ちにくい・取り外しができるという特性から審美面を重視するお子さんに選ばれることが増えています。
費用の目安は40〜80万円程度が一般的とされており、表側ワイヤー矯正と比べてやや高めになるケースが多いとされています。
マウスピース矯正は1日20時間以上の装着時間の自己管理が必要であり、お子さん自身の管理能力と保護者のサポート体制が治療効果に直結するという特性があります。
「お子さんが装着時間を守れるかどうか」を検討の際の重要な判断基準として評価することが必要です。
装着時間が守られない場合は治療が計画通りに進まず・治療期間の延長やリファインメント(追加マウスピース)の費用が発生するリスクがあります。
年齢・お子さんの性格・保護者のサポート状況を総合的に考慮した上でマウスピース矯正を選ぶかどうかを判断することが重要です。
裏側矯正(リンガル矯正):60〜150万円程度
裏側矯正は装置を歯の裏側に装着することで正面からほとんど見えないという審美的な優位性があります。
費用の目安は60〜150万円程度と第二期治療の装置の中で最も高額になりますが、「矯正していることを学校で目立たせたくない」という思春期のお子さんのニーズに応えられる選択肢として検討する価値があります。
第二期治療の費用の内訳として、装置代以外に精密検査料(30,000〜50,000円程度)・通院調整料(1回あたり3,000〜10,000円程度)・保定装置(リテーナー)代(10,000〜30,000円程度)・保定観察料などが別途かかる場合があります。
「装置代のみの提示価格」ではなく「すべての費用を含めた総額」で比較することが正確な費用判断の基本です。
第一期から第二期までの総費用と移行割引
「第一期治療と第二期治療を両方受けた場合、総費用はいくらになるのか」という疑問は、子供の矯正費用を計画する上で最も重要な確認事項のひとつです。
第一期治療と第二期治療の費用を単純に合計した場合、45〜115万円程度が総費用の目安となりますが、クリニックが設けている「移行割引」を活用することで実際の総費用を大幅に抑えられる可能性があります。
移行割引とは
移行割引とは、第一期治療を受けたクリニックで引き続き第二期治療を行う場合に、第一期治療の費用の一部を第二期治療の費用に充当する・または第二期治療の費用を割引するという制度です。
第一期治療から第二期治療への移行を同じクリニックで行うことを前提として、「第一期治療と第二期治療のトータルでいくらになるか」をあらかじめ提示してくれるクリニックも存在します。
移行割引の適用額・条件はクリニックによって大きく異なるため、第一期治療を始める段階で「第二期治療への移行時に割引はあるか」「移行割引の条件はどのようなものか」を確認しておくことが、総費用を正確に把握するための重要な事前確認です。
「移行割引があるクリニック」を最初から選ぶことで、第一期・第二期を通じた総費用を抑えられる可能性があるため、複数のクリニックで移行割引の条件を比較することが費用最適化の観点で有効です。
第一期治療で終了するケースと第二期治療が必要なケース
第一期治療を受けたすべてのお子さんに第二期治療が必要になるわけではありません。
第一期治療で顎のスペースが十分に確保され・永久歯がきれいに生え揃った場合は第二期治療が不要になるケースもあります。
第二期治療が不要になった場合は総費用を大幅に抑えられるため、費用計画を立てる際は「第二期治療が必要になる可能性はどのくらいあるか」を担当医師に確認しておくことが現実的な費用の想定に役立ちます。
一方、第一期治療を行っても永久歯が予定通りの位置に生えなかった場合・噛み合わせの微調整が必要な場合・お子さんや保護者がより整った歯並びを希望する場合などには第二期治療が必要になります。
「第一期治療の費用を支払ったのに結局第二期治療も必要になって総額が予想より高くなった」という後悔を防ぐためにも、治療開始前に「第二期治療が必要になる可能性が高いかどうか」を担当医師に正直に評価してもらうことが誠実なクリニック選びの重要な判断基準のひとつです。
第一期・第二期を一貫治療するトータルフィー制クリニック
第一期治療から第二期治療までを一貫してトータルフィー(総額)で提示するクリニックも存在します。
このようなクリニックでは治療開始前に第一期・第二期を通じた総費用が確定するため、途中での追加費用の発生リスクが少なく費用計画を立てやすいというメリットがあります。
トータルフィー制を採用しているクリニックで治療を受ける場合でも、「トータルフィーに含まれるもの・含まれないものの一覧」を書面で確認することが費用トラブルを防ぐための最善の準備です。
特に精密検査料・定期観察料・保定装置代・装置破損時の修理費用がトータルフィーに含まれているかどうかは必ず確認すべき重要な項目となります。
費用別の治療パターン目安
第一期治療のみで終了する場合の費用目安は20〜50万円程度です。
第一期治療と第二期治療を両方受ける場合(移行割引なし)の費用目安は45〜115万円程度となります。
第一期治療と第二期治療を両方受ける場合(移行割引あり)の費用目安は40〜100万円程度に抑えられる可能性があります。
第二期治療のみ受ける場合(第一期治療を受けなかったケース)の費用目安は30〜80万円程度となります。
「自分のお子さんの場合どのパターンになりそうか」を担当医師と早い段階で相談して費用のレンジを把握しておくことが、家計への影響を事前に管理するための最善のアプローチです。
費用の支払い方法:デンタルローンと院内分割払い
子供の矯正費用は数十万〜百万円単位になることがあり、まとまった費用を一度に準備することが難しい場合はデンタルローンや院内分割払いを活用することで月々の支払い負担を分散できます。
デンタルローンは信販会社が治療費を立て替えて保護者が毎月返済する仕組みであり、金利は3〜5%程度が一般的な相場とされています。
院内分割払いは無金利で対応しているクリニックも存在するため、カウンセリング時に「無金利の分割払いに対応しているか」「最大何回払いまで可能か」を確認することで、デンタルローンより総支払額を抑えながら月々の負担を分散できる可能性があります。
「月々いくらであれば無理なく支払えるか」を家計の収支と照らし合わせた上で、最適な支払い方法を担当医師・クリニックのスタッフと相談して決めることが返済トラブルを防ぐための基本的な準備です。
子供の矯正費用を抑える方法
子供の矯正費用は数十〜百万円単位になることが多いため、利用できる制度や工夫を正確に把握した上で費用負担を適切に軽減することが、お子さんに最適な治療を受けさせるための現実的なアプローチです。
以下では、子供の矯正費用を抑えるための代表的な方法を詳しく解説します。
医療費控除の仕組みと申請方法
子供の矯正費用を実質的に安くするための最も効果的な方法のひとつが、医療費控除の申請です。
子供の矯正費用は多くの場合において医療費控除の対象となりやすく、正しく申請することで数万〜十数万円単位の実質的な費用削減が期待できます[4]。
医療費控除の基本的な仕組み
医療費控除とは、1年間(1月1日〜12月31日)に自分または生計を一にする家族のために支払った医療費の合計が10万円(総所得が200万円未満の場合は総所得の5%)を超えた場合に、超えた部分を所得から差し引くことができる税制優遇措置です[4]。
控除によって課税所得が減ることで納税額が少なくなり、その差額が確定申告後に還付されるという仕組みです[4]。
子供の矯正費用は保護者(生計を一にする家族)が支払うものであるため、保護者の確定申告で医療費控除を申請することができます[4]。
子供の矯正が医療費控除の対象になる条件
国税庁の定めによると、子どもの成長を阻害しないために行う不正咬合の歯列矯正など、年齢や矯正の目的からみて医療上の必要性が認められる場合の費用は医療費控除の対象となります[4]。
子供の矯正は多くの場合において「医療上の必要性が認められる治療」として判断されるケースが多く、大人の審美目的の矯正と比べて医療費控除の対象となりやすいとされています[5]。
ただし、最終的な判断はお住まいの管轄税務署が行うため、申告前に税務署に確認しておくことをおすすめします。
還付金の計算例
医療費控除による還付金の計算式は「医療費控除額 =(支払った医療費 − 保険金等の補填額)− 10万円」となります[4]。
具体例として、年収500万円の保護者が子供の矯正費用50万円を支払った場合、所得税率10%であれば「(50万円 − 10万円)× 10% = 4万円」程度の所得税還付が期待できます[4]。
所得税の還付に加えて翌年の住民税も軽減されるため、所得税と住民税の合計では最大7万円程度の実質的な負担軽減が期待できる計算になります[4]。
申請に必要な準備と手続き
医療費控除を申請するためには、矯正費用の領収書を5年間保管しておくことが必要です[4]。
確定申告時に医療費控除の明細書を作成して提出することで申請が完了します[4]。
デンタルローンやクレジットカードで支払った場合でも医療費控除の対象となるため、支払い方法に関わらず領収書や信販会社の書類を保管しておくことが重要です[4]。
矯正治療の通院交通費(電車・バスなどの公共交通機関)も医療費控除の対象として計上できるため、通院のたびに交通費の記録をつけておくことで控除額を最大化できます[4]。
「矯正治療を始めた初日から領収書と交通費の記録を一か所にまとめて保管する」という習慣を治療開始と同時に始めることが、申告漏れを防ぐための最も確実な対策です[4]。
保険が適用されるケース
子供の矯正は原則として保険適用外の自由診療ですが、特定の条件を満たす場合に健康保険が適用されることがあります。
「保険が使えるケースに当てはまるかもしれない」という方は、保険適用の取り扱いがある矯正歯科(厚生労働大臣が指定した顎口腔機能診断施設)に相談することで正確な判断が得られます[1]。
保険が適用されるケース①|先天性疾患に起因する矯正
厚生労働大臣が定めた先天性疾患(唇顎口蓋裂・ゴールデンハー症候群・鎖骨頭蓋骨異形成など)に起因する噛み合わせや歯並びの異常を改善するための矯正治療は、健康保険の適用対象となるケースがあります[1]。
これらの先天性疾患による矯正治療は一般的な審美目的の矯正とは異なる医療的な意義があるため、保険診療として扱われる場合があります[1]。
治療費の自己負担が2〜3割に抑えられる可能性があるため、「お子さんが先天性疾患の診断を受けており歯並びや噛み合わせに問題がある」という方は、保険適用の取り扱いがある矯正歯科または大学病院の口腔外科・矯正歯科に相談することをおすすめします。
保険が適用されるケース②|永久歯の萌出不全に起因する咬合異常
永久歯のうち前歯や小臼歯で3歯以上の萌出不全に起因した咬合異常の場合も、健康保険が適用されるケースがあります[1]。
このケースも厚生労働大臣が指定した特定の医療機関でのみ治療を受けることが条件となります[1]。
「お子さんの永久歯がなかなか生えてこない」「複数の永久歯の萌出に問題がある」という方は、一般的な矯正歯科だけでなく大学病院の矯正歯科や指定医療機関への相談を検討することで保険適用の可能性を確認できます。
保険適用を確認する方法
保険が適用されるかどうかの確認は、かかりつけの歯科医院に相談した上で、必要に応じて「顎口腔機能診断施設」に指定されている医療機関(大学病院の矯正歯科・一部の矯正歯科専門医院)に紹介状を持参して相談するという流れが一般的です。
「自分のお子さんの症例が保険適用に該当するかどうかわからない」という場合でも、まずかかりつけの歯科医師に相談することで適切な情報と紹介先を教えてもらえるため、遠慮なく相談することをおすすめします[1]。
複数クリニックでの見積もり比較で費用を適正化する
同じ装置・同じ治療内容であっても、クリニックによって費用が大きく異なるケースがあります。
最低でも2〜3か所のクリニックで無料カウンセリングを受けて見積もりを比較することが、費用を適正化するための最も効果的な方法のひとつです。
見積もりを比較する際は「装置代のみの提示価格」ではなく、精密検査料・定期観察料・保定装置代・移行割引の有無を含めた「総額」で比較することが正確な費用判断の基本となります。
「移行割引の条件が充実しているクリニック」「第一期・第二期のトータルフィーを最初から提示してくれるクリニック」を積極的に探すことが、総費用の透明性を確保した上でお子さんに最適な治療を受けさせるための賢明な選択方法となるでしょう。
よくある質問
Q:子供の矯正はいつ始めるのがベストですか?
子供の矯正の最適な開始時期は症例によって異なるため、「何歳から始めるべき」という一律の答えはありません。
ただし、受け口(反対咬合)は3〜5歳ごろから早期に対応することで下顎の過成長を抑制しやすいとされており、できるだけ早い段階での専門医への相談が推奨されます[1]。
ガタガタ(叢生)やすきっ歯など前歯の問題については、乳歯と永久歯が混在する7〜9歳ごろに精密検査を受けて顎の状態を評価してもらうことが適切なタイミングの目安とされています[1]。
「今すぐ治療が必要かどうかわからない」という段階でも、まず専門医の無料カウンセリングを受けることで現在の歯並びの状態と最適な開始時期を専門家に評価してもらえます。
費用計画の準備という観点でも、早めにカウンセリングを受けておくことをおすすめします。
Q:第一期治療を受けると必ず第二期治療も必要になりますか?
第一期治療を受けたすべてのお子さんに第二期治療が必要になるわけではありません。
第一期治療で顎のスペースが十分に確保され・永久歯がきれいに生え揃った場合は第二期治療が不要になるケースもあります。
ただし、第一期治療後に永久歯が予定通りの位置に生えなかった場合・噛み合わせの微調整が必要な場合・保護者やお子さんがより整った歯並びを希望する場合には第二期治療が必要になります。
「第二期治療が必要になる可能性はどのくらいあるか」を治療開始前に担当医師に確認しておくことで、現実的な総費用のレンジを事前に把握することができます。
費用計画を立てる際には「第二期治療も必要になった場合の総費用」を念頭に置いた上で準備しておくことが安心です。
Q:子供の矯正費用はクレジットカードで支払えますか?
クレジットカード払いに対応しているクリニックでは、クレジットカードによる分割払いで矯正費用を支払うことができます。
クレジットカードの分割払いは新たな審査手続きが不要で既存のカードをそのまま活用できるため、デンタルローンより手続きの手間が少ないというメリットがあります。
「○回払いまで無金利」という条件を設けているクリニックも存在するため、カウンセリング時に分割払いの条件・回数・金利の有無を確認することで最も負担の少ない支払い方法を選べる可能性があります。
クレジットカードで支払った場合でも医療費控除の対象となるため、カード明細や領収書を保管しておくことを忘れないようにしてください[4]。
クリニックによってはクレジットカード払いに対応していない場合もあるため、カウンセリング時に事前確認しておくことが重要です。
Q:子供の矯正費用の支払いで兄弟姉妹分をまとめて医療費控除に申請できますか?
生計を一にする家族全員の医療費を合算して医療費控除を申請できるため、複数のお子さんの矯正費用をまとめて申請することが可能です[4]。
たとえば、長子の矯正費用30万円と次子の矯正費用25万円を同一年に支払った場合、合計55万円から10万円を差し引いた45万円が控除対象額となり、所得税率10%の保護者であれば4.5万円程度の所得税還付が期待できます[4]。
家族全員の通院交通費も合算して計上できるため、すべての領収書と交通費の記録を1年間まとめて管理しておくことが控除額を最大化するための最善の方法です[4]。
医療費控除は会社員の年末調整では申請できず、確定申告(毎年2月16日〜3月15日)によってのみ申請できますが、過去5年以内の医療費については遡って申告できる「還付申告」という制度もあるため、過去に申告し忘れた方も申告を検討する価値があります[4]。
まとめ
子供の矯正(小児矯正)は顎の成長を活用した第一期治療(20〜50万円程度)と永久歯が生え揃ってから行う第二期治療(25〜65万円程度)という2段階の治療体系で構成されており、どちらを受けるか・両方受けるかによって総費用が大きく異なるため費用の構造を正確に把握することが最初の重要なステップです[1]。
第一期治療で使われる主な装置は拡大床(20〜40万円程度)・ムーシールド(10〜30万円程度)・固定式拡大装置(20〜40万円程度)などがあり、第二期治療では表側ワイヤー矯正(30〜70万円程度)・マウスピース矯正(40〜80万円程度)・裏側矯正(60〜150万円程度)など使用する装置によって費用が大きく異なります。
第一期治療と第二期治療を両方受ける場合の総費用の目安は45〜115万円程度ですが、同じクリニックで移行する場合に適用される「移行割引」を活用することで実質的な総費用を抑えられる可能性があるため、第一期治療を始める段階で移行割引の条件を確認しておくことが重要です。
子供の矯正費用は多くの場合において医療費控除の対象となりやすく、年収500万円の保護者が50万円の矯正費用を支払った場合・所得税率10%であれば所得税と住民税の合計で最大7万円程度の実質的な費用削減が期待できるため、治療開始初日から領収書と通院交通費の記録を保管する習慣を始めることをおすすめします[4][5]。
先天性疾患に起因する矯正・永久歯の萌出不全に起因する咬合異常などの特定の条件を満たす場合は健康保険が適用されることがあるため、かかりつけの歯科医師または大学病院の矯正歯科に相談して保険適用の可能性を確認することも費用負担を大幅に軽減できる重要な選択肢です[1]。
費用を抑えるためには複数のクリニックで無料カウンセリングを受けて「装置代だけでなく精密検査料・定期観察料・保定装置代・移行割引を含めた総額」で比較することが最も効果的な費用適正化の方法であり、「第二期治療が必要になる可能性と費用のレンジ」を担当医師から早期に確認しておくことが家計への影響を事前に管理するための最善の準備となるでしょう。
参考文献
[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯・口の機能」(最終閲覧日:2026年4月29日)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-01-001.html
[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯周病の予防と治療」(最終閲覧日:2026年4月29日)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-03-006.html
[3] 厚生労働省 e-ヘルスネット「むし歯の特徴・原因・進行」(最終閲覧日:2026年4月29日)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-02-001.html
[4] 国税庁「歯列を矯正するための費用」(最終閲覧日:2026年4月29日)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/05/08.htm
[5] 国税庁「No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例」(最終閲覧日:2026年4月29日)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1128.htm
※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、医療・税務アドバイスではありません。
症状が気になる場合は必ず歯科医師にご相談ください。
※効果・効能の現れ方は個人差がございます。
※医師の判断により治療を受けられない場合があります。