歯列矯正の後戻りはなぜ起こる?原因と防ぎ方・戻ったときの対処法

「矯正した歯が、また元に戻ってしまうのだろうか」「一度後戻りした歯並びは、もう治せないの?」と不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
後戻りとは矯正で動かした歯が元の位置へ戻ろうとする現象で、装置を外したあとにリテーナーで保定する期間を設けることで、その多くを防げます。
すでに後戻りしてしまった場合でも、程度が軽ければ短期間で整え直せるケースがあり、費用も初回より抑えられる可能性があります。
この記事では、後戻りが起こる仕組みと起こりやすい時期から、原因、リテーナーの正しい使い方、後戻りしたときの対処法まで詳しくお伝えしますので、後戻りが気になっている方はぜひ参考にしてください。
歯列矯正の後戻りとは
時間と費用をかけて整えた歯並びが元に戻ると聞けば、不安になるのは当然です。
すでに歯が動いてきたと感じている方は、なぜこうなったのかと戸惑っているかもしれません。
後戻りは特別な失敗ではなく、歯が動く仕組みから見れば自然に起こりうる現象です。
なぜ起こるのか、いつ起こりやすいのかを知っておけば、防ぐことも対処することもできます。
まずは、後戻りという現象そのものから整理していきましょう。
歯が元の位置へ戻ろうとする現象
後戻りとは、矯正で動かした歯が元の位置へ戻ろうとする現象を指します。
歯は一定方向に力が加わると、支えている周囲の骨が作り替えられることで移動していきます[1]。
動かし終えた直後は、この骨や歯ぐきの組織がまだ新しい位置になじんでいません。
なじむまでの間、歯には元の位置へ引き戻そうとする力が働き続けます。
装置を外した翌日から少しずつ動き始めるという性質を持っており、放っておけば時間とともに変化は大きくなります。
歯が戻ろうとするのは体の自然な反応ですから、その力に対処する期間を設けることが治療の一部だと考えてみてください。
装置の種類を問わず起こる
後戻りは、どの矯正方法を選んだ場合でも起こりうる現象です。
歯を動かしたあとに組織が安定するまで時間がかかるという点は、装置によって変わらないためです。
装置の性能の問題ではありません。
表側のワイヤー矯正でも、裏側矯正でも、マウスピース矯正でも、装置を外したあとには同じように保定が必要になります。
装置選びの段階で後戻りのしにくさを比べる意味はあまりなく、治療後の過ごし方のほうが結果を左右します。
どの方法を選んでも保定はセットになると理解しておけば、治療計画も受け止めやすくなります。
後戻りが起こりやすい時期
後戻りは、装置を外した直後の時期にとくに起こりやすくなります。
歯を支える骨や歯ぐきの繊維が、新しい位置に適応する途中の段階だからです。
時間の経過とともに、戻ろうとする力は少しずつ弱まっていきます。
装置を外してからの3〜6か月がもっとも変化しやすい時期にあたり、1年を過ぎると落ち着いてくるのが一般的です。
ただし数年後に親知らずの影響や加齢によって、あらためて動きが生じることもあります。
最初の半年をしっかり乗り切れば負担は軽くなっていきますから、その期間を意識して過ごしてみてください。
どのくらいの確率で起こるのか
後戻りがどの程度の割合で起こるかについては、公的機関が公表した統計は見当たりません。
治療内容も保定の守り方も一人ひとり異なり、比較できる形で数値化しにくいためです。
明確な確率を示すことは難しいのが実情です。
ただし、リテーナーの装着が不十分だった方に起こりやすいという傾向は、多くの医療機関が共通して指摘しています。
装着時間を守っていた方でも、親知らずの影響や加齢による変化が生じることはあります。
確率を気にするより、自分が防げる要因に手を打つほうが確実だと考えてみましょう。
後戻りが起こる主な原因
後戻りが起きたとき、自分の何が悪かったのかと考えてしまう方も多いはずです。
ただ、原因は一つとは限らず、複数の要因が重なって起こることも珍しくありません。
心当たりのある原因が分かれば、次に何を変えればよいかも見えてきます。
すでに動いてしまった歯を戻すうえでも、原因の特定は欠かせない手順になります。
ここでは、代表的な5つの原因を整理します。
リテーナーの装着が足りていない
後戻りの原因として最も多いのが、リテーナーの装着不足です。
歯を動かしたばかりの時期は元へ戻ろうとする力が強く働き、それを抑える役割をリテーナーが担っているためです。
装着する時間が足りなければ、抑えきれなかった分だけ歯が動きます。
矯正が終わった安心感から装着がおろそかになり、数か月後に前歯の重なりに気づいたというケースは実際によくみられます。
数日サボっただけでリテーナーがきつく感じられるようになった、という経験を持つ方もいます。
続けられなかったこと自体を悔やむより、いまから装着を再開できるかを歯科医師に相談してみるほうが前に進めます。
舌の癖や口呼吸が続いている
日常的な舌の動きや呼吸の仕方も、歯の位置に影響します。
歯は内側から舌に、外側から唇や頬に押される力を受けており、その均衡の上に並んでいるためです。
均衡が崩れれば、歯は押される方向へ動いていきます。
飲み込むときに舌で前歯を押す癖があると、上の前歯が前方へ押し出される力が加わり続けます。
口呼吸が習慣になっていると唇が閉じにくくなり、外側から歯を押さえる力が弱まります。
こうした癖は自分では気づきにくいものですから、通院時に指摘してもらえるか尋ねてみるとよいでしょう。
頬杖やうつ伏せ寝などの習慣
頭の重みが顔の一部にかかる姿勢も、歯並びに影響を与えます。
頭は数キロの重さがあり、その力が長時間あごに伝わり続けるためです。
毎日繰り返されることで、少しずつずれが生じます。
デスクワーク中にいつも同じ側で頬杖をつく、就寝時にうつ伏せで顔を枕に押しつけるといった習慣が該当します。
左右どちらか一方に偏った力がかかると、かみ合わせのずれにつながることもあります。
完全にやめるのが難しくても、気づいたときに姿勢を変えるだけで積み重なる力は減らせます。
歯ぎしりや食いしばり
就寝中の歯ぎしりや、日中の食いしばりも後戻りの要因になります。
強い力が特定の歯に繰り返しかかることで、歯が押される方向へ動くためです。
自覚のないまま続いているケースが多いのも特徴です。
朝起きたときにあごがだるい、歯がすり減ってきたと指摘されたといった変化が、気づくきっかけになります。
集中しているときに無意識で噛みしめている方も少なくありません。
診断の内容によっては就寝時に装着する装置で対応できる場合もありますから、心当たりがあれば伝えてみてください。
親知らずや加齢による変化
矯正とは別の要因で、歯並びが変わっていくこともあります。
親知らずが生えてくる過程で、前方の歯を押す力が加わる場合があるためです。
加齢によって歯並びが少しずつ変化していくことも知られています。
20代で矯正を終えた方が、親知らずの萌出をきっかけに下の前歯の重なりに気づくというケースがあります。
年齢を重ねるにつれて、前歯が少しずつ内側へ寄っていく傾向もみられます。
矯正の失敗ではなく別の要因による変化ですから、原因を確かめたうえで対応を考えていきましょう。
治療内容によって変わる後戻りのしやすさ
後戻りのしやすさは、受けた治療の内容によっても変わります。
歯を並べた条件がそのまま残り、戻ろうとする力の強さを左右するためです。
自分の治療がどうだったかを振り返れば、リスクの高さも見当がつきます。
該当する場合は、保定をより丁寧に行う必要があります。
ここでは、4つの条件を整理します。
部分矯正は要因が残りやすい
前歯だけを動かす部分矯正では、後戻りの要因が残りやすくなります。
部分矯正が対象とするのは前歯の並びであり、奥歯のかみ合わせは治療の範囲に含まれないためです。
土台となる奥歯の位置関係は変わりません。
もともと奥歯のかみ合わせにずれがあった場合、そのずれが前歯を元の位置へ押し戻す力として働き続けます。
歯並びが崩れた原因そのものが残っている状態、と言い換えることもできます。
部分矯正を受けた方は、保定をより丁寧に行う前提で計画を立てておくと安心につながります。
抜歯をせずに並べた場合
スペースが足りない状態で歯を並べた場合も、戻ろうとする力が強く残ります。
限られた幅に歯を収めるため、歯列を外側へ広げる形で余地を作ることになるためです。
歯が押し合った状態が続きます。
外側へ広げられた歯は内側へ戻ろうとし、前歯が再び重なってくる可能性があります。
抜歯を避けたい気持ちから非抜歯を選んだ場合、この点は理解しておきたいところです。
どのような条件で並べたのかを担当の歯科医師に確かめておけば、必要な保定の強さも見えてきます。
歯周病が進んでいる場合
口の中の状態そのものが、後戻りを進めることもあります。
歯周病が進行すると歯を支える骨が減り、歯が動きやすい状態になるためです[2]。
支えが弱まれば、わずかな力でも位置が変わっていきます。
歯ぐきからの出血や腫れが続いている状態では、整えた歯並びを保ちにくくなります。
矯正の前に歯周病の治療を終えていても、その後の管理が不十分であれば再び進行します。
保定期間中も歯みがきと定期的な検診を続けることが、歯並びを守ることにつながります。
治療期間が短かった場合
短期間で終えた治療ほど、後戻りに注意が必要になる場合があります。
歯を速く動かした場合、周囲の組織が新しい位置になじむ時間も短くなるためです。
安定するまでの猶予が少なくなります。
数か月で終える部分矯正では、達成感から保定への意識が緩みやすいという面もあります。
短く終わったからといって保定期間まで短くなるわけではありません。
治療が早く終わった方こそ、その後の保定を丁寧に続けてみてください。
後戻りを防ぐリテーナーの使い方
後戻りを防ぐ手段として、最も確実なのがリテーナーの装着です。
矯正装置を外したあとの数年間を、どう過ごすかで結果が変わってきます。
正しい使い方を知っておけば、無理なく続けられます。
種類や装着時間、合わなくなったときの対応まで押さえておくと安心です。
ここでは、リテーナーに関する4つのポイントを整理します。
リテーナーの種類と特徴
リテーナーには、取り外しできるタイプと歯に固定するタイプがあります。
保定する部位や生活スタイルによって、適した形が変わってくるためです。
どちらを使うかは歯科医師が状態を見て判断します。
取り外しできるタイプには、透明なマウスピース型のものと、金属のワイヤーと樹脂を組み合わせたものがあります。
固定するタイプは歯の裏側に細いワイヤーを接着して支える形になり、外し忘れが起こらない点が利点になります。
自分で管理するのが難しいと感じる方は、固定式が向いているかを尋ねてみるとよいでしょう。
装着時間と保定期間の目安
取り外し式のリテーナーは、装置を外した直後ほど長時間の装着が求められます。
戻ろうとする力が最も強く働く時期に、しっかり抑えておく必要があるためです。
時間の経過とともに、装着時間は段階的に短くなります。
装置を外した直後の3〜6か月は1日20時間程度、その後は就寝時のみへと移り、さらに安定すれば2〜3日に1回という形で間隔があいていきます。
保定期間そのものは、歯を動かした期間と同程度、おおむね1〜3年が目安になります。
短縮の判断は歯科医師が状態を見て行いますから、自己判断で減らさないようにしてください。
リテーナーが合わなくなったときの対応
リテーナーがきつく感じられるときは、後戻りが始まっているサインの可能性があります。
歯が動いた分だけ、装置の形と歯の位置がずれてくるためです。
無理に押し込むと装置が壊れたり、歯に過度な負担がかかったりします。
数日装着しなかったあとにきつさを感じる、はめるときに強く押さないと入らないといった変化が目安になります。
装置が割れた、変形したという場合も、そのまま使い続けるのは避けてください。
次の通院を待たずに連絡してよい内容ですから、気づいた時点で相談してみましょう。
保定期間中も通院を続ける
保定期間に入っても、定期的な通院は続きます。
歯並びが安定しているかを確認し、装着時間を短くする時期を判断するためです。
自分では気づけないわずかな変化も、診察で把握できます。
保定を始めた直後は3か月に1回程度、その後は半年に1回、1年に1回と間隔があいていくのが一般的な流れです。
リテーナーの状態を見てもらい、作り直しが必要かどうかも確認できます。
通院の回数が減っても管理が不要になるわけではありませんから、次の予約を取ってから帰る習慣をつけておくと安心です。
後戻りしてしまったときの対処法
すでに歯が動いてしまった場合、どうすればいいのか途方に暮れてしまうかもしれません。
また一から矯正をやり直すのかと、費用や期間を思って気が重くなる方もいるでしょう。
後戻りへの対処は、程度によって選べる方法が変わります。
早い段階であれば、負担の少ない方法で整え直せる可能性があります。
ここでは、対処の手順と選択肢を整理します。
まず治療を受けた医療機関に相談する
後戻りに気づいたら、最初に相談すべきは治療を担当した医療機関です。
治療前の歯並びのデータと計画が残っており、どこがどれだけ動いたかを比較できるためです。
経緯を把握している歯科医師のほうが、原因も特定しやすくなります。
過去に治療した医療機関であれば、再矯正の費用を割り引く制度を設けている場合もあります。
リテーナーの作り直しだけで対応できると判断されることもあります。
言い出しにくいと感じるかもしれませんが、後戻りは珍しいことではありませんから、遠慮なく連絡してみてください。
程度が軽ければ短期間で整え直せる
動いた距離が小さい段階であれば、短い期間で整え直せる可能性があります。
移動させる距離が短く、必要な工程も少なくて済むためです。
前歯だけを対象とした計画で対応できるケースが多くなります。
下の前歯が1mm程度重なってきた、上の前歯にわずかなすき間が開いたといった状態であれば、この範囲に入ります。
透明な装置を用いれば、日常生活への影響も小さく抑えられます。
早く気づいて相談するほど選べる方法は増えますから、迷っている時間のほうがもったいないといえるでしょう。
再矯正にかかる費用と期間の目安
再矯正の費用と期間は、後戻りの程度によって変わります。
動かす距離が短ければ工程も少なく、負担は初回より軽くなるためです。
逆に大きく戻っている場合は、初回と同程度になることもあります。
前歯の軽度な後戻りであれば、費用はおよそ10万〜30万円、歯を動かす期間は3〜6か月程度が目安になります。
矯正を受けた医療機関で再治療の割引が適用されれば、さらに抑えられる可能性があります。
金額の見当がつくと相談へのハードルも下がりますから、まずは見積もりを出してもらうところから始めてみてください。
そのまま放置するとどうなるか
後戻りを放置すると、時間とともに変化が進んでいきます。
歯が動く力は戻り始めた時点で働き続けており、自然に元の位置へ復するわけではないためです。
放っておくほど、動く距離は大きくなります。
前歯の重なりが強くなると歯ブラシが届きにくくなり、汚れが溜まりやすい状態が生まれます。
再矯正が必要になった際も、動かす距離が長いほど費用と期間はかさみます。
いま気づいた時点が最も負担の小さいタイミングですから、様子を見るより一度相談してみるほうが結果的に楽になります。
再矯正で同じことを繰り返さないために
もう一度整えるのであれば、次は後戻りさせたくないと考えるのが自然です。
同じ手順を繰り返すだけでは、同じ結果になる可能性が残ります。
再矯正を始める前に確かめておきたいことが、いくつかあります。
原因への対処と保定の計画が、初回との違いを生む部分になります。
ここでは、押さえておきたい3つの視点をお伝えします。
後戻りの原因を特定してから始める
再矯正に入る前に、なぜ後戻りしたのかを明らかにしておいてください。
原因が残ったまま歯を動かしても、同じ力が働き続けるためです。
リテーナーの装着不足が理由だったのか、舌の癖や親知らずが関係していたのかで、対策は変わります。
親知らずが影響している場合は、抜歯を検討したうえで矯正に入る計画が立てられます。
奥歯のかみ合わせにずれが残っていたのであれば、範囲を広げた治療が提案されることもあります。
原因を突き止める工程は遠回りに見えますが、そこを飛ばさないことが二度目を最後にする近道になります。
保定の計画を事前に確認する
再矯正では、保定をどう行うかを最初に決めておくことが重要になります。
初回と同じ計画では、同じ結果を繰り返す可能性があるためです。
保定の方法や期間を、あらかじめ具体的に共有しておく必要があります。
取り外し式で管理しきれなかった場合は、歯の裏側に接着する固定式のリテーナーを提案されることもあります。
保定期間そのものを長めに設定する計画が組まれる場合もあります。
治療を始める前に保定の話まで済ませておけば、装置を外したあとに迷わずに済みます。
生活習慣の見直しを並行する
癖や習慣が原因だった場合は、その改善を治療と並行して進めます。
装置の力と癖の力がぶつかっていては、整えても再び戻ってしまうためです。
原因そのものを取り除く必要があります。
舌で前歯を押す癖であれば、舌の位置を意識するトレーニングを案内している医療機関もあります。
頬杖やうつ伏せ寝は、気づいたときに姿勢を変えるだけでも積み重なる力を減らせます。
歯を動かす治療と生活の見直しはセットだと考えて、両方に取り組んでみてください。
治療を始める前に確認しておきたいこと
これから矯正を始める方であれば、後戻りへの備えを契約前に確かめておけます。
リテーナー代や保証の有無は医療機関ごとに違い、後々の負担に直結するためです。
治療が終わったあとの話まで含めて確認しておけば、想定外の出費を避けられます。
聞きにくいと感じる内容かもしれませんが、どれも正当な質問です。
ここでは、確かめておきたい4つの項目を整理します。
リテーナー代が総額に含まれるか
見積もりの金額に、リテーナーの製作費が含まれているかを確かめてください。
装置代とは別に設定されている場合があり、含まれていなければ数万円が上乗せされるためです。
比較する際の前提がそろわない原因にもなります。
リテーナーの製作費は1万〜6万円程度が目安で、上下ともに作ればその分だけ負担も大きくなります。
紛失や破損で作り直す場合の費用も、あわせて聞いておくと安心です。
治療は装置を外した日で終わりではありませんから、保定まで含めた金額で比較する視点を持っておきましょう。
後戻りしたときの保証制度があるか
後戻りが生じた場合の対応を、あらかじめ確かめておくと備えになります。
一定期間内であれば装置を作り直してもらえる制度を設けている医療機関があるためです。
条件や期間は医療機関ごとに異なります。
治療後の一定期間は無償で対応する、リテーナーの通院を続けていることを条件とするといった設定がみられます。
保証の範囲外となる条件についても、あわせて確認しておく必要があります。
保証の範囲や期間は書面で確認しておくと、いざというときに慌てずに済みます。
保定期間の長さと通院頻度
保定期間がどのくらい続くかも、事前に聞いておきたい項目です。
数年にわたって通院が続くため、生活の予定にも関わってくるためです。
見通しがあれば、途中で足が遠のきにくくなります。
保定期間は歯を動かした期間と同程度が目安とされ、通院は3か月に1回程度から始まって徐々に間隔があいていきます。
保定期間中の通院費が別途かかる設定になっている場合もあります。
いつまで通うことになるのかを先に知っておけば、最後まで続けやすくなります。
転院した場合の扱い
長期の治療では、転居や転職によって通えなくなる可能性があります。
矯正は保定まで含めれば数年にわたるため、生活の変化が起こる余地は十分にあるためです。
その際の扱いは、契約時の取り決めによって決まります。
治療を中断した場合の返金規定、転院先へデータを引き継げるか、保定期間中の転居にどう対応するかといった項目を確かめておくとよいでしょう。
歯科医院を含む医療サービスの契約に関するトラブルは、消費生活相談の対象として実際に取り扱われています[3]。
先のことまで想定して確認しておけば、途中で困る場面を減らせます。
歯列矯正の後戻りに関するよくある質問
Q:矯正した歯が後戻りする確率はどのくらいですか?
A:公的機関が公表した統計は見当たらず、明確な確率をお示しすることはできません。
治療内容も保定の守り方も一人ひとり異なり、比較できる形で数値化しにくいためです。
確率を気にするより、リテーナーの装着という自分で防げる要因に手を打つほうが確実だといえます。
Q:後戻りは何年後に起こりますか?
A:装置を外してからの3〜6か月がもっとも変化しやすい時期にあたります。
1年を過ぎると落ち着いてくるのが一般的ですが、数年後に親知らずの影響や加齢によって動きが生じることもあります。
最初の半年を乗り切れば負担は軽くなっていきますので、その期間を意識して過ごしてみてください。
Q:リテーナーはいつまでつければいいですか?
A:歯を動かした期間と同程度、おおむね1〜3年が目安とされています。
装置を外した直後の3〜6か月は1日20時間程度、その後は就寝時のみへと段階的に短くしていく流れが一般的です。
短縮する時期は歯科医師が状態を見て判断しますので、自己判断でやめないようにしてください。
Q:後戻りした歯は治せますか?
A:動いた距離が小さい段階であれば、10万〜30万円程度、3〜6か月ほどで整え直せる可能性があります。
治療を受けた医療機関であれば経緯を把握しており、再治療の割引が適用される場合もあります。
放置するほど動く距離は大きくなりますので、気づいた時点で相談してみてください。
まとめ
後戻りとは矯正で動かした歯が元の位置へ戻ろうとする現象で、装置の種類を問わず誰にでも起こりうるものです。
装置を外してからの3〜6か月がもっとも変化しやすい時期にあたり、1年を過ぎると落ち着いてくるのが一般的です。
原因の多くはリテーナーの装着不足ですが、舌の癖や口呼吸、頬杖、歯ぎしり、親知らずや加齢が関係している場合もあります。
部分矯正を受けた方や抜歯をせずに並べた方は、後戻りの要因が残りやすいため保定をより丁寧に行う必要があります。
リテーナーは装置を外した直後の3〜6か月を1日20時間程度装着し、歯並びの安定を確認しながら段階的に短くしていきます。
すでに後戻りしている場合でも、程度が軽ければ10万〜30万円程度、3〜6か月ほどで整え直せる可能性があります。
いま気づいた時点が最も負担の小さいタイミングですから、まずは治療を受けた医療機関に相談してみましょう。
参考文献
[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「不正咬合の治療法の概要」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-06-002.html
[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯周病とは」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth/h-03-001.html
[3] 独立行政法人国民生活センター「医療・美容医療(消費者トラブル解説集)」
https://www.kokusen.go.jp/t_box/t_box-faq/g-1.html
免責事項
※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、医療アドバイスではありません。
※治療の適否や方法については必ず歯科医師にご相談ください。
※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。
※歯科医師の判断により治療をお受けいただけない場合があります。