歯列矯正で顔は変わる?起こり得る変化と老けて見える理由

歯列矯正で顔つきが変わると聞いて、期待と不安が入り混じっていませんか?
矯正によって起こる顔の変化は骨格そのものが変わるのではなく、口元の位置が変わったことで周囲の見え方が変わるという性質のものです。
口元の突出が改善されて横顔のバランスが整う一方、口元が下がりすぎれば頬がこけて見えることもあり、変化の方向は治療計画によって変わってきます。
この記事では顔が変わる仕組み、期待できる変化と注意したい変化、老けて見える理由と対策まで整理しますので、見た目への影響が気になっている方はぜひ参考にしてください。
歯列矯正で顔が変わるのはなぜ?
矯正を調べていると、顔が変わったという体験談を目にすることがあります。
横顔がきれいになったという声もあれば、老けて見えるようになったという声もあり、どちらを信じればいいのか分からなくなってしまいますよね。
まず理解しておきたいのは、矯正で変わるのは歯とその周囲であって、顔の骨格そのものではないという点です。
歯の位置が変われば、それを覆っている唇や口元の形も変化し、結果として顔の印象が変わって見えるという仕組みだからです。
つまり良い変化も気になる変化も、同じ理屈から生まれているということになります。
仕組みを理解しておけば、体験談の内容も自分の状況に当てはめて考えられるようになります。
ここでは顔が変わる理由を、4つの視点から整理していきます。
骨格が変わるわけではない
最初に押さえておきたいのが、この前提です。
一般的な矯正治療は歯を動かす治療であり、顎の骨そのものの位置や大きさを変えるものではないためです。
エラの張りや顎の骨格の形は、歯を動かしただけでは基本的に変わりません。
骨格そのものを変えるには、顎の骨を切る外科的な処置を伴う治療が必要になります。
体験談で顔が変わったと語られているものの多くは、口元の位置が変わったことによる見え方の変化にあたります。
骨格から変えたいと考えている場合は、期待する内容が矯正の範囲に収まるかを確認しておきたいところです。
口元の位置が変わることで見え方が変わる
では何が変化を生むのかというと、口元の位置です。
前歯の位置や傾きが変われば、それを覆う唇の位置も一緒に動くためです。
前歯が前方に出ていた状態から後ろへ下がれば、唇も内側へ収まっていきます。
横から見たときの口元の突出感が和らげば、鼻と顎を結んだラインとの関係も変わってきます。
前歯が動く距離はミリ単位ですが、顔の印象は数ミリの違いで変わって見えることがあります。
顔全体が変わったように感じられても、実際に動いているのは歯とその周囲だけということになります。
皮膚と筋肉は歯や骨に沿って形を変える
もう一つ知っておきたいのが、軟組織の性質です。
皮膚は筋肉を覆う組織であり、筋肉やその下にある歯の位置に合わせて形を変えるという特徴があるためです。
歯並びの乱れによって唇が押し上げられていた場合、その部分の皮膚は伸びた状態で保たれています。
矯正によって歯が後ろへ下がれば、伸びていた皮膚が余る状態になります。
余った皮膚がどう収まるかによって、印象が良くも悪くも変わってくるということです。
この性質が、後の章で扱うほうれい線の話にもつながっていきます。
変化の程度には個人差がある
最後に、結果が一様ではないという点も押さえておきましょう。
もともとの骨格、口元の突出の程度、動かす距離、年齢や皮膚の状態によって、現れる変化が変わってくるためです。
前歯が大きく前に出ていた方ほど、後ろへ下がったときの変化も大きくなります。
一方でもともと口元が突出していなかった場合、目に見える変化はほとんど生じないこともあります。
同じ治療を受けても、感じ方や周囲からの見え方は人によって違ってきます。
体験談を自分に当てはめる前に、自分の状態がどうなのかを確認しておきたいところです。
期待できる顔の変化
矯正によって前向きな変化を期待している方も多いのではないでしょうか。
口元が気になって写真で口を隠してしまう、横顔に自信が持てないという悩みを抱えている方もいます。
歯並びと噛み合わせが整うことで、見た目の印象が変わる可能性は確かにあります。
ただしどんな変化が現れるかは、もともとの状態と治療の内容によって決まってきます。
必ずこうなると保証できるものではないという前提で、可能性として読んでみてください。
ここでは期待できる5つの変化を、順に整理していきます。
横顔のEラインが整う
横顔の印象について語られる際、よく登場するのがこの指標です。
鼻の先端と顎の先端を結んだ直線に対して、唇がどの位置にあるかで横顔のバランスを見るという考え方があるためです。
前歯が前方に出ていると唇もそのラインより前に出て、口元が突出した印象になります。
矯正によって前歯が後ろへ下がれば、唇の位置も相対的に内側へ収まっていきます。
結果として、横から見たときの口元の印象が変わる可能性があります。
ただし鼻や顎の形は変わらないため、変化の程度はもともとの骨格に左右されます。
口元の突出感が和らぐ
正面から見た印象にも、変化が現れることがあります。
前歯が前方に傾いていると口元全体が押し出され、盛り上がったような見え方になるためです。
口を閉じたときに口元に力が入る、あるいは緊張したような表情になるという方もいます。
前歯の位置が整えば、そうした押し出された感じが和らいでいきます。
上下の前歯が突出している状態では、変化がより分かりやすく現れる可能性があります。
自分の口元がどのタイプに当てはまるかは、検査を受けたうえで確認してみてください。
口が閉じやすくなる
機能面の変化が、見た目にも影響することがあります。
前歯が突出していると唇を閉じにくくなり、無意識に力を入れて閉じている状態が続くためです。
口元に力を入れ続けていると、顎の下に梅干しのようなしわが現れることがあります。
前歯の位置が整って自然に唇が閉じられるようになれば、その緊張も和らいでいきます。
口が閉じやすくなることで口呼吸が改善され、口の中の乾燥を防げるという面もあります。
見た目と機能の両方に関わる変化として、意識しておきたいところです。
顔の左右のバランスが整う場合がある
噛み合わせの改善が、左右差に働きかけることもあります。
長年の噛み癖や歯並びの乱れによって、顔の非対称が生じている場合があるためです。
片側でばかり噛む習慣があると、使う筋肉に左右で差が生まれていきます。
矯正によって両側で均等に噛めるようになれば、筋肉の使い方も変わってきます。
その結果、より均整のとれた印象へ変化する可能性があります。
ただし骨格そのものの左右差については、歯を動かすだけでは変えられません。
表情の印象が変わる
心理的な面からの変化も、指摘されることがあります。
歯並びを気にして口を開けて笑うことを避けていた方が、自然に笑えるようになるという変化があるためです。
写真を撮るときに口元を隠す、人と話すときに手で口を覆うといった動作がなくなることもあります。
表情が変われば、周囲から受ける印象も変わってくる可能性があります。
顔の造作そのものではなく、振る舞いによる変化という側面です。
見た目の悩みが日常に影響していた方にとっては、大きな意味を持つ変化といえます。
注意しておきたい顔の変化
矯正で顔が良くなるという情報ばかりを見ていると、期待だけが膨らんでしまいます。
一方で、治療前より老けて見えるようになったという声を目にして不安になった方もいるのではないでしょうか。
こうした変化は実際に起こり得るもので、その多くには説明のつく理由があります。
歯の位置が変われば、それを覆う唇や頬の見え方も変わるという同じ仕組みから生じているためです。
起こり得る変化を先に知っておけば、治療前の相談で確認すべき点も見えてきます。
不安を抱えたまま進めるより、可能性を理解したうえで判断するほうが納得できます。
ここでは注意しておきたい5つの変化を、順に整理していきます。
頬がこけて見えることがある
気になる変化として、まず挙げられるのがこれです。
抜歯を伴う矯正で口元が大きく後ろに下がった場合、相対的に頬の脂肪や皮膚が内側へ引き込まれることがあるためです。
口元を支えていた土台が後退すれば、その周囲のボリュームも失われたように見えます。
顔全体が痩せた印象になり、健康的な見た目が損なわれたと感じる方もいます。
もともと頬に脂肪が少ない方や、面長の骨格を持つ方では変化が現れやすい可能性があります。
どの程度口元を下げる計画なのかを、治療前に確認しておきたいところです。
ほうれい線が目立つ場合がある
皮膚の状態に関わる変化も、指摘されています。
歯並びや噛み合わせの崩れによって唇が盛り上がっていた場合、その部分の皮膚は伸びた状態で保たれているためです。
矯正によって歯が後ろへ下がれば、伸びていた皮膚が余る形になります。
余った皮膚が垂れることで、ほうれい線が目立って見えるという現象が起こり得ます。
皮膚は筋肉を覆う組織であり、筋肉の位置に合わせて形を変えるという性質があります。
口の周りの筋肉を意識して使うことで、印象を和らげられる可能性もあります。
老けた印象になることがある
複数の要素が重なって、年齢を感じさせる見た目になることもあります。
頬のボリュームが減り、ほうれい線が目立つという変化が同時に起これば、顔全体の印象が変わってしまうためです。
治療中に硬いものが食べにくくなり、噛む筋肉が一時的に衰えることも関係している可能性があります。
顔のボリューム感が失われれば、結果として老けて見えるという受け止め方につながります。
矯正には数年かかるため、その間の年齢による変化も重なってくる点も無視できません。
複合的な要因が絡むため、単純に矯正だけが原因とは限らないという見方も必要です。
面長に見えるようになる場合がある
顔の縦横の比率が、変わって見えることもあります。
口元が後退して横幅の印象が減れば、相対的に縦の長さが強調されるためです。
もともと面長の骨格を持つ方では、この傾向が現れやすい可能性があります。
奥歯を大きく動かす計画では、噛み合わせの高さが変わって影響が出ることも考えられます。
顔の長さそのものが変わるわけではなく、あくまで見え方の変化にあたります。
自分の骨格でどう見えるかは、シミュレーションで確認できる場合もあります。
期待した変化が現れないこともある
反対に、変化がほとんど感じられないというケースもあります。
もともと口元が突出していなかった場合、前歯を動かしても唇の位置がほとんど変わらないためです。
歯並びの乱れが軽度であれば、動かす距離も短く見た目の変化は限られます。
小顔になることを期待していた方が、顔の大きさは変わらなかったと感じることもあります。
骨格に起因する部分は歯を動かしても変えられないという前提があります。
治療前にどこまでの変化が見込めるのかを、具体的に説明してもらっておきたいところです。
なぜ老けて見えることがあるのか
老けて見えるという変化は、なぜ起こるのでしょうか。
原因が分からないままだと、治療そのものへの不安が消えませんよね。
この現象には複数の要因が関わっており、単一の理由で説明できるものではありません。
口元の位置の変化、筋肉の使い方の変化、皮膚の状態、そして時間の経過が重なって生じるためです。
それぞれの要因を分けて理解しておけば、防げる部分と防ぎにくい部分も見えてきます。
ここでは4つの要因を、順に整理していきます。
口元が下がりすぎた場合
最も大きな要因として挙げられるのが、この点です。
抜歯を伴う矯正では前歯を後ろへ大きく動かせるため、下げる量によっては口元が後退しすぎることがあるためです。
口元が引っ込むこと自体は横顔のバランスを整える方向に働きます。
しかし下がりすぎれば、口元を支えていたボリュームが失われた状態になります。
相対的に頬の脂肪や皮膚が内側へ引き込まれ、こけたような見え方につながります。
どこまで下げるのが自分にとって適切なのかを、治療計画の段階で共有しておきたいところです。
咀嚼筋が一時的に衰える
治療中の生活も、見た目に影響します。
装置を装着している期間は硬いものが食べにくくなり、噛む力を使う機会が減るためです。
噛むために使う筋肉は咀嚼筋と呼ばれ、使わなければ他の筋肉と同じように衰えていきます。
顔の輪郭を支えている筋肉が細くなれば、顔全体が痩せたように見えることがあります。
矯正中は痛みもあってやわらかいものを選びがちになり、この傾向が強まる可能性もあります。
痛みが落ち着いた時期には意識して噛むようにするという工夫が、対策のひとつになります。
伸びていた皮膚が垂れる
皮膚そのものの状態も、関わってきます。
前歯が前方に出ていた状態では、それを覆う皮膚が引き伸ばされているためです。
歯が後ろへ動けば、その分の皮膚が余る計算になります。
若い方であれば皮膚の弾力によって収まっていくことが期待できます。
一方で年齢を重ねるほど、余った皮膚が元の張りに戻りにくくなる可能性があります。
口の周りの筋肉を意識して使うことで、引き締めていくという考え方もあります。
治療期間中の年齢変化も重なる
見落とされやすいのが、時間の経過という要素です。
矯正には1年から3年程度かかることが多く、その間に自然な老化も進んでいくためです。
30代で始めた治療が終わる頃には、数年分の年齢を重ねていることになります。
肌の張りや皮下脂肪の量は、年齢とともに少しずつ変化していきます。
治療前後の写真を比べたときに、その変化も一緒に目に入ることになります。
矯正だけが原因ではない部分も含まれているという視点を持っておくと、冷静に受け止められます。
顔の変化を左右する要素
同じ矯正治療でも、顔の印象が大きく変わる方とほとんど変わらない方がいます。
体験談を読んでも自分に当てはまるのか判断できないのは、この個人差があるためです。
変化の方向と程度を決めているのは、もともとの状態と治療の内容という2つの軸です。
骨格や口元の状態は人によって違い、動かす距離や方向も症例によって変わってきます。
自分の条件を知っておけば、どの程度の変化が見込めるのかも見当がつけられます。
ここでは変化を左右する4つの要素を、順に整理していきます。
もともとの骨格と口元の状態
出発点になるのが、治療前の状態です。
前歯がどれだけ前に出ているかによって、動かせる距離も変化の幅も変わってくるためです。
口元が大きく突出している方ほど、後ろへ下げたときの変化は大きくなります。
一方でもともと突出していなかった場合、動かす距離も短く見た目の変化は限られます。
顎の骨格の形や鼻の高さも、横顔の印象に関わってくる要素です。
自分の骨格でどこまで変わるのかは、検査を受けたうえで説明してもらってください。
動かす距離と方向
治療の内容そのものも、変化を左右します。
前歯を後ろへ動かす距離が長いほど、それを覆う唇の位置も大きく動くためです。
前歯を後ろへ引く動きが中心なら、口元は内側へ収まっていきます。
歯列全体を横に広げる方向の治療であれば、また違った変化が現れる可能性があります。
奥歯の高さを変える計画では、噛み合わせの縦の関係にも影響が及びます。
どの歯をどの方向へどれだけ動かす計画なのかを、確認しておきたいところです。
年齢と皮膚の状態
軟組織の性質も、結果に関わってきます。
歯が動いたあとに余る皮膚がどう収まるかは、皮膚の弾力によって変わってくるためです。
若い方であれば、皮膚の張りによって新しい位置に馴染んでいくことが期待できます。
年齢を重ねるほど、余った皮膚が元の状態に戻りにくくなる可能性があります。
皮下脂肪の量によっても、頬のこけ方の見え方は変わってきます。
年齢が高いから治療できないということではなく、変化の現れ方が違うという話です。
治療期間中の生活習慣
日々の過ごし方も、無視できない要素です。
装置を装着している期間の食生活が、噛む筋肉の状態に影響するためです。
やわらかいものばかり選んでいれば、咀嚼筋を使う機会が減っていきます。
痛みが強い時期は仕方ありませんが、落ち着いてからは意識して噛むことが対策になります。
口の周りの筋肉を使う習慣も、口元の印象に関わってくる部分です。
治療中の生活を意識するだけでも、結果は変わってくる可能性があります。
抜歯と非抜歯で変化はどう違うか
顔の変化を心配する方が最も気にするのが、抜歯の有無ではないでしょうか。
抜歯をすると老けるという情報を目にして、不安を抱えている方も少なくありません。
抜歯を伴う矯正では前歯を大きく後ろへ動かせるため、口元の変化も大きくなります。
その変化が良い方向に働くか、気になる方向に働くかは、もともとの状態と下げる量によって決まります。
抜歯そのものが問題なのではなく、その結果としてどこまで口元が動くかが論点になります。
ここでは抜歯と非抜歯の違いを、4つの視点から整理していきます。
抜歯を伴う場合に起こりやすい変化
歯を抜いてスペースを作る治療では、変化が大きく現れやすくなります。
抜いた分の隙間を使って前歯を後方へ移動させるため、口元の位置が大きく変わるためです。
前歯が突出していた方であれば、口元が引っ込んで横顔のバランスが整う可能性があります。
一方で下げすぎれば、頬のボリュームが失われて見えることも起こり得ます。
もともと口元が突出していなかった場合、下がりすぎのリスクは高まります。
抜歯が必要かどうかの判断が、顔の印象を大きく左右することになります。
非抜歯の場合に起こりやすい変化
歯を抜かずに進める治療では、変化の幅は小さくなります。
前歯を大きく後ろへ動かすスペースがないため、口元の位置もそれほど変わらないためです。
歯を並べるスペースは、歯列を横に広げる、歯の側面をわずかに削るといった方法で確保されます。
歯並びは整っても、口元の突出感はあまり変わらないという結果になることもあります。
期待していた横顔の変化が得られなかったと感じる方もいます。
抜歯を避けたい気持ちと、望む変化が両立するかを確認しておきたいところです。
抜歯の判断は見た目だけで決まらない
判断の基準についても、押さえておきたい点があります。
抜歯の必要性は、歯が並ぶスペースが足りているかという機能面から判断されるためです。
見た目のためだけに抜歯をする、あるいは避けるという判断は適切とはいえません。
スペースが不足しているのに抜歯を避ければ、歯が前方へ押し出されて口元が出てしまう可能性もあります。
反対に必要のない抜歯を行えば、口元が下がりすぎるリスクが生まれます。
なぜ抜歯が必要なのか、あるいは不要なのかという根拠を説明してもらってください。
抜いた歯は元に戻せない
最後に、判断の重みについても触れておきます。
一度抜いた歯を元に戻すことはできず、後から方針を変えられないためです。
抜歯を提案された場合は、抜かない場合の見通しもあわせて聞いておきたいところです。
医院によって判断が分かれる場面もあるため、複数で相談するという方法もあります。
その場で即決せず、持ち帰って検討して構いません。
納得できるまで確認したうえで進めることが、後悔を避ける最大の対策になります。
望まない変化を防ぐためにできること
起こり得る変化を知ると、防ぐ方法があるのか気になりますよね。
すべてをコントロールできるわけではありませんが、事前の確認と治療中の心がけで減らせる部分は確かにあります。
重要なのは、治療が始まる前の段階です。
どこまで口元を動かす計画なのかは治療計画の段階で決まっており、始まってから大きく変えるのは難しいためです。
見た目についての希望を伝えておけば、それを踏まえた計画を立ててもらえる可能性があります。
治療中にできる工夫もあるため、両方を組み合わせて考えてみてください。
ここでは実践できる5つのことを、順に整理していきます。
治療前に見た目の希望を伝える
まず取り組みたいのが、目標の共有です。
歯並びを整えるという目的は共通していても、見た目についてどこまで求めるかは人によって違うためです。
口元を引っ込めたいのか、今の口元は保ったまま歯並びだけ整えたいのかを伝えてみてください。
横顔の印象を変えたい、あるいは今のままがよいという希望も、計画に反映される可能性があります。
見た目の話は言い出しにくいと感じるかもしれませんが、遠慮する必要はありません。
希望を共有しておかなければ、機能面だけを優先した計画になることもあります。
抜歯の必要性と影響を確認する
顔の変化を左右する要素として、最も大きいのがこの判断です。
抜歯を伴うかどうかで、前歯を動かせる距離が大きく変わってくるためです。
なぜ抜歯が必要なのか、抜かない場合はどうなるのかを両方説明してもらってください。
抜歯した場合に口元がどのくらい下がる見込みなのかも、確認しておきたい項目です。
医院によって判断が分かれる場合もあるため、複数で相談するという方法もあります。
抜いた歯は元に戻せないため、納得できるまで確認する価値があります。
シミュレーションで見通しを確認する
治療後の状態を、事前に確認できる場合があります。
口の中を読み取った情報をもとに、歯の動きを画面上で確認できる仕組みを取り入れている医院があるためです。
歯の並びがどう変わるかを、治療前に視覚的に把握できます。
横顔の変化まで予測できる分析を行っている場合もあります。
ただしシミュレーションはあくまで計画上の予測であり、そのとおりになると保証されたものではありません。
参考として見たうえで、疑問があればその場で質問してみてください。
治療中も噛むことを意識する
生活のなかでできる工夫もあります。
装置を装着している期間に噛む機会が減れば、噛む筋肉が衰えて顔が痩せて見える可能性があるためです。
痛みが強い時期は無理をせず、やわらかいものを選んで構いません。
痛みが落ち着いてきたら、意識して噛みごたえのあるものを取り入れてみてください。
左右どちらか一方に偏らず、両側で噛むことも意識しておきたいところです。
口の周りの筋肉を意識して使う習慣も、口元の印象を保つことにつながります。
気になる変化は早めに相談する
治療が始まってからの対応も、重要になります。
変化に気づいたときに伝えておけば、計画の調整で対応できる可能性があるためです。
口元が想像以上に下がっている、頬がこけてきたと感じたら、遠慮せず伝えてみてください。
治療の途中であれば、動かす量を調整できる余地が残されている場合もあります。
我慢して最後まで進めてから伝えても、修正には別の治療が必要になってしまいます。
通院のたびに現在の状態を確認してもらえば、変化にも早く気づけます。
エラや小顔への影響についての考え方
矯正で小顔になる、エラが小さくなるという情報を目にしたことがある方もいるのではないでしょうか。
顔の輪郭が変わることを期待して治療を検討している場合、この点は確認しておきたいところです。
先にお伝えすると、一般的な矯正治療で顔の骨格そのものが変わることはありません。
エラの張りは下顎の骨の形によって決まっており、歯を動かしても骨の形は変化しないためです。
顔の幅や長さといった骨格に起因する部分は、矯正の範囲を超えていると考えておいてください。
ただし、間接的に印象が変わる可能性はあります。
エラの張りには、骨の形だけでなく噛む筋肉の発達が関わっている場合があるためです。
強い食いしばりや歯ぎしりの習慣があると、噛む筋肉が発達してエラが張って見えることがあります。
噛み合わせが整うことで過度な食いしばりが減れば、筋肉の使い方が変わる可能性は考えられます。
ただしこれは骨格が変わったのではなく、筋肉の状態が変わったことによる見え方の変化です。
必ず起こるものではなく、期待して治療を選ぶような性質のものではありません。
小顔になるという表現についても、慎重に受け止めておきたいところです。
口元が引っ込むことで横から見た印象が変わり、顔が小さくなったと感じられることはあります。
一方で顔の実際の大きさが変わるわけではなく、あくまで見え方の話にとどまります。
治療前より痩せた印象になる場合、それは頬のボリュームが失われた結果である可能性もあります。
小顔になったという受け止め方と、頬がこけたという受け止め方は、同じ変化を別の言葉で表しているだけかもしれません。
矯正は歯並びと噛み合わせを整える治療であり、美容目的の施術とは目的が異なります。
医療機関の広告については国が指針を定めており、効果を保証するような表現は適切ではないとされています[1]。
顔の輪郭を変えることを主な目的にしている場合は、その希望が矯正で叶うものかどうかを相談の段階で確認してみてください。
期待と実際の効果にずれがあれば、治療後の満足度にも影響してしまいます。
何を目的とするのかを整理しておくことが、納得のいく選択につながります。
顔の変化が気になる場合の相談の進め方
顔の印象について相談するのは、なんとなく言い出しにくいと感じる方もいるのではないでしょうか。
歯並びの治療なのに見た目の話をするのは場違いではないか、と遠慮してしまう気持ちも理解できます。
しかし矯正は口元の位置を変える治療であり、顔の印象に関わることは治療の一部といえます。
希望を伝えなければ、機能面だけを優先した計画が立てられ、想定と違う結果になる可能性もあります。
相談の進め方を知っておけば、必要なことを漏れなく伝えられます。
矯正治療は一部の例外を除いて公的医療保険の対象外である自由診療にあたり、方針も医療機関ごとに異なります[1]。
まず伝えたいのは、自分が今の顔のどこを気にしているのかという点です。
口元の突出が気になるのか、横顔のラインが気になるのか、具体的に言葉にしてみてください。
写真を撮ったときの印象が嫌だ、人と話すときに気になるといった場面から伝えるという方法もあります。
現状のどこをどう変えたいのかが伝われば、それを踏まえた計画を検討してもらえます。
次に、どこまでの変化を望むのかという希望も共有しておきましょう。
口元を引っ込めたいのか、今の口元は保ったまま歯並びだけ整えたいのかで、計画の内容は変わってくるためです。
頬がこけることを心配しているのであれば、その不安も率直に伝えて構いません。
不安を伝えておけば、下げすぎない計画を検討してもらえる可能性があります。
そのうえで、自分の場合はどこまで変わる見込みなのかを説明してもらってください。
もともとの骨格や口元の状態によって、実現できる変化の幅は決まってくるためです。
期待している変化が矯正の範囲を超えている場合、その点も早い段階で分かります。
シミュレーションを見せてもらえる場合は、参考として確認しておくと理解が深まります。
説明を受けても納得できない場合は、他の医療機関の意見を聞くという選択もあります。
矯正は治療方針の立て方に幅があり、抜歯の判断や口元の下げ方について見解が分かれる場面もあるためです。
複数で相談すれば、共通している判断と分かれている判断が見えてきます。
その場で契約を求められた場合は、持ち帰って検討したいと伝えて構いません。
契約内容に不安が残る場合は、独立行政法人国民生活センターや自治体の消費生活センターに相談するという方法もあります[2]。
歯列矯正の顔の変化に関するよくある質問
Q1. 歯列矯正で顔は変わりますか?
骨格そのものが変わるわけではありませんが、口元の位置が変わることで印象が変化する可能性があります。
前歯が大きく前に出ていた方ほど、変化を感じやすい傾向があります。
もともと口元が突出していなかった場合、目に見える変化は限られます。
Q2. なぜ老けて見えることがあるのですか?
口元が下がりすぎて頬のボリュームが失われること、治療中に噛む筋肉が衰えることなどが関わっているとされています。
伸びていた皮膚が余ることで、ほうれい線が目立つ場合もあります。
治療期間中の年齢による変化も重なるため、原因は複合的です。
Q3. Eラインは整いますか?
前歯が後ろへ下がれば唇の位置も内側へ収まり、横顔の印象が変わる可能性があります。
ただし鼻や顎の形は変わらないため、変化の程度はもともとの骨格に左右されます。
自分の場合どこまで変わるかは、検査を受けたうえで確認してください。
Q4. 抜歯すると必ず老けますか?
抜歯そのものが原因ではなく、口元をどこまで下げるかによって結果が変わります。
もともと口元が突出していた方であれば、下げることで整う可能性もあります。
抜歯の必要性と、下がる見込みの量を治療前に確認しておきましょう。
Q5. エラは小さくなりますか?
エラの張りは下顎の骨の形によって決まるため、歯を動かしても骨の形は変わりません。
食いしばりが減って噛む筋肉の使い方が変われば、印象が変わる可能性はあります。
ただし期待して治療を選ぶような性質のものではありません。
Q6. 望まない変化を防ぐことはできますか?
治療前に見た目の希望を伝え、抜歯の必要性と下がる量を確認しておくことが基本になります。
治療中は痛みが落ち着いてから意識して噛むという工夫も役立ちます。
気になる変化に気づいたら、通院時に早めに伝えてみてください。
まとめ
矯正で変わるのは顔の骨格そのものではなく、口元の位置が変わることによる見え方の変化です。
前歯が後ろへ下がれば横顔のバランスが整い、口が閉じやすくなるといった変化が期待できる場合があります。
一方で口元が下がりすぎると、頬がこけて見えたりほうれい線が目立ったりする可能性もあります。
老けて見える背景には、口元の後退、噛む筋肉の衰え、皮膚の余り、治療期間中の年齢変化が複合的に関わっています。
変化の方向と程度は、もともとの骨格、動かす距離、年齢や皮膚の状態によって人それぞれ異なります。
望まない変化を防ぐには、治療前に見た目の希望を伝え、抜歯の必要性と下がる量を確認しておくことが有効です。
期待している変化が矯正で叶うものかどうかを含めて、まず検査を受けて相談してみましょう。
参考文献
[1] 厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kokokukisei/index.html
[2] 独立行政法人国民生活センター「医療・美容医療」
https://www.kokusen.go.jp/t_box/t_box-faq/g-1.html
[3] 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯周病とは」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-03-001.html
免責事項
※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、医療アドバイスではありません。
※治療の内容や見た目への影響については必ず歯科医師にご相談ください。
※変化の現れ方には個人差がございます。
※記載の内容は一般的な傾向であり、すべての方に当てはまるものではありません。