矯正中の口内炎はなぜできる?ワックスの使い方と対処法

矯正を始めてから口内炎が繰り返しできて、つらい思いをしていませんか?
矯正中の口内炎は装置が頬の内側や唇の裏に擦れることで起こり、装置を装着した直後や調整の直後に特にできやすくなります。
痛みをすぐ和らげたい場合は矯正用ワックスで装置を覆う方法がありますが、同じ場所に繰り返すのであれば装置の調整で改善できる可能性があります。
この記事では口内炎ができる原因、ワックスの具体的な使い方、市販薬の扱い、繰り返さないための対策まで整理しますので、今まさに痛みを抱えている方はぜひ参考にしてください。
矯正中に口内炎ができるのはなぜ?
装置を入れてから口の中が痛くて、食事も会話もつらいという状態が続いていませんか。
歯が動く痛みは数日で慣れたのに、口内炎のほうが長引いてつらかったという声も聞かれます。
矯正中の口内炎は、装置が口の中の粘膜に触れ続けることによって起こります。
装置は治療期間中ずっと口の中にあるため、同じ場所が繰り返し擦れる状況が生まれるためです。
つまり原因がはっきりしている口内炎であり、対処の方向も定まりやすいという特徴があります。
なぜできるのかを理解しておけば、どこに手を打てばよいかも見えてきます。
ここでは口内炎ができる5つの要因を、順に整理していきます。
装置が粘膜に擦れて傷ができる
最も多い原因が、この物理的な刺激です。
矯正装置は口の中に常にあるため、頬の内側や唇、舌といった粘膜に触れる機会が避けられないためです。
ブラケットやワイヤーの尖った部分が粘膜に擦れることで、小さな傷ができやすくなります。
会話や食事のたびに同じ場所が擦れれば、傷が治りきらないまま悪化していくこともあります。
口内炎は主に唇の内側や頬の内側など、装置が直接当たる箇所にできやすい傾向があります。
原因が装置にあるという点は、対処を考えるうえで重要な手がかりになります。
装置装着直後と調整直後にできやすい
できる時期には、はっきりとした偏りがあります。
治療を開始した直後は、口の中が装置という異物にまったく慣れていない状態にあるためです。
初めて装置をつけた時期は、唇や頬、舌が装置で擦れたり話しにくかったりといった変化が同時に起こります。
ワイヤーを調整した直後の数日間も、装置の当たり方が変わるため口内炎ができやすい時期にあたります。
装置に慣れてくると粘膜が強くなり、口内炎はできにくくなっていくとされています。
最初の時期がいちばん大変だと知っておくと、そこを越えるまでの支えになります。
飛び出したワイヤーが刺さることもある
装置の状態そのものが、原因になることもあります。
歯並びが整ってくると、奥歯に装着した金具の後ろからワイヤーが飛び出てくることがあるためです。
歯が動いて並びが変われば、ワイヤーの長さが相対的に余ってくるという構造です。
飛び出した先端が頬の内側に刺されば、鋭い痛みと傷が生じます。
ブラケットが外れて先端が突出した場合も、同じことが起こり得ます。
この場合は装置側の問題のため、調整してもらえばすぐに解決できる可能性があります。
清掃が行き届きにくくなる
口の中の環境も、口内炎のできやすさに関わってきます。
装置があることでブラケットやワイヤーの周囲に汚れが残りやすくなるためです。
汚れが残った状態が続けば、粘膜の状態にも影響が及ぶ可能性があります。
歯を支える組織に炎症が起これば、口の中全体の状態が悪化していきます[1]。
傷ができた部分が清潔に保たれていなければ、治りが遅くなることも考えられます。
清掃の難しさが増す時期だからこそ、丁寧なケアが求められます。
体調やストレスが重なることもある
装置とは関係のない要因が、重なっている場合もあります。
一般に口内炎と呼ばれるものの多くはアフタ性口内炎にあたり、疲労やストレス、栄養の偏りなどが関わると考えられているためです[2]。
ビタミンB群をはじめとする栄養素の不足が、粘膜の状態に影響するという指摘もあります[3]。
矯正治療そのものが負担となり、睡眠不足や食欲の低下につながることもあります。
装置が当たっていない場所にできている場合は、体調面の要因も考えられます。
装置だけを疑わず、生活の状況もあわせて振り返ってみてください。
装置による口内炎の起こり方の違い
どの装置を選ぶかによって、口内炎のできやすさは変わってきます。
すでに治療中の方であれば、自分の装置の特性を知っておくと対処もしやすくなります。
違いを生んでいるのは、装置の素材と形状、そして粘膜に触れる位置です。
金属の凹凸が常に触れているのか、滑らかな樹脂が覆っているのかで、刺激の性質が変わってきます。
自分が使っている装置の特徴を踏まえて、対策を考えてみてください。
ここでは3つの装置について、口内炎の起こり方を見ていきます。
ワイヤー矯正の場合
歯の表面に装置を接着する方法は、口内炎が起こりやすいとされています。
ブラケットという金属や樹脂の突起が歯の表面に出ており、その凹凸が頬の内側に常に触れているためです。
ワイヤーやブラケットのフックといった細かい部分が、粘膜を刺激することもあります。
装置を自分で取り外せないため、傷ができた場所を休ませることが難しいという事情もあります。
歯並びが整ってくるとワイヤーが飛び出し、新たな刺激が生まれることもあります。
矯正用ワックスを渡されることが多いのも、この装置の特性によるものです。
マウスピース矯正の場合
透明な装置を使う方法では、起こり方が異なります。
装置は薄い樹脂で作られ表面の凹凸も少ないため、粘膜への刺激は比較的小さくなるためです。
一方で装置の縁が歯茎のきわに沿って全周に接するという、この装置ならではの構造があります。
縁が当たり続ければ、その部分の粘膜が擦れて傷になることがあります。
歯の表面に付けるアタッチメントという突起も、着脱のたびに粘膜へ引っかかる要因になります。
自分で取り外せるため、傷ができた部分を一時的に休ませられる点は利点といえます。
裏側矯正の場合
歯の裏側に装置を装着する方法にも、固有の特徴があります。
装置が舌に面する位置にあるため、頬ではなく舌が刺激を受けやすくなるためです。
舌は動きの多い部位のため、装置に触れる頻度も高くなります。
装着した直後は発音しにくさを感じる方が多く、舌の違和感も強く出やすい時期です。
慣れてくると気にならなくなっていきますが、最初の期間は負担が大きくなることがあります。
舌に傷ができた場合も、装置側の調整で改善できる可能性があります。
矯正用ワックスの使い方
装置が当たって痛いときに使ってくださいと渡されたものの、使い方を忘れてしまったという方も少なくありません。
いつ使えばいいのか、どうやってつけるのかが分からず、そのまま引き出しに眠っているというケースもあります。
矯正用ワックスは、装置と粘膜のあいだにクッションを作って刺激を和らげるための保護材です。
正しく使えば、次の通院日まで痛みを抑えながら過ごすことができます。
つけ方には手順があり、そこを外すとうまく密着せずすぐ取れてしまいます。
ここでは使い方を6つの段階に分けて、順に見ていきます。
ワックスとはどんなものか
まず、この材料の性質を知っておきましょう。
ブラケットやワイヤーといった装置から、口の中の粘膜を保護するために用いるものだからです。
白っぽい半透明の色をしており、やわらかい粘土のような素材でできています。
必要な分だけちぎって、自分で装置に貼り付けて使います。
装置が当たっているときや、口内炎の痛みを和らげたいときに使用します。
ブラケットが外れてしまった場合の応急処置として用いることも可能とされています。
使う前に口の中を清潔にする
貼る前の準備が、効果を左右します。
歯の表面が汚れているとワックスがうまく張り付かず、すぐに取れてしまうためです。
まず手を洗い、歯みがきをして口の中を清潔にしてから使うことが勧められています。
汚れが残ったまま貼れば、その汚れを閉じ込めることにもなってしまいます。
傷ができている部分に触れるものだからこそ、清潔さは重要な要素です。
急いでいるときでも、この段階は省略しないようにしてください。
水分を拭き取ってから貼る
密着させるための、もう一つの準備があります。
ワックスをつける部分が唾液などで湿っていると、うまく密着しにくくなるためです。
装置や歯に水分が残っている状態では、貼ってもすぐに剥がれてしまいます。
ティッシュなどで水分をしっかり拭き取り、乾燥させることがポイントになります。
口を開けたまま少し待って、自然に乾かすという方法もあります。
この一手間で、ワックスの持ちが大きく変わってきます。
米粒大にちぎって形を整える
使う量にも、目安があります。
つけすぎると違和感が強くなり、かえって過ごしにくくなってしまうためです。
ワックスを米粒大にちぎって、指で丸く形を整えます。
指の熱で少し温めると、やわらかくなって扱いやすくなります。
大きすぎると口の中で気になり、小さすぎると装置を覆いきれません。
適量を守ることが、快適に使うための条件になります。
装置を包み込むように押し付ける
貼り方にも、コツがあります。
装置の凹凸にしっかり入り込ませることで、外れにくくなるためです。
痛みを感じている装置の部分に、ワックスをゆっくりと押し付けるようにして貼り付けます。
ブラケットの凹凸をカバーするようにしっかり押しつけてください。
両端のワイヤーまで包み込むようにつけると、より外れにくくなります。
表面が滑らかになれば、粘膜への刺激も和らいでいきます。
就寝時と食事のときの扱い
使うタイミングについても、押さえておきたい点があります。
寝るときであっても、矯正用ワックスをつけたままで問題ないとされているためです。
装置が当たる痛みで眠れない場合は、ワックスを使ってから就寝するとよいでしょう。
一方で食事の際は、ワックスを取り除いてから食べるようにしてください。
食事中はワックスが取れやすく、誤って飲み込んでしまう危険性があります。
食後は改めて口の中を清潔にしてから、新しいワックスを貼り直しましょう。
ワックス以外の対処法
ワックスだけでは十分でないと感じる場面も出てきます。
つけてもすぐに取れてしまう、口内炎そのものの痛みが引かないという状況もあるためです。
対処の方向は、患部を刺激しないこと、口の中を清潔に保つこと、必要に応じて薬を使うことの3つに分かれます。
いずれも治るまでの期間を過ごしやすくするための工夫にあたります。
組み合わせて取り入れれば、痛みを抱える期間を短くできる可能性があります。
ここでは4つの対処法を、順に見ていきます。
患部を刺激しない
まず心がけたいのが、余計な刺激を与えないという基本です。
炎症を起こしている粘膜に繰り返し刺激が加わると、痛みが強まるだけでなく治りも遅くなってしまうためです。
歯みがきの際は患部を避けてブラシを当て、周囲は普段どおり丁寧にみがくという使い分けが役立ちます。
気になって舌で触ってしまう方も多いのですが、その接触自体が治りを妨げる要因になります。
食事のときは口内炎のある側を避けて噛むという工夫も有効です。
意識して触らないようにするだけでも、治るまでの日数は変わってきます。
食事の内容を一時的に見直す
食べるものを変えることも、過ごしやすさにつながります。
刺激の強い食べ物は口内炎にしみて痛みを増し、炎症を悪化させる要因になり得るためです。
辛いもの、酸味の強いもの、熱いもの、塩気の強いものは、治るまで控えておくと負担が減ります。
スープ、ヨーグルト、豆腐、煮込んだ野菜など、やわらかく刺激の少ないものを選ぶと食べやすくなります。
痛みで食事が十分にとれない状態が続くと、栄養不足がさらに治りを遅らせることも考えられます[3]。
食べられるものを工夫して確保しておくことが、結果として早い回復につながります。
市販薬を使うときの注意点
痛みが強い場合は、口内炎用の薬を検討するという選択肢もあります。
患部を保護する軟膏やパッチを使うことで、刺激から守りながら痛みを和らげられるためです。
歯科医院では塗り薬やパッチが処方されることが多く、状態によっては飲み薬が処方されることもあります。
軟膏を塗るときは指ではなく清潔な綿棒を使うと、患部への負担を抑えられます。
装置がある状態ではパッチが貼りにくい場合もあるため、使いやすい形を選んでみてください。
矯正中の使用について不安がある場合や、使っても改善が見られない場合は歯科医師や薬剤師に相談してください。
口の中を清潔に保つ
治りを支えるうえで、清掃は欠かせない要素です。
装置の周囲は汚れが残りやすく、傷がある状態ではその影響も大きくなるためです。
歯ブラシに加えて、装置の周囲に届く小さなブラシを使うと清掃の精度が上がります。
歯を支える組織に炎症が起これば、口の中全体の状態が悪化していきます[1]。
刺激の強い洗口剤は傷にしみるため、口内炎がある期間は低刺激のものへ切り替えておくと過ごしやすくなります。
清潔さを保つことは、口内炎の治りだけでなく予防にもつながります。
装置の調整という根本的な解決
ワックスを使えば痛みは和らぎますが、それで問題が解決したわけではありません。
同じ場所に何度も口内炎ができるという状態が続いているなら、別の対応が必要になります。
装置が原因で口内炎ができている場合、装置そのものを調整すれば繰り返さなくなる可能性があるためです。
ワックスは次の通院日までをしのぐための手段であり、原因を取り除くものではありません。
我慢を続けるより、早めに相談したほうが解決は近づきます。
ここでは装置の調整について、4つの視点から整理していきます。
ワックスは応急処置にすぎない
まず理解しておきたいのが、ワックスの位置づけです。
装置と粘膜のあいだにクッションを作るものであり、当たっている状態そのものを変えるわけではないためです。
矯正治療は長い期間がかかり、次の診療日まで日にちが空くことも少なくありません。
すぐに歯科医院へ行けない場合に、自分で応急処置をするための手段として用意されています。
ワックスは口の中で少しずつ取れていくため、こまめに付け直す必要もあります。
一時的な対処と割り切って使い、根本的な対応は別に考えていきましょう。
調整すれば繰り返さなくなることがある
装置側の対応には、明確な効果が期待できます。
ワイヤーやマウスピースなどを調整すれば、口内炎ができにくい状態に改善できることがあるためです。
飛び出したワイヤーであれば、切って短くすることで刺激そのものがなくなります。
ブラケットのフックが当たっている場合も、その部分への対応で解決できる可能性があります。
マウスピースの縁が当たっている場合は、形を整えてもらうという方法があります。
同じ場所に何度も口内炎ができていた方が、調整を受けた後は再発しなくなったというケースもあります。
通院日を待たずに連絡してよい場合
いつ連絡すべきかも、知っておきたいところです。
装置が原因の場合、放置している期間だけ刺激が続いて傷が深くなっていくためです。
ワイヤーが飛び出している、ブラケットが外れているといった状態は、早めの対応が必要になります。
ワックスを使っても痛みが引かない、同じ場所が繰り返し傷つくという場合も相談の対象です。
次の通院日まで数週間あるようなら、待たずに連絡してよい状況といえます。
我慢を続けるより早く伝えたほうが、結果的に楽に過ごせます。
何をどう伝えるか
相談するときは、状況を具体的に伝えると対応が早くなります。
どこに何が当たっているのかが分かれば、確認すべき場所も絞り込めるためです。
口の中のどのあたりが痛むのか、いつから続いているのかを整理しておいてください。
ワックスを使ったかどうか、使ってどう変わったかも伝えたい情報です。
同じ場所に繰り返しできているという事実は、装置の調整が必要かを判断する手がかりになります。
痛む場所を鏡で確認しておけば、来院時にも正確に示せます。
口内炎が治るまでの期間と経過
いつまでこの痛みが続くのかという不安は、痛みそのものよりつらく感じられるものです。
食事や会話のたびに痛む状態が続けば、日常の負担も小さくありません。
矯正中の口内炎は、装置に慣れていくにつれて起こりにくくなっていく傾向があります。
粘膜が刺激に順応し、同じ接触でも傷つきにくい状態へ変わっていくためです。
一方で個々の口内炎が治るまでには、一定の期間がかかります。
経過の目安を知っておけば、今がどの段階かを把握しながら過ごせます。
ここでは治るまでの経過を、4つの視点から整理していきます。
装置に慣れると粘膜が強くなる
長い目で見れば、状況は改善していきます。
初めて装置をつけた時期は違和感が強く痛みを感じやすいものの、2、3日で慣れてくるとされているためです。
粘膜は刺激を受け続けることで少しずつ順応し、気にならなくなっていきます。
装置に慣れてくると粘膜が強くなり、口内炎はできにくくなるという説明も複数で共通しています。
治療を始めて最初の数週間に集中して口内炎ができ、その後は落ち着いたという経過をたどる方も多いようです。
最初の時期を乗り切ることが、その後の過ごしやすさにつながります。
数日から2週間ほど続くこともある
個々の口内炎については、時間がかかる場合もあります。
アフタ性口内炎の多くは、特別な治療をしなくても2週間以内に自然に治るとされているためです[2]。
歯が動く痛みは数日で慣れたが、口内炎は1〜2週間続いたという体験も語られています。
唇の裏側に複数同時にできることもあり、その場合は負担がさらに大きくなります。
装置が当たり続けていれば、治りかけては再び傷つくという繰り返しになることもあります。
刺激を減らすことが、治るまでの期間を短くする鍵になります。
繰り返す場合に考えられること
治ってはまたできるという状態には、理由があります。
同じ位置で再発を繰り返すのは、その場所に持続的な刺激が加わっていることを示している可能性が高いためです。
装置の縁やフックが原因であれば、調整しない限り再発は止まりません。
治るまで我慢して、治ったと思ったらまた痛み出すというサイクルを何度も繰り返している方もいます。
繰り返し発症する場合は、自己判断を続けず相談することが勧められています[2]。
原因を取り除けば繰り返しから抜け出せるため、早めに伝えておきたい状況です。
治りを遅らせないための過ごし方
日々の過ごし方も、経過に影響します。
刺激が加わり続ければ、傷が治る過程が妨げられてしまうためです。
患部を舌で触らない、刺激の強い食べ物を避けるといった対応が基本になります。
疲労やストレス、睡眠不足が重なると治りが遅くなることも考えられます[2]。
栄養が偏らないよう食事に気を配ることも、粘膜の状態を保つうえで役立ちます[3]。
装置への対応と生活面の両方を整えることが、早い回復につながります。
口内炎を予防する5つの習慣
一度治っても、また同じ痛みを繰り返すのではないかという不安は残ってしまうものです。
数年にわたる治療期間のなかで、そのたびに食事や会話がつらくなるのは避けたいところです。
口内炎は起きてから対処するより、できにくい状態を保つほうが負担は小さくて済みます。
予防の方向性は、粘膜への刺激を減らすことと、粘膜そのものが傷つきにくい状態を保つことの2つです。
清潔さと潤いを保ち、体調を整えるという基本の積み重ねが、そのまま予防につながっていきます。
日々の習慣として組み込めれば、意識せずに続けられる形へ変わっていくでしょう。
ここでは取り入れやすい5つの習慣を、順に見ていきます。
口の中を清潔に保つ
予防の土台になるのが、清掃の習慣です。
装置の周囲は汚れが残りやすく、その状態が続けば粘膜の炎症につながる可能性があるためです。
歯を支える組織に炎症が起これば、口の中全体の状態が悪化していきます[1]。
歯ブラシだけでは装置の周囲に届かないため、小さなブラシや歯間ブラシを組み合わせると効果が高まります。
食事のたびにみがく習慣をつけておけば、汚れが長時間留まる状態を避けられます。
清潔さを保つことは、むし歯や歯周組織のトラブルの予防にもつながります。
装置に当たりやすい部分を先に保護する
痛みが出る前に手を打つという発想も有効です。
粘膜が傷ついてから対処するより、擦れる前に覆っておくほうが負担が小さいためです。
装置を装着した直後や調整の直後は、当たりやすい部分にあらかじめワックスをつけておくという方法があります。
前回どこが痛くなったかを覚えておけば、同じ場所に先回りできます。
赤みを感じた段階でワックスを使えば、傷になる前に防げる可能性もあります。
ワックスは手元に常備しておき、必要なときにすぐ使える状態にしておきましょう。
乾燥を防ぐために水分をこまめに摂る
口の中の潤いも、予防に関わってきます。
粘膜が乾いていると表面がもろくなり、装置とのわずかな摩擦でも傷がつきやすくなるためです。
こまめに水分を摂ることで、粘膜の状態を保ちやすくなります。
口呼吸の習慣がある方は、意識して鼻で呼吸することも乾燥対策のひとつになります。
装置を装着している時間が長いほど、口の中が乾きやすい環境が生まれます。
潤った状態を保つだけで、摩擦による傷は減らせる可能性があります。
睡眠と栄養バランスを整える
体調面からの予防も、装置への対策と同じくらい大切です。
疲労やストレス、睡眠不足が重なると体の抵抗力が下がり、口内炎ができやすくなると考えられているためです[2]。
ビタミンB群をはじめとする栄養素は粘膜の健康に関わるとされ、不足しないよう意識したい要素にあたります[3]。
忙しい時期に限って口内炎ができるという心当たりがあるなら、生活のリズムを見直す価値があります。
緑黄色野菜や果物を意識して取り入れる、食事を抜かないといった基本的な工夫から始められます。
体調が整っていれば、多少の刺激を受けても傷になりにくい状態を保てるでしょう。
装置の異常に早く気づく
日々の確認も、予防の一部になります。
ワイヤーが飛び出す、ブラケットが外れるといった変化が新たな刺激を生むためです。
鏡で口の中を見る習慣をつけておけば、装置の変化にも早く気づけます。
舌で触ってざらつきや突起を感じたら、その部分が当たり始めているサインかもしれません。
気づいた時点で連絡すれば、傷になる前に調整してもらえる可能性があります。
異常を放置しないことが、口内炎を繰り返さないための実践的な対策になります。
口内炎ができたときにやってはいけないこと
早く治したいという気持ちから取った行動が、かえって治りを遅らせてしまうことがあります。
痛みが続いている状況では冷静な判断が難しく、自己流の対処に走ってしまいやすいものです。
避けたい行動に共通しているのは、粘膜に余計な刺激を加えることと、装置の形を自分で変えてしまうことの2点です。
口内炎そのものは自然に治っていくものが多いため、治る過程を妨げない環境を整えるほうが確実です。
装置に原因がある場合も、正しい手順を踏めば歯科医院で解決できる範囲にとどまります。
ここでは特に注意したい4つの行動を確認していきます。
自分で装置を削る・曲げる
当たって痛い部分を自分で加工する行為は、避けたい対処の筆頭です。
矯正装置は歯に力を伝えるために精密に作られており、形を変えると力の伝わり方が変わってしまうためです。
飛び出したワイヤーを自分で曲げたり切ったりすれば、歯への力が乱れてしまいます。
マウスピースの縁をやすりで削れば、その部分だけ浮いて次の装置が合わなくなる可能性があります。
加工した断面がざらついて、かえって粘膜を傷つけてしまうという事態も考えられます。
装置の調整は歯科医院で対応できる内容のため、自分の手を加える前に相談してみてください。
口内炎を潰したりつついたりする
患部を刺激する行為も、治りを妨げる典型的な行動です。
炎症を起こしている粘膜は非常に弱くなっており、触れるだけでも傷が広がってしまう可能性があるためです。
白く見える部分を潰せば早く治ると考える方もいますが、実際には逆の結果になります。
気になって舌で何度も触ってしまう、爪でつついてしまうといった行動が治りを遅らせます。
傷口から細菌が入れば炎症が広がり、治るまでの期間がさらに延びてしまうことも考えられます。
触らないという単純な対応が、実は最も効果のある治し方といえます。
刺激の強い洗口剤を使い続ける
清潔にしようとして刺激の強い製品を使うのも、控えたい対処です。
アルコールを含む洗口剤は、傷ついた粘膜にしみて強い痛みを引き起こす場合があるためです。
痛みを我慢して使い続けた結果、患部が乾燥して治りが遅くなることも考えられます。
清潔さを保つ目的であれば、水でのうがいや低刺激タイプの製品でも役割を果たせます。
口内炎がある期間だけでも、刺激の少ないものへ切り替えておくと過ごしやすくなります。
清潔にすることと刺激を与えることは別だという整理を持っておいてください。
痛みを我慢して通院日まで放置する
我慢を続けて相談しないという選択も、避けたい対応です。
装置が原因の口内炎は調整によって改善が見込めるため、我慢する期間がそのまま無駄になってしまうためです。
同じ場所に当たり続ければ傷は深くなり、治るまでの期間も長引いていきます。
次の通院日まで数週間あるのに、それまで我慢しようと考えて悪化させてしまう例も少なくありません。
2週間以上治らない、繰り返し発症するという場合は自己判断を避けて相談することが勧められています[2]。
口内炎は我慢するものではなく、調整によって改善が期待できるという前提を持っておいてください。
受診したほうがよい口内炎の目安
たいていの口内炎は自然に治っていきますが、なかには別の原因が隠れている場合もあります。
いつもと違うと感じたときに様子を見続けてしまうと、対応が遅れてしまう可能性があります。
判断の手がかりになるのは、治るまでにかかっている期間、繰り返し方、そして口内炎以外の症状の有無です。
アフタ性口内炎の多くは2週間以内に自然に治るとされており、この期間が一つの区切りになります[2]。
その範囲を超えるものや、いつもと様子が違うものは自己判断を避けて相談したほうが安心です。
目安を知っておけば、必要以上に不安になることも見過ごしてしまうことも避けられます。
まず確認したいのが、治るまでの期間です。
アフタ性口内炎は通常であれば2週間以内に跡を残さず自然に治るとされています[2]。
その期間を超えても改善しない場合は、別の原因が関わっている可能性が出てきます。
装置が当たり続けていることが原因であれば、調整によって一気に治りやすくなることもあります。
いつからできているかを記録しておけば、この判断もしやすくなります。
次に注意したいのが、同じ場所での繰り返しです。
同じ位置で再発を繰り返すのは、その場所に持続的な刺激が加わっていることを示している可能性が高いためです。
装置の縁やフックが原因であれば、調整しない限り再発は止まりません。
繰り返し発症する場合は自己判断を続けず、相談することが勧められています[2]。
原因を取り除けば繰り返しから抜け出せるため、早めに伝えておきたい状況です。
口内炎以外の症状をともなう場合も、慎重な確認が必要になります。
触れるとしこりを感じる、出血がある、表面の形が不規則といった変化は、通常の口内炎とは異なる特徴だからです。
粘膜そのものの色が赤や白に変わっている場合も、注意しておきたいサインにあたります。
いつもの口内炎と様子が違うと感じたなら、その直感を大切にしてください。
数が多く日常生活に支障が出ている場合も、相談の対象です。
口の中に複数の口内炎が同時にできると食事が困難になり、栄養不足から治りがさらに遅れるという悪循環に陥る可能性があります[3]。
多数の口内炎が同時に現れる場合は、自己判断を避けて受診が勧められています[2]。
痛みで水分すら十分にとれない状態が続けば、体調全体に影響が及んでいきます。
矯正の通院日まで待たずに連絡してよい状況にあたるため、遠慮せず伝えてください。
矯正中の口内炎に関するよくある質問
Q1. 矯正で口内炎ができるのはなぜですか?
装置が頬の内側や唇の裏といった粘膜に擦れることが主な理由です。
装置を装着した直後や調整の直後は、口の中が慣れていないため特にできやすくなります。
装置の周囲は清掃が行き届きにくく、その影響も重なります[1]。
Q2. 矯正用ワックスはどう使いますか?
歯みがきをして口の中を清潔にし、装置の水分をティッシュで拭き取ってから使います。
米粒大にちぎって丸め、ブラケットの凹凸に入り込むように押し付けてください。
就寝時はつけたままで構いませんが、食事の際は取り除きます。
Q3. 市販薬は使えますか?
患部を保護する軟膏やパッチを使うことで、痛みを和らげられる場合があります。
歯科医院では塗り薬やパッチが処方されることが多くなっています。
矯正中の使用に不安がある場合は、歯科医師や薬剤師に相談してください。
Q4. 繰り返すのはなぜですか?
同じ場所に装置が当たり続けている可能性が高いと考えられます。
ワイヤーやマウスピースを調整すれば、口内炎ができにくい状態に改善できることがあります。
繰り返す場合は自己判断を避け、歯科医院で確認してもらってください[2]。
Q5. どのくらいで治りますか?
アフタ性口内炎の多くは、特別な治療をしなくても2週間以内に自然に治るとされています[2]。
装置が当たっている場合は、調整することで治りが早まることもあります。
2週間以上治らない場合は受診をおすすめします[2]。
Q6. 通院日まで待つべきですか?
ワイヤーが飛び出している、ブラケットが外れているといった場合は待たずに連絡してください。
ワックスを使っても痛みが引かない、同じ場所が繰り返し傷つくという場合も相談の対象です。
我慢を続けるより早く伝えたほうが、結果的に楽に過ごせます。
まとめ
矯正中の口内炎は、装置が頬の内側や唇の裏に擦れることで起こり、装置装着直後や調整直後にできやすくなります。
矯正用ワックスを使う際は、口の中を清潔にし、水分を拭き取ってから米粒大にちぎって装置に押し付けます。
就寝時はつけたままで構いませんが、食事の際は誤って飲み込む危険があるため取り除いてください。
ワックスはあくまで応急処置であり、装置を調整すれば口内炎ができにくい状態に改善できることがあります。
同じ場所に繰り返しできる場合は装置が原因の可能性が高く、通院日を待たずに相談する価値があります。
アフタ性口内炎の多くは2週間以内に自然に治るとされ、それを超える場合は受診が勧められています[2]。
装置に慣れれば粘膜が強くなって口内炎はできにくくなるため、最初の時期を工夫して乗り切っていきましょう。
参考文献
[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯周病とは」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-03-001.html
[2] 厚生労働省「一般用医薬品 使用上の注意 説明文書(口内炎(アフタ性)とは)」
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000050607.pdf
[3] 厚生労働省 e-ヘルスネット「ビタミン」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/keywords/vitamin.html
[4] 全国健康保険協会(協会けんぽ)佐賀支部「歯とお口のトラブル いわゆる『口内炎』について」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/shibu/saga/cat070/20170623/shika210514/
免責事項
※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、医療アドバイスではありません。
※症状や装置の取り扱いについては必ず歯科医師にご相談ください。
※症状の現れ方や治るまでの期間には個人差がございます。
※お薬の使用に関しては歯科医師または薬剤師にご確認ください。