噛み合わせ・顎関節症

顎関節症とは

顎(顎の関節、噛む筋肉)の痛み、口が開きづらい、顎を開けると音がする、という3つのうちいずれかが当てはまれば、顎関節症に該当します。特に若い女性によく見られ、自然に治ることも多くありますが、治療せずに放置すると重症化してしまうことがあるので注意が必要です。一生のうちで2人に1人がかかるとも言われているほどありふれたもので、命に関わるものではありませんが、悪化すると辛い症状に悩まされることもあります。

顎関節症の原因

顎関節にかかる過剰な負担

日常的に歯ぎしりや食いしばり、頬杖、うつ伏せ寝をする、片方でばかり噛んでいる、爪を噛む、というような癖がある場合、顎関節や噛む筋肉に過剰な負担がかかってしまいます。

噛み合わせの悪さ

かみ合わせが悪いと、噛む筋肉が過度に緊張してしまったり、噛み合わせた時に位置がずれ、顎関節への負担が増大してしまうことで、顎関節症を発症しやすくなります。

心理的ストレス

心理的にストレスを抱えていると、それが歯ぎしりや食いしばりを招いて顎関節に大きな負担をかけてしまいます。
元々顎関節や筋肉が構造的に弱いというような素因があると、より顎関節症を発症しやすくなります。

顎関節症の治療

生活面の改善

生活習慣上で顎関節症の原因となりうる原因を探り、その原因を意識してやめていただくように指導していきます。顎関節症は日常の癖で起こっていることも多いため、ご自分で気をつけていただくだけで改善していくことも多くあります。

薬物療法

顎関節や噛む筋肉の痛みに対し、痛みを和らげる消炎鎮痛薬の投与を中心に行います。症状に応じて、薬の種類や飲み方を調整していきます。

運動療法

口の開閉をしながら顎を動かす訓練をしてお口の開く量を増加させたり、筋肉や靭帯などの柔軟性を改善させるためのストレッチなどがあります。

理学療法

噛む筋肉のマッサージや、顎関節部を温めて血行を良くする方法、顎関節部の痛みを和らげたり、お口の開口量を増やすためにレーザーを照射する方法などがあります。

マウスピース治療(スプリント療法)

眠っている間の歯ぎしり、食いしばりから噛む筋肉が過剰に緊張したり、顎関節に過剰に負担がかかることを防ぐために、スプリントと呼ばれるマウスガードを装着する方法です。スプリントは保険で作ることができます。

噛み合わせの治療

歯が抜けているところや虫歯で噛めない部分を放置している場合、積極的に歯科治療をする必要があります。また、噛みあわせがあっていない被せ物があれば被せ物を作り直した方が良い場合もあります。噛みあわせが全体的に問題ある場合には、矯正治療をして噛みあわせを整えることが有効な場合もあります。
治療期間は、顎関節症の重症度によって異なりますが、だいたい1ヶ月から数ヶ月程度です。顎関節症は普段の生活における癖などが関係していることも多いため、主には患者様ご自身が気をつけていただく部分も多くなります。

顎関節症は自然と治ることも多く、必要以上に顎関節に負担をかけないようにしていただければそれだけで改善することも珍しくありません。

そのため、過度に心配する必要はありませんが、あまり改善が見られない場合、悪化しているような場合には一度早めの受診をお勧めします。