歯に穴は自分で治せる?市販品で埋めるリスクと正しい対処法を解説

鏡を見たときや舌で触れたときに歯の穴に気づいて、「これって歯医者に行かずに自分で治せないのだろうか」と不安になっていませんか?
先に結論からお伝えすると、いったん穴が空いてしまった歯を自分で元どおりに治す方法はなく、そのまま放置しても自然にふさがることはありません。
それどころか、市販品などで穴を無理にふさいでしまうと、内側で虫歯が見えないまま進行し、かえって状態を悪化させてしまう恐れがあるため注意が必要です。
この記事では、歯に穴が空く仕組みや「自分では治せない」といえる理由から、歯科を受診するまでにできる安全な過ごし方、そして歯科で受けられる治療法までを、一般の方にもわかりやすい言葉で順を追って整理していきます。
歯に空いた穴は自分で治せる?まず知っておきたい結論
歯に穴を見つけると、忙しさや歯医者への苦手意識から、できれば自分で何とかできないかと考えてしまう方は少なくありません。
その気持ちはとてもよく分かりますが、遠回りをしないためにも、まずはいちばん大切な結論からお伝えします。
穴が空いてしまった歯を自分で治す方法は存在せず、市販品を使った無理な自己処置は、かえって状態を悪化させてしまうことがほとんどです。
この基本をおさえたうえで、なぜ自分では治せないのか、そしてどう対処すればよいのかを、ここから順番に見ていきましょう。
穴が空いた歯は自然にはふさがらない
歯に空いてしまった穴は、どれだけ待っても自然にふさがることはありません。
というのも、虫歯によって溶けて穴になった歯は、皮膚のすり傷のように新しい組織が再生して埋まっていく仕組みを持っていないためです。
穴が空く一歩手前のごく初期の段階であれば唾液やフッ化物の働きで修復が期待できますが、いったん表面が崩れて穴になってしまうと、その部分がもとに戻ることはありません[1]。
表面が白く濁っているだけでなめらかな段階と、はっきりとくぼんで穴になっている段階とでは、その後たどる経過がまったく違ってくるのです。
しかも穴の中では、見えないところで虫歯が横や奥へと広がっていることも多く、放っておくほど気づかないうちに深くなっていきます。
穴になった歯は自分の力では元に戻せない以上、できるだけ早く歯科で診てもらうことが、遠回りをしないいちばん確実な選択になります。
市販品や接着剤で穴を埋めるのが危険な理由
ドラッグストアで手に入る詰め物キットや家庭用の接着剤で穴を自分でふさぐことは、できるだけ避けたい対処です。
なぜなら、穴の内側には虫歯の原因菌が残ったままで、その上からふたをしても虫歯そのものの進行は止められないからです。
むしろ菌を内側に閉じ込める形になってしまい、見えない部分で虫歯がかえって深く進んでしまう恐れも指摘されています。
小さな詰め物やパーツが口の中で外れて飲み込んでしまえば、のどや気管に入り込む思わぬ事故につながることもあります。
さらに接着剤で無理にふさいでしまうと、後日いざ歯科で治療しようとしたときに、本来の処置がしにくくなってしまう場合も少なくありません。
応急処置のつもりが結果的に大きな遠回りになりかねないため、穴を埋める作業そのものは歯科の専門家に任せておくと安心です。
そもそも歯に穴が空くのはなぜ?
自分の歯に穴を見つけると、どうしてこんなことになったのだろうと原因が気になりますよね。
穴が空く背景には、いちばん多い虫歯の進行だけでなく、実はいくつかの異なる原因が隠れていることがあります。
原因によって、その後の対処や治療の方向性も変わってくるため、まずは自分の穴が何によるものかを知ることが解決への第一歩になります。
ここでは、歯に穴が空く代表的な理由を、ひとつずつ見ていきます。
虫歯の進行で歯に穴が空く仕組み
歯に穴が空く原因として最も多いのは、やはり虫歯の進行です。
口の中にすみ着いた細菌が食べ物の糖をもとに酸をつくり出し、その酸が歯の表面をおおうエナメル質を少しずつ溶かしていくためです。
この「脱灰」と呼ばれる現象が何度も繰り返されて溶ける量が増えていくと、やがて表面が耐えきれずに崩れ、穴となってあらわれます[1]。
初めのうちは硬いエナメル質の範囲にとどまっていますが、その内側にあるやわらかい象牙質にまで達すると、穴は一気に広がりやすくなります。
特に奥歯のかみ合わせの溝や歯と歯の間など、歯垢がたまりやすく歯ブラシの届きにくい場所ほど、穴が空きやすい傾向があります。
穴は突然できるものではなく時間をかけてじわじわと進むため、早い段階で気づけたときこそが、被害を最小限に抑えるチャンスだといえます。
痛くないのに穴がある場合に考えられること
穴が空いているのにまったく痛みがない場合でも、虫歯がすでに進んでいる可能性は十分に考えられます。
歯の表面をおおうエナメル質には神経が通っていないため、虫歯がこの範囲にとどまっているうちは痛みを感じにくいのです。
痛みがはっきり出てくるのは虫歯が内側の象牙質や神経に近づいてからであり、痛くないことは決して軽症であることの証明にはなりません。
「痛くないから大丈夫」と自己判断で放っておくうちに、次に気づいたときには思いのほか大きく進行していた、ということも起こります。
冷たいものを口にしたときにしみる感覚が出はじめたら、それは虫歯が象牙質に達しつつあるサインかもしれません。
痛みのあるなしだけで状態を判断せず、穴に気づいた時点で一度歯科に相談しておくことが望ましいといえます。
「虫歯じゃない」と言われた小さな穴の正体
歯科で「これは虫歯ではない」と言われた小さな穴は、虫歯以外の原因で歯が欠けたりくぼんだりしているのかもしれません。
歯には、強い力や酸、あるいは生まれつきの形などによって、虫歯とは別の小さなくぼみや欠けが生じることがあるのです。
歯の根元がくさびを打ち込んだように欠ける「くさび状欠損」は、力を入れすぎた歯みがきや、噛むときの強い力が関係するとされています。
酸性の飲食物によって歯の表面が溶ける「酸蝕」や、奥歯に生まれつきある深い溝が、穴のように見えているだけというケースもあります。
虫歯でなければすぐに削る必要のないことも多いため、あわてて自分で対処せず、経過を見ながら歯科で相談していくと安心です。
初期の虫歯なら再石灰化で修復できることもある
ここまで「穴は自分では治せない」とお伝えしてきましたが、実はひとつだけ、自力で回復を目指せる例外的な段階があります。
それが、穴が空いてしまう一歩手前の「初期の虫歯」と呼ばれる状態です。
この段階を正しく理解しておくと、どこまでが自分でできる範囲で、どこからが歯科の出番なのかがはっきりと見えてくるのです。
ここでは、初期の虫歯と、歯を修復する再石灰化という働きの関係を整理します。
初期の虫歯は再石灰化で元に戻ることがある
まだ穴になっていない初期の虫歯であれば、削らずにケアだけで元の健康な状態へ近づけられることがあります[1]。
歯の表面では、酸によってミネラルが溶け出す脱灰と、唾液の働きでミネラルが補われる再石灰化が、一日を通して絶えず繰り返されているためです。
厚生労働省の情報でも、初期のむし歯はフッ化物の利用に加えて丁寧なプラークコントロールを行うことで回復することがある、とされています[2]。
表面が白く濁って見えるだけで、まだ実際の穴にはなっていない段階が、この修復を目指せるかどうかのひとつの目安になります。
その修復を後押しするのがフッ化物で、再石灰化を促しながら歯質そのものを酸に溶けにくくする働きを持っています[3]。
初期のうちにケアを整えれば進行を抑えられる可能性があるからこそ、少しでも早く気づくことが大きな意味を持ちます。
自分でできるのはケアの徹底までで治療ではない
初期の虫歯に対して自分でできるのは、あくまで再石灰化を助けるためのケアまでにとどまります。
フッ化物配合の歯磨き粉を毎日使い、糖の摂り方や間食の回数を見直すことは、初期の虫歯が回復するのを後押ししてくれます[4]。
ただし、これはあくまで進行を食い止めるための予防的なケアであって、穴を元に戻すような「治療」とは性質が異なります。
そもそも穴になっていない段階でも、それが初期の虫歯なのか別の変化なのかを自分で正確に見分けるのは、なかなか難しいものです。
一見すると白い斑点のように見えても、よく調べると実際にはごく浅い穴が始まっていた、ということも珍しくありません。
自己判断のまま様子を見続けるよりも、一度歯科で状態を確認してもらうほうが、遠回りを避けられて確実だといえます。
歯に穴が空いたまま放置するとどうなる?
「痛くないし、そのうち歯医者に行けばいい」と、歯の穴をしばらくそのままにしている方もいるかもしれません。
こちらが気づいていないだけで、穴を放置している間も虫歯は水面下で静かに進行を続けています。
この先どのような経過をたどっていくのかを具体的に知っておくと、後回しにせず早めに動こうという後押しになるでしょう。
ここでは、穴を放置した場合に起こりうる変化を、進行の段階を追って見ていきます。
虫歯が進行して神経に達する
穴をそのままにしておくと、虫歯は歯の内側へと着実に進み、やがて中心にある神経にまで達してしまいます。
表面のエナメル質から内側の象牙質へと進んだ段階では、冷たいものや甘いものを口にしたときにしみるようになるためです。
さらに神経(歯髄)にまで達すると、何もしていなくてもズキズキと痛むようになり、その分だけ治療も大がかりなものになっていきます[1]。
神経に炎症が広がると、我慢しづらい強い痛みや、夜になると増す痛みとしてあらわれることもあります。
こうした段階まで進んでしまうと、傷んだ神経を取り除く治療が必要になる場合が多くなります[1]。
まだ痛みの出ていない穴のうちに対処しておくほうが、体への負担も治療にかかる手間も、はるかに小さく抑えられるといえます。
歯を失ったり他の歯に影響したりする
さらに放置が続くと、最終的にはその歯そのものを失う結果になりかねません。
虫歯が歯の根の部分まで大きく壊してしまうと、歯を残すことができず、抜歯という選択になってしまうことがあるためです。
実際に、永久歯で治療の必要な虫歯を持つ人は多く、それが中高年以降の抜歯の経験にもつながっています[2]。
一本の歯を失うと噛み合わせのバランスが崩れ、その負担が両隣の歯や噛み合う歯にまで広がっていきやすくなります。
さらに抜けたところをそのままにしておくと、周りの歯が少しずつ動いて歯並び全体が変わってしまうこともあります。
たった一本の穴を早く治すことが、結果的に口全体の健康を守ることにつながっていくと考えられます。
痛みが強いときや早く受診すべきサイン
ズキズキとした強い痛みや腫れがあるときは、様子を見ずにできるだけ早く歯科を受診してください。
痛みが長く続いたり、頬や歯ぐきが腫れてきたりする症状は、虫歯がかなり進んでいることを知らせるサインです。
特に膿がたまって腫れているような場合は、放置すると炎症が周囲へと広がってしまうことがあります。
夜も眠れないほどの痛みや、熱をともなうような腫れが出てきたときは、早めの受診が必要な状態だと考えてよいでしょう。
市販の痛み止めでその場をしのげたとしても、痛みの原因である虫歯そのものが治るわけではありません。
つらい症状を一人で我慢し続けるのではなく、早い段階で歯科に相談しておくことが望ましいといえます。
歯科を受診するまでに自宅でできる応急的な過ごし方
すぐには歯医者へ行けないとき、受診できる日までをどう過ごせばよいのか気になりますよね。
穴を自分でふさぐことはできませんが、それ以上の悪化を防ぎながら受診を待つための工夫であれば、いくつか用意されています。
ここで心にとめておきたいのは、これらはあくまで受診までをしのぐ「つなぎ」であって、治療そのものの代わりにはならないという点です。
ここでは、歯科にかかるまでの間に自宅でできる過ごし方を具体的に整理します。
穴の部分を清潔に保つ
受診までの間にまず心がけたいのは、穴の空いた部分をできるだけ清潔に保つことです。
穴の中に食べかすがたまると、それをエサに細菌が増えやすくなり、虫歯の進行や口臭の原因にもなりやすいためです。
食後はやさしく歯を磨き、ぬるま湯で口をゆすいで、汚れをできるだけ残さないようにしておきましょう。
このとき穴の周りを強い力でこすると刺激になってしまうことがあるので、力を抜いてていねいに磨くのがおすすめです。
あわせてフッ化物配合の歯磨き粉を使うと、穴のまわりの歯を虫歯から守る助けにもなります[4]。
特別な道具もいらず今日からすぐに始められる工夫なので、まずは清潔を保つことから取りかかると安心です。
その歯で噛まない・強い刺激を避ける
穴の空いた歯では、できるだけ噛まないようにして、余計な刺激を与えないことが大切です。
もろくなった歯に強い力が加わると、そこから欠けたり割れたりして、状態が一気に悪化してしまうことがあるためです。
熱いものや冷たいもの、甘いものといった刺激の強い飲食物も、しみや痛みを引き起こしやすくなります。
食事の際は穴のある側を避けて反対側の歯で噛むようにすると、傷んだ歯への負担をぐっと減らせます。
硬いものや粘着性の強いものを口にするのは控えめにしておくと、思いがけない欠けや悪化を防ぎやすくなります。
穴のある歯をいたわりながら過ごすことが、受診までの間に状態を悪くしないための現実的な方法だといえます。
痛みがあるときの安全な対処
痛みがあるときは、あわてて無理な対処をせず、落ち着いて向き合うことが大切です。
痛む部分を氷などで冷やしすぎたり、逆に温めたりすると、かえって痛みが強まってしまうことがあるためです。
市販の痛み止めに頼るときは、パッケージに書かれた用法や用量をきちんと守って使うようにしてください。
痛みが強いときは頬の外側を軽く冷やすと、一時的に楽になったと感じる方もいます。
ただし、痛み止めや冷却はあくまでその場をしのぐための手段であって、原因の虫歯が治るわけではない点には注意が必要です。
つらい痛みを根本から解決するには早く歯科で診てもらうことがいちばんなので、我慢しすぎないことが結果的な安心につながります。
できるだけ早めに歯科を受診する
ここまでの応急的な過ごし方はあくまでつなぎであり、やはり早めの受診こそがいちばんの対処になります。
穴は自分では治せない以上、時間がたてばたつほど虫歯は進み、その分だけ治療も大がかりになりやすいのです。
反対に、早い段階で受診できれば簡単な処置で済むことも多く、通院回数や費用も抑えやすくなります[1]。
「痛くないから」と先延ばしにすればするほど、いざ治療というときの負担はふくらみがちです。
どうしても少し様子を見る場合でも、数日から一週間ほどを目安に受診を検討しておくと安心です。
つなぎの工夫で悪化を抑えながら、並行してできるだけ早く歯科の予約を取っておくのが望ましいといえます。
歯科医院での歯の穴の治療法
いざ歯科を受診しようと思うと、歯の穴が実際にはどのように治療されるのか、その中身が気になる方も多いでしょう。
治療の内容は一律ではなく、穴の大きさや虫歯の進み具合によって、選ばれる方法が変わってきます。
どんな流れで治していくのかをあらかじめ知っておくと、受診に対する漠然とした不安をやわらげられます。
ここでは、代表的な歯の穴の治療法を、負担の軽いものから順にまとめていきます。
小さい穴はコンポジットレジンで詰める
穴がまだ小さい段階であれば、コンポジットレジンという白い樹脂を詰めて治す方法が一般的です。
虫歯になった部分だけを最小限に削り取り、そのできたすき間に樹脂を詰め込んで、歯の形をもとどおりに回復させるためです。
厚生労働省の情報でも、虫歯が歯の表層に限られる場合は歯を削って詰め物をつける治療が行われる、と示されています[1]。
使う樹脂は歯の色に近い色合いに調整できるため、治したあとも詰めた場所が目立ちにくいのが特徴です。
多くの場合、その日のうちに詰めて光で固められるため、一回の通院で治療が完結することもあります。
小さいうちに見つかれば体への負担も費用も少なく済むので、早めに受診するほど治療そのものも軽くなり安心です。
進行した穴は詰め物や被せ物で補う
穴がある程度大きくなっている場合は、型を取って作る詰め物や被せ物で歯を補う方法が選ばれます。
削る範囲が広くなると、その場で詰める樹脂だけでは歯の形や噛む強さを十分に保ちにくくなってくるためです。
厚生労働省の情報でも、虫歯が大きくなると歯を削って詰め物やかぶせ物をつける治療が必要になる、とされています[1]。
奥歯のかみ合わせのように強い力がかかる場所には、耐久性の高い金属やセラミックの詰め物が選ばれることもあります。
この方法では歯型を取って詰め物や被せ物を作製するため、通院はおおむね二回ほどになるのが一般的です。
穴の大きさに応じて最適な方法が変わってくるので、まずは歯科でよく相談し、自分に合う治療を確認していくとよいでしょう。
神経まで達した場合は根管治療を行う
虫歯が歯の神経にまで達してしまっている場合には、根管治療と呼ばれる神経の治療が必要になります。
神経が虫歯に侵されてしまうと、その神経を残したまま上から詰めても、痛みや炎症がいつまでも治まらないためです。
厚生労働省の情報でも、虫歯が歯髄に達すると歯髄を取り除き、土台を立てて被せ物をする治療が行われる、と示されています[1]。
根管治療は歯の内部を消毒しながら細かく整えていく処置のため、数回にわたって通院が必要になることもあります。
神経を取り除いたあとの歯は割れやすくなってしまうので、最後に被せ物をしてしっかりと保護します。
こうした大がかりな治療をできるだけ避けるためにも、神経に達する前の早い段階で受診しておくことが望ましいといえます。
歯を残せないときは抜歯が必要になることもある
虫歯がさらに進んで、歯を残すのが難しいほど大きく壊れてしまうと、やむを得ず抜歯が必要になることもあります。
歯の根の大部分が虫歯で失われてしまうと、被せ物をしても歯として機能させるのが難しくなるためです。
抜歯をしたあとは、ブリッジや入れ歯、インプラントといった方法で、失った歯の噛む機能を補うことが検討されます。
抜歯はできる限り避けたい選択であり、歯を残せるかどうかは、そのときの虫歯の進行の程度によって変わってきます。
裏を返せば、早く受診するほど、抜かずに自分の歯を残せる可能性は高まりやすくなるということです。
歯を守れるかどうかは時間との勝負になる面もあるため、穴に気づいたら早めに動くことが、何よりの安心につながります。
治療にかかる費用や通院回数の目安
歯の穴の治療にかかる費用や通院の回数は、虫歯の進行の程度によって大きく変わってきます。
小さな穴を樹脂で詰めるだけの治療であれば保険が使え、一回の通院で終わることが多い傾向にあります。
一方で、神経の治療や被せ物が必要になると、その分だけ通院回数が増え、費用も高くなりやすくなります。
削って詰めるだけで済む軽い虫歯と、根の治療まで進んでしまった虫歯とでは、負担の大きさに相当な差が出ます。
保険が使える範囲の材料を選ぶか、自由診療の材料を選ぶかによっても、最終的な費用は変わってきます。
軽いうちに治すほど費用も回数も抑えやすいため、早めの受診が結果的に負担の少ない選択になるといえます。
歯に穴を空けない・再発させないための予防
つらい思いをして歯の穴を治したあとは、もう二度と同じことを繰り返したくないと感じますよね。
そもそも歯に穴を空けないためには、特別なことよりも日々の予防を地道に続けることが、いちばんの近道になります。
一度治療した歯であっても、その後のケアを怠れば、詰め物のまわりから再び虫歯になってしまうことがあります。
ここでは、新たな穴を防ぎ、再発も遠ざけるための予防のポイントを整理していきます。
セルフケアで歯垢をためない
穴を防ぐための第一歩は、毎日のセルフケアで歯垢をためこまないことです。
歯垢の中にひそむ細菌が酸をつくって歯を溶かしていくため、その歯垢を減らすことこそが虫歯予防の基本になります。
ただし、厚生労働省の情報でも、セルフケアだけでプラークを完全に取り除くのは現実には難しく、ほかの予防法と組み合わせることが必要だとされています[3]。
歯ブラシに加えてフロスや歯間ブラシを併用すると、歯と歯の間に残りがちな磨き残しまで減らせます。
とりわけ就寝前のケアを丁寧に行っておくと、唾液が減って虫歯が進みやすい睡眠中のリスクを下げやすくなります。
完璧を求めて息切れするよりも、毎日こつこつと続けていくことが、穴を防ぐ確かな習慣になるといえます。
フッ化物で歯質を強くする
虫歯の発生や再発を防ぐうえでは、フッ化物を毎日の習慣に取り入れることが効果的です。
フッ化物には、溶けかけた歯の再石灰化を促しながら、歯質そのものを酸に溶けにくくする働きがあります[3]。
フッ化物配合の歯磨き粉は、むし歯の発生や進行の予防に役立つ医薬部外品として公的に認められています[4]。
歯を磨いたあとに口を強くゆすぎすぎないようにすると、フッ化物が口の中に残って働きを発揮しやすくなります。
さらに歯科で受けられるフッ化物歯面塗布を定期的に続けると、家庭のケアだけでは届かない歯質の強化も期待できます[5]。
毎日のフッ化物ケアを積み重ねておくことで、治療した歯もその周りの歯も守りやすくなり安心です。
定期検診で早期発見する
穴を大きくしてしまわないためには、歯科の定期検診で早い段階のうちに見つけることが欠かせません。
初期の虫歯や小さな穴は自分ではなかなか気づけず、痛みもほとんど出ないまま進んでしまうためです。
定期的にプロのチェックを受けていれば、まだ削らずに済む段階で虫歯が見つかることも多くなります[1]。
一般には三〜六か月に一度の受診が目安とされ、そのつどクリーニングもあわせて受けられます。
検診では治療した歯の詰め物の状態も確認してもらえるので、再発の早期発見にもつながっていきます。
痛くなる前から通う習慣をつけておくことが、新たな穴を防ぎ、自分の歯を長く保つための近道になるといえます。
歯に穴が空いたときのよくある質問
Q:歯に空いた穴は時間がたてばふさがりますか?
いいえ、いったん穴になってしまった歯は、時間がたっても自然にふさがることはありません。
自力での修復が期待できるのは穴が空く前のごく初期の段階までで、穴になってしまうと歯科での治療が必要になります[1]。
そのまま放置すると虫歯は進行していくため、できるだけ早めに受診することをおすすめします。
Q:痛くない小さな穴でも歯医者に行くべきですか?
痛くない小さな穴であっても、一度は歯科で診てもらうことをおすすめします。
表面にとどまる虫歯は神経に届いていないため痛みが出にくく、痛くないことは軽症である証拠にはならないからです。
早く見つかるほど簡単な治療で済みやすくなるので、様子を見すぎないほうが安心です。
Q:市販の応急処置キットで埋めても大丈夫ですか?
市販品を使って穴を自分で埋めるのは、できるだけ避けたい対処です。
内側の虫歯を取り除かないままふたをしてしまうと、見えないところで虫歯が悪化する恐れがあるためです。
応急処置としても、穴を埋める作業そのものは歯科に任せるほうが、結果的に安心して治療を進められます。
Q:歯に穴が空いたら何科を受診すればいいですか?
歯の穴は、歯科または歯科口腔外科を受診すれば対応してもらえます。
まずは通いやすい歯科医院で相談するのが基本になり、必要に応じて専門的な治療につないでもらえます。
どこにかかるか迷ったときは、かかりつけの歯科に問い合わせてみるとよいでしょう。
まとめ
歯に空いてしまった穴を自分で治す方法はなく、そのまま放置しても自然にふさがることはありません。
穴になる前のごく初期の虫歯であれば、フッ化物や丁寧なケアによって再石灰化を目指せる場合もあります。
一方で、市販品や接着剤で穴を無理にふさぐと、かえって虫歯を悪化させてしまう恐れがあります。
痛みがなくても穴がある時点で虫歯が進んでいることは多いため、痛みの有無にかかわらず早めの受診が大切です。
歯科では穴の大きさや進行に応じて、詰め物や被せ物、根管治療などで適切に対応してもらえます。
受診までの間は、穴を清潔に保ち、その歯で強く噛まないようにいたわりながら過ごしましょう。
気になる穴に気づいたら自己判断で様子を見すぎず、できるだけ早く歯科に相談していきましょう。
参考文献
[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「むし歯の治療の流れ」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth/h-02-004.html
[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「むし歯」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth-summaries/h-02.html
[3] 厚生労働省 e-ヘルスネット「むし歯の予防法(総論)」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth/h-02-005.html
[4] 厚生労働省 e-ヘルスネット「フッ化物配合歯磨剤」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth/h-02-007.html
[5] 厚生労働省 e-ヘルスネット「フッ化物歯面塗布」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth/h-02-008.html
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の診断・治療に代わるものではありません。
歯に穴や痛みなどの症状がある場合は、自己判断で対処せず歯科医院にご相談ください。
症状の現れ方や治療の経過には個人差があります。