歯列矯正に保険は使える?適用される3つの条件と対象外だった場合の選択肢

「歯列矯正に保険は使えないの?」「思っていたより費用が高くて、負担を減らす方法を探している」という方も多いのではないでしょうか。
歯列矯正は原則として自由診療にあたり全額自己負担となりますが、厚生労働大臣が定める疾患に起因する場合など、限られた条件を満たせば公的医療保険が適用されます。
ただし条件を満たしていても、保険で治療を受けられるのは地方厚生局へ届け出た医療機関に限られており、対象となる方は多くありません。
この記事では、保険が適用される3つの条件から、受けられる医療機関の探し方、自己負担の目安、対象外だった場合に負担を抑える方法まで詳しくお伝えしますので、費用の負担に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
歯列矯正は原則として保険適用外
矯正の見積もりを受け取って、金額の大きさに驚いた方は少なくありません。
医療機関で受ける治療なのに、なぜ保険が使えないのかと疑問に感じるでしょう。
歯列矯正が原則として保険の対象外となるのには、制度上の理由があります。
仕組みを知っておけば、例外にあたるかどうかの見当もつけやすくなります。
まずは、保険が適用される範囲から整理していきましょう。
公的医療保険が適用される範囲
公的医療保険は、病気やけがの治療に対して適用される制度です。
限られた財源を、治療の必要性が高いものへ優先して配分する仕組みになっているためです。
すべての医療行為が対象になるわけではありません。
むし歯の治療や歯周病の治療は保険の対象となり、自己負担は原則3割で済みます。
一方、健康上の問題を治すことを主な目的としない処置は、対象から外れます。
歯列矯正がどちらに分類されるかを知ることが、保険適用を考える出発点になります。
見た目の改善を目的とした矯正は対象外
歯並びの見た目を整えることを主な目的とした矯正は、保険の対象になりません。
病気やけがの治療という枠組みに当てはまらないと判断されるためです。
自由診療として扱われます。
前歯のでこぼこが気になる、出っ歯を改善したいといった動機による治療は、この分類に入ります。
かみ合わせに多少の問題があったとしても、それだけで保険が使えるわけではありません。
対象外だと知って落胆されるかもしれませんが、負担を抑える別の方法も用意されていますから、最後まで読み進めてみてください。
マウスピース矯正は装置そのものが対象外
マウスピース矯正は、どのような歯並びであっても自由診療になります。
透明な装置が、公的医療保険の対象となる材料に含まれていないためです。
装置の種類そのもので線が引かれています。
保険が適用される3つの条件を満たしていたとしても、マウスピース矯正を選べば全額自己負担になります。
保険で治療を受ける場合は、ワイヤーを用いた装置での治療が前提になります。
目立ちにくさを取るか保険適用を取るかという選択になりますから、条件に当てはまる方は歯科医師と相談してみましょう。
自由診療のため費用は医療機関ごとに異なる
自由診療にあたるため、矯正の費用は各医療機関が独自に設定しています。
保険診療のように国が価格を定める仕組みが働かないためです。
同じ治療内容でも金額に差が生まれます。
全体矯正で60万〜100万円程度、部分矯正で10万〜60万円程度という幅があり、装置の種類によってもさらに変わります。
検査料や調整料が含まれるかどうかも医療機関ごとに違い、総額での比較が欠かせません。
価格が一律でないからこそ、見積書の内訳まで確かめる姿勢が大切になります。
保険が適用される3つの条件
原則として対象外である一方、例外として保険が使える場合があります。
自分が当てはまるかもしれないと考えている方は、条件を確かめておきたいところです。
条件は3つに整理されており、いずれも国が定めた基準に沿って判断されます。
見た目の程度ではなく、原因となる疾患の有無で決まる点が特徴です。
ここでは、3つの条件を順に整理します。
厚生労働大臣が定める疾患に起因する場合
生まれつきの疾患が原因で歯並びやかみ合わせに異常が生じている場合、保険の対象になります。
歯科矯正は、厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常に限り保険診療の対象とされているためです[1]。
疾患そのものへの対応として位置づけられます。
対象となる疾患には、唇顎口蓋裂、ゴールデンハー症候群、鎖骨頭蓋骨異形成、ダウン症候群などが含まれます[1]。
一覧は数十の疾患におよび、診療報酬の改定に合わせて見直されることもあります。
自分や家族が該当するかは自己判断できませんから、診断を受けた医療機関に確かめてみてください。
永久歯が3本以上生えてこない場合
永久歯が生えてこないことでかみ合わせに問題が生じている場合も、対象になります。
前歯と小臼歯の永久歯のうち3歯以上の萌出不全に起因した咬合異常が、保険診療の対象として定められているためです[1]。
歯が足りないことで、隣の歯が倒れ込むといった影響が生じます。
ただし、この条件には歯ぐきを切開して歯を露出させる埋伏歯開窓術を必要とするものに限るという制限が付いています[1]。
生えていないというだけでは対象にならず、処置の必要性が判断の分かれ目になります。
該当しそうな場合は、まず歯科医院でレントゲン検査を受けて状態を確かめることが先決です。
手術をともなう顎変形症の場合
あごの骨を切る手術が必要な顎変形症では、手術の前後に行う矯正が対象になります。
顎離断等の手術を必要とする顎変形症の手術前後における療養に限り、保険診療の対象とされているためです[1]。
矯正と手術を組み合わせた治療として扱われます。
上下のあごの位置に大きなずれがあり、歯を動かすだけでは改善が難しいと判断された症例が該当します。
顎変形症と診断されても、矯正だけで対応できる場合は保険の対象になりません。
手術をともなうかどうかが線引きになりますから、診断の内容を丁寧に聞いておきましょう。
3つの条件を整理する
3つの条件は、それぞれ判断の基準が異なります。
内容を並べたものが次の表です。
歯列矯正で保険が適用される3つの条件
| 条件 | 内容 | 制限 |
|---|---|---|
| 定められた疾患 | 厚生労働大臣が定める疾患に起因する咬合異常 | 疾患の診断が必要 |
| 永久歯萌出不全 | 前歯と小臼歯の永久歯3歯以上の萌出不全 | 埋伏歯開窓術を必要とするもの |
| 顎変形症 | 手術の前後に行う矯正 | 顎離断等の手術を必要とするもの |
いずれも医学的な診断が前提となるため、自分で判断せず検査を受けることが確認の第一歩になります。
保険で治療を受けられる医療機関の探し方
条件に当てはまっていても、どの歯科医院でも保険で治療を受けられるわけではありません。
制度上、治療できる医療機関が限定されているためです。
この点を知らずに近くの歯科医院へ行き、対応してもらえなかったという例もあります。
探し方を知っておけば、遠回りを避けられます。
ここでは、医療機関を見つけるまでの流れを整理します。
届け出た医療機関でなければ保険は使えない
保険で矯正治療を受けられるのは、地方厚生局へ届け出た医療機関に限られます。
厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た保険医療機関で行う場合に限り、保険診療の対象とされているためです[1]。
基準を満たしていない医療機関では、条件に当てはまる方でも保険を使えません。
施設基準には、検査機器の設置状況や、歯科医師と看護師などの人員配置といった項目が含まれます[2]。
対応できる医療機関の数は限られており、地域によっては近くにない場合もあります。
まずは通える範囲に届出をした医療機関があるかを調べるところから始めてみてください。
対象疾患によって行くべき施設が異なる
届け出をした医療機関には、扱える範囲が異なる2つの種類があります。
定められた疾患や永久歯萌出不全を扱う施設と、顎変形症の手術前後の矯正を扱う施設が別に定められているためです。
同じ届出でも中身が違います。
顎変形症で保険を使いたい方が前者の施設を訪ねても、保険での治療は受けられません。
自分がどの条件に当てはまるかによって、探すべき施設の種類も変わってきます。
診断を受けた段階でどちらに該当するかを確かめておけば、医療機関選びで迷わずに済みます。
地方厚生局の名簿で調べる手順
届け出をした医療機関は、地方厚生局のホームページで調べられます。
施設基準の届出状況が一覧として公開されているためです[3]。
誰でも閲覧できます。
自分の住む地域を管轄する厚生局のサイトを開き、届出受理医療機関名簿を探して都道府県別の一覧を確認するという流れになります。
名簿は毎月更新されており、最新の状況を確かめられます。
見つけにくい場合は、地方厚生局の窓口へ問い合わせるという方法も取れます。
近くに施設がない場合
通える範囲に届出をした医療機関がないという状況も起こり得ます。
施設の数は限られており、地域によって偏りがあるためです。
とくに顎変形症を扱う施設は数が少ない傾向にあります。
隣接する都道府県まで範囲を広げる、通院の回数が少なくて済む時期に合わせて計画を立てるといった対応が考えられます。
かかりつけの歯科医院から、対応できる医療機関を紹介してもらえる場合もあります。
一人で探し続けずに、まずは診断を受けた歯科医師へ相談してみるとよいでしょう。
保険適用でも自己負担はゼロではない
保険が使えると聞くと、費用の心配がなくなるように感じるかもしれません。
ところが実際には、まとまった金額の負担が残ります。
手術をともなう治療では、入院にかかる費用も加わってきます。
見通しを持っておけば、資金の準備も進められます。
ここでは、負担の内訳を4つの視点から整理します。
自己負担は原則3割
保険が適用された場合でも、費用の一部は自分で支払います。
公的医療保険では、かかった医療費のうち一定の割合を自己負担する仕組みになっているためです。
年齢や所得によって割合が変わります。
現役世代であれば自己負担は原則3割で、小学校就学前の子どもは2割となります。
矯正の総額が仮に100万円だとすれば、3割で30万円ほどの負担が生じる計算です。
全額自己負担と比べれば大幅に軽くなりますが、まとまった額であることに変わりはありません。
外科手術をともなう場合の費用
顎変形症の治療では、矯正のほかに手術と入院の費用がかかります。
あごの骨を切る処置は入院を必要とし、手術料や麻酔料、入院基本料などが加わるためです。
矯正費用とは別に発生します。
入院期間は1〜2週間程度になることが多く、その間の食事代や差額ベッド代は保険の対象外となります。
手術は矯正と並行して進むため、治療全体の期間も2〜3年以上に及びます。
負担は小さくありませんが、次に触れる制度によって上限が設けられています。
高額療養費制度という仕組み
1か月の医療費が高額になった場合、負担を抑える制度が用意されています。
高額療養費制度は、同じ月に支払った医療費の自己負担額が一定の上限を超えたとき、超えた分が払い戻される仕組みです。
年齢や所得に応じて上限額が決まります。
手術と入院が同じ月に集中する顎変形症の治療では、この制度が働く場面が生まれます。
事前に手続きをしておけば、窓口での支払いを上限額までにとどめられる方法もあります。
利用の可否や手続きは加入している健康保険によって異なりますから、保険者に問い合わせて確かめてみてください。
治療期間中の通院費も積み重なる
矯正は年単位で続く治療のため、通院にかかる費用も無視できません。
保険診療であっても、通院のたびに調整料などの自己負担が発生するためです。
回数が多ければ、その分だけ積み重なります。
1か月に1回の通院を2年続ければ、通院回数は20回を超えます。
遠方の医療機関に通う場合は、交通費も含めて考えておく必要があります。
金額の見通しを立てるときは、装置代だけでなく通院分まで含めて計算してみましょう。
保険適用と自由診療の違いを整理する
保険が使えるかどうかで、治療の中身がどう変わるのかも気になるところです。
費用だけでなく、選べる装置や通う医療機関にも違いが生まれます。
両者の性格を知っておけば、どちらを選ぶかの判断もしやすくなります。
保険適用が常に最善とは限らない、という視点も持っておきたいところです。
ここでは、4つの観点から整理します。
選べる装置の違い
保険診療では、使える装置の種類が限られます。
保険の対象となる材料が定められており、その範囲でしか治療を行えないためです。
自由診療のような選択肢の広さはありません。
保険での矯正は金属のブラケットとワイヤーによる治療が基本となり、目立ちにくい白いブラケットや裏側矯正、マウスピース矯正は対象外となります。
見た目への配慮を優先したい方にとっては、この点が制約に感じられるかもしれません。
装置の選択肢と費用の負担、どちらを重く見るかで判断が分かれてきます。
通う医療機関の違い
保険で治療を受ける場合、通える医療機関が限られます。
地方厚生局へ届け出た保険医療機関でなければ、保険診療として扱えないためです[1]。
近所の歯科医院を自由に選べるわけではありません。
自由診療であれば、通いやすさや歯科医師との相性で医療機関を選べます。
保険適用の場合は、対応している施設のなかから通える範囲を探すことになります。
通院は年単位で続きますから、距離と通いやすさも判断の材料に入れておきましょう。
治療方針の決まり方の違い
保険診療では、治療の進め方にも一定の枠があります。
診療報酬の仕組みに沿って、認められた処置を行うことになるためです。
自由度は自由診療より低くなります。
自由診療では、希望する仕上がりや通院の頻度に合わせて計画を組みやすくなります。
保険診療では、疾患への対応という目的が優先され、見た目の細かな希望が反映されにくい場面もあります。
どこまでを望むのかを整理しておけば、説明を受けたときの納得感も変わってきます。
どちらを選ぶかは診断結果で決まる
保険と自由診療のどちらになるかは、希望では選べません。
条件に当てはまるかどうかが、診断によって判断されるためです。
自分で選択できる部分ではありません。
条件を満たしている方であれば、保険での治療と自由診療の両方を検討できる場合もあります。
その際は装置の選択肢と費用を比べ、どちらを優先するかを決めることになります。
まずは診断を受けて自分の立ち位置を知ることが、判断の出発点になります。
対象外だった場合に負担を抑える方法
3つの条件に当てはまらなかった方が、実際には大多数を占めます。
保険が使えないと分かって、あきらめかけている方もいるでしょう。
保険以外にも、負担を軽くする手立ては用意されています。
制度を使う方法と、選び方を工夫する方法の2つに分けて考えると整理しやすくなります。
ここでは、4つの方法をお伝えします。
医療費控除を申請する
保険が使えない場合でも、医療費控除によって負担が軽くなる可能性があります。
医療費控除は、1年間に支払った医療費が一定額を超えたときに、確定申告によって所得税や住民税の一部が戻ってくる制度です。
矯正費用は高額になりやすく、対象と認められれば還付される金額もまとまったものになります。
歯列矯正については、受ける人の年齢や矯正の目的などからみて必要と認められる場合の費用が対象になるとされています[4]。
通院にかかった交通費も対象に含められる場合があり、家族の医療費と合算して申告することもできます。
領収書を保管する習慣をつけておけば、申告の際に慌てずに済みます。
対象になるかどうかの判断
医療費控除の対象になるかどうかは、治療の目的によって分かれます。
機能面の改善を目的とするか、見た目を整えることを目的とするかで扱いが変わるためです。
同じ矯正でも結論が異なります。
かみ合わせや発音に支障があり、その改善を目的とした治療であれば、大人であっても対象と判断される可能性があります。
一方、容姿を美しくすることを目的とした歯列矯正の費用は対象にならないと示されています[5]。
判断に迷うときは、診断書について歯科医師に、申告の可否について税務署に確かめておくと確実です。
分割払いやデンタルローンを利用する
一括での支払いが難しい場合、月々の負担を平準化する方法があります。
医療機関が独自の分割払いを用意している場合や、信販会社によるデンタルローンを扱っている場合があるためです。
始めるハードルを下げられます。
ただしデンタルローンには金利手数料が上乗せされるため、総支払額は現金一括より増えます。
治療を途中でやめた場合でも、支払い義務はそのまま残ります。
月々の金額だけでなく総支払額と中途解約の扱いまで確かめたうえで、判断してみてください。
総額を明示している医療機関を選ぶ
医療機関の選び方によっても、最終的な負担は変わります。
装置代だけを提示する医療機関と、検査料や調整料まで含めた総額を示す医療機関があるためです。
装置代が安く見えても、通院ごとの負担が積み上がれば逆転します。
検査・診断料、装置代、調整料、リテーナー代という4項目がそれぞれ含まれるかを確かめ、合計して比べるという方法が確実です。
追加費用が発生する条件を書面で示してもらえるかどうかも、判断の材料になります。
金額の低さではなく総額の分かりやすさで選べば、納得のいく治療につながります。
保険適用について確認しておきたいこと
制度の内容が分かっても、自分の場合にどうなるかは別の問題です。
思い込みで判断すると、機会を逃したり無駄足を踏んだりします。
確かめておきたい点をあらかじめ整理しておけば、相談の場でも要点を押さえられます。
聞きにくいと感じる内容ではありませんから、率直に尋ねてみてください。
ここでは、4つの視点をお伝えします。
診断を受けなければ判断できない
保険が使えるかどうかは、自分では判断できません。
定められた疾患に当てはまるか、手術が必要な状態かは、医学的な検査によって決まるためです。
見た目の程度では判断できません。
エックス線撮影や口の中の検査を受けたうえで、歯科医師が条件に該当するかを判断します。
自分では対象外だと思い込んでいた方が、検査の結果、条件に当てはまると分かる場合もあります。
費用の負担が大きいと感じているのであれば、まず診断を受けて確かめてみる価値があります。
治療の途中で保険に切り替わることはない
自由診療として始めた治療が、途中から保険診療に変わることはありません。
保険診療と自由診療を同じ治療のなかで混在させられない仕組みになっているためです。
最初の判断が最後まで続きます。
自由診療で矯正を始めたあとに顎変形症と判明した場合、その治療をそのまま保険に切り替えることはできません。
改めて届出をした医療機関で診断を受け、治療を組み直すことになります。
該当する可能性を感じているのであれば、治療を始める前に確かめておくことが重要です。
子どもの場合は自治体の助成も確認する
お子さんの治療では、自治体独自の助成制度が利用できる場合があります。
先天性疾患による治療に対して、医療費の助成を行っている自治体があるためです。
保険適用とは別の仕組みになります。
自立支援医療や小児慢性特定疾病の医療費助成といった制度が該当し、対象や手続きは自治体ごとに異なります。
問い合わせ先は、お住まいの市区町村の担当窓口や保健所になります。
保険適用と併せて確認しておけば、使える制度を取りこぼさずに済みます。
判断に迷うときの相談先
自分の状況をどこに相談すればよいか分からないときは、順序を決めておくと動きやすくなります。
内容によって、答えられる窓口が違うためです。
一つの窓口ですべては解決しません。
保険適用の可否については診断を受けた歯科医師に、届出をした医療機関の一覧については地方厚生局に、医療費控除については税務署に問い合わせるという分け方ができます。
治療費や契約の内容で困った場合は、各地の消費生活センターという窓口もあります。
一人で抱え込まずに済む先があると知っておくだけでも、動き出しやすくなるはずです。
歯列矯正の保険適用に関するよくある質問
Q:歯列矯正に保険は使えますか?
A:原則として自由診療にあたり、全額自己負担となります。
厚生労働大臣が定める疾患に起因する咬合異常、3歯以上の永久歯萌出不全、手術をともなう顎変形症という3つの条件を満たす場合に限り、保険診療の対象となります[1]。
見た目の改善を主な目的とした矯正は対象になりませんので、まずは診断を受けて確かめてみてください。
Q:マウスピース矯正でも保険は使えますか?
A:マウスピース矯正は、どのような歯並びであっても自由診療になります。
透明な装置が公的医療保険の対象となる材料に含まれていないためです。
3つの条件を満たしている場合でも、保険で治療を受けるならワイヤーを用いた装置での治療が前提になります。
Q:保険が使える歯科医院はどう探せばいいですか?
A:地方厚生局のホームページで、施設基準の届出状況を確認できます[3]。
自分の住む地域を管轄する厚生局のサイトで届出受理医療機関名簿を探し、都道府県別の一覧を確認するという流れになります。
対象となる条件によって扱える施設の種類が異なりますので、診断を受けた歯科医師に確かめておくと確実です。
Q:保険が使えない場合、負担を減らす方法はありますか?
A:医療費控除の対象になる可能性があります。
受ける人の年齢や矯正の目的などからみて必要と認められる場合の費用が対象になるとされており[4]、機能面の改善を目的とした治療であれば大人でも認められることがあります。
判断に迷うときは、診断書について歯科医師に、申告の可否について税務署に確かめてみてください。
まとめ
歯列矯正は原則として自由診療にあたり、費用は全額自己負担となります。
保険が適用されるのは、厚生労働大臣が定める疾患に起因する咬合異常、3歯以上の永久歯萌出不全、手術をともなう顎変形症という3つの条件を満たす場合に限られます。
条件を満たしていても、保険で治療を受けられるのは地方厚生局へ届け出た医療機関だけで、対象となる条件によって施設の種類も異なります。
マウスピース矯正は装置そのものが保険の対象外のため、どのような歯並びであっても自由診療になります。
保険が適用された場合でも自己負担は原則3割で、手術をともなう治療では入院費も加わります。
対象外だった場合は医療費控除の対象になる可能性があり、機能面の改善を目的とした治療であれば大人でも認められることがあります。
自分が条件に当てはまるかは診断を受けてはじめて分かりますので、まずは歯科医院で検査を受けて確かめてみましょう。
参考文献
[1] 厚生労働省保険局医療課医療指導監査室「保険診療の理解のために【歯科】」
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/dl/shidou_kansa_02.pdf
[2] 厚生労働省「特掲診療料の施設基準に係る届出書添付書類(様式83 顎口腔機能診断料の施設基準に係る届出書添付書類)」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken15/dl/6-2-2.pdf
[3] 関東信越厚生局「保険診療の理解のために【歯科】(令和7年度)」
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/07kanshin_shika.pdf
[4] 国税庁「No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1128.htm
[5] 国税庁「歯列を矯正するための費用」
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/05/08.htm
免責事項
※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、医療アドバイスではありません。
治療の適否や保険適用の可否については必ず歯科医師にご相談ください。
※保険適用の条件や対象疾患は、診療報酬の改定により変更される場合があります。最新の情報は厚生労働省または地方厚生局のホームページをご確認ください。
※医療費控除の適用可否については、所轄の税務署にご確認ください。