奥歯の奥の歯茎が痛い7つの原因|親知らず・歯周病の見分け方と自宅でできる応急処置

「一番奥の歯茎がズキズキ痛む」「奥歯のさらに奥が腫れている」「親知らずが原因なのか分からない」と悩んでいませんか?
奥歯の奥の歯茎の痛みは、親知らず(智歯)周辺の炎症である「智歯周囲炎」が代表的な原因とされていますが、歯周病や虫歯、膿の蓄積など別の原因が背景にあるケースもあります[1][7]。
親知らずが見えていない方や、すでに親知らずを抜歯した方でも痛みが出ることがあるため、自己判断は避けたほうが望ましい状態といえます[7]。
この記事では、奥歯の奥の歯茎が痛い代表的な原因、自宅でできる応急処置、すぐに歯科を受診すべきサイン、放置のリスクと予防法まで、公的機関の情報に基づいて分かりやすくまとめました。
奥歯の奥の歯茎が痛い主な7つの原因
奥歯の奥の歯茎が痛むときに考えられる原因は、一つではありません[1][7]。
親知らずの炎症や歯周病、虫歯など、口の中の状態によってさまざまな原因が想定されます[1][4]。
それぞれの原因によって対処法も変わるため、自分に当てはまるものを把握しておくことが大切です。
ここでは、特によく見られる7つの原因について、症状の特徴を整理してまいります。
①親知らずが原因の智歯周囲炎
奥歯の奥の歯茎が痛む原因でもっとも多いのが、智歯周囲炎です[7]。
智歯周囲炎は、親知らずの周囲の歯肉や歯周組織に細菌が感染して炎症を起こした状態とされています[7]。
親知らずは生えるためのスペースがないことが多く、斜めに倒れたり横向きに埋もれたりして、深い歯周ポケットができやすい傾向にあります[7]。
そのポケットには歯ブラシが届きにくく、食べかすや細菌が溜まりやすい環境ができてしまうため、炎症の温床になりやすい状態となります[7]。
体調を崩したときや疲れがたまっているときに発症しやすく、若い世代に多く見られる症状ともいわれています[7]。
繰り返しやすい性質があるため、痛みが落ち着いてから抜歯を検討するケースも多いと考えられます[7]。
②歯周病による歯ぐきの炎症
奥歯の奥の歯茎が痛む2つ目の原因として、歯周病による歯ぐきの炎症が挙げられます[1]。
歯周病は、歯と歯ぐきの隙間に侵入した細菌が歯肉に炎症を引き起こす病気とされています[1]。
奥歯は噛む力が強くかかる部位であり、歯周病が進行しやすい傾向にあります。
日本では45歳以上の過半数が4mm以上の歯周ポケットを保有しているという報告もあり、決して特殊な状態ではないといえます[2]。
歯ぐきの腫れや出血、口臭の悪化などをともない、噛んだときの鈍い痛みとしてあらわれるケースも見られます[1]。
軽度のうちは自覚症状が少ないため、歯ぐきの違和感に気づいた段階で歯科に相談しておくと安心できます[3]。
③一番奥の歯(第二大臼歯)の虫歯
奥歯の奥の歯茎が痛い場合、一番奥の歯である第二大臼歯の虫歯が背景にあるケースもあります[5]。
第二大臼歯は親知らずに次いで奥に位置しており、歯ブラシが届きにくく汚れがたまりやすい部位とされているためです[5]。
特に親知らずが斜めに生えている方は、親知らずと第二大臼歯のすき間に食べかすが残りやすく、虫歯のリスクが高まる傾向にあります[5]。
虫歯が進行して歯髄まで達すると、何もしていなくてもズキズキとした強い痛みが出ることがあります[5]。
歯ぐきにまで炎症が広がると、奥歯の奥の歯茎が腫れたり押したときに痛んだりするケースも考えられるでしょう[5]。
過去に治療した詰め物の下で再発しているケースもあるため、気になる方は早めに歯科で診てもらうと安心です[5]。
④歯ぐきへの食べかすの詰まり
意外に多い原因として、歯ぐきへの食べかすの詰まりがあります。
奥歯の奥は歯ブラシが届きにくく、繊維質のある食品やお肉のすじなどが歯ぐきに食い込むと、その刺激で痛みを感じることがあります。
詰まったままの食べかすは細菌の温床となり、歯肉炎を引き起こすきっかけになる場合もあります。
爪楊枝で無理に取ろうとすると歯ぐきを傷つけてしまうおそれがあるため、デンタルフロスや歯間ブラシを使ってやさしく除去するのが望ましい方法といえるでしょう。
食事のあとに鏡で奥歯まわりを確認する習慣をつけておくと、詰まりを早めに見つけられる傾向にあります。
異物を取り除いただけで痛みが落ち着く場合もあるため、応急対応として試してみる価値もあるはずです。
⑤歯肉に膿がたまっている状態
奥歯の奥の歯茎で強い痛みが続いている場合、歯肉に膿がたまっている可能性があります[1]。
歯周病が進行した中等度歯周炎や、根の先に炎症がある根尖性歯周炎などでは、歯ぐきに膿がたまりやすくなるとされています[1]。
膿がたまると歯ぐきがふくらみ、押すと痛みが強く出たり、口の中に独特の味や臭いを感じたりすることもあります[1]。
膿は自然に排出されることもありますが、骨の中で圧力が高まったままだと激しい痛みにつながるケースも考えられるでしょう。
歯ぐきからの出血や口臭の悪化、歯のぐらつきなどをともなう場合は、進行が一段階上がっているサインの可能性もあります[1]。
膿の蓄積は鎮痛剤だけでは対処が難しいため、なるべく早めに歯科で対応してもらうことが大切です[3]。
⑥歯茎にできた口内炎
奥歯の奥の歯茎が痛む場合、口内炎ができている可能性も考えられます。
口内炎は粘膜にできる炎症で、ストレス・疲労・睡眠不足・栄養バランスの乱れなどで発生しやすいとされています。
奥歯の奥の歯茎は確認しづらい場所のため、自分では気づかないうちに白っぽいできものや赤い発赤が起きていることも珍しくありません。
歯ブラシが当たったときや食事の刺激で痛みが出やすく、しみる感覚として感じる方もいらっしゃいます。
通常の口内炎は1〜2週間ほどで自然に治っていく傾向にありますが、2週間以上治らない場合や徐々に大きくなる場合は注意が必要です。
念のため鏡で奥の歯茎の状態を確認し、長引くようであれば歯科で診てもらうと安心できるでしょう。
⑦親知らずに反対側の歯が当たる外傷
奥歯の奥の歯茎が痛む原因として、親知らずに反対側の歯がぶつかる外傷も挙げられます[4]。
親知らずが完全に生えきらず歯肉が一部かぶさったままだと、噛んだときに上下の歯で歯肉をはさみ込み、傷をつけてしまうことがあるためです[4]。
特に下の親知らずに上の歯がぶつかるパターンが多く、繰り返し噛むうちに歯ぐきに潰瘍ができて痛みが強まるケースもあります[4]。
「噛むたびに奥の歯茎がチクッと痛む」「鏡で見ると赤くただれている」といった症状があれば、外傷が関係している可能性も考えられます。
放置していると傷から細菌が入り、智歯周囲炎へと発展するおそれもあるため注意したい状態です[7]。
歯肉を切除して親知らずを生えやすくする処置や、原因となる親知らずの抜歯を検討する選択肢もあるため、歯科で相談してみるのが望ましいでしょう[4]。
親知らずが見えていないのに奥歯の奥の歯茎が痛い理由
「親知らずがまだ生えていないのに奥の歯茎が痛む」と感じる方も少なくありません[7]。
親知らずは見えていなくても、歯肉の下や骨の中で問題を起こしているケースがあるためです[7]。
レントゲンで初めて親知らずの存在が分かる方も多く、見た目だけでは判断が難しい部位でもあります[7]。
ここでは、親知らずが表に出ていないのに奥歯の奥の歯茎が痛くなる代表的なパターンを2つ整理してまいります。
歯茎の中で親知らずが斜めに埋まっているケース
親知らずが歯茎の中で斜めに埋まっている場合、見た目には生えていなくても痛みを引き起こすことがあります[7]。
現代人は顎の骨が小さい傾向にあり、親知らずが正しい位置に生えるためのスペースが不足しがちとされています[7]。
そのため親知らずが斜めに倒れたり、横向きに埋もれたままになったりするケースが多くなる傾向にあります[7]。
斜めに埋まった親知らずは、手前の第二大臼歯を押す形になり、歯ぐきに圧力をかけて鈍い痛みや違和感を引き起こすことがあります[7]。
体調を崩したときや疲れがたまったときに、急に奥の歯茎が腫れてズキズキするのは、こうした埋伏歯が引き金になっているケースも考えられます[7]。
レントゲン撮影で初めて親知らずの位置や向きが確認できる場合も多いため、繰り返し痛みが出る方は歯科で確認してもらうと状況がはっきりしやすいでしょう[7]。
親知らずの周りに深い歯周ポケットができているケース
親知らずが少しだけ顔を出している状態でも、その周りに深い歯周ポケットができることで奥歯の奥の歯茎が痛むことがあります[7]。
親知らずが歯肉から半分だけ出ているような状態は、歯と歯ぐきの境目に深い溝ができ、食べかすや細菌が入り込みやすい環境を作りやすいとされているためです[7]。
ポケットの深い部分は歯ブラシが届きにくく、自分でケアするには限界があります[7]。
その結果、細菌が増殖して歯ぐきに炎症を起こし、智歯周囲炎へとつながっていくケースが多く見られます[7]。
「親知らずがまだ完全に生えてこないのに歯茎が腫れる」「奥のほうから膿のような味がする」といった症状は、深いポケット内で炎症が起きているサインの可能性があります[7]。
このパターンは繰り返しやすいため、症状が落ち着いたタイミングで親知らずの抜歯を検討することが選択肢に入ります[7]。
奥歯の奥の歯茎が痛いときに出やすい症状
奥歯の奥の歯茎の痛みには、ほかの症状をともなうことが少なくありません[1][7]。
腫れ・出血・膿・開口障害・発熱など、症状の組み合わせから状態の進行度合いを推測しやすくなります[7]。
自分の症状を整理しておくと、歯科を受診したときに状況を伝えやすくなり、適切な処置につながります。
ここでは、奥歯の奥の歯茎が痛むときに出やすい代表的な症状を3つに分けて整理してまいります。
歯茎の腫れ・出血・膿
奥歯の奥の歯茎が痛むとき、まず多く見られるのが腫れ・出血・膿といった症状です[1][7]。
歯茎が腫れて触るとぶよぶよする、歯磨きのときに出血する、口の中に独特の味を感じる、といった経過が代表的とされています[1]。
智歯周囲炎では、初期段階で歯肉の腫れや触ったときの痛み、出血などが見られるとされています[7]。
腫れがあるところを押すと膿が出ることもあり、口臭の悪化につながる場合もあります[7]。
歯周病が進行した中等度歯周炎では、歯ぐきからの出血や膿の排出を伴いやすい状態とされています[1]。
歯茎の腫れや膿は炎症が起きているサインのため、清潔を保ちながら早めに歯科で対応してもらうことが大切です[3]。
口を開けにくい・噛むと痛い
奥歯の奥の歯茎の痛みに、口の開けにくさや噛んだときの痛みがともなうケースもあります[7]。
智歯周囲炎の症状が進行すると、炎症が口を開け閉めする筋肉(咀嚼筋)にまで広がり、開口障害が起きることがあるためです[7]。
「口が指2本分しか開かない」「あくびをするとつらい」といった状態は、炎症が筋肉まで波及している可能性が高いといえます[7]。
噛むと奥歯の奥が響くように痛む場合は、親知らずに上の歯が当たって歯肉を傷つけているケースや、第二大臼歯の根の先に炎症が起きているケースも考えられます[5]。
食事や会話に支障が出るほどの痛みや開口障害がある場合は、自宅での応急処置だけでは対応が難しく、歯科での処置が必要な状態の可能性が高まります[7]。
無理に口を開けようとせず、安静を保ちながら早めに歯科を受診するのが望ましいでしょう[7]。
発熱・リンパ節の腫れ
症状が進行すると、発熱やリンパ節の腫れをともなうこともあります[7]。
智歯周囲炎は体調が悪いときや免疫力が落ちているときに起こりやすく、悪化すると顎の下のリンパ節や扁桃腺が腫れるケースが見られます[7]。
さらに進行すると、頬や顎の下まで腫れが広がり、発熱や全身のだるさを感じるようになることもあります[7]。
炎症が広範囲に及ぶ「頬部蜂窩織炎(きょうぶほうかしきえん)」と呼ばれる状態になると、入院治療が必要になるケースもある点に注意が必要です[7]。
特に糖尿病をお持ちの方やステロイド薬を長期間服用されている方、免疫力が低下している方は重症化しやすい傾向があるとされています[7]。
発熱や顔の腫れ、飲み込むときの痛みなどが出てきた場合は、自己判断で様子を見ず、早めに歯科口腔外科を受診することが望ましい状態といえるでしょう[7]。
奥歯の奥の歯茎が痛いときに自宅でできる応急処置
奥歯の奥の歯茎が痛いとき、すぐに歯科に行けない場合は自宅でできる応急処置で症状を和らげる方法があります[7]。
ただし応急処置はあくまで一時的なもので、根本的な原因を解決するものではない点を理解しておくことが大切です[7]。
応急処置で痛みが落ち着いたとしても、原因が残っていれば再発する可能性があるため、できるだけ早めに歯科を受診する姿勢が望ましい状態といえます[7]。
ここでは、自宅で取り入れやすい4つの応急処置を整理してまいります。
ぬるま湯でやさしくうがいをする
奥歯の奥の歯茎が痛むときは、まずぬるま湯でやさしくうがいをすることが基本の応急処置となります[7]。
口の中に食べかすや汚れが残っていると細菌が増えやすくなり、炎症を悪化させる原因となるためです[7]。
水温は体温に近いぬるま湯が望ましく、冷たすぎる水は刺激になり、熱すぎるお湯は粘膜を傷つけるおそれがあります。
強くブクブクとうがいをすると逆に炎症を悪化させることもあるため、口に含んでやさしく動かす程度にとどめるのがポイントとされています。
殺菌作用のあるうがい薬を使用する場合は、刺激が少ないノンアルコールタイプを選ぶと、患部への負担を抑えやすくなります。
うがいを習慣化することで、口の中を清潔に保ちながら歯科の受診を待つ間も症状の悪化を防ぎやすくなるでしょう[7]。
頬の外側から患部を冷やす
歯茎の腫れや痛みが強いときは、頬の外側から患部を冷やすことで症状を和らげやすくなります。
炎症が起きている部分は血流が増えて熱を持ちやすいため、外から冷やすことで一時的に痛みが軽減する傾向にあります。
冷やす際は、保冷剤や冷却シートをタオルで包み、頬の上から数分間あてるのが目安とされています。
氷を直接口の中に入れたり、長時間冷やし続けたりすると血行が悪くなって逆効果になる場合もあるため注意が必要です。
冷やす方法はあくまで一時的に痛みを抑えるための手段であり、根本的な治療には繋がらない点を理解しておきましょう。
「腫れが強くて顔の輪郭が変わっている」「冷やしても痛みが増していく」といった場合は、自宅での対処では追いつかない可能性が高いため、早めの受診が望ましい状態となります[7]。
市販の鎮痛剤を正しく服用する
痛みが強く我慢できないときは、市販の鎮痛剤を活用することも応急処置の選択肢となります。
ドラッグストアで「歯の痛み」への効能が記載されている鎮痛剤を選び、用法・用量を必ず守って服用することが大切です。
空腹時を避け、食後に服用することで胃への負担を軽減しやすくなる傾向にあります。
ただし鎮痛剤はあくまで痛みを一時的に抑えるもので、炎症の原因を取り除くものではない点を理解しておく必要があります[7]。
妊娠中・授乳中の方や持病がある方、ほかにお薬を服用している方は、薬剤師や医師に相談してから使用するようにしましょう。
鎮痛剤で痛みが落ち着いたタイミングで歯科に予約を入れると、移動や治療がスムーズに進みやすくなるはずです[7]。
やわらかい歯ブラシで口の中を清潔に保つ
奥歯の奥の歯茎が痛むときも、口の中を清潔に保つことは欠かせない応急処置の一つです[3]。
痛いからといって歯磨きをやめてしまうと、細菌がさらに増えて炎症を悪化させてしまう可能性があるためです[3]。
毛先がやわらかい歯ブラシを選び、痛む部位を直接強く磨かないように気をつけながら、ほかの部分はていねいに磨くようにしましょう[3]。
奥歯の奥はヘッドの小さな歯ブラシやワンタフトブラシを使うと、患部に余計な刺激を与えずにケアしやすくなります。
歯磨き粉は刺激の強いタイプを避け、低刺激のものを少量だけつけるとしみる感覚を抑えやすい傾向にあります。
清潔を保ちつつも痛みが強い場合は無理をせず、うがいやノンアルコールの洗口液で代用することも一つの方法といえるでしょう[7]。
奥歯の奥の歯茎が痛いときにやってはいけないNG行動
奥歯の奥の歯茎が痛むとき、よかれと思って行った行動が症状を悪化させてしまうことがあります[7]。
炎症が起きている状態では、血行が促進される行為や患部への刺激が逆効果になる場合があるためです。
応急処置と合わせて「やらないほうが良いこと」も知っておくことで、症状の悪化を防ぎやすくなります。
ここでは、自宅での対応で特に避けたい3つのNG行動を整理してまいります。
入浴・飲酒・激しい運動を控える
奥歯の奥の歯茎が痛むときは、入浴・飲酒・激しい運動などの血行を促進する行為を避けることが大切です。
体が温まると血流が増え、炎症のある部位に集まる血液量も増えるため、腫れや痛みが強くなる傾向にあります。
長時間の入浴や熱いシャワーは控え、痛みが強い時期はぬるめのシャワーで短時間に済ませるのが望ましいでしょう。
飲酒も血行を促進するうえに、口の中の粘膜を刺激し、薬の作用にも影響する可能性があるため避けたい行動の一つです。
ジョギングや筋力トレーニングなど運動による発汗も同様に痛みを増す要因となりやすいため、症状が落ち着くまで控えめにしておくと安心できます。
「お風呂で温まれば治るかも」と考える方もいらっしゃいますが、炎症がある状態ではむしろ逆効果となるケースが多い点を覚えておきましょう。
歯茎を強く押したり触ったりしない
痛みや腫れが気になっても、歯茎を指で強く押したり、舌で繰り返し触ったりするのは避けたい行動です。
膿が出そうな感覚があっても、自分で押し出そうとすると炎症を広げたり、別の部位に細菌を広げたりするおそれがあります。
「膿を出せばラクになるかも」と思って押す方もいらっしゃいますが、原因は歯茎の表面ではなく深い場所にあることが多いため、押し出しても根本的な解決にはつながりません。
爪楊枝や金属製の器具で奥の食べかすを取ろうとすると、炎症がある歯ぐきを傷つけ、感染をさらに広げてしまう可能性もあります。
舌で触り続ける行為も粘膜を擦って炎症を長引かせる要因となるため、できるだけ意識的に控えるようにしましょう。
清掃が必要な場合はやわらかい歯ブラシやデンタルフロスでやさしく行い、無理な力を加えないことが原則です[3]。
自己判断で残っている抗生物質を飲まない
過去に処方された抗生物質が手元に残っていても、自己判断で服用するのは避けたい行動の一つです。
抗生物質は感染症の種類や原因菌に合わせて処方されているため、別のときに処方された薬が今の症状に合うとは限らないとされています。
中途半端な服用は耐性菌を作り出す原因となり、本当に必要なときに薬が効きにくくなるリスクがあるとされています。
「以前同じような症状で飲んだら効いたから」という理由で服用を続けると、症状が一時的に隠れてしまい、歯科を受診したときに正確な診断が難しくなることもあります。
抗生物質は医師の判断のもとで適切な種類と量を処方してもらうことが原則となります。
痛みを抑えたい場合は市販の鎮痛剤で対応しつつ、抗生物質が必要かどうかは歯科で診断を受けたうえで判断してもらうのが望ましい流れといえるでしょう。
奥歯の奥の歯茎が痛いときの受診の目安と何科を選ぶか
奥歯の奥の歯茎が痛むとき、どのタイミングで受診すべきか、また何科を選べばよいか迷う方も多いはずです[7]。
軽度の症状であれば一般的な歯科で対応できますが、症状によっては歯科口腔外科や大学病院での治療が必要になるケースもあります[7]。
判断基準を知っておくことで、必要な場面で迷わず適切な医療機関を選びやすくなります。
ここでは、すぐに歯科を受診すべきサインと、歯科口腔外科を検討したほうが良いケースを整理してまいります。
すぐに歯科を受診すべきサイン
奥歯の奥の歯茎の痛みは、軽い違和感であっても歯科を受診したほうが望ましい状態とされています[7]。
放置していると症状が悪化したり、再発を繰り返したりする可能性があるためです[7]。
特に以下のような症状がある場合は、早めの受診が望ましいといえます。
歯茎が腫れて触ると強く痛む、奥歯のほうから膿のような味や臭いを感じる、噛むと響くような痛みが出る、といった症状は炎症が進行している可能性が高いサインとされています[1][7]。
また、痛みで眠れない、市販の鎮痛剤を飲んでも痛みが落ち着かない、口を開けにくいといった日常生活に支障が出る状態も、早めの受診を考えたほうがよいでしょう[7]。
智歯周囲炎は緊急対応を必要とする状態と位置づけられているケースもあるため、症状を軽く見ずに早めに歯科に連絡を取ることが大切とされています[7]。
歯科口腔外科を受診したほうが良いケース
症状が重い場合や、外科的な処置が必要となるケースでは、歯科口腔外科の受診を検討するのが望ましい流れです[7]。
歯科口腔外科は、親知らずの抜歯や顎の骨に関わる処置、口の中の外科処置を専門とする診療科とされています。
「顔が腫れてきた」「口が大きく開けられない」「飲み込むときに痛い」「発熱が続いている」といった症状がある場合は、一般的な歯科ではなく口腔外科の受診を視野に入れたほうが安全といえます[7]。
特に頬や顎の下、首にかけて腫れが広がっている場合は、頬部蜂窩織炎などの重症な状態に進行している可能性もあり、入院治療が必要になるケースも報告されています[7]。
糖尿病をお持ちの方、ステロイド薬を長期服用している方、免疫力が低下している方は重症化しやすいため、早めの口腔外科受診が望ましいとされています[7]。
歯科口腔外科を併設しているクリニックや、大学病院・総合病院の口腔外科であれば、レントゲン検査やCT撮影による正確な診断と、必要に応じた外科処置をスムーズに受けられる環境が整っています[7]。
歯科医院で受けられる治療法
歯科医院では、奥歯の奥の歯茎の痛みに対して原因に応じたさまざまな治療法が選ばれます[3][7]。
軽度の炎症であれば洗浄と内服薬で落ち着くことが多いものの、繰り返す場合や進行している場合は外科的な対応が選択されることもあります[7]。
ここでは、代表的な3つの治療法を整理してまいります。
洗浄と抗菌薬の処方
軽度〜中等度の智歯周囲炎には、まず患部の洗浄と抗菌薬の処方が行われるのが一般的とされています[7]。
腫れている歯肉の周辺を生理食塩水などで洗浄し、炎症の原因となっている細菌や食べかす、毒素を物理的に取り除いていきます[7]。
その後、原因となっている細菌に対応した抗菌薬の内服を進めることで、炎症の鎮静を目指す流れとなります[7]。
軽症であれば、洗浄と内服薬による対応で症状が落ち着くケースが多いとされています[7]。
ただし顔まで腫れが広がっている場合は内服薬だけで治らないこともあり、抗菌薬の点滴が必要になる場合もあります[7]。
抗菌薬は症状が落ち着いたあとも処方された日数を最後まで飲み切ることが重要で、自己判断で中断すると再発のリスクが高まる点に注意が必要です。
親知らずの抜歯
智歯周囲炎を繰り返す場合、原因となっている親知らずの抜歯が選択肢に入ります[7]。
親知らずの周囲は歯ブラシが届きにくく細菌が増殖しやすい環境のため、原因となる親知らずが残っている限り再発のリスクが続くとされているためです[7]。
ただし、炎症を起こしている最中は原則として抜歯ができないため、まずは洗浄や抗菌薬で炎症を落ち着かせてから抜歯のタイミングを決めていきます[7]。
親知らずがまっすぐ生えている場合は通常の奥歯の抜歯と同程度の処置で済むことが多いですが、深い位置に横向きに埋もれている場合は外科的な処置が必要となり、抜歯後1週間ほど腫れや痛みが続くこともあります[7]。
下顎の親知らずは大きな神経の近くに生えていることがあるため、ケースによっては大学病院や総合病院の口腔外科を紹介されることもあります[7]。
時間に余裕があるうちに歯科でレントゲンを撮り、抜歯のタイミングを相談しておくと、急な腫れに振り回されるリスクを減らしやすいでしょう[7]。
歯周病の治療(歯石除去・スケーリング)
奥歯の奥の歯茎の痛みが歯周病に由来する場合は、歯周病の治療が必要になります[3]。
歯周病治療の基本は、歯みがき指導と歯石除去・スケーリングといった専門的なクリーニングとされています[3]。
歯科衛生士が専用の器具を使い、歯と歯茎の境目や歯周ポケットの中にたまった歯石・プラークを丁寧に取り除いていきます[3]。
軽度〜中等度の歯周病であれば、スケーリングやルートプレーニングといった非外科的な処置で改善を目指すケースが多い傾向にあります[3]。
進行が深く骨にまで影響が及んでいる場合は、歯肉を切開して深い部分の歯石を取り除く歯周外科治療が選ばれることもあります[3]。
治療後も再発を防ぐためには、毎日のセルフケアと定期的なメインテナンスを続けることが欠かせません[3]。
奥歯の奥の歯茎の痛みを予防する日常習慣
奥歯の奥の歯茎の痛みは、日常のちょっとした習慣を整えることで予防につなげやすくなります[3][6]。
毎日の歯磨きや生活習慣、定期的な歯科検診の組み合わせで、智歯周囲炎や歯周病のリスクを下げることができるためです[3]。
ここでは、今日から取り入れられる3つの予防習慣を整理してまいります。
奥まで届く正しい歯磨きを身につける
奥歯の奥の歯茎の痛みを予防するうえで、もっとも基本となるのが奥までしっかり届く歯磨きを身につけることです[3]。
歯みがきは歯周治療の基本ともされ、毛先の届き方や角度によって汚れの落ち方が大きく変わるとされています[3]。
奥歯の奥は通常の歯ブラシでは毛先が届きにくいため、ヘッドの小さい歯ブラシやワンタフトブラシを併用するのが効果的とされています。
毛先を歯と歯ぐきの境目に45度の角度であて、小刻みに動かすことで歯垢を効率良く落としやすくなります[3]。
親知らずがある方は、親知らずと第二大臼歯のすき間にも意識を向けてブラシを動かすと、智歯周囲炎の予防につながります[7]。
歯ブラシだけでは届かない汚れは、デンタルフロスや歯間ブラシを併用して取り除くことで、奥のケアが格段に進めやすくなるでしょう。
免疫力を保つ生活習慣を心がける
智歯周囲炎は、体調を崩したときや疲れがたまったときに発症しやすいとされているため、免疫力を保つ生活習慣が予防につながります[7]。
睡眠不足やストレス、過労が続くと体の抵抗力が低下し、口の中の細菌に対する防御力も弱まる傾向にあります[7]。
規則正しい睡眠を意識し、毎日できるだけ同じ時間に休む習慣をつけることで、体の回復力を維持しやすくなります。
栄養バランスの取れた食事を心がけ、野菜・たんぱく質・発酵食品などをまんべんなく取り入れていくことも、免疫機能のサポートに役立つ傾向にあります。
「忙しい時期に限って奥歯の奥が腫れる」と感じる方は、生活習慣の乱れがサインとして現れている可能性もあるため、ライフスタイルを見直すきっかけにすることもできます[7]。
風邪を引いたとき、試験や繁忙期で寝不足が続いたときは、特に口の中のケアと休息を意識するように心がけましょう[7]。
定期的に歯科検診を受ける
奥歯の奥の歯茎の痛みを未然に防ぐためには、定期的に歯科検診を受ける習慣が大切とされています[6]。
虫歯や歯周病、智歯周囲炎は初期段階では自覚症状が少ないため、早期発見・早期治療を進めるうえで定期検診の役割は大きいといえます[3][6]。
検診ではレントゲン検査や歯周ポケットの測定、口の中全体のチェックが行われ、自分では気づきにくい初期の異常を見つけてもらえます[3]。
親知らずがある方や過去に智歯周囲炎を経験された方は、現在の親知らずの状態をレントゲンで定期的に確認しておくと、抜歯のタイミングを計画的に検討しやすくなります[7]。
歯科衛生士による専門的なクリーニングで、自分のセルフケアでは落としきれない歯石や歯垢を取り除いてもらうこともでき、再発予防に役立ちます[3]。
検診の頻度は症状や口の中の状態によって異なりますが、3〜6か月に1回を目安に通うことで、痛みの予兆を早めにキャッチしやすくなるでしょう[6]。
奥歯の奥の歯茎が痛いことに関するよくある質問
奥歯の奥の歯茎の痛みについて、受診のタイミングや特殊な状況での対応に悩む方が多くいらっしゃいます。
ここでは、特に多く寄せられる4つの質問について、目安となる答えを整理してまいります。
Q:奥歯の奥の歯茎の痛みは自然に治りますか?
智歯周囲炎は腫れや痛みが出ても、多くの場合1週間程度で症状が落ち着くこともあるとされています[7]。
ただし症状が一時的に治まっても、原因となっている親知らずや細菌の温床が残っている限り、疲れや体調不良をきっかけに再発を繰り返す傾向にあります[7]。
繰り返しやすい性質があるため、痛みが落ち着いたタイミングで歯科を受診し、根本原因を確認しておくのが望ましい流れといえます[7]。
Q:親知らずが見えていなくても抜歯が必要ですか?
親知らずが見えていなくても、レントゲンで斜めや横向きに埋まっている状態が確認された場合、将来的にトラブルを起こすリスクが高いとされています[7]。
繰り返し炎症を起こす親知らずや、手前の第二大臼歯に悪影響を及ぼす可能性がある親知らずは、抜歯が選択肢に入ることが多くあります[7]。
抜歯するかどうかは生え方や年齢、全身の状態を踏まえて判断されるため、まずは歯科でレントゲンを撮って状況を確認してもらうのが望ましい流れです[7]。
Q:妊娠中に奥歯の奥の歯茎が腫れたらどうすれば?
妊娠中はホルモンバランスの変化や免疫力の変動により、智歯周囲炎などの炎症が起こりやすい時期とされています[7]。
ご自身の判断で市販薬を使うのは避け、まずはかかりつけの歯科に妊娠中であることを伝えたうえで相談するのが望ましい状態です。
妊娠中でも安定期であれば対応可能な処置もあるため、産婦人科とも連携しながら適切な時期と方法を選んでもらうと安心できるでしょう[7]。
Q:何度も繰り返す奥歯の奥の痛みは抜歯したほうがよいですか?
一度炎症を起こした親知らずは、繰り返し炎症を起こすことが多いとされており、抜歯を検討するケースが多くあります[7]。
ただし炎症を起こしている最中は原則として抜歯ができないため、洗浄や抗菌薬で炎症を落ち着かせてから抜歯のタイミングを決めていく流れになります[7]。
時間に余裕があるうちに歯科でレントゲンを撮り、抜歯の必要性や方法について相談しておくと、急な腫れに振り回されるリスクを減らしやすいでしょう[7]。
まとめ
奥歯の奥の歯茎が痛い原因は、智歯周囲炎・歯周病・第二大臼歯の虫歯・食べかすの詰まり・膿の蓄積・口内炎・親知らずによる外傷など多岐にわたります[1][5][7]。
親知らずが見えていない状態でも、歯茎の中で斜めに埋まっていたり、深い歯周ポケットができていたりすることで痛みが出るケースもあります[7]。
自宅でできる応急処置としては、ぬるま湯でのうがい、頬の外側からの冷却、市販の鎮痛剤の服用、やわらかい歯ブラシでの清潔保持などが挙げられます[7]。
入浴・飲酒・激しい運動、歯茎を強く押す行為、自己判断での抗生物質服用などは症状の悪化を招くおそれがあるため避けたい行動です。
「腫れが顔まで広がる」「口が開きにくい」「発熱がある」といった症状がある場合は、歯科口腔外科の受診を検討するのが望ましい状態となります[7]。
歯科では原因に応じて洗浄・抗菌薬・親知らずの抜歯・歯周病治療などが進められ、繰り返す方は予防的な抜歯も選択肢に入ります[3][7]。
奥まで届く歯磨き、免疫力を保つ生活習慣、定期的な歯科検診を組み合わせることで、奥歯の奥の歯茎の痛みを予防しやすい状態をキープしていきましょう[3][6]。
参考文献
[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯周病とは」(最終閲覧日:2026年5月22日)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-03-001.html
[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯周疾患の有病状況」(最終閲覧日:2026年5月22日)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-03-004.html
[3] 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯周病の予防と治療」(最終閲覧日:2026年5月22日)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-03-006.html
[4] 厚生労働省 e-ヘルスネット「親知らず」(最終閲覧日:2026年5月22日)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/teeth/yh-036.html
[5] 厚生労働省 e-ヘルスネット「むし歯の特徴・原因・進行」(最終閲覧日:2026年5月22日)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-02-001.html
[6] 厚生労働省 e-ヘルスネット「『8020』達成のために必要な予防対策」(最終閲覧日:2026年5月22日)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-01-005.html
[7] 社会福祉法人 恩賜財団 済生会「智歯周囲炎」(最終閲覧日:2026年5月22日)
https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/pericoronitis_of_the_wisdom_tooth/
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