奥歯が痛い原因8選|症状別の見分け方と自宅でできる応急処置・受診の目安

「奥歯がズキズキと痛む」「噛むたびに違和感がある」「夜になると痛みが強くなる」と悩んでいませんか?

奥歯の痛みの原因は虫歯だけでなく、歯周病や親知らず、歯ぎしり、副鼻腔炎などさまざまで、痛み方や場所によって考えられる原因も異なります。

一時的に痛みを和らげる応急処置はあるものの、奥歯の痛みは自然に治ることが少なく、放置すると治療が大がかりになる場合もあるため、早めの対処が大切です[1][2]。

この記事では、奥歯の痛みの主な原因、症状別の見分け方、自宅でできる応急処置、歯科を受診するタイミングや何科を選べばよいかについて分かりやすくまとめました。

奥歯が痛い原因として多い5つの病気

奥歯の痛みの背景には、いくつかの代表的な歯科疾患が関わっています。

厚生労働省の調査では、25〜64歳で「歯が痛い、しみる」を訴える人が多いと報告されました[5]。

特に奥歯は歯ブラシが届きにくく、虫歯や歯周病が起こりやすい部位といえるでしょう[1]。

ここでは、奥歯が痛む代表的な5つの病気について、原因と特徴を整理してまとめます。

虫歯(むし歯)の進行による痛み

奥歯の痛みでもっとも多い原因は、進行した虫歯による痛みです[1]。

虫歯は細菌が糖質を分解して作り出す酸が歯を溶かすことで生じ、奥歯の溝や歯と歯の間から発生しやすいと報告されています[1]。

浅い虫歯では痛みを感じませんが、象牙質に達すると冷たい物や甘い物がしみるようになります[1]。

さらに歯の神経である歯髄にまで進行すると、何もしていなくてもズキズキとした激しい痛みが続くことがあります[1]。

過去に治療した歯でも、詰め物や被せ物の下で虫歯が再発し、徐々に痛みが出てくるケースも少なくありません。

虫歯は自然に治癒しないため、しみる感じや鈍い痛みに気づいた時点で、できるだけ早めに歯科医院へ相談しておくと安心できるでしょう[1]。

歯周病による歯ぐきの炎症

奥歯が痛む原因として、虫歯と並んで多いのが歯周病による歯ぐきの炎症です[2]。

歯周病は歯と歯ぐきの境目に侵入した細菌が、歯肉に炎症を引き起こす疾患とされています[2]。

噛む力が強くかかる奥歯は、歯周病が進行しやすい部位といえます。

日本では45歳以上の過半数に4mm以上の歯周ポケットが見られると報告されており、決して特殊な状態ではありません[3][8]。

歯ぐきの腫れや出血、口臭の悪化などをともなうことも多く、噛むときの鈍い痛みとして自覚されるケースもあります。

自覚症状が軽くても進行が静かに続いている場合があるため、気になる方は歯科で検査を受けておくと安心です[4]。

親知らず(智歯周囲炎)の影響

奥歯のさらに奥が痛む場合、親知らずの周囲で炎症が起きている可能性があります[7]。

親知らずは大人の奥歯のうちもっとも後ろに位置する歯で、斜めや横向きに生えると清掃が難しく、細菌がたまりやすい状態になりがちです。

その結果、歯ぐきに炎症(智歯周囲炎)が起こり、噛むときや口を開けるときに痛みを感じるようになります[7]。

下あごの親知らずでは、歯ぐきの腫れや膿、口臭、開口障害など複数の症状をともなうケースもあります。

症状が悪化すると発熱やリンパ節の腫れにつながる場合もあるため、軽く考えず対応することが必要です。

親知らずが原因の痛みは自己判断が難しいため、気になる症状があれば歯科で診てもらうと安心できるでしょう[7]。

歯髄炎・根尖性歯周炎による神経の炎症

何もしていないのに奥歯がズキズキと激しく痛む場合、歯髄炎や根尖性歯周炎が起きている可能性があります[1]。

歯髄は歯の中心部にある神経や血管が通る組織で、虫歯が進行して細菌が歯髄に到達すると強い炎症が生じます[1]。

歯の神経が壊死して根の先まで炎症が広がると、根尖性歯周炎へと進行し、噛んだときの痛みや膿の症状があらわれることもあります。

拍動性の強い痛みや、温かい物への反応などが特徴的で、夜間や横になったときに痛みが増しやすい傾向があると考えられています。

放置すると神経の壊死や歯の喪失につながる場合もあるため、早期の対応が大切です。

強い自発痛が続く場合は我慢せず、できるだけ早く歯科を受診することが望ましいでしょう。

知覚過敏で刺激に敏感になっている状態

冷たい物や熱い物を口にしたときに奥歯がしみる場合は、知覚過敏が起きているかもしれません。

知覚過敏は、エナメル質がすり減ったり歯ぐきが下がったりして、内側の象牙質が露出することで生じる症状とされています。

象牙質には神経につながる細い管が無数にあり、温度や圧力などの刺激が伝わると鋭い痛みを感じます。

歯ぎしりや強いブラッシング、加齢による歯ぐきの後退などが原因として挙げられ、奥歯にも起こりうる症状です。

刺激を受けたときに一時的にしみるのが特徴で、刺激がなくなれば痛みもおさまる傾向にあります。

知覚過敏と思っていても初期の虫歯が隠れているケースもあるため、しみる症状が続く場合は一度歯科で相談しておくと良いでしょう。

虫歯ではないのに奥歯が痛いときに考えられる原因

虫歯や歯周病が見つからないにも関わらず、奥歯が痛むケースは少なくありません。

歯科では、歯や歯ぐき以外が原因で起こる歯の痛みを「非歯原性歯痛」と呼び、複数の要因が関係するとされています。

噛みしめのクセや鼻の病気、神経の異常など、思いがけないところに痛みの原因が潜んでいることもあります。

ここでは、虫歯ではないのに奥歯が痛む代表的な3つの原因について整理してまいります。

歯ぎしり・食いしばりによる歯根膜炎

歯ぎしりや食いしばりによって、奥歯に過剰な力がかかり続けることで痛みが出るケースがあります。

歯根膜は歯と歯を支える骨の間にあるクッションのような組織で、強い圧力が長時間かかると炎症(歯根膜炎)を起こすことがあるためです。

朝起きたときに顎がだるい、奥歯が浮いた感じがする、頬の内側に歯型がついているといった特徴があれば、無意識の食いしばりが関与している可能性も考えられます。

特に下あごの奥歯はもっとも力がかかりやすい部位とされ、噛んだときの違和感や鈍い痛みとしてあらわれやすい傾向にあります。

リラックス時に上下の歯を離す意識を持つだけでも、奥歯への負担を減らせるケースもあるでしょう。

症状が強い場合や夜間の歯ぎしりが疑われる場合は、歯科で相談してマウスピース(ナイトガード)の作成を検討するのも一つの方法です。

副鼻腔炎(上顎洞炎)が原因で奥歯が痛むケース

上の奥歯が痛む場合、副鼻腔炎(上顎洞炎)が背景にある可能性があります。

上顎の奥歯の根の先は、鼻の奥にある「上顎洞」と呼ばれる空洞に近接しており、この空洞で炎症が起こると上の奥歯にも痛みとして感じられることがあるためです。

風邪のあとに鼻づまりや黄色い鼻水が続いている、頬の奥が重く感じる、前かがみになると痛みが増す、といった症状をともなう場合は、副鼻腔炎が関係しているケースもあります。

歯そのものに虫歯や歯周病がないのに上の奥歯がズーンと重く痛む方は、鼻の症状もあわせて思い返してみると判断のヒントになるかもしれません。

副鼻腔炎が原因の場合、歯科ではなく耳鼻咽喉科での治療が必要になることが多い傾向です。

奥歯の痛みと鼻症状が重なっている場合は、まず歯科で歯由来の問題がないか確認してもらうと、次に進む科の判断もしやすくなるでしょう。

ストレスや神経痛による非歯原性歯痛

検査をしても歯や歯ぐきに異常がないのに奥歯が痛む場合、神経やストレスが関わる「非歯原性歯痛」が疑われることがあります。

三叉神経痛や片頭痛、群発頭痛などでは、顔面や奥歯に痛みが放散する形であらわれることが知られているためです。

電気が走るような鋭い痛み、頭痛とリンクして強まる痛み、決まった時間帯に繰り返される痛みなどがある場合は、神経や血管由来の痛みが関係している可能性も考えられます。

また、強い緊張やストレスが続くと、無意識のうちに食いしばりが増え、咀嚼筋が炎症を起こして奥歯付近に痛みを感じることもあるでしょう。

このタイプの痛みは歯科での治療だけでは改善しにくいケースもあり、他の診療科との連携が必要になる場合もあります。

歯科で異常が見つからないのに痛みが続く場合は、口腔顔面痛外来やペインクリニックなどに相談する選択肢もあるため、一人で抱え込まずに専門家に相談してみると安心です。

奥歯の痛み方・タイミングから原因を見分けるポイント

奥歯が痛むタイミングや痛み方には、原因を推測するヒントが隠れています。

噛んだときに痛むのか、何もしなくても痛むのか、夜に強まるのかといった違いによって、考えられる病気が変わってくるためです。

自分の痛みのパターンを把握しておくと、歯科を受診したときに症状を伝えやすくなります。

下の表を参考に、痛み方や症状から考えられる主な原因の見当をつけてみてください。

痛み方・症状考えられる主な原因
冷たい物・甘い物がしみる虫歯(初期〜中等度)・知覚過敏
何もしなくてもズキズキ痛む歯髄炎・根尖性歯周炎
噛むと痛い歯根膜炎・根尖性歯周炎・ひび割れ
夜になると痛みが強まる歯髄炎の進行
奥のさらに奥が痛む親知らず(智歯周囲炎)
上の奥歯が重く痛む+鼻症状副鼻腔炎(上顎洞炎)
歯ぐきの腫れ・出血・口臭歯周病

噛むと奥歯が痛い場合に考えられる原因

噛んだときに奥歯がズキッと痛む場合は、歯根膜炎や根尖性歯周炎、ひび割れなどが疑われます[1]。

歯根膜は歯と骨をつなぐクッションの役割を持っており、虫歯が進行して根の先で炎症が起きると、噛む圧力に反応して鋭い痛みを発するためです。

過去に神経の治療を行った歯が再び痛む場合は、根の先に膿がたまる根尖性歯周炎の可能性もあります。

また、詰め物や被せ物の高さが合っていない、歯にひびが入っている、歯ぎしりで歯根膜が傷んでいる、といった力に関わる原因もよく見られます。

噛むと痛い症状は自然に消えることが少なく、放置すると神経の壊死や歯の破折につながる場合もあるため注意が必要です。

特定の歯で噛むたびに痛む状態が続いているのであれば、なるべく早めに歯科で原因を確認してもらうと安心できるでしょう。

夜になるとズキズキ痛みが強くなる理由

日中はそれほどでもないのに、夜になると奥歯がズキズキ痛むのは、体の自然な反応が関係しています。

横になると頭部への血流が増え、副交感神経が優位になることで炎症部位の血管が広がり、神経を圧迫しやすくなるためです。

特に歯髄炎が進行している場合、寝る前にお風呂で温まったあと、布団に入って数十分経った頃から痛みが強まる、といった経過をたどることがあります。

入浴・飲酒・激しい運動なども血行を促進するため、夜の歯痛を強めるきっかけになりがちです。

寝不足が続くと痛みへの感受性も高まりやすく、悪循環に陥ってしまう方も多いでしょう。

夜にだけ強く痛む奥歯は炎症が一定以上進んでいるサインの可能性もあるため、翌日にはできる限り早く歯科を受診することを心がけてみてください。

奥歯が痛いときに自宅でできる応急処置

奥歯が急に痛み出したときは、自宅でできる応急処置で一時的に痛みを和らげることができます。

ただし、応急処置はあくまでも歯科を受診するまでのつなぎであり、根本的な治療にはならない点を理解しておくことが大切です[1]。

奥歯の痛みは自然治癒しないため、痛みが落ち着いたあとも必ず歯科を受診するよう心がけましょう。

ここでは、自宅で取り入れやすい3つの応急処置を整理してまいります。

頬の外側から患部を冷やす

奥歯が痛むときは、痛む側の頬を外側から冷やすことで一時的に痛みが和らぐことがあります。

歯の内部で炎症が起きていると、血管が拡張して神経が圧迫されることで強い痛みを感じるため、冷却によって血流をゆるやかにすると痛みが軽くなる傾向にあるためです。

冷たいタオルや保冷剤をハンカチで包み、頬の外側に5〜15分ほどあてる方法が一般的です。

直接氷を口の中に入れたり、患部に強く押しつけて冷やしたりすると、かえって刺激になり痛みが悪化する場合もあるため避けてください。

熱を持って腫れているときに冷やすのは効果が見込めますが、長時間冷やしすぎると血流が悪くなり治りに影響することもあるので、適度な時間にとどめるのが望ましいでしょう。

入浴で体が温まると痛みが強まることが多いため、痛みが強い夜はぬるめのシャワー程度にしておくと安心です。

市販の鎮痛剤を正しく服用する

歯科を受診できない時間帯に痛みが強くなった場合は、市販の鎮痛剤を服用して痛みを抑える方法があります。

「歯の痛み」への効能が記載されているお薬を選び、用法・用量を守って服用することがポイントです。

服用のタイミングは、痛みが我慢できなくなる前の早めが効果的とされており、空腹時を避け、なるべく食事のあとに服用すると胃への負担を抑えられます。

ただし、虫歯が神経まで進行している場合や根の先に膿がたまっている場合などは、市販薬では十分な効果が得られないこともあります[1]。

妊娠中・授乳中の方や持病がある方、ほかのお薬を服用中の方は、薬剤師や医師に事前に相談してから服用するようにしてください。

鎮痛剤で痛みが落ち着いても、原因が解決したわけではないため、できるだけ早く歯科で原因を特定してもらうと安心できるでしょう[1]。

口の中を清潔に保つ

奥歯の痛みが強いときは、口の中を清潔に保つことも応急処置として有効です。

歯と歯の間に食べかすが詰まっているだけで、神経が圧迫されて痛みを感じる場合もあるためです。

ぬるま湯でやさしくうがいをしたり、デンタルフロスや歯間ブラシで詰まった食べかすをそっと取り除いたりすると、痛みが和らぐことがあります。

このとき、痛む部分をゴシゴシ磨いたり、爪楊枝などで強く触ったりすると、歯ぐきを傷つけて症状が悪化する可能性があるため避けるのが望ましいでしょう。

冷水やお湯はしみる原因になりやすいので、口をゆすぐときはぬるま湯にしておくのが安心です。

清潔を保ちつつ刺激を与えない工夫を心がけることで、歯科を受診するまでの時間を比較的穏やかに過ごせるはずです。

ロキソニンなどの鎮痛剤が効かない奥歯の痛みの原因

市販の鎮痛剤を服用しても奥歯の痛みが引かない場合、炎症がかなり進行している可能性があります。

特に虫歯が神経まで達して歯髄炎を起こしている場合や、根の先に膿がたまる根尖性歯周炎が起きている場合、鎮痛剤だけでは痛みを抑えきれないことが知られています[1]。

歯の内部や骨の中で圧力が高まっている状態では、お薬の作用だけでは原因が解決されないため、痛みが続いてしまうのです。

また、親知らずの周囲で強い炎症(智歯周囲炎)が起きているケースや、歯にひびが入っているケースでも、鎮痛剤の効果が十分に感じられないことがあります[7]。

鎮痛剤を服用しても痛みが治まらない場合は、用量を増やすのではなく、できるだけ早く歯科を受診して根本原因に対する治療を受けることが大切です[1]。

決められた量を超えて服用すると胃腸障害などの副作用が出やすくなるため、服用間隔と1日の上限は必ず守るようにしてください。

夜間や休日に痛みが強く出た場合は、各都道府県で実施されている休日夜間歯科診療を利用するのも一つの方法です。

無理にお薬で抑え込もうとせず、専門家に相談して原因へのアプローチを進めることが、結果的に早い回復につながると考えられます。

奥歯が痛いときにやってはいけないNG行動

奥歯が痛いとき、自分では「楽になりそう」と思ってとった行動が、かえって痛みを悪化させてしまうことがあります。

血流を促す行動や患部への強い刺激は、炎症を強める原因になりやすいためです。

応急処置で少しでも症状を抑えたいときこそ、避けるべき行動を知っておくことが大切です。

ここでは、奥歯が痛いときにやってはいけない代表的なNG行動を整理してまとめてまいります。

入浴・飲酒・激しい運動を控える

奥歯が痛いときは、長風呂・飲酒・激しい運動などの血行を促す行動を避けることが望ましいでしょう。

これらの行動は全身の血流を増やし、炎症部位の血管を広げて神経を圧迫しやすくするため、痛みが強まるきっかけになりがちです。

特に夜の入浴で湯船にしっかり浸かったあとに痛みが強まるケースは多く、痛みのある日はぬるめのシャワー程度にしておくと安心です。

お酒を飲むとアルコールの作用で血管が拡張するうえ、判断力が鈍って痛みに気づきにくくなり、症状を見過ごしてしまう恐れもあります。

激しい運動も血流を促すだけでなく、噛みしめが強くなり奥歯への負担が増すこともあるため、痛みが落ち着くまでは控えめにしておくと良いでしょう。

「動いて気を紛らわせよう」と無理をするより、安静にして患部を冷やしながら過ごすほうが、結果的に痛みを長引かせずに済むはずです。

痛む部分を指や舌で触らない

痛む奥歯が気になっても、指や舌で触ったり押したりする行動は控えるのが望ましいです。

指には目に見えない細菌が付着しており、患部に触れることで感染を悪化させてしまう恐れがあるためです。

舌で何度も触ってしまうクセがある方は、無意識のうちに患部を刺激し続け、炎症を広げてしまうこともあります。

歯ぐきが腫れているときに爪で押し出そうとしたり、つまようじで強くつついたりするのは特に危険な行動とされています。

膿があるように見える部分を自己判断で触ると、歯ぐきが傷ついて翌朝顔まで腫れあがるといったケースも報告されています。

歯間の食べかすが気になる場合はデンタルフロスでやさしく取り除き、患部にはなるべく刺激を加えないように過ごしてください。

自己判断で痛み止めを大量に飲まない

痛みが強いからといって、市販の鎮痛剤を続けて飲んだり、量を増やして服用したりするのは避けるべきです。

鎮痛剤は1日の服用回数や1回あたりの量があらかじめ決められており、それを超えて服用しても効果が大きくなるわけではありません。

むしろ胃腸障害や肝臓への負担、眠気などの副作用が出やすくなり、体調を崩す原因になることもあります。

服用間隔は最低でも4時間以上あけ、1日の上限を守ったうえで、空腹時を避けて服用するのが基本です。

「飲んでも効かないから」と量を増やす前に、神経まで進行した虫歯や根の先の膿など、別の原因を疑うほうが現実的でしょう[1]。

鎮痛剤で対処しきれない痛みは、お薬では解決できないサインの可能性もあるため、無理せず歯科を受診して原因を確認してもらうと安心できます。

奥歯が痛いときの受診タイミングと何科を選べばいいか

奥歯の痛みは原因によって受診すべき科が変わるため、症状の特徴を整理しておくことが大切です。

虫歯や歯周病、親知らずに関わる痛みは歯科や歯科口腔外科、上顎洞炎が疑われる場合は耳鼻咽喉科、神経や顔面の痛みは口腔顔面痛外来などが選択肢になります[4]。

「すぐ受診すべきか様子を見てよいか」を見極めるためにも、ここでは判断の目安と受診先の選び方をまとめてまいります。

すぐに歯科を受診したほうがよい症状

次のような症状がある場合は、できるだけ早く歯科を受診することが望ましいでしょう。

何もしていないのにズキズキと痛みが続く場合や、夜間に痛みで眠れないほどの強い痛みがある場合は、神経の炎症や根の先の膿が関わっている可能性があります[1]。

歯ぐきや頬まで腫れている場合、口を開けにくい、発熱がある、リンパ節が腫れているといった症状をともなうときは、感染が広がっているサインかもしれません。

過去に治療した歯が再び強く痛む場合も、被せ物の下での虫歯再発や根尖性歯周炎が疑われるため、放置は避けたほうが良い状態といえます。

市販の鎮痛剤を服用しても痛みが引かない、痛みが日に日に増していく、といった経過も受診の合図です。

先延ばしにせず、症状が出ているうちに歯科で診てもらうことで、結果的に治療範囲を最小限に抑えられる可能性もあります。

歯科か耳鼻咽喉科か迷ったときの判断ポイント

上の奥歯が痛むときは、歯科か耳鼻咽喉科のどちらを受診すべきか迷う方も多いはずです。

判断の目安として、鼻づまり・黄色い鼻水・頬の重さ・前かがみで痛みが強まるといった症状をともなう場合は、副鼻腔炎(上顎洞炎)が背景にある可能性が考えられます。

一方で、特定の歯で噛むと痛い、しみる、過去に虫歯治療をした歯が痛むといった場合は、歯由来の問題が中心と推測されます。

迷ったときはまず歯科を受診し、レントゲン検査で歯や歯ぐきに異常がないかを確認してもらうと、その後の判断がしやすくなるでしょう。

歯科で歯由来の異常が見つからなかった場合に、耳鼻咽喉科や口腔顔面痛の専門外来へ紹介してもらう流れが現実的です。

複数の症状が混ざっている場合でも、自己判断で迷い続けるよりは、まず歯科で全体を見てもらうほうが安心して次の一歩を踏み出せるはずです。

痛みが落ち着いても受診したほうが良い理由

鎮痛剤や応急処置で奥歯の痛みが治まると、「もう大丈夫」と感じてしまう方も多いかもしれません。

しかし奥歯の痛みは自然治癒しないとされており、痛みが消えたからといって原因がなくなったとは限らない点に注意が必要です[1]。

虫歯が神経を侵して神経が壊死すると、痛みを感じる細胞そのものが機能しなくなるため、症状がいったん落ち着いて見えるケースもあります[1]。

その状態で放置すると、根の先で膿がたまり、ある日突然激しい痛みが出たり、歯を抜かなければならない事態に発展したりする恐れもあります。

歯周病も同様に、痛みが軽くなった時期があっても水面下で進行を続けることが多く、気づいたときには歯がぐらつくほど悪化していることも珍しくありません[2]。

痛みが落ち着いた段階でも、できるだけ早く歯科で原因を確認し、必要な治療を受けておくことが、奥歯を長く守るための近道といえるでしょう[6]。

奥歯の痛みに関するよくある質問

奥歯の痛みについては、受診の判断や対処法でつまずく方が多くいらっしゃいます。

ここでは、特に多く寄せられる4つの質問について、目安となる答えを整理してまいります。

Q1:奥歯の痛みは自然に治りますか?

奥歯の痛みは、ほとんどの場合自然には治りません[1]。

虫歯や歯周病が原因の場合、痛みが一時的に引いても、内部では病気が進行し続けていることが多いためです[1][2]。

痛みが消えても安心せず、必ず歯科で原因を確認してもらうようにしましょう。

Q2:奥歯が痛いときに正露丸は効きますか?

正露丸は虫歯の穴に詰める応急処置として知られていますが、あくまで一時的に痛みを和らげる手段の一つにすぎません。

鎮痛成分が含まれているため一時的に楽になることはあっても、虫歯そのものを治す効果はないと考えられます[1]。

応急処置として用いた場合でも、必ず翌日以降に歯科を受診するよう心がけてください。

Q3:奥歯がズキズキと脈打つように痛むのは危険ですか?

心拍に合わせて脈打つように痛む「拍動性の痛み」は、神経や根の先で強い炎症が起きているサインの可能性があります[1]。

歯髄炎や根尖性歯周炎が進行しているケースでは、夜間や横になったときに痛みが強まる傾向があります。

この種の痛みは鎮痛剤だけでは抑えにくいことも多いため、できる限り早めに歯科を受診するようにしてください。

Q4:妊娠中に奥歯が痛い場合はどうすればいいですか?

妊娠中はホルモンバランスの変化で歯ぐきが腫れやすく、奥歯の痛みが起こりやすい時期といえます[2]。

自己判断で市販の鎮痛剤を服用するのは避け、まずはかかりつけの産婦人科と歯科の双方に相談することが望ましいでしょう。

歯科では妊娠時期に応じた治療計画を立ててくれるため、我慢せずに早めに伝えることが安心につながります。

まとめ

奥歯の痛みの原因は、虫歯や歯周病をはじめ、親知らず・歯髄炎・知覚過敏・歯ぎしり・副鼻腔炎・神経痛など多岐にわたります[1][2][7]。

噛むと痛いのか、夜にズキズキするのか、上か下かといった症状の特徴を整理すると、原因の見当をつけやすくなります。

自宅でできる応急処置としては、頬の外側からの冷却・市販の鎮痛剤・口腔内の清潔保持などが挙げられます[1]。

ただし、入浴・飲酒・運動・患部への接触・薬の過剰服用といったNG行動は、痛みを悪化させる原因になりやすいため避けたほうが安心です。

奥歯の痛みは自然に治癒することが少なく、痛みが一時的に引いても内部で病気が進行している可能性があります[1]。

鎮痛剤が効かない場合や強い拍動性の痛みがある場合は、なるべく早く歯科を受診し、必要に応じて耳鼻咽喉科や口腔顔面痛外来との連携も視野に入れて対応していくことが望まれます[4]。

毎日のセルフケアと定期的な歯科でのチェックを組み合わせることで、歯の喪失の2大原因であるむし歯と歯周病を予防し、大切な奥歯を長く健康に保ちましょう[6]。

参考文献

[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「むし歯の特徴・原因・進行」(最終閲覧日:2026年5月22日)

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-02-001.html

[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯周病とは」(最終閲覧日:2026年5月22日)

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-03-001.html

[3] 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯周疾患の有病状況」(最終閲覧日:2026年5月22日)

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-03-004.html

[4] 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯周病の予防と治療」(最終閲覧日:2026年5月22日)

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-03-006.html

[5] 厚生労働省 e-ヘルスネット「各種統計からみる歯科疾患の重み」(最終閲覧日:2026年5月22日)

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-01-002.html

[6] 厚生労働省 e-ヘルスネット「『8020』達成のために必要な予防対策」(最終閲覧日:2026年5月22日)

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-01-005.html

[7] 厚生労働省 e-ヘルスネット「親知らず」(最終閲覧日:2026年5月22日)

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/teeth/yh-036.html

[8] 厚生労働省「令和4年歯科疾患実態調査」(最終閲覧日:2026年5月22日)

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33814.html

※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、医療アドバイスではありません。

お薬の服用に関しては必ず医師にご相談ください。

※効果・効能・副作用の現れ方は個人差がございます。

※医師の判断によりお薬を処方できない場合があります。