子供のマウスピース矯正は保険適用になる?条件と費用の抑え方

子供のマウスピース矯正に健康保険は使えるのか、費用を前に立ち止まっていませんか?
マウスピース型の装置は保険診療で使える矯正装置に含まれていないため、マウスピース矯正はお子さんの場合も自由診療となります。
ただし先天性疾患や顎変形症など国が定めた条件に該当する場合は、別の装置を使う矯正治療が保険で受けられ、医療費控除や自立支援医療といった制度で負担を軽くできる場合もあります。
この記事では保険が適用される3つの条件、マウスピース矯正が対象外である理由、費用を抑える4つの制度、医療機関の探し方まで整理しますので、お子さんの矯正を検討している方はぜひ参考にしてください。
子供のマウスピース矯正は保険適用になる?
お子さんの歯並びを整えてあげたいと思っても、提示された金額を見て手が止まってしまう保護者の方は少なくありません。
医療の一部なのだから保険が使えるのではないか、と考えるのは自然な感覚です。
結論からお伝えすると、マウスピース型の装置を使う矯正治療は、お子さんの場合であっても保険の対象にはなりません。
保険診療で使用できる矯正装置は国のルールで定められており、そこにマウスピース型の装置が含まれていないためです。
ただし、これは矯正治療そのものに保険が一切使えないという意味ではありません。
条件を満たせば別の装置による矯正治療が保険で受けられ、費用を抑える制度も複数用意されています。
ここではまず、保険と矯正治療の関係について4つの視点から整理していきます。
マウスピース型の装置は保険診療の対象外
マウスピース矯正が保険適用にならないのは、装置そのものが保険で認められていないためです。
健康保険で行える治療は、使用する材料や装置まで細かく定められており、その範囲を超えるものは自由診療として扱われるためです[1]。
保険が適用される矯正治療では、歯の表側にブラケットとワイヤーを装着する方法などが用いられます。
お子さんが保険適用の条件に該当していたとしても、その治療をマウスピースで受けることはできないという構造になっています。
「保険が使える症例なのだから、装置も選べるはず」と考えていた方にとっては、意外に感じられる部分かもしれません。
装置と症例は別々に判断されるという仕組みを知っておくと、説明を受けたときの理解もしやすくなるでしょう。
保険が使えるのは装置ではなく症例で決まる
矯正治療に保険が適用されるかどうかは、どんな症例かによって判断されます。
健康保険が対象とするのは病気やけがの治療であり、機能に関わる問題があると認められた場合に限られるためです。
具体的には、生まれつきの疾患に起因する咬合異常、永久歯が生えてこない状態、外科手術を要する顎の変形といったケースが該当します。
いずれも噛む、話す、呼吸するといった日常生活の機能に影響が及ぶ可能性があると国が判断した症例です。
お子さんの歯並びが気になるという理由だけでは、この基準に当てはまらないという線引きになっています。
該当するかどうかは専門的な検査によって判断されるため、まず診てもらうところから始めてみてください。
一般的な歯並びの改善は自由診療になる
多くのお子さんの矯正は、自由診療として行われることになります。
歯並びを整える治療は見た目の改善を目的とすると判断され、公的医療保険の対象から外れているためです[1]。
自由診療では医療機関が料金を独自に設定できるため、同じ治療内容でも費用に幅が生まれます。
出っ歯や受け口、歯が重なっているといった状態も、機能に著しい障害がなければ自由診療の範囲に入ります。
近年は歯並びの乱れがむし歯や歯周組織のトラブルにつながる点から、保険適用の範囲を広げるよう求める声も上がっています。
現時点では自由診療が原則という前提で、費用の計画を立てておくのが確実です。
保険が使えなくても負担を減らす方法はある
保険が適用されないと分かった時点で、あきらめてしまう必要はありません。
税制上の仕組みや自治体の助成など、保険以外にも負担を軽くする制度が複数用意されているためです。
条件を満たせば医療費控除によって税金の一部が戻る可能性があり、通院にかかった交通費が対象に含まれる場合もあります。
保険診療となるお子さんであれば、高額療養費制度や自立支援医療によってさらに負担が軽減されることもあります。
お住まいの自治体によっては、子ども医療費助成の対象として自己負担が抑えられるケースも考えられます。
使える制度を組み合わせて考えることで、実際の負担は想像より小さくできる場合があります。
子供の矯正治療で保険が適用される3つの条件
自分の子どもが対象になるのかどうか、判断の基準を知りたいところですよね。
条件を知らないまま「うちは無理だろう」と決めつけてしまうのは、もったいない判断かもしれません。
保険が適用される矯正治療は、大きく3つのケースに整理されています。
いずれも見た目の改善ではなく、噛む・話すといった機能の回復を目的とした治療にあたります。
該当するかどうかは検査を受けたうえで歯科医師が判断するため、自己判断で結論を出す必要はありません。
ここでは保険適用となる3つの条件を、順に確認していきます。
厚生労働大臣が定める疾患に起因する咬合異常
1つ目は、国が定めた特定の疾患が原因で咬合異常が生じている場合です。
これらの疾患では顎や口の形態に生まれつきの違いがあり、噛む機能や発音に影響が及ぶ可能性が高いためです。
対象となる疾患は約70に及び、唇顎口蓋裂やダウン症候群など広く知られているものも含まれています。
6歯以上の永久歯が生まれつき欠けている先天性部分無歯症も、この一覧に含まれる項目のひとつです。
数が多く専門的な名称が並ぶため、保護者の方がご自身で判断するのは難しい範囲といえます。
診断を受けているご病気がある場合は、その名称を伝えて確認してもらうところから始めてみてください。
永久歯3歯以上の萌出不全に起因する咬合異常
2つ目は、永久歯が生えてこないことによって咬合異常が起きている場合です。
歯が骨の中に埋まったまま出てこない状態が続くと、歯並び全体に影響が及び、噛み合わせが成り立たなくなるためです。
前歯および小臼歯の永久歯のうち3歯以上に萌出不全があり、埋伏歯開窓術という処置を必要とする場合が対象になります。
乳歯がなかなか抜けない、永久歯がいつまでも生えてこないといった様子から気づかれるケースもあります。
歯科医院でのレントゲン撮影によって、骨の中に埋まっている歯が初めて確認されることも少なくありません。
気になる様子があれば、早めに一度確認してもらうと選択肢を広げられます。
外科手術を必要とする顎変形症
3つ目は、顎の骨そのものに大きな不調和があり、外科手術を伴う場合です。
上下の顎の位置関係が大きくずれていると、矯正だけでは噛み合わせを整えられず、骨を切る手術が必要になるためです。
顎離断などの外科手術を必要とする顎変形症では、手術前後の矯正治療が保険の対象になります。
顎が大きく前に出ている、左右で顔の形が非対称であるといった状態が該当することがあります。
顎の成長が終わってから手術を行うため、実際の治療は成人に近い年齢で進められるケースが一般的です。
お子さんの顎の成長に気がかりな点がある場合は、早い段階で相談しておくと見通しが立てやすくなります。
保険適用にはもう一つの条件がある
症例の条件を満たしていれば、どこの歯科医院でも保険が使えると思っていませんか。
実はもう一つ、見落とされやすい条件が設けられています。
保険で矯正治療を受けるには、その医療機関が国の定めた施設基準を満たし、地方厚生局に届け出ている必要があります。
届出のない医療機関では、条件に該当するお子さんであっても保険診療として矯正を行えません。
この点を知らないまま近所の歯科医院を訪ね、自由診療の見積もりだけを受け取って帰ってきたというケースも起こり得ます。
医療機関の探し方まで含めて知っておけば、無駄な回り道を避けられます。
ここでは医療機関に関する条件を3つに分けて確認していきます。
施設基準を満たした医療機関でのみ受けられる
保険適用の矯正治療は、届出のある医療機関に限られます。
矯正治療には専門的な設備と体制が求められ、国が定めた基準を満たしていることを確認する仕組みが設けられているためです。
医療機関は基準に適合していることを地方厚生局に届け出て、受理されて初めて保険診療として矯正を行えるようになります。
矯正を扱っている歯科医院であっても、この届出をしていなければ保険での対応はできません。
通いやすさだけで医院を選んでしまうと、条件に該当していても保険を使えないという結果になりかねません。
保険適用を希望する場合は、届出の有無を最初の確認事項に加えておいてください。
「矯診」と「顎診」という2つの届出の違い
届出には2つの種類があり、症例によって必要なものが変わります。
治療の内容が異なるため、それぞれに応じた体制が求められているためです。
先天性疾患や永久歯の萌出不全に起因する咬合異常では、歯科矯正診断料の届出が必要になります。
外科手術を伴う顎変形症の場合は、顎口腔機能診断料の届出をしている医療機関が対象になります。
名簿の上では前者が「矯診」、後者が「顎診」と略して記載されているため、見分けの手がかりになります。
お子さんの症例がどちらに当たるかを踏まえて探すと、該当する医療機関を効率よく絞り込めます。
地方厚生局の名簿で医療機関を探す手順
届出のある医療機関は、誰でも自分で調べられます。
各地方厚生局が施設基準の届出を受理した医療機関の名簿を公開しているためです[2]。
お住まいの地域を管轄する厚生局のサイトを開き、届出受理医療機関名簿のページを探す流れになります。
歯科の名簿をダウンロードし、「矯診」または「顎診」の記載がある医療機関を探すという手順です。
一覧はファイル形式で公開されていることが多く、地域名で絞り込みながら確認していく形になります。
調べ方が分かれば選択肢が明確になるため、保険適用を検討する段階で一度確認しておくと安心です。
保険が適用される場合の自己負担と費用の目安
保険が使えると分かっても、実際にいくらかかるのかが見えないままでは判断できませんよね。
矯正治療は期間が長く、支払いが複数回にわたるため、総額の見通しを持っておきたいところです。
保険診療となる場合の自己負担は原則3割で、年齢や自治体の制度によってさらに軽減される場合があります。
自由診療の場合は医療機関ごとに料金が設定されており、範囲や方法によって幅が大きくなります。
どちらに該当するかで負担の桁が変わってくるため、まずは自分のケースを確認することが出発点になります。
ここでは費用に関する3つのポイントを見ていきます。
保険診療となる場合の自己負担は原則3割
保険が適用される矯正治療では、他の保険診療と同じ仕組みで自己負担が決まります。
健康保険では医療費のうち一定割合を患者が負担し、残りは保険から支払われるためです。
お子さんの場合は原則3割の負担となり、未就学のお子さんは2割となる区分もあります。
検査、診断、装置の装着、通院ごとの調整といった一連の流れが保険算定の対象になります。
外科手術を伴う場合は入院費用も発生し、そこにも保険が適用される形になります。
自由診療と比べると負担は大きく下がるため、該当するかどうかの確認には大きな意味があります。
保険診療で使われる矯正装置
保険が適用される治療では、使用する装置の種類が定められています。
保険診療では治療に用いる材料や装置まで細かくルールが設けられているためです[1]。
歯の表側にブラケットを装着してワイヤーでつなぐ方法が、基本的な形として用いられます。
見た目を目立たなくするための装置や、マウスピース型の装置は対象に含まれていません。
目立ちにくさを優先したい場合は、その部分だけ自由診療になるという扱いになります。
装置を選べない代わりに負担が大きく抑えられるという関係を理解しておくと、判断しやすくなるでしょう。
自由診療となる場合の費用の目安
保険が適用されない場合は、医療機関ごとの料金設定に従うことになります。
自由診療では費用も治療方針も各医療機関が独自に決められるためです[1]。
お子さんの矯正は、乳歯と永久歯が混在する時期に行う1期治療と、永久歯が生えそろってから行う2期治療に分かれることがあります。
1期治療と2期治療の両方を行う場合は、それぞれに費用が発生する形が一般的です。
見積もりを受け取ったら、検査料、通院ごとの調整料、治療後の保定装置の費用まで含まれているかを確認してください。
総額に何が含まれるかを確かめて比べることが、費用の判断では欠かせません。
費用を抑える4つの制度
保険が使えないと分かったあとこそ、知っておきたい制度があります。
制度の存在を知らないまま自己負担だけで進めてしまうのは、本当にもったいない選択です。
負担を軽くする仕組みは、税金が戻る制度、月々の上限を設ける制度、自己負担を助成する制度の3方向に分かれています。
保険診療になるお子さんも自由診療になるお子さんも、それぞれ使える制度が用意されています。
いずれも申請や手続きが必要で、自動的に適用されるものではない点は共通しています。
該当しそうな制度を早めに調べておけば、治療が始まってから慌てずに済むでしょう。
ここでは代表的な4つの制度を、それぞれの仕組みとあわせて見ていきます。
医療費控除で税金の一部が戻る場合がある
自由診療となる場合でも、医療費控除の対象になる可能性があります。
医療費控除は1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に、確定申告によって所得税の一部が戻る仕組みだからです[3]。
歯列矯正については、受ける人の年齢や矯正の目的からみて必要と認められる場合の費用が対象になると示されています[4]。
そのうえで、発育段階にある子どもの成長を妨げないために行う不正咬合の歯列矯正は、対象となる例として明示されています[4]。
お子さんの矯正は、大人の矯正より控除が認められやすい位置づけにあるといえます。
一方で、容ぼうを美化することを目的とした矯正の費用は対象になりません[4]。
医療費控除では通院の交通費も対象になり得る
対象となる費用の範囲についても、確認しておきたいポイントがあります。
医療費控除では治療費だけでなく、通院にかかった交通費も対象に含めることができるためです[3]。
お子さんの通院に保護者の付き添いが必要な場合、付添人の交通費も対象として認められるケースがあります。
数年にわたって月に一度通院すれば、交通費の合計も無視できない金額になっていきます。
医療費は生計を一にする家族の分を合算して申告できるため、世帯全体で計算する形になります[3]。
領収書と通院の記録は治療開始時から保管しておくと、申告のときに困りません。
高額療養費制度で月の自己負担に上限が設けられる
保険診療となる場合は、高額療養費制度が使える可能性があります。
高額療養費制度は、1か月に支払った医療費の自己負担が一定額を超えた場合に、超えた分が払い戻される仕組みだからです[5]。
外科手術を伴う顎変形症の治療では入院や手術で費用がかさむため、この制度が助けになる場面があります。
自己負担の上限額は年齢や所得によって区分され、世帯で合算して計算できる仕組みも設けられています[5]。
事前に手続きをしておけば、窓口での支払いを上限額までにとどめられる方法もあります。
保険診療が決まった段階で、加入している健康保険の窓口に相談しておくと手続きを進めやすくなります。
自立支援医療(育成医療)で自己負担が軽減される
見落とされやすいものの、対象となるご家庭には大きな制度があります。
自立支援医療のうち育成医療は、18歳未満で身体に障害のある児童を対象に、医療費の自己負担を軽減する制度だからです[6]。
手術などの治療によって確実に効果が期待できる場合が対象とされ、唇顎口蓋裂もその範囲に含まれます[6]。
唇顎口蓋裂に伴う咀嚼機能の改善を目的とした歯科矯正も、対象として位置づけられています。
自己負担の上限額は世帯の所得に応じて区分され、負担が大きくなりすぎないよう配慮された仕組みになっています[6]。
指定された医療機関で受ける必要があるため、申請窓口となる保健所や自治体の担当課で確認してみてください。
自治体の子ども医療費助成を確認する
お住まいの自治体の制度も、忘れずに確認しておきたい要素です。
多くの自治体では子どもの医療費を助成する制度を設けており、保険診療の自己負担が軽減される場合があるためです。
対象となる年齢や自己負担の上限は自治体ごとに異なり、住んでいる地域によって内容が変わってきます。
保険適用の矯正治療であれば、この制度によって窓口での負担がさらに小さくなる可能性があります。
自由診療は対象外となるのが一般的ですが、独自の助成を設けている自治体もあります。
お住まいの市区町村のサイトや担当窓口で、対象範囲を確認しておくと見通しが立てやすくなります。
制度を使うときに知っておきたい注意点
制度の存在を知っているだけでは、実際の負担は変わりません。
申請の期限や必要書類でつまずいてしまい、使えるはずの制度を逃してしまうことは避けたいところです。
いずれの制度も自分で申請する必要があり、医療機関が代わりに手続きしてくれるわけではありません。
必要な書類や申請先も制度ごとに違うため、早い段階で調べておくことが確実な利用につながります。
治療が始まってからでは手が回らなくなることも多く、準備は早いほど余裕を持てます。
ここでは制度を使ううえで押さえておきたい4つの注意点を整理します。
制度は自動的には適用されない
まず理解しておきたいのは、申請しなければ何も始まらないという点です。
医療費控除は確定申告、育成医療は自治体の窓口と、それぞれ手続きの場所も方法も異なるためです。
治療を受けているだけでは負担が軽くなることはなく、自分から動く必要があります。
「歯科医院が案内してくれるだろう」と待っていた結果、申告の時期を過ぎてしまったという事態も起こり得ます。
制度によっては申請できる期限が定められており、過ぎると使えなくなるものもあります。
治療を始める前に、自分が使えそうな制度と手続きの流れを書き出しておくと安心です。
領収書と記録は必ず保管する
手続きの土台になるのが、支払いの記録です。
医療費控除では実際に支払った金額を証明する必要があり、領収書がなければ申告に支障が出るためです[3]。
矯正治療は数年にわたるため、その間の領収書をまとめて保管しておく必要があります。
通院日と交通費を記録したメモがあれば、交通費を計上する際の裏づけにもなります。
デンタルローンを利用した場合は、信販会社が立て替えた年が対象年になるという扱いにも注意が必要です。
家族分をまとめて保管する場所を決めておけば、申告の時期に慌てずに済みます。
制度によって申請先が異なる
どこに申請すればよいかを整理しておくことも大切です。
医療費控除は税務署、高額療養費は加入している健康保険、育成医療は自治体の窓口と、それぞれ管轄が違うためです。
同じ「費用を抑える制度」であっても、まとめて手続きできるわけではありません。
子ども医療費助成については、お住まいの市区町村が窓口になります。
どの制度がどこの管轄かを一覧にしておくと、順番に進めやすくなります。
分からない点は各窓口に直接尋ねるのが早く、電話での相談に応じている場合もあります。
併用できる制度と順序を確認する
複数の制度を組み合わせられる場合もあります。
保険診療となるお子さんであれば、高額療養費や子ども医療費助成を受けたうえで、残った自己負担を医療費控除の対象にできることがあるためです。
ただし助成を受けた分は医療費控除の計算から差し引く必要があり、二重に受け取ることはできません[3]。
計算の順序を誤ると、申告の内容に誤りが生じてしまいます。
どの制度をどう組み合わせられるかは、個別の状況によって変わってきます。
判断に迷う場合は、税務署や自治体の窓口に具体的な状況を伝えて確認しておくと確実です。
子供の矯正を始める前に確認したいこと
制度の見通しが立ったら、次は治療そのものをどう始めるかという段階に入ります。
お子さんの矯正は数年にわたることも多く、始めるタイミングや医療機関の選び方が後々まで影響してきます。
確認しておきたいのは、保険適用に該当するかの判断、治療を始める時期、費用の内訳、そして相談先の選び方です。
いずれも治療が始まる前だからこそ落ち着いて検討できる項目にあたります。
急いで決めず、必要な情報をそろえてから判断するほうが納得のいく選択につながります。
ここでは治療前に押さえておきたい4つのポイントを見ていきます。
保険適用に該当するかは検査で判断される
自分のお子さんが対象になるかどうかは、専門的な検査を経て判断されます。
咬合異常の原因や程度を正確に把握するには、レントゲン撮影や歯型の採得といった検査が必要になるためです。
保護者の方が見た目の印象だけで「該当しないだろう」と判断してしまうのは避けたいところです。
骨の中に埋まったままの永久歯は外からは見えず、レントゲンで初めて確認されるケースもあります。
診断を受けているご病気がある場合は、その名称を伝えたうえで確認してもらうと話が早く進みます。
該当するかどうかを知るには診てもらうしかないため、まずは相談の予約から始めてみてください。
治療を始める時期の考え方
いつ始めるべきかという問いにも、考え方の目安があります。
お子さんの矯正は顎の成長を利用できる時期と、永久歯が生えそろってから整える時期に分けて考えられているためです。
乳歯と永久歯が混在する時期に行う治療は1期治療と呼ばれ、顎の成長を促したり整えたりすることを目的とします。
永久歯が生えそろってから歯並びを整える治療は2期治療と呼ばれ、大人の矯正に近い進め方になります。
早く始めれば必ず良いというものではなく、症状によって適した時期が変わってきます。
年齢だけで判断せず、お子さんの歯の生え替わりの状況を診てもらったうえで決めていきましょう。
総額に何が含まれるかを確認する
費用の説明を受けるときは、金額そのものより内訳に注目してください。
同じ金額が提示されていても、含まれている項目が医療機関によって違うためです。
精密検査料、診断料、通院ごとの調整料、治療後の保定装置の費用が対象になります。
お子さんの矯正では1期治療と2期治療の両方が必要になる場合があり、それぞれに費用が発生する形が一般的です。
1期治療の費用だけを見て判断し、後から2期治療の金額を知って驚いたというケースも起こり得ます。
2期治療まで含めた総額の見通しを、最初の段階で確認しておくと計画が立てやすくなります。
セカンドオピニオンという選択肢
説明を受けても判断がつかない場合は、他の医療機関の意見を聞くこともできます。
矯正治療は方針の立て方に幅があり、医療機関によって提案される内容が異なる場合があるためです。
保険適用の可否についても、施設基準の届出がある医療機関で改めて確認したほうが確実な場面があります。
複数の説明を聞き比べることで、それぞれの提案の意図が見えてくることもあります。
その場で契約を求められた場合は、持ち帰って検討したいと伝えて構いません。
矯正治療は自由診療となるケースが多く、十分な説明を受けたうえで判断することが大切です[7]。
子供のマウスピース矯正を選ぶ場合の注意点
保険が使えないと分かったうえで、それでもマウスピース矯正を選びたいと考える方もいるでしょう。
装置が目立ちにくく、学校生活への影響が小さいという点は、お子さんにとって大きな利点になります。
ただしお子さんの場合、大人とは異なる注意点がいくつかあります。
最も大きいのは、装着時間を守れるかどうかが治療結果を左右するという点です。
マウスピース矯正は1日20時間以上の装着を前提に計画が組まれており、外している時間が長ければ歯が計画どおりに動きません。
自分で取り外せる構造は利点である一方、お子さんが自己管理を続けられるかという課題を伴います。
学校で外したまま失くしてしまった、給食のあとに装着し直すのを忘れていたといった場面は起こりやすいものです。
紛失や破損があれば作り直しの費用と期間が追加で必要になり、自由診療であればその負担も家庭にかかってきます。
保護者の方が装着時間を一緒に確認する、ケースの置き場所を決めておくといった仕組みづくりが助けになります。
もう一つの注意点は、成長期のお子さんでは顎の発育に合わせた調整が必要になる場合があるという点です。
顎の成長を利用する治療では別の装置が適していることもあり、マウスピース矯正で対応できるかは症状によって変わります。
お子さんの歯並びに適した方法かどうかは、検査を受けたうえで歯科医師と相談しながら決めていってください。
装置の希望を先に決めるより、症状に合う方法のなかから選ぶという順序のほうが、結果的に満足のいく治療につながります。
子供の矯正と保険適用に関するよくある質問
Q1. マウスピース矯正が保険適用になることはありますか?
マウスピース型の装置は保険診療で使える矯正装置に含まれていないため、保険適用にはなりません。
お子さんが保険適用の条件に該当する場合でも、その治療は別の装置を用いて行われます。
装置の希望がある場合は、自由診療として相談する形になります。
Q2. うちの子が対象かどうかはどこで分かりますか?
レントゲン撮影などの検査を受けたうえで、歯科医師が判断します。
骨の中に埋まった永久歯は外からは見えないため、自己判断では分かりません。
診断を受けているご病気がある場合は、その名称を伝えて確認してもらってください。
Q3. 医療費控除は子供の矯正でも使えますか?
発育段階にある子どもの成長を妨げないために行う不正咬合の矯正は、対象となる例として示されています[4]。
通院にかかった交通費や、付き添いの保護者の交通費も対象に含められる場合があります[3]。
領収書は治療開始時から保管しておいてください。
Q4. 保険が使える医療機関はどう探せばいいですか?
お住まいの地域を管轄する地方厚生局のサイトで、施設基準届出受理医療機関名簿を確認できます[2]。
歯科の名簿から「矯診」または「顎診」の記載がある医療機関を探す流れになります。
症例によって必要な届出が異なる点に注意してください。
Q5. 1期治療と2期治療の両方に費用がかかりますか?
自由診療の場合、それぞれに費用が発生する形が一般的です。
1期治療の金額だけで判断せず、2期治療まで含めた総額を確認しておきましょう。
医療機関によって料金の設定が異なるため、内訳まで聞いておくと比べやすくなります。
Q6. 自治体からの助成はありますか?
多くの自治体が子ども医療費助成の制度を設けており、保険診療の自己負担が軽減される場合があります。
対象年齢や自己負担の上限は自治体ごとに異なります。
お住まいの市区町村のサイトや担当窓口で確認してみてください。
まとめ
マウスピース型の装置は保険診療で使える矯正装置に含まれていないため、お子さんの場合もマウスピース矯正は自由診療となります。
保険が適用されるのは、国が定めた疾患に起因する咬合異常、永久歯3歯以上の萌出不全、外科手術を要する顎変形症の3つのケースです。
保険で治療を受けるには、施設基準を満たして地方厚生局に届け出た医療機関である必要があり、名簿から探せます[2]。
保険が使えない場合でも、医療費控除によって税金の一部が戻る可能性があり、通院の交通費も対象に含められます[3]。
保険診療となる場合は、高額療養費制度や自立支援医療、自治体の子ども医療費助成によってさらに負担を軽くできることがあります[5][6]。
いずれの制度も自分で申請する必要があるため、治療を始める前に使えそうな制度と手続きの流れを確認しておきましょう。
お子さんが対象になるかは検査を受けて初めて分かるため、まずは届出のある医療機関に相談してみてください。
参考文献
[1] 厚生労働省「保険診療の理解のために【歯科】」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/index.html
[2] 厚生労働省「地方厚生(支)局 施設基準届出受理医療機関名簿」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/shitei/index.html
[3] 国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm
[4] 国税庁「No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1128.htm
[5] 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
[6] 厚生労働省「自立支援医療制度の概要」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jiritsu/gaiyo.html
[7] 厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kokokukisei/index.html
免責事項
※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、医療アドバイスではありません。
※保険適用の可否については必ず歯科医師にご確認ください。
※医療費控除の適用可否は個別の事情により異なるため、詳細は税務署にご確認ください。
※助成制度の内容は自治体により異なるため、お住まいの市区町村にご確認ください。