歯石取りの費用・頻度・痛みは?自分で取ってはいけない理由 

「歯石取りっていくらかかるの?痛いって聞くけど大丈夫かな」と気になっていませんか?

歯石取りは歯周病の検査と診断にもとづいて行う場合に保険が使え、3割負担であれば初回はおおよそ3,000円前後から受けられます。

一方、市販や100円ショップの器具で自分から取ろうとすると、歯や歯ぐきを傷つけたり、歯石を歯周ポケットの奥へ押し込んでしまったりするおそれがあるでしょう。

この記事では、費用と通う回数の目安、痛みが出る理由、施術後にスカスカと感じる仕組み、自分で取ってはいけない理由までまとめているため、歯石取りを考えている方はぜひ参考にしてください。

歯石とは?歯垢との違いと放置するリスク

歯科で歯石が付いていますと言われても、それが何なのかまでは知らない方が多いのではないでしょうか。

歯石は毎日の歯みがきでは落とせない性質を持っており、放っておくと歯ぐきや骨に影響を及ぼしていきます。まずは歯石がどうやってできるのか、なぜ自分では取れないのかを知っておくと、受診の必要性を実感しやすくなるでしょう。

項目主な内容
歯垢(プラーク)細菌のかたまり・やわらかい・歯ブラシで落とせる
歯石歯垢が唾液成分と結びついて硬く固まったもの
歯石ができる期間数日〜2週間で歯垢が歯石に変わる
放置するリスク歯周病の進行・骨が溶ける・歯を失う

歯石は歯垢が硬くなったもの

歯石とは、歯垢が硬く固まって歯の表面にこびりついたものを指します。

歯垢はプラークとも呼ばれ、細菌のかたまりが食べかすと混ざり合ってできた、やわらかい白っぽい付着物です。この歯垢が歯に残ったままでいると、唾液に含まれるカルシウムなどの成分と結びついて、少しずつ石のように硬くなっていきます。

歯垢のうちは歯ブラシで落とせるものの、歯石まで変わってしまうと自分の力では歯から離れなくなってしまうのです。さらに歯石の表面は細かい凹凸に覆われており、そこへ新しい歯垢がまた付着するという悪循環も生まれます。

つまり歯石は、細菌の住みかを自分の口の中に作り続けている状態だと考えておくとよいでしょう。

歯みがきでは取れない理由

どれほど丁寧に磨いても、いったんできた歯石を歯ブラシで落とすことはできません

歯石は歯の表面に化学的に結びついており、単なる汚れのように浮かせて洗い流せる性質を持たないためで、力を込めてこすっても、歯石より先に歯のエナメル質や歯ぐきのほうが傷ついてしまいます

しかも歯石は歯と歯の間や、歯ぐきの内側といった見えにくい場所にできやすいという厄介さがあるでしょう。さらに歯周ポケットの奥深くに入り込んだものは、鏡で確認することすらできません。

だからこそ、歯科で専用の器具を用いて取り除いてもらう必要があるといえます。

放置すると歯周病が進んでいく

歯石を放置していちばん心配なのは、歯周病が静かに進行してしまうことです。

歯石の表面には常に細菌がすみつき、その細菌が歯ぐきに炎症を起こし続けるためで、炎症が続くと歯ぐきが腫れて出血しやすくなり、やがて歯を支えている骨まで溶かされていきます

やっかいなのは、痛みがほとんど出ないまま進んでいくため、自覚したときには骨が減っているという点でしょう。歯周病は歯を失う原因として最も多いことが、公的な調査でも示されています[1]。

歯石取りは見た目を整える処置ではなく、歯を守るための治療だと捉え直してみてください。

歯石取りの費用の目安

歯石取りを考えるとき、まず気になるのは費用ではないでしょうか。

保険が使えるかどうかで負担は大きく変わり、通う回数によっても総額は動いていきます。ここでお伝えする金額はあくまで一般的な範囲であり、口の状態や医療機関によって差が出る点は知っておきたいところです。

項目費用の目安
保険適用(3割負担)初回3,000円前後(検査費・初診料込み)
保険適用(3割負担)2回目以降数百円〜千円台/回
歯ぐきの上の歯石のみ2回程度の通院で完了することも
歯周ポケットの奥まで6回程度に分けて進めることも
自費のクリーニング医院・処置内容により幅がある

保険適用の場合の自己負担

歯周病の検査と診断にもとづいて行う歯石取りには、公的医療保険が使えます

保険診療は全国一律の点数で計算されるため、どの歯科医院を選んでも自己負担の目安は大きくは変わりません。3割負担の方であれば、初診料や検査費用まで含めて、初回はおおよそ3,000円前後からが一つの目安になります。

2回目以降は再診となり、1回あたりの負担はこれより軽く収まることが多いでしょう。ただし歯石の付き方によって処置する回数は変わってくるため、総額は人によって差が生まれます。

費用を抑えて歯を守れる治療のため、気になったときは早めに相談してみてください。

歯石取りだけでも受けられる?

むし歯がないのに歯石取りだけを頼んでもよいのか、迷ってしまう方は少なくありません。

結論から申し上げると、歯石取りを目的に受診することは何ら問題のない行為です。歯科医院には、痛みがなくても歯ぐきの健康を保つために通っている方が数多くいます。

ただし保険で受ける場合は、歯石を取る前に歯周病の検査を受ける流れになる点は押さえておきましょう。歯ぐきの状態を測り、どこにどれだけ歯石が付いているかを確かめたうえで処置へ進むためです。

その日のうちに全て終わるとは限らないため、時間に余裕を持って予約すると落ち着いて受けられます

自費になるのはどんなとき

歯石取りに保険が使えるのは、あくまで歯周病の治療として行う場合に限られます

公的医療保険は病気の治療を対象としており、見た目を整えることや予防だけを目的とした処置は範囲の外に置かれているためで、着色汚れを落として歯を美しく見せることが主な目的となる場合には、自費の扱いになることがあります。

細かい粒子を吹き付けて汚れを落とす機器を用いた清掃なども、その医院の方針によっては保険の対象外となるでしょう。また、短い間隔で何度も受けたいという希望がある場合、決められた頻度を超えた分は自費として案内されることもあります

自分が受けようとしている処置がどちらにあたるのかは、予約や初診の段階で確かめておくと安心できます。

通う回数を含めた総額の考え方

費用を考えるときは、1回あたりの金額よりも、完了までにいくらかかるかという視点が大切です。

歯石の付き方や歯ぐきの状態によって、必要な処置の回数が変わってくるためで、歯ぐきの上の歯石だけであれば、2回ほどの通院で終わる方も少なくありません

一方、歯ぐきの奥に入り込んだ歯石まで取り除く必要がある場合、6回程度に分けて進めることもあります。3割負担であれば1回あたりの負担は数百円から千円台に収まることが多く、回数が増えても大きな出費にはなりにくいでしょう。

初診時に、おおよそ何回かかりそうかを尋ねておけば、通院の見通しを立てやすくなります

歯石取りに保険は使える?条件と治療の流れ

歯石取りを保険で受けるには、決められた手順に沿って進める必要があります。

この流れを知らないまま受診すると、なぜすぐ取ってもらえないのかと戸惑ってしまうかもしれません。あらかじめ全体像をつかんでおけば、一つひとつの工程に意味があることが分かり、納得して通えるようになるでしょう。

治療のステップ主な内容
①歯周病の検査歯周ポケットの深さ・出血・レントゲン
②スケーリング歯ぐきの上の歯石を除去
③再評価の検査歯ぐきの反応を確かめる
④歯ぐきの奥の処置必要に応じて麻酔を使い区画ごとに実施
⑤定期的な管理間隔を空けて維持していく

歯周病の検査と診断が前提になる

保険で歯石取りを受けるための出発点は、歯周病の検査を受けることです。

歯石を取る処置は歯周病の治療として位置づけられており、まず病気の状態を把握する必要があるためで、検査では歯と歯ぐきの境目にある歯周ポケットの深さを、細い器具を使って一本ずつ測っていきます。

出血の有無や歯のぐらつきも確認し、レントゲンで骨の状態まで調べることもあるでしょう。この検査によって、どこにどれだけ歯石が付き、歯ぐきがどの程度傷んでいるかが明らかになります。

いきなり歯石を取らないのは、診断にもとづいて計画を立てるという医療の基本に沿った進め方だからです。

検査からスケーリング、再評価までの流れ

治療は、検査を起点としていくつかの段階を踏みながら進んでいきます

歯石を取ったあとに歯ぐきがどう反応するかを確かめないと、次に必要な処置を判断できないためで、最初の検査を終えると、まずは歯ぐきの上に付いた見える範囲の歯石を、スケーリングという処置で取り除きます。

その後しばらく期間を置いてから、2回目の検査を行い、歯ぐきの腫れや出血がどれだけ改善したかを確かめます。ここで歯周ポケットの奥に歯石が残っていると判断されれば、次の段階へ進むことになるでしょう。

段階ごとに効果を確かめながら進むため、一つずつ着実に良い状態へ近づけていけます

一度で終わらないのはなぜ?

何回も通わされていると感じてしまう方もいますが、回数を分けることには明確な理由があります。

炎症が強い状態で一度に全ての歯石を取ると、広い範囲で出血し、歯ぐきが腫れて痛みが出るおそれがあるためで、体への負担を考え、口の中をいくつかの範囲に区切って、少しずつ進めていくという方法がとられます。

とくに歯ぐきの奥に入り込んだ歯石を取る処置では、麻酔を使うこともあり、一度に行える範囲が限られています。上下の顎をそれぞれ複数の区画に分け、順番に処置していく形が一般的でしょう。

回数が分かれるのは丁寧に進めている証しであり、安全のための配慮だと理解しておくと納得しやすくなります。

通う間隔に決まりがある

治療のあいだの間隔についても、保険診療では一定の考え方が定められています

処置の効果を正しく判断するには、歯ぐきが落ち着くまでの時間が必要になるためで、歯石を取った直後に検査をしても、本当に改善したのかどうかを見きわめられません

そのため、次の検査までにはある程度の期間を空けるという運用がなされています。治療が一段落したあとの定期的な管理についても、保険で受けられる頻度には目安があります。

急いで終わらせたい気持ちがあっても、間隔には意味があると知っておくと落ち着いて通えるでしょう

歯石取りは痛い?痛みの理由と和らげ方

歯石取りをためらう理由として、最も多く挙がるのが痛みへの不安ではないでしょうか。

以前に受けたときつらかった、周りから痛いと聞いたという経験が、足を遠のかせていることもあります。ただ、痛みが出る場面には理由があり、どんなときに感じやすいのかを知っておけば心構えができます

痛みの場面理由と対策
歯ぐきに炎症があるとき敏感になっている・早期受診で軽減
歯ぐきの奥の歯石を取るとき麻酔を使いながら区画ごとに実施
処置中の出血炎症のサイン・治療で改善していく
痛みへの不安事前に伝える・合図を決めておく

痛みを感じやすいのはどんなとき

歯石取りで痛みを感じやすいのは、歯ぐきに炎症が起きている場合です。

健康な歯ぐきであれば器具が触れてもほとんど痛みませんが、腫れている状態では敏感になっているためで、痛みの強さは処置そのものよりも、その時点での歯ぐきの状態に左右されるといえます。

長く放置して歯石が厚く積み重なっているほど、炎症も進んで痛みを感じやすくなるでしょう。歯ぐきが下がって歯の根が露出している方は、その部分に器具が当たるとしみることもあります。

早い段階で受診しているほど痛みは軽く済むため、我慢して先延ばしにしないことが結果的な近道です。

歯ぐきの中の歯石を取る場合

痛みが強く出やすいのは、歯ぐきの奥に入り込んだ歯石を取り除く処置です。

歯周ポケットの深い位置に器具を入れ、歯の根の表面に付いた歯石をかき取っていく必要があるためで、見えない部分を手指の感覚で探りながら進めるため、時間もかかり、体への負担も大きくなります。

そのため、この処置では麻酔を使ったうえで、一度に行う範囲を区切って進めるのが一般的でしょう。麻酔が効いていれば処置中の痛みはほとんどなく、触れられている感覚が残る程度で済みます。

歯ぐきの上の歯石取りとは別の処置だと理解しておけば、身構えすぎずに臨めるはずです

血が出るのはなぜ?

処置のあいだに出血して驚いた経験を持つ方も多いのではないでしょうか。

出血するのは器具のせいではなく、歯ぐきにもともと炎症が起きていたことを示すサインです。炎症のある歯ぐきは毛細血管がもろくなっており、わずかな刺激でも血がにじみやすい状態にあります。

言い換えれば、出血が多かった方ほど歯石による炎症が進んでいたということになるでしょう。歯石を取って炎症が治まっていけば、次に受けるときには出血がぐっと減っていきます。

血が出たから下手だったのではなく、歯ぐきの状態が現れたのだと受け止めてみてください。

痛みを減らすために伝えたいこと

痛みへの不安は、あらかじめ伝えておくことでかなり和らげられます

歯科医師や歯科衛生士は、伝えてもらわなければどの程度つらいのかを把握できないためで、痛みが苦手であることを最初に伝えておけば、力の加減や進め方を調整してもらえるでしょう。

つらいときに手を挙げるといった合図を決めておくと、いつでも止められるという安心感が生まれます。しみるのが強い場合には、麻酔を使って進めるという選択肢を相談することもできます。

我慢を重ねるより、その場で伝えるほうが、結果として短時間で終わることにもつながります

歯石を取ると歯が「スカスカ」になるのはなぜ?

歯石を取ったあとに、歯の間がスカスカになったと感じて不安になる方は少なくありません。

なかには、処置のせいで歯ぐきが下がってしまったのではと心配される方もいます。しかしこの変化には明確な理由があり、多くは歯ぐきが回復に向かっている過程で起こるものです。

スカスカに感じる理由主な内容
歯石が隙間を埋めていた本来の状態が見えるようになっただけ
腫れていた歯ぐきが引き締まる健康な状態へ戻っていく変化
骨が減っていた場合下がった歯ぐきは戻らないことも
早く受診するほど変化は小さい厚く積み重なる前に対処

歯石が隙間を埋めていた状態

歯の間が広く感じられる最も大きな理由は、そこを歯石が埋めていたという事実にあります。

歯石は歯と歯の間や、歯と歯ぐきの境目にたまりやすく、隙間を覆い隠すように積み重なっていくためで、長い時間をかけて付着していれば、本人の感覚としてはそれが当たり前の状態になっていたでしょう。

その歯石を取り除けば、もともとあった隙間が姿を現すのは自然なことです。つまり歯石取りによって隙間ができたのではなく、隠れていた本来の状態が見えるようになったに過ぎません。

見た目の変化に驚いても、それは口の中が清潔になった証拠だと考えてよいでしょう。

腫れていた歯ぐきが引き締まる

もう一つの理由が、炎症で腫れていた歯ぐきが健康な状態へ戻っていくことです。

歯石による刺激が続くと歯ぐきは赤くぶよぶよと腫れ上がり、実際より膨らんで見えています。その原因が取り除かれると、炎症が治まって歯ぐきが引き締まり、本来の高さに戻っていくのです。

結果として歯ぐきの位置がわずかに下がり、歯と歯の間に隙間が見えるようになります。見た目の上では後退したように映りますが、これは歯ぐきが健康を取り戻している変化といえるでしょう。

腫れたままの状態を保つことのほうが、歯を支える骨にとっては危険な状況です。

隙間は元に戻る?

気になる隙間がその後どうなるのかは、歯ぐきの状態によって変わってきます

炎症による腫れが引いただけであれば、しばらくして落ち着くうちに気にならなくなることも多いためです。一方、歯周病が進んで支えている骨まで減っていた場合、下がった歯ぐきが自然に戻ることは期待できません。

失われた骨は自然には再生しないため、そこから先は現状を保つことが目標になります。隙間が残ったとしても、歯間ブラシで清掃しやすくなるという利点が生まれる面もあるでしょう。

見た目の変化が気になるときは、その部分の清掃方法を歯科で教わっておくと安心できます。

早く受診するほど変化は小さい

スカスカになる変化を小さく抑えたいのであれば、早めに受診することが何より有効です。

歯石が薄いうちに取り除けば、隠れていた隙間も歯ぐきの腫れもわずかで済むためで、何年も放置して厚く積み重なった状態から一気に取れば、その分だけ変化は大きく感じられます

定期的に通っている方が変化に気づきにくいのは、そもそも大きく溜め込んでいないからです。数か月ごとに手入れを重ねていけば、見た目の急な変化に驚くこともなくなるでしょう。

放置した年月の長さが、そのまま変化の大きさとして現れると考えておいてください。

「歯石取りは意味ない」と言われる理由

歯石取りについて調べていると、意味がないという意見を見かけることがあります。

せっかく時間と費用をかけるのに効果がないのなら、通う気持ちも失せてしまうでしょう。けれども、この言葉の背景には、いくつかの誤解が混ざり込んでいます

また付くから意味がないという誤解

意味がないという意見の多くは、取ってもまた付いてしまうという点から生まれています。

確かに歯石は一度取り除いても、日々の生活のなかで再び作られていくものです。しかし、それは体を洗っても汚れるから洗う意味がないと言っているのに近い考え方でしょう。

大切なのは、付着した歯石を長く放置しないという点にあります。厚く積み重なった状態を何年も抱え込むのと、定期的にリセットするのとでは、歯ぐきへの負担がまるで違ってきます。

再び付くという性質があるからこそ、繰り返し取り除く価値が生まれるといえます。

取ったあとのケアで差が出る

もう一つの誤解は、歯石取りだけで口の中が守られると考えてしまうことです。

歯石を取り除いても、その後の歯みがきが不十分であれば、歯垢は再び蓄積していきます。歯垢が残ったままの時間が長いほど、それが硬くなるまでの期間も短くなってしまうでしょう。

つまり歯石取りは出発点であり、その後の毎日のケアと組み合わせてこそ効果が続きます[2]。歯ブラシだけでは届かない歯と歯の間には、デンタルフロスや歯間ブラシを取り入れると差が生まれます。

処置を受けた際に磨き方を教わっておけば、次に付く歯石の量そのものを減らしていけるはずです。

口臭や歯ぐきの変化を感じることも

意味がないという印象とは反対に、変化をはっきり感じ取る方も少なくありません

歯石の表面には細菌が繁殖しており、それがにおいの原因になっている場合があるためで、取り除いたあとに口の中がすっきりした、においが気にならなくなったという声も聞かれます。

歯ぐきの腫れが引き、歯みがきのときの出血が減っていくという変化も期待できるでしょう。歯の表面がなめらかになることで、舌で触れたときの感触が変わることもあります。

こうした変化は数日から数週間かけて現れてくるため、少し時間をおいて確かめてみてください。

【重要】自分で歯石を取ってはいけない理由

歯石取りについて調べると、自分で取る方法を紹介する情報が数多く見つかります。

100円ショップやドラッグストアで器具が手に入ることもあり、試してみようと考える方もいるでしょう。しかし、この方法には歯や歯ぐきを傷つける危険があり、専門家が一致して避けるようすすめている行為です。

危険性主な内容
市販・100円ショップの器具専門家が使う器具とは前提が異なる
歯や歯ぐきを傷つけるエナメル質を削って再生しない損傷
歯石を歯ぐきの奥へ押し込む見えないところで炎症が進行
取り切れず見た目だけ変わる受診を先延ばしして歯周病が進行
自宅でできるのは「つけない」ケア歯垢のうちに落とすことに専念

市販・100円ショップの器具の危険性

市販されているスケーラーは、専門家が使う器具とは前提がまったく異なります

歯科では、歯の形や歯石の位置に合わせて複数の器具を使い分け、当てる角度まで細かく調整しているためで、同じような形をしていても、扱う技術がなければ刃先は歯ではなく歯ぐきへ向かってしまいます

先端は鋭利であり、勢いあまって粘膜を切ってしまえば、出血や強い痛みにつながるでしょう。さらに、家庭では器具を十分に消毒できないため、傷口から細菌が入り込む心配もあります。

手に入りやすさと安全性はまったく別の話だと考えておいてください。

歯や歯ぐきを傷つけてしまう

自分で行う場合に最も起こりやすいのが、歯そのものを削ってしまうことです。

歯石は硬く歯に密着しているため、力任せに削ろうとすると刃先が歯の表面に食い込んでしまいます。エナメル質に傷が付けば、その凹凸に汚れがたまり、かえって歯石や着色が付きやすい状態になるでしょう。

一度削れたエナメル質は再生しないため、この損傷は一生残り続けることになります。歯ぐきを傷つければ、そこから炎症が広がり、腫れや痛みを招くこともあります。

きれいにするつもりの行為が、口の中の状態を悪化させてしまうという結果になりかねません

歯石を歯ぐきの奥へ押し込むおそれ

見落とされがちですが、より深刻なのが歯石を奥へ押し込んでしまう危険です。

自分では歯周ポケットの内部を見ることができず、器具の先端がどこに当たっているか分からないためで、歯石を取ろうとして力を加えた結果、かけらが歯ぐきの奥へ入り込んでしまうことがあります。

押し込まれた歯石はそこで細菌の温床となり、外からは見えないまま炎症を進めていくでしょう。表面がきれいになったように見えても、内部では歯周病が悪化しているという事態も起こり得ます。

見えない場所を扱うからこそ、検査にもとづいた処置が必要になるのです。

取り切れず見た目だけが変わる

仮に器具の扱いに慣れていたとしても、家庭で歯石を取り切ることはできません

歯と歯の間や歯の裏側、歯ぐきの内側といった場所は、鏡を使っても十分に確認できないためで、目に付く部分だけを削り取れば、見た目の上では改善したように感じられるでしょう。

ところが実際には大部分が残っており、そこから炎症が続いていくことになります。きれいになったと安心して受診を先延ばしにすれば、その間に歯周病は進んでしまいます。

中途半端な自己処置は、問題を見えにくくするという点でも避けたいところです。

自宅でできるのは「つけない」ケア

家庭で取り組むべきなのは、歯石を取ることではなく、作らせないことです。

歯石はやわらかい歯垢から作られるため、その段階で落としておけば硬くなる前に防げるからで、歯ブラシは歯と歯ぐきの境目に当て、小刻みに動かして一本ずつ丁寧に磨いていきましょう。

歯ブラシだけでは歯と歯の間の汚れは落としきれないため、デンタルフロスや歯間ブラシを組み合わせてください[2]。こうした習慣を続けていれば、次に受診するまでに付く歯石の量は確実に減っていきます。

取ることは歯科に任せ、付けないことを自宅で担うという役割分担が、最も効率のよい方法といえます。

歯石取りの頻度の目安

一度歯石取りを受けたあと、次はいつ通えばよいのか分からず、そのまま何年も空いてしまう方は少なくありません。

歯石は取り除いてもまた作られていく性質を持つため、間隔が空きすぎると気づかないうちに元の状態へ戻ってしまいます。自分にとって適した間隔をつかんでおけば、大きく溜め込む前にリセットでき、良い状態を無理なく保ち続けられるでしょう。

頻度の考え方主な内容
一般的な間隔3か月から6か月に一度が目安
歯石がつきやすい人下の前歯裏・上の奥歯外側・喫煙者
保険で通える頻度治療後の管理として定期的に受けられる
短い間隔を希望自費での対応となる場合も

一般的な間隔

歯石取りを受ける間隔としては、3か月から6か月に一度が一つの目安とされています。

歯垢が唾液の成分と結びついて硬い歯石へと変わるまでには、おおよそ数日から2週間ほどの時間しかかからないと考えられているためです。つまり、どれほど丁寧に歯を磨いている方であっても、磨き残しが生じる場所には少しずつ歯石が積み重なっていきます。

数か月ごとに区切って取り除いていけば、厚く固まって歯ぐきを刺激するほどの量になる前に対処できるという理屈です。歯ぐきの状態が安定している方であれば、半年に一度という間隔でも十分に健康を維持できるでしょう。

自分に合った間隔は歯ぐきの検査結果をもとに提案してもらえるため、歯科からの案内に沿って通うのが確実な方法といえます。

歯石がつきやすい人・つきにくい人

同じように歯を磨いていても、歯石の付き方には人によってはっきりとした差が現れます。

歯垢が硬くなっていく過程には唾液に含まれる成分が深く関わっており、その性質そのものに個人差があるためで、とくに唾液の出口が近い下の前歯の裏側や、上の奥歯の外側は、多くの方にとって歯石が集まりやすい場所になります。

歯並びが重なり合っている部分や、被せ物と歯の境目のように段差がある箇所も、汚れが残って歯石へ変わりやすいでしょう。喫煙の習慣がある方や、口が乾きやすい体質の方についても、付着の速度が早まる傾向があるといわれています。

前回の受診から間もないのに歯石が付いていると指摘されたなら、次からはやや短めの間隔を意識してみてください。

保険で通える頻度の考え方

保険を使って歯石取りを受ける場合、通える頻度にはあらかじめ一定の目安が設けられています

公的医療保険はあくまで病気の治療を対象とする制度であり、際限なく処置を繰り返すことまでは想定されていないためで、歯周病の治療がひととおり終わったあとは、良い状態を維持していくための管理という位置づけで、定期的に受けられる形へ移っていきます。

ただし、その間隔は歯ぐきの状態や、その医療機関が届け出ている体制によっても変わってくるでしょう。より短い間隔で受けたいという希望がある場合には、自費での対応を案内されることも考えられます。

自分はどのくらいの頻度で通えるのかを、治療が一段落した段階で確かめておくと、その後の予定を立てやすくなります。

当日の流れと終わったあとの過ごし方

初めて歯石取りを受ける方にとって、当日どのように進んでいくのかは気がかりな点ではないでしょうか。

流れをあらかじめ知っておけば、必要以上に身構えることなく落ち着いて椅子に座れるはずです。さらに、処置を終えたあとの過ごし方にも、知っておくと役立つ注意点がいくつか存在します。

当日はどのように進む?

初診の日は、いきなり歯石を取り始めるのではなく、問診と検査から始まるのが一般的な流れです。

どこにどれだけ歯石が付き、歯ぐきがどの程度傷んでいるかを把握しなければ、適切な処置を組み立てられないためで、歯周ポケットの深さを測る検査では細い器具を歯と歯ぐきの境目に差し入れるため、軽い痛みやくすぐったさを覚えることもあります。

その結果をもとに現在の状態について説明を受け、続けてその日に取れる範囲の歯石を除去していきます。処置のあいだは水を出しながら器具を当てていくため、口の中に水がたまる感覚や、細かな振動が伝わってくるでしょう。

一回にかかる時間は30分から1時間ほどが目安となり、歯石の量や処置する範囲によって前後します。

終わったあとに気をつけたいこと

処置を終えた直後は、歯や歯ぐきが一時的に敏感な状態になっていることがあります。

長いあいだ歯石に覆われていた歯の根の部分が、急に外からの刺激へさらされるようになるためで、冷たい水がしみるように感じても、多くは数日から数週間のうちに少しずつ和らいでいきます。

歯ぐきからわずかに血がにじむこともありますが、気になるからと強いうがいを繰り返すと、かえって治りが遅くなってしまうでしょう。当日は刺激の強い食べ物や熱い飲み物を控えめにしておくと、違和感を覚えずに過ごしやすくなります。

歯みがきはいつもどおり続けて構いませんが、力を込めすぎないよう意識してみてください。

受診をためらっている方へ

歯石が気になっていながら、なかなか予約の一歩を踏み出せずにいる方は決して少なくありません。

長いあいだ歯科から足が遠のいていた後ろめたさが、さらに受診を先延ばしにさせてしまうこともあるでしょう。けれども、その気持ちを抱えて過ごしている時間こそが、歯ぐきの状態を静かに進行させていきます

「恥ずかしい」と感じなくていい理由

口の中を人に見られるのが恥ずかしいという気持ちは、多くの方が共通して抱えているものです。

何年も通っていない、自分でも歯石が付いていると分かっているという状況ほど、その思いは強くなっていきます。しかし歯科で働く人にとって、歯石が付着した口の中は毎日のように目にしているごく日常的な光景にすぎません。

驚かれるのではないか、責められるのではないかという心配は、実際にはまず起こらないと考えてよいでしょう。むしろ、恥ずかしさから受診を避け続けた末に歯を失ってしまうことのほうが、本人にとってはるかに大きな損失になります。

思い切って足を運んだこと自体を、前向きな一歩として受け止めてもらえるはずです。

予約のときは何と伝えればいい?

電話やインターネットで予約を取る際、どのように伝えればよいのか分からず戸惑う方もいます。

難しい言い方をする必要はなく、歯石を取ってほしいという一言を伝えるだけで十分に通じます。しばらく歯科を受診していないことを添えておけば、検査の時間まで含めて余裕のある枠を用意してもらえるでしょう。

歯みがきのときに血が出る、口臭が気になるといった悩みがあるなら、あわせて伝えておくと診察がスムーズに進みます。痛みが苦手だという点についても、この段階で共有しておけば、当日の進め方に配慮してもらいやすくなります。

初回は検査が中心になる場合もあるため、どのくらい時間がかかりそうかを尋ねておくと予定を組みやすいはずです。

よくある質問

Q:歯石取りはいくらかかりますか?

歯周病の検査と診断にもとづいて行う処置であれば保険が使え、3割負担の方で初回はおおよそ3,000円前後が目安になります。

2回目以降は再診となるため、1回あたりの負担額はこれよりも軽く収まることがほとんどでしょう。

歯石の付き方によって必要な回数は変わってくるため、初診の際におおよその見通しを尋ねておくと安心して通えます。

Q:歯石取りだけでも受けられますか?

むし歯などの症状がなくても、歯石取りを目的に受診することはまったく問題のない行為です。

ただし保険で受ける場合には、処置に入る前にまず歯周病の検査を受けるという流れになります。

その日のうちにすべて完了するとは限らないため、時間に余裕を持って予約を入れておくとよいでしょう。

Q:歯石取りは痛いですか?

痛みの強さは処置そのものよりも、そのときの歯ぐきの炎症の程度に大きく左右されます

炎症が進んでいる歯ぐきほど敏感になっているため、長く放置していた方ほど痛みを感じやすい傾向があるでしょう。

歯ぐきの奥にある歯石を取る場合は麻酔を使うこともあるため、不安があれば事前に伝えてみてください。

Q:自分で歯石を取ってもいいですか?

市販されている器具を使って自分で歯石を取ろうとすることは、避けていただきたい行為です。

歯の表面のエナメル質を削ってしまったり、取り切れなかった歯石を歯ぐきの奥へ押し込んでしまったりする危険があるためです。

自宅では歯垢のうちに落とすケアへ専念し、硬く固まった歯石については歯科に任せるのが最も安全といえます。

まとめ

歯石は歯垢が硬く固まったもので、歯ブラシでは取り除けず、放置すれば歯周病を静かに進行させていきます

歯周病の検査と診断にもとづく処置であれば保険が適用され、3割負担で初回3,000円前後というのが費用の目安です。一度の来院で終わらないのは、出血や腫れを抑えながら安全に処置を進めるための配慮によるものといえます。

痛みの強さは歯ぐきの炎症の程度に左右されるため、早い段階で受診するほど負担は軽く済むでしょう。処置後にスカスカと感じられるのは、歯石が埋めていた隙間が現れ、腫れていた歯ぐきが引き締まったことによる変化です。

市販の器具で自分から取ろうとすれば、歯を傷つけたり歯石を奥へ押し込んだりする危険を招いてしまいます。3か月から6か月に一度という間隔で通う習慣を身につけて、これからの歯を守っていきましょう

参考文献

[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯の喪失の原因」(最終閲覧日:2026年4月29日)

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-04-002.html

[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯みがきによるむし歯予防効果(予防法)」(最終閲覧日:2026年4月29日)

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-02-015.html

[3] 厚生労働省 e-ヘルスネット「PMTC(歯石除去・歯面清掃)」(最終閲覧日:2026年4月29日)

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-03-009.html

[4] 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯周病」(最終閲覧日:2026年4月29日)

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth-summaries/h-03

[5] 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯・口腔の健康」(最終閲覧日:2026年4月29日)

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth

※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、医療アドバイスではありません。

症状や治療については、必ず歯科医師にご相談ください。

※費用や保険の取り扱い、通える頻度は、口の状態や医療機関により異なります。

※処置後の経過や感じ方は個人の状態やクリニックによって異なります。

※歯科医師の判断により、治療方針が異なる場合があります。